Phase183 フュージョンワールド・パニック 〜Research No.28:豪快なる海賊の想い〜
「トリン!」 「ダンテツ!」 エリアルベースのブリッジで握手を交わす、賢神トリンと一人の男。 驚くなかれ、キョウリュウレッド・桐生ダイゴの父親にして、閃光の勇者・キョウリュウシルバーの適合者・桐生ダンテツである。 彼も、惑星ベスティアの危機と、キョウリュウジャーたちの危険を察知し、仲間たちと共に戦線に合流する決意を固めてここまで来たのだ。 「大筋の話は息子から聞いた。俺たちも出来る限りのことをさせてもらう。竜の道を歩んだものとしてな。」 「君たちが来てくれて心強い。ドクターも。」 「いやいや、礼には及ばんぞ、トリンっち。ワシは技術面でお前たちをサポートするつもりじゃ。弥生も一緒に来てくれておるしな。」 “ドクター”こと、ドクター・ウルシェード。 一見は、サングラスをかけた変わり者の科学者爺さんにしか見えないが…。 「あれ…?」 アキッキーが何かに気付いた。 「ドクター・ウルシェードの声、どこかで聞いたような気が…?」 その言葉を聴いた本人、自信満々の口調でこう答えた。 「お?さすがはアキヨシっち。だったらこれで分かるじゃろ?」 ―――ガブリンチョ!!! 『!!!!』 案の定、一同ビックリ仰天。 「わおっ!!」 「う、うそでしょ?」 フローリアン姉妹も『これは予想外』と言わんばかりのリアクション。 「じ、獣電池の声と全く同じ!?」 アキッキーも呆然。 その反応を見たダイゴは――。 「その気持ち、分かるぜ。俺もビックリしちまったからな。」 ドクター・ウルシェードは、偶然にも獣電池に込められたキョウリュウスピリットの声と全く同じ声質を持っている、惑星ベスティアの天才科学者。 その出会いに運命的なものを感じたトリンは、その声質を活かし、キョウリュウジャーのアイテムのガブリボルバー、ガブリカリバーの量産を彼に依頼、そのシステム音声の収録も引き受けてくれたのだ。 彼の存在が、“獣電戦隊”結成の礎を作ってくれた、“影の功労者”と言っても過言ではないのである。 「そうだったんだ…。」 意外すぎる接点に一同も言葉を失う。 この戦隊は人脈も結構ブレイブ過ぎる…。 ―――ウイィンッ 「邪魔するぜ。」 そこに、くつろいでいたはずのマグナが入ってきた。 「…?マグナ、どうしました?」 「アカレッドの旦那にお客さんが来ているぜ。」 「え?ボクに…?」 一体誰が来ているんだ? おそらくその場にいた一同がそう考えた、そのとき、彼の後ろから一人の美しい女性が現れた。 「ハ〜ロ〜♪連合軍の皆さん☆」 しかもどこかお調子のいい性格がうかがえそうな軽い感じの挨拶である。 「貴様だったか、カレン・フッケバイン。」 『え?』 彼女の顔を見ていち早く存在に気付いたのは意外にも、烈だった。 「お久しぶりね、ギャバン。」 「貴様も相変わらずのようだな。」 どうやら二人は随分前からの顔見知りと見える…。 「それにしても、ここに来るとは珍しいな。」 「えぇ、あなたたちに報告しなければならないことがあるのよ。」 そう言って取り出した一冊の大きな書物。 「受け取りなさい、アカレッド。」 ―――ヒュッ! 投げ渡された書物を受け取るアキッキー。 それには、こう書かれていた…。 “レンジャーキー・データファイル” 「「「それは!!!!」」」 “見覚えのある”書物を目にした途端、アミタとキリエ、トリンの3人が揃って同じ言葉を上げた。 「「「……え?」」」 同時に、なぜか偶然言葉がハモったことに3人が目を合わせる。 「君たち…まさか…!?」 「えっと…もしかして、同じこと考えてました…!?」 「多分ね…!」 その3人の予測を、カレンは肯定する。 「お察しの通り、キャプテン・マーベラス――海賊戦隊ゴーカイジャーの遺産よ。」 ――!!!!!!!!!! その言葉を受け、衝撃を受けたアキッキー。 「ちょっと待って!ゴーカイジャーって、あの赤い船の…!」 「そう。帆船型宇宙船・ゴーカイガレオンを拠点に、あらゆる空間を旅してきた宇宙海賊よ。」 その言葉に、マグナが口を挟む。 「お前、その海賊戦隊の生き証人だとか言ってたけど、もしかしてあいつらに…。」 「えぇ。一度だけあったことがあるわ。」 そして、彼女は直後に重大なキーワードを口にする。 「“ルヴェラの伝説の力を全て受け継いだ”後の、彼らをね。」 ――!!!!!???? 聞き捨てならない、信じられないキーワードを。 「…今、“ルヴェラの力を受け継いだ”って…!!??」 「どういうことだ!?」 やがて、彼女は黄昏るかのように、窓辺によって、ゆっくりと語りだした。 「これは、あたしがゴーカイジャーと出会ったとき、そのリーダー、キャプテン・マーベラスから聞いた話よ…。」 次元世界最大の独裁国家・ザンギャックに反旗を翻す一匹狼の海賊だったマーベラスは、彼らが支配していたとある惑星に踏み入って、いつものように宝物をかき集めていた。 しかしその中に、それまで見たことのない、手のひらほどの大きさの赤い物体を見つけた。 その形は、“秘密戦隊ゴレンジャー”のアカレンジャーの姿そのもの。 しかもそれは、展開すれば鍵になると言う不思議なアイテムだった。 「それを渡してはくれないか?」 そのときに現れた人物。 それは、全身を真っ赤なスーツに包んだ、自らを“海賊と呼ばれる者”と名乗った戦士と、その相棒であろうオウム型のロボット。 その赤い戦士は言わば、“初代アカレッド”と呼ばれる存在だった。 「あんたにとって必要なものなら…、簡単には渡せねぇな!」 そう言ってマーベラスは、アカレッドと切り結んだ。 しかし、相手はスーパー戦隊の赤き勇者の化身。 その覚悟と戦闘技術は、そのときのマーベラスとは比べ物にはならなかった。 結果は言わずもがな、アカレッドの勝利だった。 「……オレの負けだ。」 ……やがて、彼の口から語られた、ルヴェラの伝説の戦士の逸話。 その力があらゆる世界に散らばったこと、それを集めればザンギャックと対等に渡り合えること。 それを知ったマーベラスは、アカレッドと共にレンジャーキーを集めて回る大冒険に旅立つ決心を固めた。 その道中で出会った、同じく“掴みたい夢を持つ”仲間たち―――。 元ザンギャックの特殊戦闘員、ジョー・ギブケン。 貧民ながらも強く生きていた女盗賊、ルカ・ミルフィ。 一度引き受けた約束は守る世話好きの科学者、ハカセことドン・ドッコイヤー。 故郷の星を滅ぼされた元王女、アイム・ド・ファミーユ。 そして、スーパー戦隊を心から愛するルヴェラ出身の青年、伊狩 鎧(いかり・がい)。 それぞれ経緯や生まれは違えど、ザンギャックを倒したいと言う目的は一緒だった。 こうして集まった、“夢を掴む勇者”たち。 彼らは、赤き海賊船“ゴーカイガレオン”を拠点に、アカレッドの指示の元、あらゆる世界でレンジャーキーを集めて回った。 「みんな、集まってくれ。」 そんなある日、アカレッドが彼ら6人を集めた。 「君たちのおかげで、全てのレンジャーキーを集めることが出来た。これだけあれば、君たちの敵であるザンギャックに対抗できる。」 傍らの宝箱の中には、数ヶ月間をかけて集めたレンジャーキーが大量に埋められている。 ざっと数えて、その数はおよそ200本。 スーパー戦隊の偉大さを物語る数である。 「これで、私の使命も終わった。」 『………!?』 いきなりアカレッドが口にした衝撃の発言。 もちろん、マーベラスも仲間たちもその言葉には耳を疑い、何を言い出したんだと思った。 「夢を掴む力を持った君たちなら、私の力がなくとも戦っていけるはずだ…。」 どこか感慨深い言葉を聴くたびに、一同の表情も戸惑いを隠せなくなる。 「おい、アカレッド…、仲間に気味の悪いこと言っている場合じゃ―――。」 「――いや、マーベラス。」 ――君は、私の後継者だ。 「!!!!」 このとき、一同は誰も予想していなかった。 アカレッドは、ゴーカイガレオンの船長の座を、マーベラスに譲ろうと言うのだ。 「…冗談だろ…、アカレッド…?」 マーベラスもその言葉には耳を疑わざるを得ず、戸惑いを隠せなかった。 私は元々、ルヴェラの世界を守るスーパー戦隊の化身。 数多の次元世界に散らばった力を集めることが、私の使命だった。 それは、ルヴェラを守る戦士たちの歴史を絶やさないためでもあったのだ。 …しかし、私一人だけでは全てを集めて回るのは、大きな困難を伴っていた。 それに、その力をいつの日か何者かに悪用される危険をもはらんでいた。 そんな危険に立ち向かうには、“私の力を受け継ぎ、大きな夢を掴む勇者”たちが必要だったのだ…。 マーベラス、ルヴェラの伝説の力と共に私の力を受け継ぎ、集めたこの力を守って欲しい。 そして、次元世界のどこかにこの力を受け継がせ、ゆくゆくはルヴェラの人間たちに、この力を返してあげて欲しい…。 「それができるのは、君だけだ。」 バイザーで目は確認できなかったが、マーベラスには分かっていた。 今までずっと苦楽を共にしてきた最大の友が、真っ直ぐな瞳で自分を見つめていたことを。 そして、その言葉に、ひとかけらの偽りも存在しなかったと言うことを…。 「…っ…!……じゃあ…、お前は最初から、俺にそれを託すために…!!」 震える声で問うたマーベラスの言葉を、アカレッドはゆっくりと頷く形で肯定した。 「みんな、私の友を頼むぞ。彼を支えられるのは、君たちだけだ。」 そして、マーベラスの両隣の仲間たちにも、自分の継承者としての頼みを継げた。 「……任せておけ、アカレッド。」 「あんたの夢はあたしたちの夢。必ず叶えてやるわ!」 「君からもらった勇気は、絶対に忘れないよ!」 「あなたの志は、私たちの胸の中でいつまでも息づきます。」 「スーパー戦隊の大いなる力、必ず守ってみせます!」 決意を固める5人、その言葉に揺るぎはなかった。 そして、迷っていたマーベラスも、ついに覚悟を固めた。 「お前ら…、俺についてきてくれるか!?」 「フッ、当然だ!」 「もちろん。」 「僕も!」 「はい!」 「付いていきます!!」 こうして、正式にガレオンの船長の座は、マーベラスに譲られた。 「ではみんな、最後にコレを!!」 ―――パチンッ! アカレッドが指を鳴らすと、6人の頭上にそれぞれ光の粒子が集まり、それらは小さな宝箱になり、彼らの手元にゆっくりと降りてきた。 マーベラスが徐に開けると、その中には赤い折りたたみ式携帯電話と、海賊の戦士を象った赤いレンジャーキーが収められていた。 『!!』 その中身を見た他の5人も、釣られて宝箱を開ける。 すると、ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人にも、マーベラスと同タイプの携帯電話と、青、黄色、緑、ピンクの海賊戦士のレンジャーキーが。 一方の鎧には、セルラータイプの携帯電話と、5人とは雰囲気の違う銀色の海賊戦士のレンジャーキーが収められていた。 「私の力の全てを集約させて生み出した変身携帯、“モバイレーツ”と“ゴーカイセルラー”、そして、君たち専用のレンジャーキーだ。ルヴェラの歴史に新たな名を刻む35代目のスーパー戦隊の証として、受け取ってくれ。」 「…!?35代目のスーパー戦隊!?…俺たちが…!?」 アカレッドが鎧の言葉に頷き、さらにこう続けた。 君たちは、夢を掴む力を秘めた、冒険とロマンを求める戦士たち。 宇宙帝国ザンギャックに反旗を翻し、“海賊”と言う汚名を誇りとして名乗る“豪快”なチーム。 そして、ルヴェラのスーパー戦隊の力を継承し、その力を多様に使い分ける最強の戦隊。 その意味を込めて、私は君たちにこう名付けよう! 海賊戦隊ゴーカイジャー!!!!!! これが、ゴーカイジャー命名の瞬間だった。 「ゴーカイジャー、か…。」 「面白そうじゃない!かっこいいし!」 「なんだかしっくりくるね。」 「はい。とてもいい名前です。」 メンバーたちはその名前も快く受け取ることにした。 すると、アカレッドの体が光に包まれた。 別れのときが来たのだ。 「どうやら、別れのときが来たようだ…。」 「アカレッド…!」 「マーベラス、必ずザンギャックを倒してくれ。頼んだぞ!」 その言葉を最後に、アカレッドは光の玉となってゴーカイガレオンを去った…。 マーベラスたちは初代アカレッドの遺志を受け継いだ“夢を掴む力を持つスーパー戦隊”、海賊戦隊ゴーカイジャーとして戦い始めたの。 そして彼らはその力を持って、ザンギャックの本拠地に乗り込んで彼らを壊滅させたってわけ。 「…………これがゴーカイジャーの真実よ。」 “ルヴェラの力の継承者”―――。 それは初代アカレッドの跡を継ぐものであり、ルヴェラの力を守る者を意味していたのだ。 「レンジャーズラグナロクの後にそんなことがあったなんて…!」 スーパー戦隊の力は、想いは、歴史は、完全には消えていなかった。 その事実は、アキッキーの心に最大級の波紋を残していった。 「だが、あのゴーカイガレオンのダメージを見る限りでは…。」 「えぇ…。痛み分けっていう結果になったんでしょうね…。船内を見る限り、多分、マーベラスたちは、もう…。」 トリンの予想通り、船内には人影すらもなく、船の本来の持ち主のマーベラスたちの姿すらもなかった。 「……そうですか…。」 アミタも、彼らの死を悟り、瞳を伏せる…。 「あ、そうだ。ちょっと待って!」 ふとアキッキーは気になっていたことを口にした。 「さっき、アミタちゃんたちとトリン、ゴーカイジャーのことを知っていたみたいなんだけど…、どうして!?」 すると、信じられない答えが返ってきた。 「実は私たち、そのゴーカイジャーたちからスーパー戦隊の力を分けてもらったんです。」 「私たちのパパが作った“ゴーバスターズ”のパワードスーツは、その力も参考にしているのよ。」 「っ!!何だって!!??」 そしてトリンとダイゴ、加えてその場にいながら沈黙を守っていたビッグコンボイも―――。 「私も、数億年前の惑星ベスティアで、ゴーカイジャーと知り合い、その力を譲り受けたことがあるんだ。」 「そういえば、そのときの“グランドビーストウォーズ”でも、サイバトロンやダイノソルジャーの味方として戦っていたって言ってたな。」 「…思えば、彼らの力がなければキョウリュウジャーも存在していなかったしな。」 「うそぉぉ!!??」 「…やっぱりね。あなたたちが月面で戦っている姿を遠くから見ていて、大方予想はしていたんだけど、マーベラス、しっかりと保険は残していたみたいね。」 そう、ゴーバスターズとキョウリュウジャーは、ゴーカイジャーの集めたルヴェラの力の欠片から生まれた新世代のスーパー戦隊だったのだ。 よくよく考えれば、宇宙空間を旅することは、時間と次元を超越することを意味する。 その移動手段を持つゴーカイジャーなら、その二つの軸を越えてあらゆる世界に力を伝えて回ることが出来るのは道理だが、アキッキーにとっては予想も付かない答えだったのだ。 ―――ピカアァァッ!!!! 『!!??』 突然、前触れなく発した謎の光。 カレン、ビッグコンボイ、トリン、アミタの4人からだ! しかも、カレンに至っては首もとのペンダントが強く輝いていた。 「これって…!!」 それは、かつてマーベラスたちとの別れ際に餞別としてくれた虹色の鍵だったのだ。 カレンはそのペンダントを取り外す。 さらに、ビッグコンボイ、トリン、アミタの3人も、カレンのそれと同じ虹色の鍵を取り出す。 「え…!?皆さん、もしかして…!?」 「この鍵も託されていたのか…!?」 ――フワ…ッ… 取り出された4つの“鍵”は、会議室の中央で正方形を象るように並び、それらの交わる場所から、光が発せられた。 その光の中から現れた6つの人影。 「「「「っ!?」」」」 その現れた人物の顔に、彼らは見覚えがあった。 いや、“久しぶりに会う”と言う表現が正しいだろうか…。 「マーベラス!!ハカセ!!」 「ルカ!!アイム!!」 「ガイ!!」 「ジョーさん!!」 『えええぇぇっ!!!???』 アキッキーたちはまたまたビックリ仰天。 そう、この現れた6人の幻影は紛れもなく、ザンギャックと死闘を繰り広げたゴーカイジャーたちだったのだ。 「俺たちと絆を結び、この鍵を受け取った仲間たちに…、俺たちのメッセージを残す。」 「この鍵は“ブランクキー”。アカレッドと別れた後、ザンギャックの拠点を目指す旅の中で見つけた、レンジャーキーの亜種とも言うべきものだ。」 「これを6本全て集めると、あたしたちの持つスーパー戦隊のレンジャーキーに、大いなる力が宿るらしいから、冒険がてらそれを探し当てたのよ。」 「だけど、この鍵の真の力を解放するには、僕らと同じくらい“夢を掴む力を持った戦士”の存在が必要らしく、残念ながら僕らはそれを引き出すことが出来なかった。」 「それに私たちは、ザンギャックを倒すと言うアカレッドさんとの約束を果たさなければなりません。そこで、その夢を次の代のスーパー戦隊の皆さんに託すことにしました。」 「この鍵を託された仲間の皆さん、いつの日か現れる“夢を掴む勇者”に、この鍵を渡してあげて欲しいのです。そうすれば、ブランクキーの本当の力を解放することが出来るはずです!」 「その謎が解け、ブランクキーの真の力が解放されるのを、祈っているぜ!頼んだぞ!!!」 そのメッセージが終わると、6人の幻影は消え、ブランクキーと呼ばれた虹色の鍵は、脱力したかのように机に落ちた。 「今のは一体…!?」 託された鍵がスーパー戦隊の力に関わる重要アイテムだったと言う事実。 カレンたちもこの事実は全く知らなかったのか、呆然とするしかない…。 ―――ヴィーッ!!!ヴィーッ!!! 『!!!???』 次の瞬間、エリアルベース全域に、警報が発令された。 “別のエリアで新たな転移反応確認”―――。 その報告を受け取り、現場に急行している面々がいた。 ハルヒとコースケを中心とする、タイムレンジャーとメガレンジャーたちである。 先ほどの戦闘で覚醒した、杏奈たちファイブマンと、ジェミニたちダイナマン、さらにハートキャッチプリキュアも同行している。 「やれやれ、一息つけるかと思ったら、急に援護に向かってくれなんて、無茶を言うもんだぜ。」 キョンがぼやく。 確かにこれだけ戦闘が長続きするとなると、休憩もしたくなる。 「仕方ありませんよ。ミッドチルダの建物が転移してきて、混乱の収拾すら儘ならないのですから。」 古泉は戦闘慣れしているのか、割り切っている様子だ。 「とにかく急ごう!他のミッドチルダの仲間たちを助けるのが先決だ!」 「そうよ!さっさと片付けるわよ!」 そう言ってハルヒは、サイバースライダーのスピードをさらに上げて先行していった。 その後に続き、一同もスピードを上げる。 そんな彼らの通り過ぎた通路の片隅に、“パルケ・テンテーレ”と言う名前の店があった。 その中身は各種ゲームを取り扱うゲームセンターである。 ふと、よく見ればその店内のゲームを物色する一人の少女の姿がある。 「な〜のだ、な〜のだ、な〜のな〜のだ〜♪」 猫耳を彷彿とする黄色い頭巾を被った、10代前半くらいの年齢と思われる外見で、謎めいた歌を口ずさんでいる。 「を?」 ふと彼女は一台のゲームに目が留まる。 “NEPTUNE”と書かれた紫色のアーケードゲームだ。 しかし、よく見ると…。 「壊れているのか?砂嵐で見えないぞ?」 他のゲームは何事もないように普通に動いている中、この一台のゲームだけ動作不良なのか、全然ゲーム画面が出てこない…。 「う〜ん…謎なのだ…。」 その少女はそのゲームを見つめてしばらく首を傾げていたが…。 「……ミキシングローバルの影響は、コンピュータの世界をも巻き込んだみたいね。」 ……え? 今、口調がいきなり変わってなかった!!!???
---to be continued---