Phase208 FWパニック・CONCLUSION-Take8-
絆、照らす〜ambiguous〜


アカレッドことアキッキーが、最大の正念場に直面していた頃―――。







―――ズドドドオオオォォォッ!!!!!







ここ、忍術学園エリアも激戦の渦に巻き込まれていた…!!



正宗たちを見送ってから数刻経った頃、このエリアにも亜空軍の侵略部隊が攻め込んできていたのだ。

傷の癒えたばかりの家康と三成もその騒ぎに巻き込まれ、同じく破損を修復したばかりの忠勝とともに敵の軍勢に迎え撃っていた。

「!!」

人間とは思えないほどの奇声(擬音?)を発しながら、巨大な槍を振り回す忠勝。

時折、その鋼鉄の体に仕込まれた各種武装を解放して、敵を迎撃する。

そして、己の拳を武器に敵を吹き飛ばす家康と、眼に見えぬ一閃で敵を切り刻む三成。

もちろん、忍術学園の忍たまたちや教師陣も、持てる力を発揮して加勢すべく、奮闘する。



「チッ…、癒えたばかりの体とはいえ、本来の力は充分に発揮できぬか…。」

「前々から覚悟はしていたが、今回は以前のときよりかなり多く感じる…。」

二人は、改めて敵軍の底知れぬ脅威を感じていた。

それもそのはず。

亜空軍はその名の通り、無限の亜空間を司る闇の軍勢。

空間の存在そのものが、軍事力の源ととっても過言ではない。

だが、異世界と言う概念を全く知る由もなかった二人には、そんなものなど信じる由もなかった。





『どけええぇぇぇっ!!!!!』

――ズドドドオオォォッ!!!!!






その軍勢を一気に吹き飛ばす影。

振り向くと、防衛軍の仕官の衣服を纏った4人組の男女と、白と黒の対照的な衣服を纏った二人の女子が控えていた。

「ここまで亜空軍の侵攻が来ているとなると、やはり急がねばなるまい。」

「あぁ。あたしたちに出来ることは限られるが、その出来る限りのことを尽くそう!」

後者二人は、このメディアステーションの状況を大方把握はしている様子、意識的には既に臨戦態勢だ。

「お前たち、亜空軍の雑魚ども蹴散らせ!」

『了解!!!!』

白服の女性――おそらく指揮官的存在であろう人物の命令を受けた、前者4人の男女は、一斉に敵軍に向かって突撃していき――。







「蛇ィ!」「犬!」
「猿!」「蝦蟇!」

『鎧袖一触!!!!』

――ズドドドドォォォォォッ!!!








いきなり全力全開と言わんばかりの一斉攻撃で、自分たちの周りのほとんどの軍勢を一気に吹き飛ばした!

こいつら…、ただものではない!

その圧倒的な攻撃を見た家康と三成も目を見開いた。

どこにそれだけの力が備わっているんだと疑わんばかりに…。





――ヒヒイイィィィンッ!!!!





今度は馬のうなり声!?

そして、その馬のひづめの音が響いてきた。

しかも徐々にそれが近づいてきている!?

「えっ!?誰か馬なんて使ってた!?」

「でも、現状の忍術学園に馬なんて居なかったと思ったけど…。」

「そ、それじゃ、一体誰が…!?」

忍術学園の忍たまたちでさえも心当たりなし!?

一同が混乱しかけたその瞬間、瓦礫を飛び越えて一人の侍が白馬に乗って現れた!!!

しかも、現れるや否や、群がっていた亜空軍の戦闘兵たちを一気に蹴散らしていったではないか!?

「ええぇぇ〜っ!?なな、何あのおじさんはぁ!!?」

「相当の手練(てだれ)と見たが…。」

ダークシャドウ一同も、この予想外の存在の登場には驚かされた。

一体、何者なのだろうか…!?

「皆の者、怪我はないかね?」

「あ、あぁ。」

馬を降り、家康たちのもとへと歩み寄る男。

ふと、三成の目に、覚えのある何かが飛び込んできた。

「ッ!?」

―――ガキイィィンッ!!!!!!

その瞬間、彼はその剣を即座に抜刀!

しかし、殺気に感づいていた男も即座に剣を抜いて防御する!

「…いきなり剣を抜いて仕掛けるとは…、どういうつもりかな?」

「黙れ!…貴様の服に刻まれたその家紋…、徳川の者か…!」

「何ッ…!?」

三成の言葉を聴き、家康も目を疑った。

だがしかし、確かに白い肩衣の胸元あたりに、自身の受け継いだものと同じ形の三つ葉葵が刻まれているではないか!?

「確かに、某は徳川の血を持つものだが、貴殿のような青年に怨まれる覚えはないぞ。」

「ならばなぜ三つ葉葵の家紋を刻んだ衣服を身に付けているのだ?!家康とは無縁だと言うのか!?」

「家康…?」

その名を聞き、男は背後にいる青年に眼を向けた。

そして、家康の衣服にも自分と同じ家紋が刻まれているのが眼に入った。

(まさか…あの者は…!)

男の脳裏で一つの可能性が見出された、その瞬間。

「待て!双方、刀を納められよ。」

吹雪丸が三成と男の間を仲裁するために割って入ってきた。

「なぜ止める!?お前には関係のない話だ!」

「私たちが敵対するは亜空軍のはず。いがみ合っている時ではあるまい。」

「……!」

すると、男は吹雪丸の姿を見るや否や、すぐに刀を納めた。

僅かに乱れた衣服を直すと、彼は口を開いた。

「……つかぬ事を訊ねるが、そなたもしや…春日一族の吹雪丸では?」

男の言葉を聴き、吹雪丸は一瞬だけ目を見開くも、すぐに肯定を示す。

「いかにもそうだが…、なぜ私の名を…!?」

「…そうか、そういうことであったか…。」

「何…!?」

「……これは、どういう…!?」

三成と家康が困惑する中、男は自らの素性を名乗った。

「某の名は徳川吉宗。そなたが活躍された戦いから数十年ほど後の世で生を受けた者になる。」

「…!…何だって……!!」

その場に居た面々は驚かざるを得なかった。

現れた男は、ミッドチルダの歴史上における戦国武将・徳川吉宗だったのだ…!!!

「ふん、紛らわしい話だ。別世界の徳川の末裔だったということか。」

三成も彼の素性を聞いてなんとなく合点がいったようだが、どこかで納得していない様子だった。

「だが、理解は出来る。彼の衣服に刻まれた葵の紋、ワシのそれとは僅かに形が違うのだから。」

そう、よくよく見れば、吉宗と家康の紋所には僅かな違いがある。

三つ葉全体の大きさはもとより、葉の表面に刻まれた芯の数が微妙に異なっているのだ。







――ズドドドオオォォッ!!!!

『!!!???』








爆発音が響いた!?

入り口のほうからだ!

「うわわああぁぁ!流子ちゃ〜ん!皐月さまぁ〜!!」

そこに身長が少しばかり低い一人の少女が大慌てで駆け寄ってきた。

「満艦飾か?!」

「マコ!?一体どうした!?」

「たたた、大変だよぉ〜!!!!」











忍術学園の入り口、亜空軍の軍勢がはびこる中、一際異色とも言える集団が現れた!

「ちょっと!何でよりにもよってこいつらがこんなところに現れるのよぉ!!」

仲間たち一同もこの敵の登場は全く予期していなかったのだ。

それはプリムとは対照的な真っ白なボディを持ち、言うなれば、白い紳士服が自立して動いているかのような巨大な姿だったのだ。

「こ、こいつらは布状カバーズ!!??」

「バカな…!?生命繊維は全て消え去ったはずなのに…!?」

それは流子たちにとっての最大の因縁とも言うべき存在だったのだ。

その背後から、家康と三成も合流する。

「くっ、新たな化け物か!?」

「下がれ。俺が奴らを見極める!!」

先陣を切って三成が刀を構えて急速突進!

「ま、待て!!あいつらは―――。」



――ガキイィィンッ!!!

「…………何ッ!?」




皐月の制止の声は数秒間に合わなかった。

普通なら容易く相手を切れるはずの自身の刀が、化け物の白い腕に阻まれたのだ。

しかも、金属にも似た固い感触が、刀から伝わってくる…!

「……!!」

その様子を見ていた忠勝が殺気を感じ、すぐに動いて三成をかばう。

カバーズと言う白い敵の攻撃を、忠勝の固い装甲が阻む。

「どういうことだ!?なぜあの敵を切ることが出来ない!?」

その答えを、“経験者”である流子と皐月は知っていた。

「そりゃ当然だ。あの白い化け物……カバーズの体を構築する“生命繊維”は、一本一本そのものが異次元からの生命体。意志を持った糸とも言うべきものだ。」

「生命繊維は、糸の如きしなやかさと、鋼以上の強固な硬さを併せ持った存在。それを使って作られたものには、並大抵の刀や拳銃などでは、傷一つつくこともないのだ。」

したがって、このカバーズと呼ばれた敵を断ち切るための道具も存在しないのだ。

「そんな化け物、どうやって倒せばいいんだ!!」







………一同が怒りと困惑に震える中、流子だけは一人つぶやいていた………。







……今ここで、あたしたちがやられるわけにはいかない…!

このメディアステーションを、あたしの大事な仲間を、友達を……姉さんを失わせるわけにはいかない…!!

あたしたちが絶対に守りぬかなくちゃいけないんだ…!

でなけりゃ…、お前に会わせる顔がない…!!!









…そうだろ!?…鮮血…!!!





「……案外そうとも限らんぞ、流子。」





――!!??






聞き覚えのある男の声が聞こえた!?

流子がそう感じた瞬間、どこからともなく1体の怪人が現れた!

角の短い黒鬼の外見で、上半身にはセーラー服に似た鎧を身に着けている。

しかもその鎧の両肩の先端が鋭利になっている。

これはまるで電王のイマジン…、しかもモモタロスやネガタロスとほとんど同じではないか!?

「流子、皐月、また会ったな。」

「「!!!!」」


振り返りざまに聞こえた黒鬼の声と、その表情を見て二人は確信を得た。

その黒鬼、片目は傷が付いて開けられていないが、左目だけは見覚えのある鋭い目つきをしていた!







「貴様……まさか!?」







「……鮮血ッ!!!!」



















































……一方こちらは、亜空間の闇広がるバサラワールド某所。

この世界で旅してまわる封魔のくの一・ナツが、謎の緑衣の少女・リンクルと共に先を進んでいた。

…というより、リンクルが当てもなく手がかりもなく彷徨い続けていて、仕方なく連れているというのが正しい表現なのかもしれないが…。

実は、聞いた話をまとめると、リンクルはバサラワールドとは異なる世界に存在する“ハイラル王国”と呼ばれる国の片隅の小さな村の住人だったのだが、その世界が未曾有の危機にさらされたという話を聞きつけ、王国の人々を助けるために旅に出たのだという。

しかし、自分自身ですら全く自覚していない極度の方向音痴が災いしてか、いつの間にかハイラルの城とは全く異なる進路を歩み続け、道なき道の獣道を漂っているうちに、このバサラワールドに迷い込んでしまったのだ。

「……全く、そんな方向音痴でよくここまで来れたもんだなぁ…。」

聞いてナツも呆れ顔。

“変な貧乏くじを引いてしまったか”と感じてしまうほどである。

しかし、困った人は放っておけないという正義感と、2丁のボウガンを巧みに操って敵を蹴散らす腕前は確か。

戦闘に関しては問題はないだろう。

さて、当面の問題は、この後をどうするかだ。

周りは謎めいた亜空間。

そこからゾロゾロと沸いて出てくるモンスターの群れ。

どうやって進めばいいものか…。

「う〜ん…、う〜ん…?」

「…って、リンクルちょっと待て!今更地図を見ても意味無いでしょ!!」

………彼女の存在はナツにとって、とてつもないほどの心労が溜まりそうな雰囲気である。







――ビュワワアアァァンッ!

「「!!!???」」








突如として異空間のゲートが開き、中から二人の女性が現れた。

片や、西洋の騎士を彷彿とするかっこよさとセクシーさを併せ持った蒼系統の衣服を纏った女性。

もう一方は、おおよそこの世界に存在するものとは思えない幻想的な雰囲気を感じさせる、謎めいた女性。

「む…ここまで亜空間の力が広がっていたか…。」

「うそ、でしょ…!?」

たどりついた場所の現状を見て、想像以上の被害だったことを感じたのか、後者は厳つい表情を、前者は驚きの表情を浮かべていた。

「えっと、あの人たちは…?」

「さぁ?アタシが聞きたいくらいだよ。」

唐突な状況にリンクルとナツはもちろん混乱中。

いきなりなんで現れたんだ…!?

ふと、幻想的な女性がナツたちに気づき、歩み寄る。

その後を、騎士の女が付いていく。

「そこのくの一。つかぬ事を訊ねるが、よいか?」

「え?あ、あぁ、構わないけど?」

すると、その女性、全く予期しない質問がぶつけられた。







「この場所……今はいつ頃の時代になるかな?」



「………はぁぁ?」








………一体全体どういうこと!?







やがて、現れた二人――アンゴル・フィアとカサンドラ・アレクサンドルの二人の話を聞き、さらに混乱することになろうとは、ナツは知るはずもない…。

































………………何も聞こえない………何も感じない………。

………そもそも、何が起こったのかわからない………。

「…………?」

徐に眼を開けてみると、そこは全てが真っ白な謎の空間。

……ここは、どこなんだ…?

手を頭に当てると、それまで使っていた黒いヘルメット型デバイスの固い感触が伝わる。

どうやら仮想空間ではなく現実世界のようだ。

「………っ…。」

気だるさを堪えながら体を起こし、ヘルメット型デバイスを取り外す。

そして、その直後に改めて気づく。

ここは仮想とも現実とも受け取りがたい別空間だということに…。

……なぜ自分は、得体の知れないこの真っ白な空間にいるのだろう…?

…確か、バーチャルゲームの世界で同級生たちと共に、難関ダンジョンの攻略に挑んでいたはずだ…。







「―――キリトくん…!!」

「…!!!」








自分の名を呼ぶ、聞き覚えのある声。

振り返れば、最愛のパートナーの姿があった。

「……アスナ!」

キリトは彼女のもとへと駆け寄る。

「無事だったのか!」

「えぇ。でも、ここはどこなのかしら…。」

「A.L.O.のクエストをやっていたはずだったのに、一体、どうして…。」

どうやら自分たちがフルダイブしている最中に、現実世界で何かしらの事件が発生したようだ…。

「パパ!ママ!」

「「!」」

再び聞こえた女の子の声。

自分たちを親と慕う幼い少女の声だ。

その声の主を、キリトとアスナは知っていた。

振り返ると、確かにその少女の姿があった。

「ユイ!」

「ユイちゃん!」


駆け寄るその姿をアスナがすぐに抱きとめる。

「無事で良かったです!」

「うん!ユイちゃんも…。」

その後に続くように、他の面々もやってきた。

「お兄ちゃん!」

「キリト!」

「アスナ!」

「リーファ!シノン!ユウキ!」

いずれの女の子3人も、バーチャル世界における彼らの仲間である。

「良かった!みんなも無事だったのね…。」

「でも…なんだか様子が変なのよ…。」

確かに、この異次元空間で意識を取り戻してから何かが変だ…。

状況の把握にはかなりの時間がかかりそうだ…。

「ところでキリト、他の誰かには会った?」

「いや、俺もついさっき目を覚ましたばっかりだ…。リズやシリカ、クラインにエギル、他の連中もどこにいるのか…。」

シノンと言う少女の質問に対する答えを聞き、一同も顔を伏せる。

「ボクも気づいたらいつの間にかここにいてさ…、スリーピング・ナイツのみんなともはぐれちゃったし、どうしようかと思ってたんだよ…。」

ユウキの言葉にさらに気落ちする一同。

どうやら無事なのは自分たちだけのようだ…。







「あれ!?そこにいるのって…キリトさん!?」

「ほう、見知った顔もいるようだな。」



『!!!???』








キリトとアスナにとって予想外すぎる声が聞こえた。

聞こえた方角を振り向けば、そこには“小さな小太り少年”と言う表現が似合いそうな少年と、背中に蝶の羽を付けた真っ黒なドレスを纏った少女の姿があった…!

「は、ハルユキ!?」

「黒雪姫さんも…!?」

かつて、偶然“世界の境界線を越えて”出会った少年たちだ。

どうやらこの場所は、その境すらも越える場所のようだ…。

「まさかこんな形で再会するなんて…。」

「あまり喜ばしいものとは言いがたいものだな…。」

二人の言うとおり、いきなりこんな辺鄙な場所に飛ばされた先で再会するというのは、かなり複雑なものだ。

「あ、それで、二人はここがどこだか分かる?」

アスナは二人に問いかけるが…。

「いえ…僕たちもついさっき、ここにたどり着いたところでして、詳しいことはまだ…。」

「それに、私たち以外のバーストリンカーの仲間たちともはぐれてしまっていてな、心許ない状況なのだ。」

二人も同じ境遇の状況にあったか…。

手がかりゼロの謎の空間。

一体どうすればいいものか…。

……というか、一体誰が自分たちをこんな場所に連れてきたんだ…。





「…………ッ!!!!!!」





ふと、キリトの背筋が凍った。

自分たちの近くに、覚えのある気配を感じ取ったのだ。

……いや、自分にとって決して忘れられるはずのないもの…。

“自分たちをバーチャル世界に誘ったきっかけにして、あの『デスゲーム』を仕掛けた最大のキーパーソン”。

もはや、今となっては間違うはずがなかった存在だった…!

「……キリトくん?」

「……パパ?」

アスナとユイが、キリトの異変に気づいて声をかけるが、キリトは気に留めなかった。

それだけ、自分の近くに居る“彼”の存在が重大すぎたのだ…。

そして、ある一点の方向に視線を集中させた瞬間、キリトは彼を呼んだ…!!!











「…そこに居るんだろ、ヒースクリフ!」

―――!!!???










その瞬間、一同が各々の驚く表情を浮かべる中、名を呼ばれた存在はゆっくりと、その姿を見せた。

自分たちの世界における、仮想現実世界の第一人者である科学者・ヒースクリフ…いや、茅場晶彦が…!!!





「…久しぶりだな、桐ヶ谷和人くん。」



















































再び場面はメディアステーションへ。

忍術学園で奮闘するメンバーたちの前に現れた、鮮血と言う名の怪人が現れた。

その存在、流子には見覚えがあったと同時に、困惑していた。

「……鮮血、お前、どうして…!?」

二度と出会うことのなかった存在と再び邂逅したのだから…!

「私もどうしてこうなったのかは分からん。だが、お前たちがまた危機に見舞われていると知ったとき、気がつけばこの体を得てこの場に来ていた…。」

死しても尚、相棒の身を案ずる想いが、彼を転生させたと言うのだろうか…!?

「それに、どうやら私以外にも、お前たちに協力したい連中もいるようでな。」

―――ビュワワアアァァンッ!!!!

すると、次元の穴が開き、3体の幽霊が現れた!!

一瞬、敵かと思って身構える一同。

――ドゴッ!バキッ!ズドォンッ!

…え?

現れた幽霊がカバーズを攻撃した!?

彼らは味方なのか!?

思っても見なかった展開に一同も呆然とする。

すると今度は、そのゴースト3体が皐月の前に並び立つ。

よく見ると、その幽霊はいずれもパーカーを装備しており、それぞれが、白、金、深紅のカラーリングのものを纏っている。

そのうち、中心的存在と思われる白のパーカーゴーストは、その手(?)に持ったアイテムを皐月に差し出す。

「…む?…私に、くれるのか?」

「……。」

無言で肯くパーカーゴースト。

半信半疑でそのアイテムを受け取る皐月。

全体的には武器のスコープを思わせる形状であり、目薬のようなアタッチメントも取り付けられている。

皐月は何気なくそれを左腕に当ててみる……。

―――ピコンッ、ガチャッ!

「ッ!」


すると、そのアイテムからベルトが伸び、皐月の腕にフィットするように取り付けられた。

これはブレスレットなのか?

摩訶不思議な形状だと思ったそのとき、彼女の脳裏に声が響く。

<そのブレス…“メガウルオウダーσ”で、我らの力を解放せよ…。>

「!」


その声の主は、それまで聞いたことのない威厳に満ちた雰囲気。

「…これは…、お前たちの声か…?」

パーカーゴーストたちは、皐月のその言葉を肯定。

直後、彼らは目玉型のアイテムとなり、皐月の手に収まった。

その瞬間、再び戦士として戦うと言う運命と決意を、彼女は固めた。

一方の流子も、皐月のその覚悟を目の当たりにし、自分も改めてこの場所を守ると言う意志を再確認した。

「流子、こうして再び会えたのも何かの縁!もう一度力を合わせるぞ!」

言われるまでもない…!

流子はそう感じていた。





確かに、思い入れのある仲間と別れるときは来る!

出会いがあれば別れは必ずやってくるもの!

だけど、思い続ければ、いつの日か必ず会える!

どこか違う場所、違う世界で、巡り会う時は必ずやってくる!

その思い出のために、今まで過ごした日々を、その絆を、断ち切らせないために!

光と影が照らす、仲間との絆を、思い入れのあるライバルとの絆を、血を分けた姉さんとの絆を、絶対に守り抜いてみせる!

この命が、最後の一瞬まで燃え続ける限り、その眼に見えない思い出と言う絆を、必ず繋いでみせる!!!





「そういうことだろ!?鮮血ッ!!!!」

「あぁ、その通りだ、流子!!!」




その言葉と共に鮮血は、精神体となって流子の体に宿り、彼女の腰にベルトを構築させた。

そしてその手には、ベルトの窪みに装填するサイズの、スマートフォンが握られていた。

「……いくぜ、姉さん!!」

「あぁ、流子!!」





「「変身ッ!!!!」」

<TENGAN!“MEDIUM”!MEGA-URUOUD>

<BLOOD-EDGE FORM>


---to be continued---


☆あとがき

キルラキル電撃参戦となった208話、登場早々でいきなり仮面ライダー変身となります!
しかも、アキッキーさんのヒントを元にボクが独断と偏見で考えたオリジナルライダーでございます。
その正式な姿については次回、詳しく書いていきたいと思います。

一方で、S.A.O.やA.W.陣営の初登場や、バサラワールドでの新展開など、またまた大きく動いている模様です。
……まぁ、ナツさんに関してはもうしばらく苦労を背負い込むことかと思いますが…(笑)








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