Phase196 FWパニック・CONVERGE
13th Connect〜闇を祓う勇気、闇から転生するブレイブ〜




―――ガキイイィィィンッ!!!!

剣戟の音が響く宇宙空間。

ブレイブ・ザ・ハードとブラックマイトガイン。

2体の黒きロボットの激戦が続いていたのだ。

しかし、その戦いの中でブラックマイトガインは違和感を感じ取っていた。

相手のその太刀筋や戦い方に…。

「………。」

キャプテンシャークの艦橋で戦いを見守っていたワルターも、相手側の戦い方に疑念を抱いていた。

「兄さま、どうしたのですか?」

「妙だな…。」

「え…?」

ワルターは独り言をつぶやくように自分の推測を語りだした。





あのブレイブと言うロボットの剣の腕は本物だ。

ブラックマイトガインとも互角の腕を持っていることからして、かなりの手錬れだ。

だが、太刀筋に妙な雰囲気を感じる…。

迷いか、恐れか、あるいは亜空軍の影響か…。

いずれにせよ、あのブレイブと言うロボットの剣からは生気を感じないのだ…。

本意でブラックマイトガインに立ち向かっているとは到底思えない…。






思わず、執事が口を挟む。

「お、お待ちください!それでは、あのロボットが戦っているのは何か別の理由があると!?」

「あぁ、もしかしたら…!」

「俺もその意見に賛成だ。」

キャプテンシャークも何かしらの違和感を感じていたのか、ワルターの言葉に賛同する。







―――ピカアアアァァァッ!!!!!

『!?』








すると、その意志に共鳴したのか、一行が持っていたブランクキーがいきなり光りだした!?

…と思いきや、その鍵が手元から離れ宙に浮き始めた。

『ちょ!?あの輝きって、まさか…!?』

『ブランクキーだと!?』

ゴーカイジャーから託された虹の鍵。

その所有者がこんなところにいたことに、アミタとビッグコンボイは目を疑った。





(ぐぐ…っ…、あぁぁ……!!)

『?』





ふと、何かのうめき声が聞こえてきた。

それは、宙域で戦っていた一同にも聞こえていた。

(俺の体なのに、俺自身をコントロールできないとは…!誰か、俺を、助けてくれ…!!!)

『!!!!』

この声はもしや…!!!

「今の声は!?」

「あぁ、間違いない!!」

確信を得たのは、キャプテンシャークたちだけではなかった。

「ブレイブ・ザ・ハード…!操られているのか!?」

太刀筋に違和感を感じていたのはそういうことだった。

ブレイブの心の中で善悪が戦っており、精神的な均衡が崩れかかっているのだ。

―――ガキイィィンッ!!!

「ブレイブ・ザ・ハード!本来のお前が優しい心の持ち主なら、闇の力に負けるな!!!目を覚ませ!!!」

「黙れっ!!」

ブラックマイトガインは事実を知った瞬間、ブレイブに語りかけるが、闇の力が強いのか、全く聞く耳を持たない。

『これは予想外ねぇ…。で、どうするの?あのロボットの洗脳を解くのは簡単じゃないわよ?』

通信越しのキリエの言葉に全員が渋る。

確かに普通の攻撃ではブレイブそのものにダメージを与えてしまう…。

なんとか彼にまとわり着いている闇の力だけを浄化することが出来れば…。

『…俺に考えがあるぞ!!』

『!?』

その雰囲気に一石を投じたのは、炎の海賊団のガルだった。

『ブラックマイトガインとやら!これを使え!!』

そう言って投げつけた1本の鍵。

それは“彼”から託されたブランクキーだった。

すると、自ら意志を持っているのか、ブランクキーはロボットの手のひらサイズまで巨大化、ブラックマイトガインの手中に収まった。

「!?」

『そのブランクキーがお前の正義に共鳴すれば、力を貸してくれるはずだ!』

ガルの言葉通り、ブランクキーは光を放ち、ブラックマイトガインの動輪剣と融合し、その形を一変させた。

それは、赤いボディと金色の刃を持つ細身の大型剣だった。

『わおっ☆!“炎神戦隊ゴーオンジャー”の“炎神剣”じゃないですか!!』

なぜかその存在を知っていたのか、アミタがかなり興奮していた。

「なるほど、その手があったか!シリアス、鍵を!」

「うん!」

自分たちもその作戦に乗ってみようと考えたワルターは、ブランクキーをシリアスから譲ってもらい、キャプテンシャークに告げた。

「キャプテン!我らも力を貸してもらおうではないか!!」

「おぅし!!!」

ワルターが掲げたブランクキーは、キャプテンシャークの手元にワープし、手にした瞬間、それは大きな剣の姿に大変貌した。

それは、全体が金色で炎神剣よりも太く、柄の部分がシャチホコを彷彿とする形のものだった。

『わ、わ〜お!そっちは“忍者戦隊カクレンジャー”の“火炎将軍剣”!?』

まさかブランクキーが武器に変身するなど、キリエたちも全く予想していなかったのだ。

「よし!キャプテンシャーク、一気に決めるぞ!!」

「おう!行くぜぇ!!!」


2体のロボットはその勇気の力を剣に込め、炎を刃に纏わせた。

そして、お互いにスラスターを吹かせてブレイブ目掛けて突撃していった!





「受け止めるがいい!ブレイブ・ザ・ハード!!」

「俺たちの勇気の炎を!!!」










轟炎十文字斬り!!!!』

―――ズババッ!!!!

―――……ドカアアァァンッ!!!!








炎の十文字の一閃が炸裂し、ブレイブはそのまま爆発した。

スーパー戦隊の力と勇者ロボの勇気が合わさった一撃、これには一溜まりもないだろう…。

……しばらくして煙が晴れ、そこには意識を失った真っ白なボディのブレイブ・ザ・ハードの姿があった。

「………ぅ…。」

意識を取り戻したブレイブは、キズだらけの体を起こす。

「…お、俺は…、助かったのか…!?」

正気に戻った。

それを確信したキャプテンシャークとブラックマイトガインはガッシリと手を組んだ。



















































―――ドドドオオオォォンッ!!!!





エリアルベースの激戦も終盤に差し掛かっていた!

互いに共闘したことのある、有栖零児率いる“森羅カンパニー”陣営と天斎小五郎たち。

さらに、彼らとの顔見知りであるクルト率いる“ネームレス・ハウンド”らの介入によって、連合軍優勢の流れとなっていた。

「あのひとたち…すごくつよい…。」

「うん…。」

物陰で隠れて戦いを見守っている少女たちも、連合軍たちの戦いを見入っているようだ。

「うわっ!!??こっちも!!??」

そこに新たな影が。

スマイルプリキュアやダンテツを始めとする、医務室での戦闘メンバーたちだ。

「みゆきちゃん!大丈夫かい!?」

「はい、こっちは亜空軍を撤退させました!今から援護します!」

「親父!すまねぇが周りの敵を!」

「うむ、ザコどもの始末は任せろ!」

これによってますます連合軍が優勢となってきた。

「よし、アカレッド、一気に決着を付けるか!」

――ブレイブ・イン!!

ここで、キョウリュウブラックが23番の獣電池を取り出してそれを装填すると――。



<ガブリンチョ!フウウゥゥタバイン!!!>

「獣電ブレイブシュート!!!」

<バモラ!!バイバイイィィンッ!!!!!!>




ちょ、それをアカレッド目掛けて発射したぞ!!??

「え゛!?ちょ、狙いがちが―――。」



―――ズドンッ!

「うわっ!!」




アカレッドが慌てて間もなく、その弾丸が命中…したと思いきや――!



「あ、あれ!?」



アカレッドは思わず目を疑った。

自分と瓜二つの姿の人間がいつの間にか隣にいたのだ!!

「これって…分身!?」

「そう、フタバインの獣電池は自分もしくは他の誰かの分身を作り出すことが出来るんだ。これで戦力は大きくなるぞ!」

獣電池のバリエーション、意外に幅広いようだ…。

「何だかよくわからないけど、とりあえず…。」



「「ソウル降臨!」」

<CHANGE、“RYU-RANGER”“GOGGLE-RED”>




ワケが分からないまま、二人のアカレッドはソウル降臨を発動、龍を模した中華系の戦士と、額にルビーをあしらった戦士に変身した。

「フン!二人に増えたところでどうなるというのだ!?」

「少しはアタシたちを、楽しませることね!!」

バットファンガイアとエスケイプが二人のアカレッドに立ち向かう!!!



「レッドリボン!」

「ダイレンロッド!」




対して、固有武器を取り出してそれぞれの攻撃をやり過ごす。



「リボンスパーク!!」

「天火星・稲妻炎上波!!!」




そこに、ゴーグルレッドのリボンを使った電気ショックと、リュウレンジャーの稲妻と炎の気力攻撃。

それがバットファンガイアとエスケイプを怯ませる。

その隙を見逃さないアカレッドはすぐさま連続攻撃!



「「ソウル降臨!」」

<CHANGE、“RED-TURBO”“RED-RACER”>

「GTクラッシュ!!」「ツインカムクラッシュ!!」




レッドターボ、レッドレーサーのスピード力を活かした高速攻撃。



「「ソウル降臨!」」

<CHANGE、“TIME-RED”“RED-FLASH”>

「ベクターハーレー!!」

「プリズムシューター!!」




タイムレッド、レッドフラッシュの連続射撃で追加ダメージを与える。





「貴様!」

「このっ!」

バットファンガイアとエスケイプは反撃に転じようとするが―――。



「「ソウル降臨!」」

<CHANGE、“FIVE-RED”“RED-MASK”>




攻撃を避けながらアカレッドは次なる赤き戦士をその身に纏う。



「Vソードアタック!!」「マスキークラッシュ!!」



そして二人の戦士の剣戟で怪人を吹き飛ばす!



「「もひとつおまけだ!!ソウル降臨!」」

<CHANGE、“VUL-EAGLE”“OH-RED”>




手を緩めなかったアカレッドはさらなる戦士に変身して、それぞれの目の前に降り立つ!

「「!?」」

ゼロ距離まで感覚を詰められた二人の脳裏で嫌な予感が過ったものの、気付くのが一瞬遅かった。



「飛羽返し!!」「秘剣・超力ライザー!!」

「「ゼロ距離ダブルアタック!!!!」」




「「うわああぁぁぁっ!!!!????」」



至近距離の剣戟ともなれば防ぐ手立てもなく、二人は一気に吹き飛ばされた。



―――ガキイィィンッ!!!

こちらはギャバンと対峙するキアイドー。

「フフフ、さすがはディスタンス・フォース伝説の宇宙刑事!腕は衰えていないな!俺は嬉しいぞ、貴様のような強い男に出会えた事が!」

「貴様も中々の強さじゃないか!ザンギャックなんかと手を組まず、俺たちと組まないか!?」

「それなりの報酬と強い輩を用意してくれるならな!」

賞金稼ぎでありながら、強い存在と刃を交えるほどにその心を奮わせるキアイドー。

一人の武人としての意志と言うものなのかもしれない。

「ならば、俺が磨いてきた伝説の秘技をお見せしようではないか!」

「よかろう!来い、ギャバン!!!」

ギャバンはレーザーブレードを発動、白く輝く刃を構えた。

「ギャバン・ダイナミック!!!」

「ぐぉ!!!??」

その刃の縦一文字の一閃はキアイドーを捉えた!

その一閃を体で受け止めたキアイドー、その鎧からは火花が散っている。

「フ、フハハ…、これが宇宙刑事の正義の刃か…!面白い…!」

かなりの大ダメージを受けたはずだが、まだ体力があるのか、膝を突いたその体を立ち上がらせる。

「貴様の仲間の連合軍も、これぐらいの実力を持つことを期待するぞ!また会おう!」

再戦を約束したキアイドーは背後の亜空間ゲートの向こうへと撤退した…。

「キアイドー、奴はまだ本気を出していないのか…!?」

一方で、ギャバンの心の片隅に言い知れぬ不安が残ることになったが…。







「最終楽章!デーボスフィニッシュ!!!」



キョウリュウジャーと対峙する獰猛の戦騎・Dも、負けじとデーボスの力を駆使して攻撃を浴びせる。

周囲にいるゾーリ魔たちも、Dの影響を受けて荒々しい態度でキョウリュウジャーたちに襲い掛かる。



「喧嘩上刀!!!」

――ズドオォォンッ!!!




そこに突然割り込んだ衝撃波。

その攻撃はDに不意打ちのダメージを与え、怯ませた。

キョウリュウジャーたちが振り向くと、そこにいたのはかつて自分たちと対峙していた敵軍の戦騎だった!

「何ッ!!??」

「怒りの戦騎ドゴルド!!??」

「おぬし、生きておったのか!?」

「キョウリュウジャー、この程度のザコ、手間取ってんじゃネェ!腹立たしい!」

その彼の背後には、アイガロン、キャンデリラ、ラッキューロもいる。

「空蝉丸、合体攻撃だ!あいつに追い討ちだ!」

「!……心得た!!!」

ドゴルドの言葉を受けたキョウリュウゴールドは一瞬戸惑うも、かつてのライバルの言葉を信じ、刃を構える!



『雷電残光・十文字斬り!!!!』



雷を纏った二人の刃の一閃がDに十文字の傷跡を付けて吹き飛ばす。



<オ・マツリンチョ!!カ〜ニバルッ!!>



その隙を突いたキョウリュウレッドが特殊パワーアップ形態に変身した!

普段の姿から大幅に小さくなったガブティラ――通称・ミニティラの力を使って変身した、情熱的な心とガブティラの荒々しい力を纏うスペシャルフォーム。

その名も―――!!!



「キョウリュウレッド・カーニバル!!!」



レッドはその力でさらにDに追い討ち!

ダンスを交えたテクニカルな戦法でDを一気に追い詰める!





こちらはアイズ・ドーパントとヤプールが相手を務めるネームレス・ハウンドとウルトラマンエース。

劣勢を強いられていた亜空間の戦闘の時とは一転、エターナルの力を受け継いだクルトの猛攻とウルトラマンエースの援護攻撃、さらに四方八方からはネームレス・ハウンドたちの援護射撃も加わり、今度は怪人たちが追い詰められていった。

「くっ、アイズ・ドーパント!貴様、予知能力があるのだろう!彼奴の攻撃など、先読みできるはずだろ!?」

「無理だ!エターナルにはあらゆるメモリの力を打ち消す“エターナルマント”が装備されている!私の能力は役立たんのだ!」

「なんてことだ…!!」

あらゆる能力がエターナルの黒いマントで相殺されるとなると、もはや生身の戦闘でしか役立たないということか!?

「ウルトラギロチン!!!」

そこにエースの特殊攻撃で怪人たちに追加ダメージ!



「いっけええぇぇぇぇぇっ!!!!!」



加えて、ヴァルキュリアの力を発現したリエラの一閃攻撃!



<ETERNAL MAXIMUM DRIVE>

「ライダーキック!!!!」




その隙を逃さなかったクルトがマキシマムドライブを発動、ライダーキックでアイズ・ドーパントとヤプールを一気に吹き飛ばした!







「あららら…、これってマズイ感じ!?」

「形勢は不利だな…。」

攻撃の気絶からようやく復帰したサタラクラJrとサンダールJr、目の前の戦況を目の当たりにして自分たちの劣勢を感じ取っていた。



「「獅子王・炎雷双刃波!!!!」」


「ヴァール、武装開放ッ!!!!」

――ドドオオォォンッ!!!

――ぐおっ!!??




そこに、レオとガウルとイムカの連続攻撃に吹き飛ばされたセルベリアが吹き飛んできた。



さらに、大ダメージを受けたバットファンガイアとエスケイプ、D、ヤプール、アイズドーパント、グノーシス、ゴーミン、ゾーリ魔が一気に雪崩れ込んできた。

彼らの前に、アカレッド、キョウリュウジャー10人に加え、フレイムドラゴンとなったウィザード、ファイヤーステイツのフォーゼが並び立っていた。



「よし、一気に止めだ!」

アカレッドが切り札のカードを使おうとするが――。

「アカレッド、ストップ。」

「?」

いつの間にか合流していたカレン・フッケバインがトリンと並び立って待ったをかけた。

「これを使いなさい。」

そう言って、カレンはトリンと共に持っていたブランクキーを投げ渡す。

「ぇ?使うって…!?」

戸惑うアカレッドに、二人は驚きの一言をぶつけた!

「アカレッド、君の持つゴーカイサーベルとゴーカイガンには、鍵を差し込むシリンダーが付いている。」

「マーベラスたちはいつも止めを刺すときに、武器に鍵を差し込んで必殺技を発動させていたわ。そのブランクキーでも同じ効果が出るはずよ。」

「え?シリンダー!?」

でも、どうやって差し込むの?…と思っていたであろうアカレッドの疑問に、カレンが答える。

「サーベルの柄の部分と、ガンのトリガー近くに、ゴーカイジャーのエンブレムが書かれた黒いスイッチがあるでしょ?それを押せばシリンダーが展開されるわよ。」

「!…これか!?」

その部分を見つけたアカレッドは、それぞれの武器のそのスイッチを押した。

――カチャッ!!!

すると、それぞれの武器の刀身と銃身から銀色のシリンダーが出現、そこには確かに鍵穴があった!

それを見たアカレッドは、ブランクキーを上に放り投げ、シリンダーを展開した武器を構える。

ブランクキーは人形の状態から鍵の形に変わり、シリンダーに装填された。

アカレッドはそれを再び元に戻しながら武器を構える!



<ファァァァイナルウェイイィィブ!!!!!!>



その瞬間、サーベルの刀身とガンの銃身が虹色に輝いた!



ビクトリー!!マキシマム!!ブレイブ・インッ!!!』



一方でキョウリュウジャーたちが“ビクトリー獣電池”と“マキシマム獣電池”と呼ばれる電池に、全員のブレイブを込めて、それをミニティラに順番に噛み付かせる。



<アミーゴ!メチャメチャアツマリンチョ!!!>



レッドを中心に全員が集まり、エネルギーをミニティラに集中させる。



<チョーイイネ!“スペシャル”!!サイコー!!>

<“FIRE”、“LANCHER”、“GATRING”、LIMIT BREAK!!>




ウィザードとフォーゼも切り札の指輪とスイッチを起動させ、エネルギーを充填させた。



「ド派手に決めるぞ!!!」

『ゴーカイ爆裂ブレイブフィニッシュ!!!!!!』




その瞬間、ヒーローたちの必殺技が一斉に放たれた―――!!!



















































……所変わってアドラメレク内某所。

ドクトル・マドゥ、カゲロウ、スカリエッティを中心に、またしても何やら考えを模索中の様子。

「エナジーロックシードシリーズと…、“ヨモツヘグリ”、“ブラッドオレンジ”…。」

「そして、フィフティーンと言う骸骨のロックシード…。」

その机には、カゲロウが鴻上ファウンデーションから盗み出したデータを元に作り上げたメカニカルなロックシードと、これまたそこから盗み出した戦極ドライバーとロックシードが置かれていた。

「これらの力を、あのラブプリアの女どもに使わせれば、これ以上ない手ごまになるじゃろうて。」

「なるほど、それでこの女を実験台にしようということナリな?」

一行の視線の先には、瞳の輝きを失った黄忠の姿があった。

その左腕には、何かのウイルスが注入されたであろう紫色に腫れ上がった痕があった。

「それでじゃ、手始めにこのロックシードとベルトを使わせようと思う。」

カゲロウが取り出したそのロックシードとベルトを見て、スカリエッティとマドゥの表情も邪な笑みへと変わっていた…。

“なるほどな”と言わんばかりの雰囲気と共に…。

























一方、マッドサイエンティストたちが席を外している研究室内。

イービルライダーズたちが間もなく始まる次の戦いに備え、深い眠りについていた…。

その内部に、一つの影が侵入していた。

銀色の仮面を被り、赤い羽根を身に付け、炎の意匠を思わせる衣服を纏った一人の怪人…。

ゆっくりと歩みつつ、眠り続けるイービルライダーズを眺める。

「…?」

…ふと、彼の目線が坂井祐二の姿を捉えたところで、歩みを止めた。



…このガキ…、A.G.R.ウィルスに犯されているにも関わらず、意識の中じゃまだ闇の力に抗っている…。

必死にあがいて、仲間を守ろうと懸命になって戦い続けている…。

…かつてのオレだったら、“無駄なあがき”だとか、“仲間などくだらない”とか、人間の心を見下していただろうな…。

だが…、あいつとの戦いを通じて人間も棄てた者じゃないということを、オレはようやく知ることが出来た…。

それに、あいつは“オレと一緒に平和な世界を創ろう”と、手を差し伸べてくれた…!

だから…、今度はオレがあいつらの力になる番だ…!!!




その怪人――ジョウカエンという名の存在は、かつて死闘を切り結んだ“あの男の存在”を思い出していた。

「そのためには…、まずはこのガキを解き放ってやらなきゃな…。とはいえ、あいつらの存在が一番ややこしいところだ…。」



ここは一つ…、“身を潜める”か…。



---to be continued---


☆あとがき
2015年度1発目掲載完了!!!!!!

…と言ったわけで、昨年度の祖父の訃報から早2ヶ月、ようやく落ち着いてきたので今年1回目の更新を完了することが出来ました! 上記の件でサイト内で進めようと思っていた色々なことがまともに出来ない状況となり(特に天てれ関連)、それらも含めたサイト内の整理に負われそうな感じですが、小説本編の更新だけは何とか勧めたい所存です。

皆さん、今年もサイバーワールドクロニクルとシードピアクライシスをよろしくお願いします!!!!



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