Phase207 FWパニック・CONCLUSION-Take7-
無限を超えた虹色の絆 〜KNOCK ON YOUR GATE!〜
―――キャプテン・マーベラス。
ルヴェラの大いなる力であり、伝説のかけらでもある“レンジャーキー”を求めて、あらゆる世界を放浪した海賊にして、赤き海賊船・ゴーカイガレオンの船長―――。
そして、アカレッドが認めた自身の後継者にして、最強の戦隊“ゴーカイジャー”のリーダー。
…その存在が今――――。
―――ドカドカドカアァァンッ!!!
アキッキーの最大級の強敵として立ちはだかっていた―――!!!
「手ごわい…!さすがは初代アカレッドが認めた戦士――!!」
戦闘再開から3分と経過していない僅かな時間ではあったが、アキッキーにとってはそれが長く感じた。
それだけ彼の存在が大きな壁となっていたのだ。
これまでアキッキーは、歴代スーパー戦隊の戦い方の全てを総動員して戦ってきたつもりだった。
それが自分の戦いの正攻法だと信じていたからだ。
しかし、相手は海賊。
彼らの戦いにセオリーなど存在しない。
同時に、彼らはルヴェラの歴史に一切記録に残っていない未知の戦隊。
それは、今まで培ってきた戦い方のルールでは通用しないと言うことを意味していた。
どういう手段をとるべきか…?
アキッキーの脳裏でそんな迷いが張り巡らされていたかも知れない。
しかし、そうしている間にも仲間たちは怪人たちの攻撃でダメージを受け続けている。
このままでは全員が窮地に立たされるのも時間の問題だ…、一体どうすれば…!!
―――ドドドドオオォォッッ!!!
『うわああああぁぁぁっ!!!!』
……迷っている余裕はなかった!
ポセイドンやサガが率いる怪人たちと、ダークシュバルツの一行が猛攻撃を仕掛けて、連合軍の一部がダメージを受けてこちらに吹き飛ばされてきた!!
「もう終わりなの?弱いものね。」
仮面ライダーポセイドンの装着者と思しき女性が目の前の連合軍を見下す。
「少しは骨がある連中だったが、どうやら勢いが尽きたようだな。」
「へへへっ、一気にとどめをさしてやろうじゃねぇか…!」
その仲間の怪人たちもじわりじわりと近づく。
「……アキヨシ・エンリュウイン、てめぇの力はこんなものなのか?」
ふと、ゴーカイレッドがアキッキーに声をかける。
「…そんなわけないよなぁ?仮にも、ルヴェラの大いなる力を継承したんだ。それだけの覚悟と度胸を見せてもらわねぇと困るぜ…。」
半ば挑発の意味も込められている彼の言葉に、アキッキーは言い知れぬ感情を奮い立たせていた。
怒り? 悔しさ? 悲しみ? それとも、赤き継承者としての重責? 或いはそれらが全て混ざって……。
もはや自分の中でどんな感情が生まれているのかすらも、分からなくなりつつあった。
「そんなんじゃ、初代アカレッドの奴も浮かばれないよなぁ…。自分の実質的な継承者が――。」
―――こんな半人前の未熟モンだって知ればなぁ!
「!!!!!!」
その言葉に、アキッキーは言葉を完全に失った。
それはアキッキーにとって最大のジンクスでありトラウマでもあった。
赤き勇者の力を受け継いだものとはいえ、本来の自分は何の力も持たない無力な存在だ。
自分はこの力を受け継いでよかったのか…?
それとも先代にとってのありがた迷惑だったのか…?
――DVバルカアアァァァンッ!!!!!
そこに、いきなり声を荒げたコースケが怪人たちと戦闘兵たちを一気に払いのけ、アキッキーのところに駆け寄る。
「ちょっと!アキッキー、何やっているのさ!」
「チーフ…。」
「そんな弱気、僕の知っているアキッキーじゃないよ!しっかりしてよ!」
いつもと雰囲気が違うことを感じ、自分の相棒の危機を察知したのだ。
「……無理だよ、ボクには…。」
「ッ!!」
しかし、彼の口から漏れたのは、想像より遥かに戦意を失っていたアキッキーの消え入りそうな言葉だった。
あの男……マーベラスはかつてアカレッドが認めた、戦隊の後継者なんだ。
ルヴェラの戦士の化身が、その力と意志を認めた存在なんだ…。
それに引き換え、ボクは成り行き上で戦隊の後継者になった、“紛い物”ととっても差し支えない…。
あの男とは全く違うんだ…。
今までボクはみんなの心を奮い立たせてきたけど…。
一番弱気になってるのはボクのほうなんだ…!
こんななさけない状況じゃ…。
「この……ッ、大馬鹿ヤロオオォォォッ!!!!!!!」
―バキイイイィィィッ!!!!!!
「!!!!????」
その瞬間、敵味方を問わず全員が、時が止まったかのような錯覚に見舞われた。
コースケが怒りを大爆発させてアキッキーの頬に全力の鉄拳を食らわせたのだ!
なお、読者にお断りしておくが、ここからしばしの間、コースケの口調が今までのソレとは大きく切り替わるのでご了承及びご容赦いただきたい。
それだけ今のコースケは大激怒しているのだ…。
「俺は…、今日ほどアキッキーを殴りたいと思ったことは一度もねぇ…!!!」
「チーフ……!」
確かに先代の力を受け継ぐってのはそれほど大きなプレッシャーだよ。
アキッキーの過去を初めて知ったとき、俺だってこの力を使っていいのか迷っていたさ!
自分なんかがこの力を受け継いでよかったのかって思っていたよ!
でもな!…異空間で俺の先代に出会って、その弱気になってた心をもう一度奮い立たせてくれたんだ!!
“一人はみんなのために、みんなは一人のために戦うのがスーパー戦隊”だって!
“誰かのことを心配している暇があったら、自分の感じたことを戦いに活かせ”ってな!!!
それは、自身が体験したこと―――、先代のタイムファイヤー=滝沢直人と邂逅したときの経験談。
自身の相棒であり仲間であるアキッキーの思いと願いと重圧に迷っていた自分に、道を示してくれた彼の想いだった。
「お前が信じるのはお前自身だろ!?それさえも忘れていたら、何を信じて戦っているんだ!!??」
言葉と声を荒げ、胸倉を掴んでアキッキーの眼を真っ直ぐ見ながら言葉をぶつけるコースケ。
その目は、それまでアキッキーが知っているものとは大きく違っていた。
「俺たちはお前の力を信じてる!アカレッドとしてではなく、アキッキーという一人の戦士としての力を!!」
―だからお前も!自分を!!俺たちを信じろ!!!!!!
英雄ではなく、一人の戦士としての力を信じる―――。
その言葉は、今まで重くのしかかっていたアキッキーの精神的プレッシャーを軽減させた。
「……お前の今の言葉、なかなかに響いたな…。」
そこに一人の男が入り込む。
白い帽子から覗かせる銀色に輝く骸骨の仮面と、闇を思わせる黒いボディの戦士。
仮面ライダースカル=鳴海荘吉だ。
「“Nobody's Perfect”…、誰もが完璧ではない。キミもまたその一人だったと言うことだな、アカレッド。」
罪を認め、その傷をいたわる。
それは鳴海荘吉の探偵としての厳しさと優しさを併せ持った言葉だった。
そして、この男もまた、アカレッドを後押しするかのように口を開く…。
「でも、強さと言うのは、力の証明なんかじゃない。誰かを励まし、勇気を与えるものなんだ。」
葛葉鉱汰、仮面ライダー鎧武として戦い、その強さと優しさの本質を身に付けた存在。
「だからこそ、自分の弱さを知ることで、また一つ強くなれる!」
そのとき、その思いに共感した戦士たちがアカレッドに言葉を投げかける。
「その通りだ!俺とて一族の仲間を失って絶望し、自ら死を選ぶことさえあったが、マグナやガルムと出会い、彼らと戦い続けてきたことで、種族を超えた絆と言うものを知ることが出来た!」
絶望から立ち上がり、友のために戦う道を選んだバレル。
「俺だって偶然手に入れたこの力には戸惑っていたが、それを分かち合える奴らがいるから、何度でも立ち上がれる!もしも絶望したら、お前の中のヒーロー魂を思い出せ!そこから生まれる絆の力がある限り、願いは叶うんだ!!!」
グリッドマンとしての力を手に入れ、それを誇りに戦うタイガ・ノゾム。
「たとえ今の自分の力が紛い物であっても、“想いを受け継いだ者”なら、それを誇りに戦えるはずだ!!」
「男ってのは、愛する誰かを守るために生まれてきたんだろ?!その想いがあるから、俺たちはダチとの友情を深め合えるんだ!!」
“仮面ライダー”の称号と英雄の魂を受け継いだクルトと弦太郎。
「出会ったばかりの存在は誰でも価値観が違うものだ。それが原因で仲違いすることもある。だけど、真実を追い求めた先の特別な存在は、いつか絆に変わるんだ!」
「次元の壁を蹴っ飛ばした先の世界は、きっとキラキラしたもの。少なくとも、私はそう信じているわ。」
異次元から渡り歩いた先でアカレッドと共闘した一刀とアイリスハート(プルルート)。
「アキッキー!俺たちはヒーローである前に戦友だ!ルヴェラの新しい歴史を刻む戦士として、そのブレイブをもう一度見せてみろ!!」
次なる戦隊の歴史を刻むために、アカレッド以上の真っ赤な熱意を燃やすダイゴ。
彼らのその言葉が、アキッキーの胸の奥に波紋のように広がっていく。
そして、その波紋を最大限に広げたのは、戦闘に合流したこの男―――。
「アキッキー、君も俺と同じ存在だったんだな。」
先代のオーズ、火野映司だった。
俺もかつては、守りたい存在を目の前で失い、世の中全てに絶望したことがある。
それによって、自分が欲しいものが何なのかすら分からなくなって、自分の命すらも犠牲にすることも考えていた…。
いつしかそれは、“誰かを守るための強い力”が欲しいと思うようになった。
でも、仮面ライダーオーズとして戦い続けて、多くの人間たちと交流を深めていくうちに、やっと気づいたんだ。
俺が欲しかった“力”は、“どこまでも届く自分の腕”の中にある。
それは、“自分自身と仲間たちを繋ぎ、紡がれ、広がっていく手”なんだって。
その言葉を、アキッキーと同じくらいに共感した存在がいた。
「映司、それがお前の本当の欲望だったんだな。」
それは、映司のかつての相棒。
「アンク。」
片腕が怪人の姿を模った、欲望の化身・グリードの末裔だった。
鴻上がかつて言っていた。
オーズとはつまり、三つの“O”を並べたもの。
それは、無限大(∞)を超えた存在であるということを意味すると。
お前はオーズとしての戦いを通じて、その先にあるものを守りたいと願っていた。
つまり、世界の枠すらも超越した欲望の果て、無限の絆を守りたいと…。
そういうことなんだな?
映司はアンクの問いに、ゆっくりと肯定を示した。
「…フッ、今ならお前の言葉が分かる気がするぜ。そうでなきゃ、アカレッドとここまで死線を潜り抜けることなんざ、できねぇもんな!」
―――!!!!!!
ようやくアキッキーは気づいた。
アカレッドとして、レンジャーズストライクとして戦っていくうちに、ミッドチルダの戦士たち、シードピアの戦友たち、彼らと次元を超えた絆を何度だって繋げてきたと言うことに…!!
いや、気づかされたと言うべきかも知れない。
あの日から、“自分のおかげで”ここまで大きな虹色の絆を築いてきたんだと言うことに…!!!
―――てめぇらぁ!!ごちゃごちゃ話してんじゃねぇよ!!!
そこに響いた怒号の声。
ラストドーパントたち4体がいきなりグアッと襲い掛かってきたのだ!!
<ファァァァァァイナルウェイイイイィィィブ!!!!!!>
―――ズバババッ!!!!!!
しかし、その反撃を許すまじと言わんばかりのアカレッドのゴーカイサーベルの一閃が、怪人たちを吹き飛ばす!!
『何ッ!!!???』
気力を失っていたかに思えたアカレッドの攻撃に、敵も呆然。
一方で、ゴーカイレッドが彼の様子を見て興味を持った笑みを浮かべていたことを、誰も知る由もないのだが…。
「チーフ、みんな、おかげで迷いが吹っ切れたよ…!!!」
ボクたちは最初っから強くなんかなかった。
だけど、弱くてもいいんだ!
自分の中にある弱さを知って、それを認めて、受け入れていくことで、もっと強くなる!
そして、それを知ってくれている仲間たちが、すぐ傍にいることで、絆を深めることが出来る!
それこそが、ボクの目指す場所!
ボクが誇るべき宝なんだ!!!!
ヒーローとしての心を、力を、想いを再認識したアキッキーは、再びその眼差しをマーベラスに向ける。
「だから…必ず亜空軍を止めてみせる‥‥!たとえそれが……」
―初代アカレッドの後継者が相手でも!!!!
武器の切っ先をマーベラスに向けて宣言した、アキッキーの新たなる決意。
一人の戦士として、一人の人間として戦い続け、その先にあるものを守る―――!!
それは、連合軍全員の士気を高めるのには充分だった。
―貴様の決意、確かに聞いたぞ!アキッキー!!!!
『!!!!????』
戦闘エリア全域に響いた勇ましい女性の声!?
その瞬間、アキッキーの前に空間モニターが出現。
通信の主は、彼にとって懐かしくも、今まで全く予期していない相手だった。
「ち、千冬!?」
『フッ、久しぶりだな!』
「ど、どうして!?…って言うか、今どこにいるの!?」
『悪いが、話は後だ!それよりも、決意を固めたお前たち連合軍に、私たちから増援部隊の贈り物だ!!!』
『えっ!!!???』
“増援部隊”と聞いて驚きを上げる連合軍だったが、その余裕もなかった。
『…後は頼んだぞ!!!!』
――――パチンッ!!!!!!
彼女が指を鳴らしたのと同時に、次元の扉が開き―――。
―――いっけえええぇぇぇっ!!!!
―――退きなさあああぁぁぁいっっ!!!!
―――ズドドドドオオオォォォッ!!!!
2台の中型ロボットが一気に駆け抜けていき、戦闘兵を何十体と吹き飛ばした。
それは、両腕が調理器具で構成されたロボットと、もう一方は犬型のロボットだった。
後者のロボの両端に構える二人の男女と、前者のロボのてっぺんに乗る少女の姿、森羅の一同には見覚えがあった。
「なっなんじゃとぉ!?伝説の戦士“ヤッターマン”と、伝説の大盗賊“ドロンボー”が並び立っとるではないか!?」
「どういうことだよ!?どうして敵同士のはずの連中が…!?」
その驚きに対し、ヤッターマン1号、ヤッターマン2号、ドロンジョは答える。
「俺たちはそのヤッターマンの子孫とドロンボーの子孫に当たる、新たなヒーローさ!」
「世界の迷惑者たちにおしおきするために、私たちは手を結んだのよ!」
「それに、あんたたちの味方はあたしたちだけじゃないわ!」
すると、彼らの背後を、電車と戦闘機と戦艦が立体交差するように通り過ぎていった。
「あんたたち、こっから先は任せるから、しっかりやりなさいよ!」
ドロンジョの言葉と共に、彼らが退散した次の瞬間、数十人の人影が一斉に並び立つ!
その顔ぶれの中には、一部の面々が知るものがいた。
「アキ兄さん、久しぶりです!」
「大ピンチだって聞いたから、手助けに来たぞ!」
「さっきの言葉、結構カッコよかったよ☆」
「全く、とんでもない無茶をしやがって。」
「でも、それがアキッキーさんの良いところなんだけどねぇ。」
「い、一夏と箒!?鈴!それに五反田兄妹も!!??」
ルヴェラにおけるアキッキーの学生時代の旧友一同。
「こんにちわチルノ、皆さん、元気そうですね。」
「すごぉぉい!!ヒーローがこんなにたくさんっ!!」
「妖夢!?それに早苗!?あんたたちも来てたの!?」
「おぉ、霊夢さんにマリサさん。ここは、とんでもない特ダネのにおいがしますね〜。」
「無事だったか、メイリン。援護に来てやったわよ。」
「それに、新聞記者の文と、紅魔艦の咲夜も……!!」
「ちょっと、マジで!?」
「ウソ、でしょ…!!??」
イストファンタジア一同における各々の顔見知りたち…。
「マナさん!ここにいたんですか!?」
「良かった!無事だったんですね!」
「えっ!?めぐみちゃんに、ひめちゃんたちも!?」
マナたち“ドキドキ!プリキュア”の後輩に当たる少女たち――。
「フロニャルドの三国同盟一同、ご無事だったか!」
「ここからはボクらも加勢します!」
「えっ!シャルさん!?」
「り、リーフ!?おぬしまで!!??」
フロニャルドの一行と親交を深めていたシャルとリーフ王子。
「あっ!ネプテューヌ、シャナ、みんなも無事!?」
「どうやら無事だったか。」
「良かった〜、やっと見知った人に会えたよ〜!」
「えっ?!サターン!」
「メガドラにドリキャス!?」
自分たちの故郷世界のヴィーナスペースの守護女神にあたる3人の少女たち。
だが、彼ら以上に驚いた表情を見せたものが数名いる。
「…ど、どうして、ビートルファンガイアが…!?」
亜空軍に属していたはずの怪人が、戦闘機人の正夫と並び立っていたのだ。
キバ=渡は目の前の光景が信じられない気持ちだった。
「貴様、一体どういうつもりだ!!」
それはダークシュバルツとイービルライダーズとて同じだった。
だが、その瞬間の二人の言葉で、彼らの間に一つの区切りが付けられることとなる。
「もはや俺は亜空軍のやり方には付いていけん。悪いが離反させてもらうことにした!」
「それに、亜空軍の拠点に渡の母親が捕らえられてるって話を聞けば、尚更、見過ごせないもんね!」
「!!」
「おい、それって…!!」
渡とキバットにとっては初耳の話だった。
亜空軍に属していたビートルファンガイアはともかく、どうして正夫がこのことを…!?
………いや、それ以前に正夫の顔つき…、どこか懐かしい雰囲気すらも感じさせる…!?
「渡…、一緒に母さんを助け出すために、戦おう…!!」
「……!!!!」
その正夫の一言で、渡の中で一つの答えが導き出された。
「お、おめぇは…まさかっ…!!」
動揺したキバットも声が震えていた。
“出会うはずのなかった渡の肉親”に、ようやく出会えたのだ…!!
「も、もしかして……父さん…!?」
正夫=紅音也――。
親子の1000年ぶりの邂逅だった…!!!!
「…む?」
一方、この増援部隊の実質的な行動隊長として活動していたイクトという名の青年。
DESTINYを装備しているシン・アスカの姿を見つけると…。
「……DESTINY…、貴様、柾木ジュンイチの後継者か!?」
「!!」
その一言を聞いたシンは目を見開いた。
「あ、あんた、どうしてそれを…!?」
『待てっ!!!!』
それを遮ったのは、ビルドマイザーの魂となっていた当の本人だった。
彼の声を聞いたシンはすぐにビルドマイザーを開いて彼の姿を呼び起こす。
『てめぇ…まさか、炎皇寺イクト!?』
「ふん、随分変わり果てた姿になったもんだな。」
『うるせぇ!なりたくてなったわけじゃないやい!!!』
そのやりとりを察するに、どうやら顔見知りらしいが…?
「おいジュンイチ、このイクトって奴、何者なんだ!?」
『1000年前の“シードピアクライシス”で共闘したライバルだ。パトリックにやられて異次元の彼方に飛ばされたはずだったんだが…。』
「1000年……そうか、あの戦いからそれだけ経過していたか…。」
どうやら彼も過去のシードピアクライシスの生き証人のようだ。
「だが、積もる話は、目の前の状況を乗り越えてからだ!」
しかし、ゆっくりと話をしている暇はない…!!
―――ビュワワアアァァンッ!!!
―――!!!???
そこに異空間の扉が開き、一人の幹部怪人が何十匹と言うモンスターを従えて現れた!
「情けねぇなてめぇら。手助けしてやるよ。」
二本の角を生やし、赤と黒をメインに黄色いアクセントが映えるボディ、そして大型の両刃剣を持った、屈強なイメージの怪人。
「…!」
その姿を見た瞬間、鉱汰の目つきが若干変わった。
……そう、その相手は自身にとって決して忘れられない敵であり、ライバルでもあった。
もちろんその姿は、怪人も気づいていた。
彼にとっても忘れられない存在なのだから…。
「…久しぶりだな、葛場鉱汰。」
「駆紋戒斗…いや、ロードバロン…。」
共に同じ世界の住人であり、故郷の町で人類の未来を賭けて戦い抜いた二人の戦士…。
「アカレッドの決意を後ろから聞いていたが…、あいつの姿、かつての貴様そっくりだったな…。」
「あぁ…、彼もまた自分の弱さと戦って、心を通わせた仲間たちと壁を乗り越えてきたんだ…。」
「その強さは、貴様と同等と捉えてもおかしくはない。」
二人の脳裏には、故郷の世界での最後の戦いがリフレインしていた。
お互いの正義をぶつけあい、“禁断の果実”を巡って戦った、壮絶な死闘が……。
「…戒斗、蘇ったお前は亜空軍に身を寄せてまで、強い力を求めるのか……?」
「お互いにオーバーロードとなった身だ。その答えは聞くまでもないだろう…。」
彼らの間にこれ以上の質疑はいらない…。
それは既に分かっていたことだった…。
「見せてみろ、葛場鉱汰。お前たちの絆の力が、次元を超えたことでどれだけ強くなったのか。この剣とこの体にその想いをぶつけてくるがいい…!」
「………望むところだ!!!」
その言葉と共に、鉱汰は戦極ドライバーを装着した。
だが、その形は真登たちの受け取ったものとは形が異なっていた。
<カチドキ!!>
<フルーツバスケット!!>
取り出したロックシードのロックが開錠された途端、鉱汰の真上から25個の果実の鎧が一斉に召喚され、一同の度肝を抜かせた。
そして、そのカチドキと言うロックシードをドライバーに装填し、即座に鍵に似たロックシードを装填した!!!
―――ガチャッ、バキャァァンッ!!!
<LOCK OPEN!!>
<極(キワミ)アームズ!! 大・大・大・大・大将軍ッ!!!!>
そのとき、それら果実の鎧が一斉に鉱汰に融合し、眩い姿のアーマードライダーが現れた!!!
全身が銀色で統一され、胸部に果物の画が描かれた黒いブレストアーマー、背中にマントを羽織った、虹色の複眼の仮面の戦士。
葛場鉱汰の求めた力の結晶とも言うべき究極の姿、鎧武・極アームズである!!
「みんな、俺も力を貸そう。ここからは、俺たちの…、スーパーヒーローのステージだ!!」
その言葉を受けた増援組一同も、笑みを浮かべる。
「もちろんそのつもりさ!」
「せっかくそれなりの力を手に入れたんだからな!」
「みっともない姿をさらすつもりはさらさらないわよ!」
その瞬間、決意を固めた一同は動いた!
「行くぞ!!ニューヒーローズ、ミッションスタート!!」
『おうっ!!!!』
一同は変身アイテムを構え、あるものは変身ポーズをとる!!!
『イグニッション!テクスチャー・オンッ!!!』
『トライ・ダグオンッ!!!』
『装着!!』
『X(エックス)、装着!!!』
『プリキュア・くるりん・ミラーチェンジ!!!』
「プリキュア・きらりん・スターシンフォニー!!!」
『トッキュウチェンジ!!!!!』
「「変身ッ!!」」
「キョウリュウチェンジ、ファイヤーッ!!!!」
「「「女神転身(ハード・アクセス)!!!」」」
『インフィニット・ストラトス、シフトオン!!!』
『ガンダム・アーマー、ビルドアップ!!!』
全員の変身アイテム・変身ベルトの力が解放され、全員の姿が一気に様変わりした。
“ブライトルーパーズ”が温めていた、ルヴェラの新たな力――。
“VIVIDガールズ”、“インフィニット・ストライカーズ”、“ダグオン”。
“ヴィーナスペース”の守護女神の真の姿――電神“セガ・ハード・ガールズ”
特殊部隊“リトルバスターズ”の切り札――“グランセイザー”、“セイザーX”
未来の次元からやってきた新たな希望――“ハピネスチャージプリキュア”――。
五色の力の新たな輝き――“キョウリュウネイビー”と“烈車戦隊トッキュウジャー”――。
闇に抗うために覚醒した戦士――“ジャスティライザー”
人類の自由のために目覚めた仮面ライダー――“3号”、“デューク”、“ライジングイクサ”
そして、“L.J.D.L.G.”とイストファンタジアの勇者に託された、新たな“G.U.N.D.A.M.アーマー”
「なっ、何だと!!??」
当然このような軍勢は亜空軍とて予測していなかった。
「こ、これは、すごい…!!」
アキッキーもこの心強い援軍の登場に、これまでにない士気の昂りを感じていた。
それはもちろん、彼に鉄拳込みの一括を入れたコースケも…!!
「アキッキー、まだいけるよね?」
「あぁ、もちろんですよ、チーフ…!!!!」
アキッキーは、武器を構えなおして再びマーベラスに視線を向ける。
その眼を感じたマーベラス、迎え撃つべく今一度構える。
「いい顔になったじゃねぇか…!それでこそ、俺と戦うにふさわしいぜ!」
怪人たちも連合軍の戦士たちも、気合を入れなおし、新たなラウンドの準備が整った。
「そんじゃ、かかってきな、アカレッド。」
「あぁ…、ここからはいつもより……!!!」
「「超ド派手に行くぜッッ!!!!!!!!」」
---to be continued---
☆あとがき
ブライトルーパーズ合流完了となりました207話!
今年一番の気合の入れようで仕上がりました!
前回の更新で語られた“アドリブ”ネタ、この場面で有効的に活用されましたが、いかがでしたでしょうか?
ちなみに、“一人称の表現がコロコロ変わる”と言うのはリアルワールドの僕でも度々あったりしています。(苦笑)
また、その場面を含めた今回の啖呵きりの部分、アキッキーさんがマジ泣きするほど感動してしまったらしいです(汗)
さて、これだけ気合入れまくりで作って、2話同時掲載になったシードピアですが、次回以降のエピソードもまだまだ二転三転の様相を控えているみたいです。
出番がない面々についても徐々にスポットを当てていきたいと思いますよ!!!