Phase209 FWパニック・CONCLUSION-Take9-
重なり合う二つの力〜crossing field〜


「……いくぜ、姉さん!!」

「あぁ、流子!!」







復活を果たした鮮血と融合した流子が、スマートフォン型デバイス・アプリデバイザーを起動させ、ベルトの変身待機スイッチも押し込む。





<Stand by!>



対する皐月も、手に持ったゴーストアイコンのスイッチを押す。



<Yes, sir!>



それを、変身ブレス・メガウルオウダーσに装填し、ブレスのパーツを立て向きに展開、待機ボタンを押し込む。

<Loading…>



その瞬間、メディウムと名づけられた白いパーカーゴーストが出現、皐月と流子の周りをぐるぐると回る。



「「変身ッ!!!!」」





<BLOOD-EDGE FORM>

流子の装備した特殊ベルト・センキベルトに、スマートフォン型モバイル・アプリデバイザーが装填され、オーラスキンスーツが纏われる。

その上に、鮮血の姿を模した紺色のオーラアーマーが装着され、顔面には、NEW電王のものと形が似た電仮面が装着された。

「人衣一体!!閃汽、参陣!!」





<TENGAN!“MEDIUM”!MEGA-URUOUD>

かたや、皐月はメガウルオウダーσとゴーストアイコンの力で、その体が幽霊を思わせる黒いフォルムとなる。

その上から“メディウムゴースト”が覆いかぶさり、まるで衣服を着こなすかのような姿となり、顔面も幽霊を彷彿とする仮面が装備される。

「人衣圧倒!!霊騎光臨!!」





ここに、新たな戦士が参上した。

「こ、これは…!」

その瞬間を目の当たりにした徳川吉宗、彼の脳裏で“ある光景”が思い返された。

(もしや…“仮面らいだー”とやらか!?)

偶然の巡り会わせで邂逅した一人の青年、火野映司の存在だった。





「……なんだよ、これ…!」

ふと、なぜか流子が体を小刻みに震わせていた。

「鮮血と一体になったこの着心地……懐かしすぎるじゃねぇか…!!!」

二度と着ることはないと思っていた自身の相棒。

それを再び身に付けることが出来たその奇跡に、流子は感激していたのだ。

「流子、久しぶりに見せてくれ!お前の血の滾りを!」

「……あぁ!!!やるぞ、鮮血!!!!」


士気を昂らせた流子は、鮮血の体から具現化された片太刀バサミを2本抜刀し、敵に突撃していった!

「流子、お前のその気持ち、ムダにはさせんからな!」

やはりあの二人は名コンビ。

皐月は二人の大きな絆を改めて感じ取っていた。

心のうちの士気を上げた彼女も、妹を死なせないという強い決意を胸に、再び戦場に飛び込んでいった。

その手には、専用武器である“ガンガンダブルサーベル”が握られていた。

二人はその手に持った二つの刃を交差させ、カバーズにダメージを与える。

そのダメージは、カバーズの体を構築している生命繊維の解れと言う形で現れる。

解れた生命繊維は、ライダーのスーツとなった鮮血が徐々に回収していく。

「よぉし!俺たちも後に続くぞ!!」

『応ッ!!!』

その戦いを見て士気をあげた一同、二人の後に続く。

「家康殿、三成殿、我らもあの者たちを支援するぞ!」

「あぁ、全力を尽くす!」

「…フン。貴様らの好きにしろ。私は私で…勝手にやる!!」

激戦が、再開された……!!!!





























所変わって、こちらは異次元空間。

キリトたちが迷い込んだ謎の場所である。









「…久しぶりだな、桐ヶ谷和人くん。」





現実での名前でキリトを呼んだ一人の男。

それは、彼らの故郷の世界におけるVRMMO(仮想現実体感ゲームの総称)の先駆けにして、キリトにとっての大きな存在だった。

「まだ生きていたのか…、ヒースクリフ。」

「そうとも言いがたいがな。」





“ヒースクリフ”こと、茅場晶彦―――。

キリトたちの故郷の世界・ヴィーナスペースにおける、VR技術の第1人者にして、体感型RPG“ソードアート・オンライン(以下:S.A.O.)”の開発ディレクターをも務めた天才科学者。

そしてそのS.A.O.の世界で、プレーヤーの現実の命の概念を融合させた前代未聞のデスゲームを仕掛けた張本人でもある。





「この人が…茅場さん…?」

ユウキにとっては、初対面にあたる。

ただ、やはりキリトたちとは違う何かを感じ取っていたようだ。

「どうやら見知った顔も幾人かいるようだ…。」

対称的に、S.A.O.でのデスゲームに巻き込まれた経験のあるリーファとシノンは、彼の存在を知っていた故に、表情も少しばかり険しくなる。

「あ、あの!」

「…!?」

そんな微妙な雰囲気を断ち切った声。

キリトとアスナにとっての“家族”、ユイだ。

「ユイくんか…。何かな?」

「あの、えっと…。私たちが今いるこの場所って、仮想空間ですか?それとも、現実の世界なんですか?」

―――!?

その質問は現状のメンバーたちにとって予想もつかない質問だった。

「ユイちゃん、それってどういう…。」

「待て!!」

アスナの疑問をキリトが遮る。

そして、キリトはよくよく思い出してみた…。



前々から妙な雰囲気はしていたんだ…。

意識を取り戻したとき、この“ナーヴギア”の感触があったからここは現実かと思っていた。

でも、もしここが現実だったら、電脳世界のAI(人工知能)であるユイはここにはいない。

見ることも触れることもできないはず…。

それに、普段は病院のVR世界にいるはずのユウキも、こんな風に元気に動いていることもないはず…!!




キリトの言葉に全員がハッとした。

確かに思い返してみれば妙な雰囲気だった。

当事者のユウキも、キリトに現状のことを看破されるまで全く気づかなかったのだから。

「言われてみたら、確かに変だ…!それに、ボク…“A.L.O.(アルヴヘイム・オンライン)”のアバターのままだよ!?」

そして、その影響が出ているのは彼らだけではなかった。

別次元の電脳世界と関連性の深いハルユキと黒雪姫も、キリトの言葉に納得がいっていたのだ。

「道理で、先輩の姿もアバターのままだったんですね…。」

「ふむ…、不思議な感覚だとは思っていたがな…。」

仮想とも現実ともつかない謎の空間にいつの間にか転移させられた。

考えがたい事実にメンバーたちも動揺していた。





『その疑問については、私が答えるとしよう。』

―――!!!???






そこにさらなる波紋を広げた謎の声。

しかも、それまで聞いたことのない男の声だった。

その声を聞き、茅場の表情が僅かにほころぶ。

何かを知っていそうな素振りだ…!

「……君だったか。丁度いい、出てきたまえ。」

その言葉と共に、茅場の背後から人影が出てきた!

それは言うなれば、青白い装甲のロボットが青年の姿を模ったと表現すべき姿だった…!!

外見だけで言えば、キリトたちとほぼ同年代ほどと思われるが、人間とは思えない雰囲気をかもし出しているのは確かだった…。

「あ、あんたは一体…!?」

動揺するキリトの言葉に、彼は数刻の間を置いて口を開いた。

『私の名はガンダム・オリジン。一部の世界では、“巨神ガンダム”とも呼ばれていた存在だ。』

“巨神”と名乗るには想像が遥かに遠すぎるとしか思えないほどの外見である。

しかし、その次の瞬間、茅場が突拍子のない一言を告げた。

「ガンダム、君のテクノロジーで彼らを助けてくれたこと、礼を言わせてもらうぞ。」

『いや、あのとき私を回収して助けてくれた借りもある。これで帳消しさ。』

―――!?


この二人は顔見知り!?

しかも、この空間は巨神ガンダムの力だとでも言うのか!?

「ちょ、ちょっと待って!団長、それってどういうことなの!?」

「ふむ…。少しばかりややこしい話になるが、説明しよう。」







ここで、茅場に代わって手短に説明しよう。







創世記の頃、巨神ガンダムは、世界全ての掌握を目論んだ大いなる闇と対峙。

僅かな差で辛くも勝利を収める一方、体の保持が不可能なほどのダメージを負った。

そこで彼は自身の力を“シードクリスタル”へと転化して、プラズマ界のあらゆる場所へと分散。

その後、彼の意思はいつ目覚めるかも分からないコールドスリープ状態となって、プラズマ界の宇宙空間を彷徨った…。

やがて彼は、キリトたちが生まれて間もない頃の“ヴィーナスペース”に墜落する形で漂着。

第1発見者でもあった茅場によって回収され、そのテクノロジーが、仮想現実世界の構築とフルダイブ環境の研究開発に活かされたのだ。







「現実と仮想の境を越えるほどの力を誇る、巨神ガンダムのオーバーテクノロジー…。」

「それがあの“アインクラッド”の礎になったのね…。」

その大いなる力が自分たちを救ったと言う事実に、一同は言葉を失う。

「それだけではない。」

そこに、茅場がさらなる言葉を投げかけた。

「かつて、和人くんに託した“電脳世界の種子”。…覚えているかな?」

「あぁ、“ザ・シード”だろ?……その様子だと、それもガンダムの力が関わっているというところだろうな。」

その推測の言葉に対し、茅場が口にした答えは―――。





「関わっているどころか――。」





―――ガンダムそのものだ。





『!!!!????』






予想を大きく上回った。





“ザ・シード”は、茅場晶彦が桐ヶ谷和人に託したVRMMOパッケージプログラム。

中規模から大規模のLAN回線を用意してダウンロードすることで、あらゆる人間がVRMMOの世界を作ることが出来る。

…だが、実は、このザ・シードにはガンダム・オリジンの意思が封印されており、自分自身の身に万が一のことが起こった際、その力が悪用されることのないように、それをブラックボックスとして厳重にセキュリティをかけ、キリトに託したというのだ。

「…それじゃ、この空間は、ザ・シードに封印されていたあんたが作り上げたものってこと、なのか…?」

『そうだ。…とはいえ、私の意識が目覚めたのもつい先ほど。それも、外部世界からの干渉による影響が大きな要因でもあるのだがな。』

『!!??』

“外部世界”―――。

聞き捨てならぬ彼の言葉にまたしても全員が眼を見開く。

その後、彼は今現在この世界で起こっている最大の危機について語り始め、キリトたちはその信じがたい事態に驚愕することとなった……。

























所変わって、こちらは亜空軍の活動拠点・アドラメレク。

紅魔艦やライジングイクサ、さらにはドラえもんズたちなど、予想もつかなかった外部干渉によって大打撃を受けて大混乱の真っ只中にあった。

「………そろそろ、大丈夫…かな?」

その艦内………の一角にある第2研究室で動き出そうとしている影が一つ。

見た目的には中学生くらいの男子。

しかし、なぜこんな少年がこの場にいるのだろうか…?

もしや、たまたまこの場に紛れ込んでしまったのか?

「…にしても、めぐみたちとははぐれちまうし、こんな変てこな場所に迷い込んじまうし、今日はついてないぜ…。」

今までに経験したことのない異常事態にぼやきながらも先に進もうとして…。





「あら、ぼうや。こんなところで何やってるの?」

―――ギクッ!!





背後から気味の悪い声が聞こえてきた。

おそるおそる振り返ると―――!





「うぎゃあああぁぁぁ!!!!!」

「だあああぁぁぁぁっ!!!」






いかにも女装した感丸出しのニセ看護士の姿があった。

しかもその不気味さに恐怖を覚えた少年は、驚きのあまり大声を上げてしまった。

それにつられたのか、ニセ看護士も仰天の声を上げる。

「おい!急にそんな大声を出すなよ!」

「だったらオカマみたいな声で俺に接するんじゃねぇよ!気色悪い!!」

「俺だって好きでこんな格好してんじゃねぇやい!!」

こればかりは少年に同乗せざるを得ない…。





「おいサウラー、何をやってるんだ!?」

「!」





すると、さらなるメンバーたちがやってきた。

前回の戦いでRXたちと刃を交えた帯刀たちだ。

「大声が聞こえたかと思ってきてみたら、何やってんだお前。」

「いや、ここに男の子がいたから…。」

「ん?」

一行が覗き込み、サウラーと言われた男の目の前の少年に視線をむける。

「……ふむ、亜空軍ではなさそうだな。」

「もしかして、たまたまここに巻き込まれたとか?」

「どうやらそのようじゃな。」

「…?」

一行の様子を見て首をかしげる少年。

敵では……なさそう?

しかもこの女装しているやつの仲間?

「えっと、すみません、あなたたちは一体…?」

「あぁ、すまんすまん、驚かしてしまったようだな。」

困惑している少年に対して、帯刀たちの仲間である忍者の一人が声をかける。

「俺は山地闘破(やまじ・とうは)。君は?」

「え、あの……、相楽誠司(さがらせいじ)、です…。」

「誠司くんか。我々は敵ではない。ある組織の命を受けてこの船の内部に潜入している別働隊なのだ。」

その言葉を聴いて、誠司は少しばかり安心した。

どうやら助かったようだ、と…。







「……さっきから何してんの、あんたたち?」

『!!!???』


彼らの背後から近づいていたピュラたちの声に気づくまでは……!!!







一同がその方向に視線を向けると、ピュラだけでなく、レリウス、クラスター・ジャドウ、さらには戦闘兵・ゼクトプリムたちも控えていた…!!

「にぎやかな声がするなぁ…って思ってたら…、またお邪魔虫かしら?」

「しかも……お前たちがその邪魔者と意気投合か?」

「どういうつもりだ?帯刀……いや、仮面ライダーZX!」

「…!!」

今までとは異なる名前を看破され、帯刀として振舞っていた男は一瞬だけ動揺した。

「…もう少しだけ悪役を振舞うつもりだったが…、どうやら既に見破られていたようだな。」

…しかし、いつかは自ら正体を明かすつもりだったがゆえ、こうなってしまっては仕方ないと自分に言い聞かせる。

そして彼は、今まで隠してきたベルトに手をかけて、“光学迷彩”機能を解除、本来の姿に戻った!

「いかにも。俺は村雨良(むらさめ・りょう)!亜空軍の圧倒的な力を知り、打開のための方法を探るため、あえて貴様らの軍門に下っていたのだ!」

「ここまでの月日、俺たちはかなりの苦労を強いられた。仲間と戦うと言うのも気が折れたけどな。」

「じゃが、その役目もこれまで。必要なものも充分に集めさせてもらったからの。」

仲間である闘破と伊賀崎好天(いがさき・よしたか)も、ピュラたちに対して好戦的な態度を示し、亜空軍に反旗を翻す。

「いい覚悟じゃない…!だったら、容赦はしないわよ!!!」

ピュラの言葉を合図に戦闘員たちが一斉に襲い掛かり、戦闘が開始!

まずい状況だと悟った誠司は、とっさに後ろに下がって物陰に隠れる。







「……?」







ふと、その後ろの机に何かが置かれているのに気づいた。





それは、潜水艦のスコープを思わせる形の大型ブレスレットと、3種類の目玉型ツールだった。

























再びキリトたちがいる、巨神ガンダムの異空間。

そこで一行は、自分たちの生きているこの世界が“プラズマ界”と言う無限の括りの一端に過ぎないと言うこと、そこに無数の異次元世界が点在していること、そしてそれら全ての世界が滅亡の危機に瀕していることを知った。

それは言わずもがな、キリトたちがそれまで信じていた常識と、予想していた世界の現状を、遥かに凌駕していた。

「……まさか、俺たちの住んでいる世界がそんなに膨大なものだったとは…。」

「その亜空軍の力で、現実と虚構の境が全てなくなってしまっているのね…。」

もちろんその事実に言葉を失うのは無理もなく、彼らは混乱せざるを得なかった。

特にユウキに関しては…。

「こんな形で世界の広さを知ることになるなんて…。」

現実の世界をもっと広く知りたいとは思っていた。

アスナや仲間たちと一緒に色々なところを旅していきたいと、ずっと願っていた。

でも、出来ればもっと穏やかなときに経験したかった…。

その心は、複雑以外の何物でもなかった。

ふと、今までの話を聞いてキリトが口を開く。

その表情は、怒りとも呆れともとれない複雑なものであったが…。

「…茅場、まさかだとは思うが…、そのプラズマ界の命運を俺たちに委ねようって言うんじゃねぇだろうな…!?」

重みがこもっていたその言葉に対し、茅場も真剣な口調で答えた。

「………そのまさかだと言ったら?」

「ふざけんなっ!!!!」

……即座に怒りのこもった彼の一言が返された。



確かにこの巨神ガンダムの力を見せつけられたとあっては、パラレルワールドの存在を信じざるを得ないさ!

だけどな、だからといってその戦いを俺たちに押し付けようなんて馬鹿も休み休み言えってんだ!!

第一、俺たちに何の力も備わっていないことくらいあんただって分かっているだろ!!??

そんな状況でどうやってこの世界を救えってんだ!!?

どうやって戦えってんだ!!??



彼の言い分ももっともだった。

無責任ともとれる状況だったからだ。

しかし、茅場はその少年の怒りに動じるどころか、“そういうだろうと思っていた”ともとれる表情を見せる。

「案ずることはない。この空間に君たちを導いた時点で、既に対策は練られている。」

『!?』

もう既に彼らに対抗できる力があるというのか!?



















































再びメディアステーション、忍術学園前。



「「必殺・戦維喪失!!」」



敵軍として猛威を振るっていたカバーズが、仮面ライダーとなった流子と皐月の反撃で次々に切り刻まれていった。

その生命繊維は次々と回収され、大きな赤い毛玉となりつつあった。

「すごいすごぉい!さすがは流子ちゃんと皐月さま!」

「これだけの生命繊維が集まれば、俺たちも“あの力”を再び使えると言うことだ!」

「あんたたち、感心している暇はないわよ!」

「まだまだカバーズは出てくる!油断は出来んぞ!」

「さぁて、ここから怒涛の反撃と行きますか!」

彼女らに負けじと、一行もその後に続く!





その一方、増援として現れたプリムたち一行を始めとする亜空軍の戦闘兵を相手に戦うのは、家康たち。

しかし、油断していた家康がメタルプリムの強烈な一撃を受ける!



―――ドゴッ!!

「うあっ!!」



―――チャリィンッ…!




そこに追い討ちのファイアプリムの攻撃が迫ってきた。

「てぇぇやぁぁっ!!!」

しかし、その危機を察知した吉宗が家康の前に出て、その攻撃をしのぎながらファイアプリムを切り捨てる。

メタルプリムも、忠勝の強靭な力で持ち上げられて投げ飛ばされる。

「家康殿、大事でないか?」

「あぁ、すまぬ。」

ふと、吉宗の目線に何かが飛び込んできた。

それは、先ほどの攻撃を受けて吹き飛ばされた際、家康の懐から零れ落ちた物。

「こ、これは…!」

そのアイテムに、吉宗は見覚えがあった。

蛇、亀の甲羅、鰐の画がそれぞれ描かれた、橙色の3枚のメダル。

「拙者の世界に流通していたものと同じものが…!」

そのメダルを見て数刻の後、彼は口を開く。

「家康殿、この3枚の貨幣は…?」

「あぁ、かつて海の向こうからやってきたと言う異国の者が、徳川家に献上したものだ。」

その言葉を聴き、吉宗の脳裏に一人の青年の姿がくっきりと浮かんだ。

異国のメダルの力を使い、仮面ライダーとして戦った“あの若者”の姿が…。

やがて、吉宗は意を決した。





「…家康殿、これを拙者に譲ってはくれぬか?」

「…何ッ!?」






その申告に戸惑った家康だったが…。





以前、この不思議な献上品を本来の用途で力を発揮した一人の若者に出会ったことがある。

その者は、異界の者でありながら、異形の化け物たちから住人たちを命がけで守ってくれた。

…彼なら、この力を安心して渡すことが出来るはず…!






「どうか、某を信じてはくれぬか?家康殿……!」

メダルの力を引き出すことの出来る存在。

異形の化け物から人間たちを守った勇敢な若者。

にわかには信じがたい話だが、なぜか吉宗の言葉にはどこか説得力があった。







やがて、家康はその言葉を信じてメダルを家康に譲った。

そして、新たな絆が芽生えたことに感謝し、馬に乗って走っていく吉宗を見送った……。

---to be continued---


☆あとがき

ようやく新たに動きました、第209話。
完成までにかなりの時間を要しました〜。(泣)

今回、特に力を入れたのはS.A.O.陣営のやりとり。
原典における“ザ・シード”を、アキッキーさんのアイディアの元、大幅にアレンジする形で実装させていただきまして、その結果、シードクリスタルと言う分かたれた力の本来の持ち主である、“巨神ガンダム”=“ガンダム・オリジン”が誕生することとなりました!
今後も機会があればさらに登場していただきたいと思っています!








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