「…………ハッ!」
亜空軍のまさかの攻撃を受けて気絶していたアキッキー。
彼のその意識は、突然戻った。
そして、ふと周りを見渡して、愕然とする。
「こ…ここは…、まさか、亜空間!?」
さらに、何気に視線を落とした先の足元を見て、さらに困惑する。
「え…!?」
…オレンジ色の鉄の床…?
いや、何かが違う……。
そして、後ろを振り返ると…。
「……な、なんだありゃ???!!!」
背後に見えていたのは、それまで見たことのない場所。
まるで巨大な軍艦にいるかのような光景だったのだ。
「こいつは驚きだな…!」
「…!…マーベラス…!」
振り返ると、自分と同じくボロボロになっていたマーベラスが立っていた。
どうやら意識を取り戻したようだ。
「大丈夫!?」
「なんとかな…。」
命からがらと言ったところのようだ。
「だが、安心するのは…」
そう言ったマーベラスの視線の先。
そこには……。
「…!!」
同じくボロボロになっていたダークディケイドとアビスの姿があったのだ。
「あの連中をどうにかしてからだ…!」
状況は、両者満身創痍。
しかし、先ほどの一斉攻撃の拍子か、マーベラスとアキッキーはゴーカイサーベルを取りこぼしている。
頼れる武器はゴーカイガンくらいしかない…。
「お前たちも運がいいもんだな…、あの攻撃でまだ生きているとはな…。」
「でも、それもここまで…。俺たちで一気にとどめをさしてやる…!!!」
対して向こうには、アビスの契約モンスター・アビソドンもいる。
体力もギリギリ。
加えて…。
―――ザワザワザワザワ…!
―――!
亜空間の闇から降り注いだ影虫が回りの数箇所に集まり、亜空軍の戦闘兵・プリムを何十体と形成。
一気にアキッキーたちを取り囲む。
「一気に決めてやるぜ…!」
「かかれぇぇ!!!!」
二人の合図で、プリムたちとアビソドンが一気に飛び掛り、二人は死を覚悟した―――!!!!
『ちょっと、待ったああぁぁぁっ!!!!!!』
―――!!!!!!
その途端、二人の両サイドから割り込んできた6つの影!
彼らはその勢いでプリムたちを迎え撃つ!
「何ッ!?」
どこからともなく現れた6人の存在に、意表をつかれたDディケイドとアビス。
だがその一方で、マーベラスは彼らの服装に見覚えがあると感じ取り、次の瞬間、彼らの正体を思い出す!
「お前…、風切大和(かざきり・やまと)か!?」
「えっ!!??」
思わず声を上げたのはアキッキーだった。
彼らはマーベラスの顔見知りなのか!?
「大丈夫!?ここは俺たちに任せてくれ!」
大和と呼ばれた青年は、後ろのマーベラスに一瞬だけ気を配った後、前に出てくる。
そんな彼に、二人のダークライダーが挑発する。
「誰だか知らねぇが、たったの6人で俺たちに歯向かおうってのか!?」
「無謀過ぎるぜ、これだけの軍勢を相手にな。」
しかし、その挑発に乗る雰囲気ではなかったらしい。
それどころか、乱入した面々が大和の両隣に集結すると――。
「俺たち6人…?…てめぇら、バカかぁ?」
「どうやら何も気づいていないらしいな。」
「生憎、ここに集まっているのは、あたしたちだけじゃないのよ。」
「ここから一気に反撃させてもらうわよ!」
「俺たち、スーパーヒーローがな!!」
他にも……いる!?
ダークライダーがいやな予感を感じ取った、次の瞬間―――。
「KAMEN RIDERS、ON STAGE!!!!」
――おうっっ!!!!!!
彼らの背後で突如、無数のタイムゲートが開き、その中から幾人もの人間たちが飛び出してきた!!
「な、何だって!?」
もちろんアキッキーとて、これは予想外!
しかし、驚くのはまだ早かった。
『変身ッッ!!!!!!』
<キウイアームズ!撃・輪・セイヤッハッ!>
<メロンエナジーアームズ!>
<DONGURI-Arms!ネバー・ギィブア〜ップ♪>
<KURUMI-Arms! Misteeer,Knuckle-maaan!>
<DURIAN-Arms! Misteeer,Dangerooous!>
<DRIVE-type“SPEED”!!>
<シグナルバイク!“ライダー・マッハ”!!>
<シグナルバイク!“ライダー・チェイサー”!!>
「えぇぇぇ!!??か、か、仮面ライダー!!??」
なんと、現れた面々が仮面ライダーに変身したではないか!?
「ふん、どれだけ増えようが俺たちの敵ではない!」
しかし、Dディケイドとアビスは全く動じることはない。
……そう、増援がこれだけで終わればの話なら…。
「こっちにもいるぞ!」
『!!??』
別方向から声!?
…と思ったのもつかの間―――。
―――ズガアァァンッ!!!!
すれ違いざまの一閃が敵戦闘兵を吹き飛ばす!
Dディケイドたち二人とマーベラスたち二人は、その攻撃の主に視線を向ける。
その姿は、赤と黒のアクセントが映える銀色の戦士。
胸にはリング状の青い輝きがある。
そして右手には、特徴的な両刃の剣が握られている。
「うそ…!まさか、ウルトラマン!!??」
「おいおい、マジかよ…!?」
これはさすがのアキッキーとマーベラスにとっても嬉しい誤算だった。
「あららぁ、またまた変なところに着ちゃった!?」
…おっと?
またまた別方向から誰かの声。
振り向くとそこには、少し派手な格好をしたくの一と、その仲間と思しき個性的な3人の女性がいた。
「亜空間を彷徨う巨大戦艦か…。なんとも奇妙な光景だ。」
「…こんな大きな鉄の船、初めて見るわ。」
「わたしもです!すご〜い☆」
その一行もやはり巨大戦艦の存在に各々で驚きの表情を見せていた。
…ふと、アキッキーはその一行の一人――幻想的な雰囲気の女性の姿と武器を見て、何かを思い出す。
「えっと…、すみません、そこの杖を持っている人…?」
「ん?…私か?」
「あなたのその姿…“ケロロチーム”のモアちゃんに似ているような気が…。」
「!」
アキッキーのその一言を聞き、その女性は目を僅かに見開く。
「そなた、モアを知っているのか!?」
「いや、知っているというか、良くも悪くもお世話になったと言うべきか…。」
“良くも悪くも世話になった”―――。
…何か向こうでやらかしたらしい。
その女性はアキッキーの言葉を聴いてそう感じ取った。
「どうやら、私の従妹が迷惑をかけたらしいな。」
「………え?“従妹”?」
この女性、アンゴル・フィア。
モアと同じアンゴル一族の一人で、モアの従姉である。
「これはまたなんとも、随分にぎやかな戦場にきたもんだねぇ。」
『!?』
またまた見知らぬ顔が来た!?
その方向に視線を向けると、いつの間にか二人組の男が現れていた。
一方は、黒い洋風の帽子に、黒の衣服に金色の和風の上着を纏った、見た目40代くらいの男性。
もう一方は、長い白髪を二つに結い、赤と白を基調とする武道家のような衣服をまとい、背丈ほどの梯子のような武器を持った、20代くらいの屈強な男。
「しかし、目の前にあの黒い輩がいるということは、ここも奴らの領域らしいな。」
後者の青年、数多の戦場を駆け抜けていった経験からか、多少の余裕も見受けられそうだ。
ふと、その二人の“ある特徴的なもの”を見て、ナツが反応した。
「…!?ちょっと待った!」
「「!?」」
「おっさんの手袋に刻まれているものと、お兄さんの腰周りにある“六文銭”…、あんたたち、“バサラーク”の“真田家”じゃないの!?」
「「!」」
戦国乱世の次元世界・“バサラワールド”の国の名前が浮上し、二人は目を見開く。
「おやおやぁ?俺たちの名前をご存知とは…、お嬢さん、何者だ?」
「あんたたちと同じバサラークの人間だよ。これでも、封魔衆のくの一なんでね。」
「なるほど、そういうことか。」
その話を聞き、納得した二人。
だとすれば…。
「…ってこたぁ、そちらさんにとっても、あの黒い連中は敵ってことでいいのかな?」
「おそらくね。」
ふと、そのやりとりを聞いて、アキッキーの脳裏で何かが思い出された。
「えっと、ちょっと待ってください。」
「…ん?何だ?」
「そう言えば、首元にその“六文銭”と言うのをかけて、二本の槍を豪快に振り回す男を見たような…。」
「「「!!」」」
3人がさらに目を見開く。
「…ま、マジで!?」
「あいつは無事だったか。」
「ハッハッハッハ…!どうやら、うちの小倅殿が暴れているらしいねぇ。」
この話を聞き、一同の利害は一致した。
「そうと分かれば、我々もお前たちの助太刀をしよう!」
「赤い服の兄さん、露払いくらいはさせてもらうよ!」
「おいコラアアァァッ!!!!!」
すっかり忘れ去られていた扱いになったと思っていたのか、Dディケイドの怒りの声が響いた。
「さっきからゾロゾロゾロゾロ…、一体貴様らはなんなんだよ!!」
「…って言うか、俺たちをそっちのけにするってのはどういうことだよ!!」
確かに向こうの言い分もそうだ。
「あはは、ごめん。ほっとくつもりはなかったんだけどね。」
大和が思わず謝る一方…。
「でも、これ以上退屈させるつもりもないよ。俺たちが相手だからね。」
宣戦布告とも取れる挑発の一言。
両側に控えた5人もまさに臨戦態勢だ。
「ちょ、君たちの敵う相手じゃないよ!」
アキッキーが慌てて前に出ようとするが…。
「いや、お前の心配には及ばない。」
マーベラスが確信に満ちた一言で遮る。
その答えは、直後に彼が口にしたこの一言。
「大和たちも、スーパー戦隊だからな!!!」
「「!!!???」」
「!!!」
ダークライダー二人とアキッキーは思わずビックリの表情を見せる。
「え!?スーパー戦隊…!!??……ま、まさか!?」
「…そういうことだ、先輩!!!後は任せてくれ!!!」
そういうと、6人のうち5人は立方体型の折りたたみ式携帯電話を、一人は懐中電灯型のアイテムを取り出した。
<イーグル!> <シャーク!> <ライオン!>
<エレファント!>
<タイガー!> <ザワールド!>
『本能覚醒!!!!!!』
―――ガシャン、ガシャン、ガシャンッ!!!
<アー、アー、アァア〜ッ!!>
<ウォー、ウォー、ライノ〜ス!!>
すると、6人の体が光のキューブに包まれ、それぞれのアイテムを上に掲げた途端――!!!!
『ハァッ!!!!!!』
6人の体が一瞬で6色の輝きに包まれ、6人の戦士に変貌した!!
「ええぇぇええ〜〜〜っ!!!!????」
またまた未知の戦隊が現れた!?
アキッキーは案の定、この展開に驚きの声をあげた。
そんな彼を尻目に、一行は名乗り口上をあげる。
「大空の王者!ジュウオウイーグル!!」
「荒海の王者!ジュウオウシャーク!!」
「サバンナの王者!ジュウオウライオン!!」
「森林の王者!ジュウオウエレファント!!」
「雪原の王者!ジュウオウタイガー!!」
「世界の王者!ジュウオウザワールド!!」
―――動物戦隊!
『ジュウオウジャー!!!!!!』
そんな彼らの名乗り口上に釣られたのか、周りの面々も…。
「随分と色彩豊かな輩が現れたが、親父殿、我らも負けてはおれませぬぞ!」
「言わずともさ、倅殿。」
「我こそは戦国の奇術師・真田昌幸!
一世一代の大見世物を披露いたし候!!」
「同じく、昌幸の倅が一人・真田信之!
真の武士として、尋常にお相手仕る!!」
己の存在と強さを示さんと言わんばかりに名乗り口上をあげた!
「鍛冶神の名の下に奮い立つ剣!
カサンドラ・アレクサンドル、いきます!!」
「勇者の証をこの胸に!
リンクル、助太刀します!」
「封魔衆の忍が一人・ナツ!
僭越ながら御供させてもらうよ!」
「宇宙の理を司る者、アンゴル・フィア!
そなたらの戦いの助力となろうぞ!」
それはまさに、自分自身の決意の象徴。
「銀河の光が我を呼ぶ!
俺の名は、ウルトラマンオーブ!」
打たれる覚悟を持つ者が名乗れる口上でもある…!!
「闇を乗り越えし龍の勇者!
アーマードライダー龍玄、行きます!」
「迷いを振り払う白き力。
アーマードライダー斬月・真!参る!!」
「戦友の想いをこの胸に、
アーマードライダーグリドン!行くぜ!」
「破壊の力を正義に変えて、
アーマードライダーブラーボ、助太刀するわよ!」
「悪を打ち抜く拳の闘士!
アーマードライダーナックル、いざ勝負!!」
「プレッシャーを跳ね除けるスピード戦士!
仮面ライダードライブ!…ひとっ走り付き合えよ!!」
「追跡!撲滅!いずれも…マッハ!!
仮面ライダー、マッハ!」
「生きとし生ける者を守る、闇の戦士…
仮面ライダーチェイサー!」
今ここに、闇を切り裂かんとする覚悟を胸に秘めた戦士たちが、集まった……!!!
<ATTACK RIDE,“BROOT ZAOGER”>
<SWORD VENT>
一方、散々待たされたDディケイドとアビス、武器を召喚して、それまでの鬱憤を晴らさんと言わんばかりの剣幕だ。
「そろそろ終わったようだし、俺たちも動いていいよなぁ…!?」
「お前らのその自信、たっぷり甚振って叩き潰してやるぜ!!!」
明らかにその口調には怒りが含まれている。
だが、その売り言葉に対して、大和=ジュウオウイーグルが買い言葉で返す。
「やれるものならやってみろ!」
――俺たちを……嘗めるなよ!!!!!!
―――ババババァンッ!!!
所変わってこちらはアドラメレク。
亜空軍の“裏切り者”だということを見透かされていたZXたちが、ティラたち亜空軍幹部陣に攻撃を受けていた。
「ちっ、きりがないな…!」
「まったく…、老人にこれ以上無茶はさせんで欲しいな…。」
こちらも多勢に無勢か、なかなか状況が芳しくない。
特に伊賀崎好天、歴戦の忍者とはいえ既に高齢の老人、素早さにかけては他の者よりも劣ることもあって、思うように振るわない。
「キャハハハッ!さっきまでの威勢はどこに行ったのかなぁ〜?」
「この程度のものか?拍子抜けもいいところだな。」
ティラたちの余裕の言葉が相手を苛立たせる。
「……さっきから騒がしいけど…、どうしたの?」
「!?」
ティラたちの後ろから女の子の声?
振り向くと、見習い騎士のような風貌のセミロングヘアの女の子がいた。
彼女の左腕には、機械的なブレスレットが装備されている。
「あらぁ、サチちゃん。丁度良かった。」
ティラが“サチ”と呼んだこの女の子。
しかし、よく見ると様子がおかしい…。
目には輝きが見受けられないぞ…!?
「見て、目の前の3人。こいつら、アタシたちの予想通り、亜空軍を裏切っちゃったの。今そのおしおきをしているところだから…、あんたも手伝いなさい!」
その言葉を聴き、その目をZXたちを見る。
やがてサチは状況を理解したのか…。
「…分かった。」
一言返事をし、右手に持っていたアイテムを構える!
<Stand by!!>
それはピンク色の目玉型アイテムだった!?
やがて彼女は、それを左腕のブレスに装填した。
「変身……!!」
<Yes, Sir!!>
それを装填すると、内部から一体の黒い幽霊が出現、それがサチに覆いかぶさり、変身が完了した…!
「かっ…仮面ライダーだと!?」
思いもよらなかった敵の増援にZXはたじろいだ。
「ピンポーン☆この子は“ダークネクロムP”。あたしたち亜空軍の量産型ライダーってこと☆」
まさかイービルライダーズやロックシード以外のライダーを既に用意していたとは…!
(…?!…あのブレスと目玉…、これと同じ…!?)
その様子を後ろから見ていた相楽誠司、偶然見つけたアイテムがサチのそれと酷似していることに気づく。
もしや、これと関係があるのか!?
彼の脳裏で僅かな可能性が見出された。
「…裏切り者…、絶対に逃がさない!!」
声の低いサチの声が発せられ、彼女が襲い掛かる…!!
―――バンバンバンッ!!!
『!?』
「おっとぉ、そこまでだ。」
銃声がZXたちの背後から聞こえ、ソレと同時に男の声が聞こえる。
「…誰…!?」
「通りすがりの泥棒さ。」
「…泥棒!?」
ティラの質問に答えたその泥棒の青年、現れたその姿を見て、一同はさらに驚くことになる。
ワインレッドカラーのボディスーツと黒いマント、赤い目が見える銀色の仮面に、シルクハット型の頭部、斜めにかかっている金色のベルトに、宝石をあしらったかのような豪華なブレストアーマー。
そしてその手には、拳銃をモチーフとしているであろう金色の拳銃型アイテムが握られている。
「……ちょっと、うそでしょ!!??」
「そ、その姿は……!?」
見間違いか…!?
一同はおそらくそう思ったかもしれない。
だが、それは間違いなく、“怪盗”をモチーフにした仮面ライダーだったのだ……!!!
そして、その仮面ライダーは、誇らしさと調子のよさを併せ持ったような口調で、自分をこう名乗った。
「とある世界で名の知れた大泥棒…。」
――ルパン三世とは、俺さまのことだ!
さしずめ、“仮面ライダールパン”と呼ぶべきかも知れないその存在は、誰も予想し得なかったものであった。
『ルパン三世、同じルパンの名を持つものとして託した“アルティメット”の力、思う存分発揮してくれたまえ。』
(言われるまでも無いさ、ゾルーグの旦那。ま、正義のために戦うなんて、俺には似合わねぇ性質だけどな。)
その脳裏で、ゾルーグと名乗る謎の男と思念通話を交わすルパン。
もちろん、その会話が何を意味するのか、知る由も無い…。
いや、そもそもそんな会話は、二人以外には聞こえるはずもないのだから……。
---to be continued---
☆あとがき
2017年1発目更新!!!
…というわけで、いきなり新参戦組多数登場と相成った212話、ようやく更新できました。
……実は本来だったら今回、ミカサパート1本で進める予定で、一気に戦闘の終わりまで進めるはずでした。
しかし、年末にノロウィルスにかかって思うようにはかどらず、こんな形になってしまいました。
そのせいでタイトルも大幅に変更してしまいましたが…。
こんな調子で、次回うまく書けるかな…。