Phase180 フュージョンワールド・パニック 〜Research No.25:天空の傭兵団と新GUNDAM登場!!であります。〜
善悪を問わず、月面において大集合を果たした、史上最大級の巨大軍勢。 そして、アキッキーですら知る由も無かった謎のGUNDAMアーマーの登場。 もはやこの怒涛の急展開は、誰にも止められなかった。 「姫子ちゃん、千歌音ちゃん、そのGUNDAMアーマーは一体…!?」 「アキッキーさん、その説明についてはまた後で!」 「今は、亜空軍を倒すのが先よ!」 さすがのアキッキーも収拾が付けられなくなってきているのか、大幅に混乱しかけている。 「アキッキー、彼女たちにも考えがあるんだろう。俺たちは敵に集中だ!」 「お、オッケー!」 しかし、今はそれに気を取られている暇はない! 眼前の敵に集中せねば! 「よし!行くぞ!」 『応ッ!!!』 身構えた連合軍一同が一斉に突撃を開始! 「くっ、怯むな!やれ!」 亜空軍たちもリフレクト星人の指示の元、進軍を開始した! 「始まったか!」 「あぁ。」 そのほぼ真下のラピッドハッチ付近に集まっているフォーゼたちも、その迫力の巨大戦を間近で見ていた。 「…ん…うぅ…。」 「いたたた…。」 ふと、その後ろで何やらうめき声が。 『!?』 振り返ると、先ほどの戦闘でドーパントとゾディアーツに変身していた4人の少女たちが目を覚ましていた。 「あれぇ?ここはどこなの?」 ご多分に漏れず、彼女たちも今までの記憶が欠落しているようだ。 「お姉ちゃん!良かった!」 「え?ひかげちゃん?」 しかし、一部は顔見知りの無事が確認できて安堵しているようだ。 「一体どうなってんだ?」 その疑問に答えたのは―――。 「気が付いたようね。」 「?!…八雲紫!!」 紫(ゆかり)と呼ばれた一人の女性だった。 「社長、どうしてここに!?」 「説明してあげたいんだけど、そんな状況じゃないのよね…。」 再び巨大戦。 武器と鋼の肉体のぶつかり合いが続く中、小さくて小回りの聞くGUNDAMを纏った姫子と千歌音は、その機動力を活かして敵軍を翻弄する。 『うぁっ!』 『あぁぁっ!!』 「「!?」」 ふと、二人の耳に何かが聞こえた。 人の…、それも女の子のうめき声!? 違和感を感じ取った二人は急速上昇し、その出所を探る。 「千歌音ちゃん、今の…!」 「うん…。」 精神を集中し、先ほどの声の出所を探る…。 『ここは…どこなの!?』 『体が…勝手に…!!』 『もうやめて…!』 『誰か…助けて…下さい…!』 『きゃあぁぁ!!!』 「「!!!!!」」 その叫び声を聞いた二人は、ビルドマイザーを開いて連合軍全員に一斉回線を繋いだ。 「皆さん、大変です!」 「あの“敵メガゾード5体”から、人間の女の子の叫び声が聴こえます!!」 『何だって!!??(何ですって!!??)』 二人の巫女の通信には全員が耳を疑った。 『二人とも、それ、どういうこと!?』 「分かりません。でも、確かに女の子の苦しそうな声が聴こえるんです!」 亜空軍の転送によって召喚されたα、β、γ、δ、εの5体から女の子の声!!?? これは一体どういうことなのか!? 「あれ!?ちょっと待って!」 その話に待ったをかけたのは、意外にもキュアハッピーだった。 「その状況、どこかであったような…。」 脳裏に引っかかる覚えのある展開。 「……ああぁっ!!思い出した!!!」 その記憶を辿った結果、まさかの仮説に行き着いてしまった。 「以前あたし、バッドエンド王国って言う敵が作った発明品で巨大ロボットにされたことがあるんだけど、あのメガゾードって言う敵ロボットも、それと同じ道理だとしたら……!!!!」 彼女の発言を聞いてその場に居た一同が言葉を失った。 「まさか…!あの敵ロボットは人間そのものが変えられた姿だと言うのか!!??」 トリンの打ち立てた推測は、賢吾の解析でさらに現実味を帯びる。 「あながち間違いじゃなさそうだ…!見てみろ!」 賢吾の持つカバン型コンピュータで解析画像を一同に見せる。 その画像は、連合軍全軍のモニターにも届いていた。 「メガゾードの心臓部にそれぞれ一つずつ人間の生体反応が確認された!しかも、特殊なエネルギーで洗脳処理が施されている上に、メガゾードそれぞれの神経中枢部にリンクするように組み込まれている!メガゾードを破壊したら、中の人間まで確実に死んでしまう!!」 『何だと!!??』 『そんな!!』 予想し得なかった展開に全員が攻撃を躊躇った。 メガゾードに人間が使われているとあれば、人質も同然。 迂闊なことをすればとんでもないことになってしまう…! ―――ドッカアアァァァン!!! 『!?』 いきなりの爆発音!? その方角は―――大列車フォートレス!!?? 煙の中から現れたのは―――真っ黒な列車型ロボット?! しかもマイトガインと瓜二つ!!?? 『あれは、ブラックマイトガイン!!?』 ふと、そこに大列車フォートレスの一同から通信が入った。 『舞人、大変だ!ブラックマイトガインがいきなり暴走を開始した!気をつけろ!』 「何だって!!??」 するとブラックマイトガインは前触れ無しに剣を抜刀し、マイトガインに襲い掛かってきた。 間一髪でよけるマイトガインだが、どうしていきなりブラックマイトガインが?! あの機体はこちらで回収していつでも味方の戦力として動かせるようにしていたはずなのに…!? 「くっ、一体どうなっているんだ…!?」 『俺たちが操縦してんだよ!!ゲヘヘ!』 モニター越しに現れたのは、異形の怪人4体だった! 「サイバギルド!バラハッカー!ケバキーアに、マモリガミ!?全部ハッキング専門の怪人たちじゃないか!!!」 またしても意外な展開に驚くアキッキー。 ―――実は、遡ること僅か2分前。 大列車フォートレスたちがシードピア衛星軌道上に合流した直後――。 「ほぉ…なかなか面白いものを積んでいるではありませんか。」 遠巻きにその出現を見届けていたエンターが、PCを使ってフォートレス内部をスキャンしており、ブラックマイトガインの存在をいち早く察知していたのだ。 「一つ、この後の戦いに花を添えてあげるとしましょう。」 そして、懐から4枚のカードを取り出し――。 「カイジンライド、インストール!」 <KAIZIN RIDE、“CYBER-GUILD”、“BARA-HACKER”、“KEBAKIIA”、“MAMORIGAMI”> 特殊無線経由で大列車フォートレス内部に怪人たちを忍び込ませ、警戒が緩む機会を伺っていたのだ。 予想だにしなかったハッキング怪人軍団の強襲攻撃。 そして、人間そのものが使われたやも知れない敵メガゾード5体。 さすがの連合軍もこれには悪戦を強いられてしまう。 「おい、これどうすりゃいいんだ!?」 「そうは言っても、敵ロボの動力に人間が使われているとなると、攻撃が出来ないでござる!」 連合軍も慌てふためく大混乱状態。 「フフフ、どうやらこちらが優勢になってきたようですね。一気にカタを付けてあげましょう!」 その様子を見たリフレクト星人、好機と言わんばかりの自信を胸に、一気に攻勢に打って出る―――。 ――ドバババババッ!!! ――キンキンキン!! 「ぬおっ!!??」 その反撃の出鼻を挫いたマシンガン攻撃。 上から!? 全員が視線を見上げると、真っ赤なジェット機と、先端にドリルを付けた大型の戦闘機が迫ってきていた。 ―――ウイイィィンッ!! …と思ったら、それらは大型の戦闘ロボに変形したではないか!!! 「飛龍!?轟龍!?まさか…!!」 舞人の脳裏に過った予感は当たっていた。 『情けないぞ、マイトガイン!旋風寺舞人!』 『俺のライバルがこの程度で怯むなど、片腹痛いぞ!』 「ウォルフガング!ジョー!」 かつてマイトガインたち勇者特急隊と幾度なく激戦を交えた存在である二人が、シードピアの最前線に合流した。 『総監!11時方向から新たな熱源反応が!』 『何!?』 さらに、フェニックスネストでオペレートに当たっていた一同が何かに感づいた。 「むっ!?あれは!!」 トリンもその存在に気付いた。 現れたのは、空母を彷彿とする大型の機動戦艦だった。 すると、その戦艦から巨大な影が飛び立った。 それはなんと、カエル型のメカ5体分が合体したかのような、独特且つ奇抜なデザインとカラーリングの合体ロボットだった。 「喰らうであります!“ケロンミサイル”!!」 飛び立ったロボットは、自信の右腕から無数のミサイルを乱れ打ちし、敵軍を一気に翻弄させた。 「ぬおっ?!なな、なんですか!?」 リフレクト星人も虚をつかれて怯んだ。 「バレル殿、マグナ殿、ガルム殿!」 「「「おう!!!」」」 その瞬間、謎のロボットから3人の影が一斉に飛び出し、ブラックマイトガイン目掛けて迫ってきた。 「ホークアイ・ショット!!!」 「サイクロンソーサー!!」 「スティンガーサーベル!!」 ―――ズドドドッ!!! 『ぬおっ!!??』 ブラックマイトガインを乗っ取ったハッキング怪人たちは予想外のダメージにバランスを崩し、後ろに倒れこんだ。 ―――スタッ 「ふん、他愛もない。」 「やっぱ“プラズマ怪獣”相手じゃなきゃ、張り合いがねぇな。」 トリンたちのもとに降り立った3人の影。 しかし、その姿は明らかに人間ではなかった。 その3人の正体に一足早く気付いたのは、フェニックスネストの一行だった。 『“ドキュメントファイル”に該当データ確認!それぞれバルタン星人、ガッツ星人、マグマ星人に酷似しています!』 「敵か!!??」 ――ジャキンッ!! フォーゼたちとプリキュアたちも、思わず身構えるが――。 「待ってくれ!」 『!?』 トリンが彼らの間に入った。 「エリアルベースが見えたから、まさかとは思っていたが…。」 「…獣電戦隊の指揮官、賢神トリンか。」 『…!?』 トリンの確信的な一言と、バルタン星人の一言を聞き、一同が“え!?顔見知り!?”と疑ったのは言うまでもない。 <“Teleport”、Now> そんな彼らの近くに魔法陣が出現、中から現れたのは、バイクに乗った二人の男女――メディアステーション通信施設でシードピアデビュー戦を飾った、“仮面ライダーウィザード”ことラティオと、そのパートナー・ラミィだ。 「シードピアの月面に着いたか。」 「結構派手にやってるわね。」 ふと、そのウィザードの姿を見たフォーゼ、“同じヒーロー”の登場に親近感を沸かせた。 「お?なんだ、お前も仮面ライダーか?!」 「え?君も?」 ――ドガァンッ!! 「うあっ!!」 敵軍の攻撃を喰らったのか、ウルトラマンマックスがバランスを崩して倒れこんできた。 「うわわああぁぁぁ!!!」 「ゲゲッ!!??」 さすがにこれは逃げられない!!! 「危ないっ!!!」 <“ビッグ”、プリーズ> 咄嗟の判断でウィザードがリングの力を発動させ、魔法陣を出現させた。 そこに手を突っ込むと―――。 ―――ギュオオォォンッ、ガシッ! 「ぅぉ!?」 『で、でかっ!!!!』 なんとウィザードの手から二の腕が巨大化したではないか!! その腕がマックスの体を軽々と支えた。 「大丈夫!?」 「あ、あぁ。サンキュー!」 ウィザードのおかげで体勢を立て直すことが出来たマックス。 再び戦線に戻っていった。 「それにしても、さすがにこれはちょっとまずいわね…。」 戦況を見据えていた紫が、状況の打破を考えていたところ、“一つの手段”が浮かんだ。 「永琳、“あれ”はできてる?」 「!…もちろんですわ、社長。」 名を呼ばれた永琳は、もしものときのために持ち出していたアタッシュケースを取り出し、その中身を紫に見せた。 それを確認した彼女は―――。 「霊夢、マリサ。」 「「?」」 先ほど怪人にされた二人を呼び出した。 「あなたたち、チルノたちと一緒に戦ってみる気はある?」 「「……え?」」 呼び出された二人、突発的な紫の質問に言葉を詰まらせる。 数刻ほど間を置いて、二人はその答えを返す。 「……それは、もし戦えるんだったら。」 「…えぇ。」 その答えを聞き、紫は笑みを浮かべ――。 「あなたたちに、そのチャンスをあげるわ。」 ――パチンッ 彼女は指を鳴らすと、永琳が二人の傍により、先ほどアタッシュケースの中身を見せる。 そこに入っていたのは、白と赤の携帯電話と、青と白の携帯電話。 さらにそれと連動するであろう特殊ブレスレットが2本入っていた。 「うお?!それって…!!」 「私たちのと同じ…!!」 そのアイテムを見て仰天した、彼女らの仲間であるメイリン・ロックハートと兄沢命斗。 …というのも、実は二人も“数年前”に同様の力を授かっていたのである。 「そう。メイリンと兄沢さんに託したものとは別に、“新しく発見されたシードクリスタル”を使って開発した、“新世代GUNDAMギア”シリーズ。出来立ての新品よ。」 「マリサ、霊夢、これがあなた達の新しい力よ。」 自分たちがGUNDAMとして戦う。 願っても見なかった目の前の現実に、二人は半信半疑だった。 しかし、今の二人には、“旨く使いこなせるか”とか言う不安よりも―――。 「……やってやろうじゃん!」 「まぁ、やられたままなのは嫌だから、やるわよ。」 “敵に操られた鬱憤を晴らしたい”と言う欲望が心にあったため、二人は躊躇いもなくGUNDAMギアを受け取った。 「ちなみに使い方は…分かるわよね?」 「もちろん!」 「兄沢さんと姐さんの戦いを見ていれば、見よう見まねで出来るわ!」 そんな二人の傍に、その“本人たち”も並び立つ。 「そんじゃ、見せてやろうじゃんか!」 「私たちの世界“イストファンタジア”のGUNDAMの力を!」 「あなたたちに付いてくわよ!」 「行くぜ!」 ―――カチャッ!!! ―――5・1・0+ENTER ―――9・0・6+ENTER ―――4・2・9+ENTER ―――8・1・4+ENTER 『Activation!!』 そのプロセスを見て目を疑ったのは―――。 「え!?」 「うそ!?」 「まさか…!?」 GUNDAMの存在を知る者と、GUNDAMを纏いし者だった。 ―――ガンダム・アーマー、ビルドアップ!!!! 『Stand by Ready、Build UP!!!!』 その瞬間、GUNDAMギアを発動させた4人が光に包まれ、彼らは見覚えのある個性的な装甲に包まれた。 メイリンはリアルワールドの三国志を彷彿とする龍をモチーフとした中華風の鎧を。 兄沢は格闘家をイメージしたであろう、近接戦闘重視のスタイルのGUNDAMアーマー。 マリサは高速戦闘を想定したと思われる、青と白を基調とした装甲。 霊夢は一角獣を彷彿とする頭部の一本の角が印象的な真っ白な鎧。 それぞれ個性的過ぎるガンダムアーマーを纏っていた。 後にそれぞれ、“KUURON”、“GOD”、“AGE”、“UNICORN”と呼ばれることになるその4つの鎧、それらはもちろんシードピアにとっては未知なるガンダムアーマー、ましてや別世界にシードクリスタルが存在することなど、シードピアの住人たちは愚か、連合軍一同、亜空軍一同ですら全く考えもしなかったのだ。 しかし一方で―――。 「軍曹さん、あれって、GUNDAMですよね!?」 「うむ、間違いないであります。」 「プラズマ界に伝わる伝説の“巨神ガンダム”の欠片、シードクリスタル。その力は継承されているようでござるな。」 「クックックック…、ますます面白くなってきたな。」 「ケロロ、我らも負けてはおれんぞ!」 「もちろんであります!行くでありますよ!!」 カエル型戦闘メカに乗るパイロットたちが怪しい会話をしていたことを、一同は知らない…。 「おおぉぉっ!こいつはすげぇ!」 「これが、GUNDAMアーマー…。」 初めてその力を纏った霊夢とマリサ、かたや興奮しており、かたや戸惑いを隠せない様子。 「さあ、その力をみんなに見せてあげるのよ!」 「おっしゃあ!任せとけ!」 「行くわよ!」 永琳の合図とともに、兄沢とメイリンが先に出撃した。 「元ソルジャー・チルノ。彼女たちとともに戦ってあげて。」 「もちろん!イストファンタジアの外だろうと、世界の平和はあたいが守るのさ!」 まだまだ戦い足りないチルノも、紫の願いを受けて引き続き参戦だ。 「ふふ。チルノといると、ホントに退屈しないわね。」 “仲間”であるルーミアも、そんな彼女の乗りに付き合う。 「よぉし、また共闘と行こうじゃないか、ヒーロー!」 「オッケー!!」 ―――ミラージュグリフォン、召喚!!! “熱血的”とも言うべき性格のチルノとマリサの二人が同時に飛び出す。 チルノの獣王・ミラージュグリフォンとともに…。 「助けてもらった借り、早速返すわね。」 「足を引っ張らないでね。」 そして、霊夢とルーミアも、飛び立つ。 その傍らには、いつの間にか召喚されたルーミアの獣王・ファントムぺリュドンの姿もあった。 「………あ!いけね、ボーっとしている暇なかった!置いていかれる!」 新たなヒーローの登場に呆然としていたフォーゼ、この乗りに遅れてなるものかと自分もコズミックステイツに変身する。 「電子星獣ドル!!」 そしてギャバンも自身の宇宙船とドッキングさせていた電子星獣を分離させた。 「フォーゼ、俺と一緒に乗ってくれ。」 「お、サンキュー!」 ギャバンはフォーゼを誘い、一緒に乗る。 「ラミィ、この場は頼む。」 「気をつけて。」 <“ドラゴラァァイズ”、プリーズ> さらにウィザードも、自身のパートナーである魔竜・ウィザードラゴンを召喚し、乗っていたバイクと一緒に背中に合体、“ウインガーウィザードラゴン”となって戦線に合流していった。 ―――バリバリバリ……!!! メディアステーション某所、稲光を発しながら開かれた亜空間のゲート。 そこから現れたのは、短剣を思わせる白銀のアイテムを手に持ち、左肩に赤いウルトラ戦士の人形を乗せた一人の青年だった。 さらにその背後には、海洋生物を思わせる赤い顔のエイリアンの姿も。 「ここですね、シードピアと言う世界は…。」 「あぁ。私の兄弟や同族のウルトラ戦士たちも、この世界に来ているはずだ。」 目的の場所に到着したことを確認した青年は、背後の宇宙人に眼を向ける。 「ここまで案内してくれて、ありがとう。」 「…礼には及ばんよ。たまたま次の世界に向かう旅の途中だったからね。」 見た目は少々不気味な印象を覚えるかもしれないが、それほど悪い人間ではなさそうだ。 「しかし、興味深いものだな。ウルトラマンメビウスと縁のある存在だったとは…。」 「私も君のその顔を見たときには、彼と見紛うほどに驚いたよ。」 その言葉を聴き、自重するかのように青年は笑った。 本来なら、宇宙の果てで命を落としている存在だったのだから…。 「ウルトラマンメビウスが、僕の魂と姿と想いを受け継いで、戦ってくれていたんですね…。」 自分と瓜二つの彼が、この世界で自分の代わりに戦って、友を、仲間を作ってくれた。 どれだけ恩返ししようともしきれない、感謝の気持ちで、青年の胸は一杯だった。 「今度は僕が、彼を助ける番ですね…!」 「あぁ、行くぞ!」 決意を固めた青年は、踵を返す。 「…メトロン星人さん、本当にありがとう。」 背後の宇宙人に改めて礼を言い、彼はそのまま走り去った。 「フッフッフッ…。」 メトロン星人はしきりに小さく笑い、なぜか手元に持っていた“メトロン茶”と言うお茶の缶を飲む。 「せいぜい、君らの活躍を祈らせてもらうとするよ…。」 ―――………バン・ヒロトくん。 ―――プァァァンッ!!! ―――プシュウゥゥッ 電車の警笛音が聞こえたと思いきや、ゲートが開き、そこから複数の少年少女たちが続々と出てくる。 時の砂漠において亜空軍を一掃したCVP連合一同だ。 もちろん、ウルトラマンゼロと一体になった井豪ヒサシと、ゼロの仲間であるミラーナイトとグレンファイヤーも一緒である。 ちなみに、後者二人は現在、人間の等身大サイズとなっている。 「それにしても、まさか一度死んだ人がウルトラマンになるなんて、予想もしなかったな…。」 ベルーノは、前触れなく戦線に合流したゼロの適合者・ヒサシの存在に改めて驚愕していた。 そして、ヒサシの傍らには、彼との願っても見なかった再会を喜んでいた麗と孝がいた。 麗に至っては腕に抱きつくほどである。 かつて恋仲関係にあった影響か、その気持ちがぶり返している可能性も考えられそうだ。 「私たちも彼を選んだ経緯は聞いていたが、こんなところでその知り合いに出くわすとは思わなかった。」 「本当なら、再会をゆっくりと楽しませたいところだが、まだまだそういうわけにもいかなそうだな。」 …確かにグレンファイヤーの言うとおり、この瞬間にも亜空軍はメディアステーションの各所で大暴れしている。 しかも、ミッドチルダや他の異世界のものまでもが融合している未曾有の大混乱とあらば、その収拾を付けなければならないのだから。 「メディアステーション内の案内は僕らに任せてくれ。生まれてからずっとこの内部で暮らしてきたからね。」 「おう、よろしくたのむぜ。」 吾郎の先導の下、早速移動することに―――。 ―――ピカアアァァッ!!! 『!?』 突然強い光が発せられた。 その方向を向いてみると―――。 「あれは…月、ですか!?」 メディアステーションの窓から見える月。 衛星軌道上に存在し、月からもそれほど遠くない位置にあるメディアステーションは、衛星自体がゆっくりと自転していることもあり、どの場所でも月を見ることが出来る。 一同の出てきた場所は、偶然、月の見える位置にあったらしい。 「どうやら月面にも亜空軍が現れたようですね。」 キノが望遠鏡で月面の戦いを目視で確認する。 「スマッシュブラザーズは大丈夫でしょうか。」 一同が心配そうに月面を見つめる。 ―――ピシッ 「?」 ふと、望遠鏡で月を見ていたキノが、何かの異変に気付いた。 「キノさん、どうしました?」 「…見間違いでしょうか?今、月の表面に、ひび割れが…。」 『…………………………は!!!???』 キノの言葉に全員が耳を疑った、次の瞬間――――。 ――ピシピシピシピシ……!!!! ――バコッ!!! 「あ。」 『い!?』 『う!!?』 「「え!?」」 「お…!!」 これには全員、言葉を失った。 自分たちの目の前で、月が真っ二つに割れてしまったのだ。 数刻の間を置いて、全員が揃って同じツッコミを入れたのは、言うまでもないかもしれない………。 『何がどうしてどうなったぁぁ!!!!!?????』
---to be continued---