Phase173 フュージョンワールド・パニック 〜Research No.18:新・星・合・流 -New Heroes Morphing Time-〜
―――フロニャルド????? 「な、なんやそれ?」 ムゲンゴミバコを通じてシードピアに合流してきた、獣の耳と尻尾を持つ謎の一団。 その彼らのことをトーマとJ、そしてレンジャーズストライク一同が知っていたために、その説明に取り掛かることにしたのだが、案の定、シードピア連合一同は聞きなれない場所の名前に首を傾げる。 「“バサラワールド”って言う世界に存在する大陸の一つで、僕たちR.S.が訓練の一環として度々訪れている場所なのです。」 「その際に、何度も彼らに世話になってな、俺たちの戦いの基礎として学ばせてもらっているんだ。」 トーマとJがその説明に入り、少しずつではあるが、状況を把握しつつある。 「それにしても…。」 ふと、コクリコが口を挟みつつ、フロニャルドの一行に視線を訝しげに見つめる。 「…?」 視線を向けられた一行は首を傾げる。 「みんな、普通の人間なんだよね?どうして、犬の耳や尻尾がついているの?」 その疑問に賛同するのは七世。 「あたしも思った。リニスさんと同じって言う意味だったらわかるけど…。」 そう、獣の耳と尻尾を持つ者という点ではリニスもある意味同類だが、彼女の場合は魔力を使って生まれた“使い魔”。 それを持つのは、動物として生きていた頃の名残でもある。 「まぁ、疑問に思うんは無理もないんやけど、これが普通なんよ、彼女たちにとって。」 「ボクたちも最初はあなたたちと同じ気持ちだったので、それはよくわかります。」 「だが、見慣れてみれば結構可愛い連中だぜ☆」 違和感を感じる光景だが、親交の深いR.S.にとっては見慣れていることらしい。 「さて、姫様、勇者殿、それに皆様方、戸惑っていらっしゃる方々に、自己紹介をされてはいかがですか?」 ふと、ヴィクトーリアが一行に自己紹介を促す。 それを言われて顔を見合わせた一同、そういえばまだ名乗りもしていなかった…。 「それもそうですね。」 言葉を受け取ったピンク色のお姫様が、金髪の青年とともに一歩前に出た。 「皆様、初めまして。フロニャルドの“ビスコッティ共和国”が代表領主、ミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティと申します。」 「僕はシンク・イズミ。ビスコッティの姫様に選ばれた“炎の勇者”です!」 その二人に続き、他の面々も自己紹介をする。 「ビスコッティ騎士団長、ロラン・マルティノッジだ。」 「ミルヒオーレ姫親衛隊隊長、エクレール・マルティノッジです。」 「ビスコッティ王立研究院主席、リコッタ・エルマールであります!」 「そして、ビスコッティ騎士団隠密隊頭領、ブリオッシュ・ダルキアンと―――。」 「同じく、隠密隊筆頭、ユキカゼ・パネトーネでござる!」 改めてそれぞれで握手を交わす一同。 その一方で―――。 「あら?そういえば、わたくしたちもまだ名前を名乗っていないのでは?」 「「「あ。」」」 ヴィクトーリアたちも自己紹介していないのに気が付いた。 「そういえば忘れてたな。」 「ドタバタしていたしな。」 …ということで―――。 「改めて自己紹介いたしますわ。レンジャーズストライクメンバーの一人、ヴィクトーリア・ダールグリュンと申します。」 「同じく、特別隊員のミウラ・リナルディです。」 「ウチの名前はジークリンデ・エレミアや。よろしくな。」 「そして、R.S.の“砲撃番長”、ハリー・トライベッカだ!よろしく!」 改めて交流をかわす一同。 意外と和やかなムード? ―――プルルルルルルッ! 「!?」 トーマのアクセルラーに通信が入った。 仲間のリオ・ウェズリーからだ。 ―――カシャッ、ピッ 「リオちゃん、どうしたの!?」 ―――ブゥンッ 空間モニターが飛び出し、全員にも様子が分かるようになっている。 そこに映っているリオの口から予想もしない報告が飛び出した。 『トーマさん、大変です!アキッキーさんと通信が繋がらないんです!どうも、大きなトラブルに巻き込まれたらしいんです!』 ――!!!??? 連合軍は耳を疑った。 アキッキーが音信不通だって!? 「ミク!聴こえるか!?アキッキーがどこにいるか検索しろ!」 Jが慌てて“スピリット・オブ・レンジャー”のミクに連絡をとり、アキッキーの所在を確認する。 『それが…こっちもアキッキーを探しているんだけど…、メディアステーションにはいないみたいなの。』 『考えたくないけど…、どこかのタイミングで亜空軍の作戦にひっかかっているかもしれないわ。』 耳を塞ぎたくなる結果と、サツキの推測に、全員が言葉を失う。 「お兄ちゃん…!!」 妹のマリアも、ただならぬ不安に体を振るわせる。 月並みな言葉だが、Jとサツキは不安を隠しきれない声で、全員に口を開いた。 「あいつが無事に戻ってくるのを祈るしかない…!」 『そうね…、アキッキーを信じましょう。』 「お〜い!」 「!」 亜空間を彷徨うアキッキーたち一行は、そこで出会った壮年の男に連れられ、キャンプを張っている場所まで案内されてきた。 そこには、彼の仲間と思しき一人の少女の姿もあった。 「烈さん!」 「静夏(しずか)ちゃん、どうだ、状況は。」 「何も変化は見受けられません…。」 「そうか…。」 情報を共有するも、やはり依然として解決の糸口は見つかっていないと言ったところか…。 「あの…、そちらの方たちは…?」 「あぁ、ついさっき見かけた人たちだ。彼らも君と同じく、亜空間に巻き込まれてここにたどり着いたらしい。」 「そうでしたか。」 会話から察するに、どうやらこの静夏と言う少女も、いつの間にかこの世界に迷い込んでしまったらしい…。 「とにかく、まずは火にあたって一休みしなさい。」 「はい、すみませ―――。」 「待って!!!」 『!?』 ピュラがいきなりストップをかけた。 「姉さん、どうしたの!?」 パトロが心配して彼女のところに駆け寄る。 よく見ると、ピュラの右手が異常なまでに震えている…。 「どうした?具合でも悪いのか!?」 「…違うの…。」 すると、震える声ではっきりと言った…。 「…来る……!」 ――……闇が来る!!! 「闇が来るって…!?まさかっ!!??」 「伏せろっ!!!!」 アキッキーの悪い予感の一言と共に、烈が異様な殺気に感づき、全員がその場に伏せた。 ―――バリバリバリッ!!! ―――ドカドカドカアァァンッ!!!! 次の瞬間、上空から降り注いだ雷の攻撃がアキッキーたちの周囲に降り注いだ。 「ッ!!!!!!」 直後にアキッキーは真上を見上げた。 普通の人間の肉眼からすれば、何も見えないが―――。 ―――チャキッ! 「そこか!!!!!!」 ―――ドンドンドンッ!!! ―――キンキンキンッ!!! アキッキーにはその影が見えていた。 そして、雷を放った張本人も、アキッキーの放ったゴーカイガンの玉を弾くことで返答した。 ……悪い予感が最悪の形で的中した。 アキッキーはそう思っていたかもしれない…。 空から舞い降りた青い体の魔性の天使が、その証である…。 「どうやら、多少なりとも腕は上げているようだな、アキヨシ・エンリュウイン…いや、アキッキーと呼ぶべきか?」 「……ブラジラ…ッ…!!!!!!!!」 現れたブラジラの威圧感と邪悪なオーラを感じ取っているのか、烈とパトロたちも後ずさりする。 静夏に至っては足が少し竦むほどだった。 「どうやらみんなと別れた直後、ボクをこんなところへ隔離した張本人はお前みたいだな。」 「その通りだ。お前に動かれると少々厄介なのでな。ここでお前を抹殺することにした。今頃は他の奴らも我が軍勢の者が倒していることだろう。」 こうなってはますますメディアステーションの連合軍の状況が気にかかってしまう。 「そうはいくか!お前を倒してここから出てやる!」 「フン、粋がるか・・・・・。セルバンテス!」 ―――ドンドンドンッ!!!! 『!!!!!』 すると突然、アキッキーたちの後ろから銃撃が。 驚いて振り向いた彼らの前に、いかにも悪の海賊といった感じの男が現れた。 全身が紫がかっており、右手には柄の部分が銃になっている短剣、左手には魔性の剣を持つ、白髪・白髭の壮年の男。 修羅場を潜り抜けてきた影響か、アキッキーは本能的にこの男が敵であると感じる。 「お前は!?」 「我が名はセルバンテス・デ・レオン。“バサラワールド”の西方の海を暴れる大海賊だ!」 「「…!」」 (あの男がセルバンテス…!) (噂の大海賊…!) アキッキーがセルバンテスの存在にたじろぐ一方、パトロとピュラは彼の存在を知っているかのような傾向を見せている。 そんなことなど露知らず、セルバンテスは自身の持つ剣の切っ先をアキッキーに向ける。 「悪いがお前には縁もなければ、恨みもない。…だが、お前が持っているその武器の本来の持ち主に恨みがあってな、それを晴らさせてもらう!!」 セルバンテスの意外な一言にアキッキーは思わず自分の武器を見やった。 「!?…この武器を知っているのか!?」 ―――ドンドンドン!!! 「うあっ!?」 しかし、アキッキーのその質問に答えることなく、セルバンテスは短銃剣を撃って攻撃を開始した。 「くっ、仕方がない…!」 ―――ソウル変身・アカレッド!!! ―――CHANGE、“AKARED”!! 語る口なし。 そう判断したアキッキーはやむを得ず、アカレッドに変身する。 「「!!」」 その“見覚えのある”姿に、静夏と烈は目を見開き―――。 「「!?」」 逆に“見たことのない”姿を見たパトロとピュラは驚きの目を向ける。 そんな視線の中、アキッキーは“ゴーカイサーベル”と“ゴーカイガン”を構える。 「フン、まずは小手調べだ!出でよ、先兵共!!」 <KAIZIN-RIDE、“DUSTERD”、“ZOROO-TROOPERS”、“YARTOTTO”、“GURINAMU-TROOPERS”> まず、ブラジラが“先兵”としてカイジンライドカードにより召喚したのは、以下の戦闘員がそれぞれ8体ずつ。 ・仮面をつけた忍者=“ゾディアーツ”の生み出す“星屑忍者ダスタード” ・赤い蟻が擬人化したような兵士=“改造実験帝国メス”の兵士“ゾロー” ・海賊の下っ端の様なフォルムの怪人=“宇宙海賊バルバン”の賊兵“ヤートット” ・体に炎の様な模様のついた戦闘兵=“次元船団バイラム”の“グリナム兵” 「なるほど・・・・でもこれぐらいなら!」 造作もないと踏んだアキッキーは、一気に勝負をかける! 「ソウル降臨!レッドワン!!」 <CHANGE、“RED-ONE”> レンジャーチェンジャーにカードを装填し、近未来的なデザインの赤い戦士に変身した。 「バイオソード!」 即座にこの姿での固有武器を抜刀し、まずはヤートットとダスタードたちを圧倒。 「ファイヤーソード!」 続けざまにその剣の刃に炎を纏わせ、残りのヤートットとダスタードを片付けた。 「次はこれだ!!ソウル降臨!チェンジドラゴン!!」 <CHANGE、“CHANGE-DRAGON”> レンジャーチェンジャーの音声と共に腕を上げたアカレッドは、頭部にドラゴンの紋章をつけた戦士へと姿を変えた。 「チェンジソード・ガンモード!」 ベルトのホルスターの銃を抜き、ゾローとグリナム兵を蹴散らす。 「アースフォースよ、我に力を!!」 そして、その体に大いなる力を込めたアカレッドは―――。 「ドラゴンアタック!!」 必殺の体当たり攻撃で残りの戦闘員たちを一気に吹き飛ばした。 「ほう…、なかなかやるな…。」 「すごい…!」 その戦いぶりを見ていた烈たちも感心の目を向ける。 しかし、あくまでこれは様子見だったらしく、ブラジラはまだまだ余裕だった。 「さすがだな。なら、貴様にはとっておきの刺客を相手にさせよう!!」 すると、ブラジラは大型のランチャー状の銃を取り出し、弾を込めると思われる部分に数個の漆黒のクリスタル状の物を入れる。 「そんな物でボクを倒せると思っているのか?」 「甘いな、これはこう使うのだ!!」 ―――バキュウゥゥンッ!! 上に向け銃を放つブラジラ。 すると銃口から6つの黒い光が飛び出し、アカレッドの前に降り立ちその姿を変えた。 「っ・・・これは!?」 そこに現れたのは“フリーダムを装備したキラ”、“仮面ライダーファイズ”、“仮面ライダーブレイド”、“シンケンレッド”、“キュアムーンライト”、“R1”だった。 しかし、そのすべてがバイザーや体のパーツの色が異なっており外見が一部異なる者もいた。 「どうだ、我が亜空軍が開発したコピー兵器“フェイク・ドローン”は!!」 「フェイク・・・・偽物って事か!!」 この意外な敵の出現には、アキッキーも想定外だった。 「それだけではないわ!!」 ―――パチンッ セルバンテスの合図で、ブラジラ達の後ろからフードをかぶった8人の人物が現れる。 彼らのうち3人が不気味なスイッチを、残りの5人がUSBメモリに似た物を取り出す。 アカレッドはかつてディメンジョントレインジャック事件で対峙した敵が持っていた物、そして合流後トーマたちから報告を受けていたある物の存在が脳裏をよぎる。 「あれは“ガイアメモリ”!?それにもう1つの物は・・・・“ゾディアーツスイッチ”か!?…まさか!!!」 「そう……。そういう事だ!!」 <T-REX> <SWEETS> <ARMS> <LIAR> <KOKOROOTOMEDESU> ガイアメモリを持っていた5人は、不気味な音声とともにメモリを起動させ、それを体に差し込む。 ゾディアーツスイッチを持っていた3人もスイッチを押す。 その瞬間、彼らはそれぞれ異形の姿へと変わった。 巨大な肉食恐竜の頭部を持つ“ティーレックス・ドーパント”。 お菓子の化け物という表現が合う“スイーツ・ドーパント”。 全身に武器を装備した“アームズ・ドーパント”。 嘘を自在に操る“ライアー・ドーパント”。 害機族ガイアークの害地目副大臣“ヒラメキメデス”の兄・“ココロオトメデス”の姿を模した“ココロオトメデス・ドーパント”。 オリオン座の力を持つ怪力無双の“オリオン・ゾディアーツ”。 白鳥座の力を持つスピードファイター“キグナス・ゾディアーツ”。 一角獣座の力を持つ剣士“ユニコーン・ゾディアーツ”。 いずれも強力な能力を持つドーパントとゾディアーツだ。 (財団Xのネオンよ、貴様のお蔭で面白いものが完成した。礼を言うぞ。) “自ら葬った”相手に対して労いの言葉を心で唱えるブラジラ。 「そしてこいつもおまけだ!!」 だが、これでは終わらんと、ブラジラはさらに1枚の金色のメダルを取り出し、投げつける。 すると、そのメダルの周囲に銀色のメダルが現れ金のメダルを核として“蛇が絡み付いた鷲”にも似た、ガスマスク顔の怪人が現れた。 「グリード!?でもあんなグリード見たことないぞ!?」 「フッフッフ…。亜空軍の技術により生み出された人工グリード第1号・“ショッカーグリード”だ!!」 強力な敵が続々と登場すると言う事態に、一気にアキッキーは劣勢に立たされた。 「「やれ!!!」」 ――ズドドドドドドド!!!!! ブラジラとセルバンテスの合図で、偽物&怪人軍団による集中砲火が放たれた。 辛うじてシールドを発動させ、ダメージを軽減させたアキッキーだったが、そこに間髪いれず、ドーパントとゾディアーツ、ショッカーグリードが一気に同時に襲い掛かってきた。 さすがに歴戦の勇士と言えど、強力な敵が複数現れた事に僅かに動揺したのか、その動きと攻撃に制裁を欠くところが現れ始めていた。 ―――ズドドドドドッ!!!! そこに、フェイクフリーダムのハイマットフルバーストとフェイクR1のマンティスインパクトが放たれ、周囲を爆炎が包み込む。 ―――ドゴッ、バキッ、ズガッ! 「ぐあっ、ガッ、うぐっ!!??」 そこに怪人たちの集中攻撃が加わり、さらに追加ダメージを蓄積してしまう。 この攻撃で一瞬怯んだことにより、シールドの発動も間に合わなかったアキッキーは―――。 ―――バキッ、ドゴッ、ズバッ、ズドオォォンッ!! 「ぐわああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」 ファイズの“クリムゾンスマッシュ”、ブレイドの“ライトニングブラスト”、シンケンレッドの“火炎の舞”、ムーンライトの“シルバーインパクト”を連続で喰らい、吹き飛ばされた。 それによってヘルメットのバイザー部分が割れ素顔が一部露出する。 更にメットの中で額を切ったのか、見える素顔の部分からは少し血が流れていた。 「っ!!!!アカレッドさん!!!」 「う、ぐ……!」 痛ましい状況に見ていられなくなった静夏が彼のもとへと駆け寄ろうとする。 烈たちもその後に続くが―――。 ―――ドカドカドカドカァン!!! 「「うわあぁぁっ!!」」 「「きゃああぁぁっ!!!」」 敵軍の追い討ち攻撃を受けて逆に飛ばされてしまった。 「み、みんなっ…!」 さすがは魔天使のブラジラ。 容赦ない怒涛の攻撃は相変わらずと言ったところか。 ―――ガシッ! 「うぐっ!?」 いつの間にかアキッキーの傍まで来ていたブラジラ。 彼の首を掴んで高々と上げる。 その反対の手には愛用している剣が輝いていた。 「アカレッドよ、いよいよお前の最期だな。この私が引導を渡してやろう…!」 ブラジラがその剣を振り上げる。 「さらばだ、赤き勇者の化身よ!!!!」 ―――ちょっと待ったああぁぁぁっ!!!! 『!?』 そこにいきなり響いた青年の声。 上を見上げてみると―――。 「なにっ!!??」 ―――ゴオオオォォォォッ!!!! 真上からオレンジ色のボディの戦士が、両腕にロケットパーツを付けたままこっちに近づいてきたではないか! 「くらえっ!!!」 ―――ライダーきりもみクラッシャー!!!! ―――ズドオォォンッ!!! 「ぬおっ!!??」 しかも急降下しながら急速回転し、そのまま体当たりを仕掛けてきた。 この奇襲で怯んだブラジラ。 ―――ドンドンドン!!! 「ぐあっ!!??」 その隙を突いたアキッキーはゴーカイガンでブラジラに至近距離で攻撃し、この危機を脱した。 そして、そのアキッキーの傍に先ほどのオレンジ色の戦士が降り立つ。 ―――パシュッ …と、思いきや、それはスイッチの力を借りてフォームチェンジしていた白い戦士だったのだ。 「おい、あんた、大丈夫か!?」 「あぁ、助かった…。」 ―――ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!! ―――ブロロロロロロ……!!!! 続いて聴こえてきたのは大型車のエンジン音!? ―――ゴオオォォォッッ!!!! 「何イィッ!!??」 超高速でバトルフィールドに介入してきたのは、超大型の真っ赤なスポーツカーと、黄色いヘリコプターを載せた青いトレーラー、そして銀色の戦闘機を搭載した黒いクレーン車だった。 ―――キキイイィィィッッ!!!! その3台は急ブレーキをかけてその場に停車。 『とおぉっ!!!』 『はぁっ!!!』 …と同時に、それらのマシンから数人の影が一斉に飛び出してきた。 「如月!大丈夫か!?」 「おう!」 白い戦士は一先ず変身を解除し、救助したアキッキーを連れて仲間のもとへ合流する。 そして、先ほど攻撃を受けた一同も彼らのもとへと合流する。 「アキッキーさん!」 「え…一美、ちゃん!?」 そのマシンに乗った一同の中には、先日知り合ったばかりのCVPのメンバー・吉田一美の姿もあった。 「大丈夫ですか!?」 「痛っ…。」 …あまり大丈夫ではなさそうだ…。 思いもよらない奇襲を受けたブラジラ、体勢を立て直して一同を睨み付ける。 「いいところで邪魔しおって!お前たちは何者だ!?」 その質問に対し―――。 「私た・・・・」 「俺は正義の味方だ。」 アミタが名乗ろうとした途端に、金と銀のロボットが彼女の前に割り込んできてその台詞を奪ってしまった。 「ちょっとJ、勝手に割り込まないで!」 「だめよ、お姉ちゃん。Jはいつもこうなんだし。」 このJと言うロボット、空気を読むのが苦手らしい。 ―――カチャッ 一方で如月が携帯電話を取り出して、通信先の仲間たちに連絡する。 「賢吾、亜空軍を見つけたぜ!ついでに攻撃を受けている奴らも助けた!」 『よし!そのまま彼らの援護を―――。』 『ちょっと待って!!!』 「うぉ!?」 いきなりその会話を遮る声。 それは、如月と賢吾の仲間の少女・野座間である。 『弦太郎さん…、その赤い戦士にカメラを向けてくれませんか!?』 「え?!あ、あぁ…。」 なんでいきなり? そう思いつつも如月は携帯のカメラモードを使って、アキッキーを映す。 すると……。 『弦太郎さん、その赤い人・・・・・アカレッドです!!!』 『ッ…?!』 “ミッドチルダ”組の一同、仰天のあまりに視線を彼に集中させてしまう。 あのミッドチルダ崩壊直前、自分たちの先輩やR.B.H.の面々、アンリエッタ姫たちが口にした存在である赤き勇者。 それが自分たちの傍にいると分かったからだ。 「キリエ、あの人がマーベラスの言っていた…!」 「えぇ。“赤き魂の継承者”…!」 そして、“ミッドチルダ”とは別次元の世界の住人であるにもかかわらず、彼のことを知っているような素振りのフローリアンたち。 すると、壮年の男・烈が一同の前に出て、声をかける。 「君たち、ならばやることはわかっているんじゃないか?」 その問いに対する答えは、もはや一つしかない! 「ああ。行くぜ流星、ミハルさん!アカレッドを助けるんだ!!」 「そうだな。」 「行こう、弦太郎君!!」 3人はアカレッドを援護すべく前に出て、それぞれ特有のベルトを装備する。 「そういうわけだ賢吾!俺たちはアカレッドの助っ人に回る。後で合流しようぜ!」 『分かった!気をつけろよ、みんな!』 一先ずの別れを告げ、NSマグフォンの通信を切った。 「みんな、私たちも行こう!アカレッドを守るために!」 「もちろんや!」 「うん!」 「オッケー!」 「参りましょう!」 「あたしも!」 そしてみゆき達もアカレッドを守ろうと思い弦太郎たちの横に並び立つ。 「鶴姫さん、俺たちも行きますか?」 「もちろんです!世界を苦しめる悪者を、ギャフンと言わせましょう!」 その手に共通の印籠型アイテムを持つ、佐助と鶴姫も、覚悟を胸に並び立った。 「一刀さん、一美ちゃん!」 「準備はいい?」 「うん!この力で、坂井君と、大切な友達を守ってみせる!」 「あぁ!離れ離れになった大切な仲間たちに会うためここで止まっていられないんだ!!」 「よし、行くぞ!」 フローリアンたちの後に続くように、一美、一刀、Jも共に前に出る。 「フン、アカレッドの代わりに戦うつもりか?」 「貴様らのような輩に何が出来る?」 無謀とも取れるその度胸をあざ笑うブラジラとセルバンテス。 控える怪人たちも含み笑いを上げるが―――。 「その余裕が出るのも、そこまでだ。」 「「!?」」 先頭に立つ烈が彼らの態度をバッサリと斬り捨てた。 「みんな、行くぞ!!」 『おう(はい)!』 その言葉を合図に、全員が変身アイテムを構える! ―――カチチッ、ガシャッ、ビキュゥンッ! <It's Morphin Time!> アミタ、キリエ、一美の左腕のブレスからグラスが飛び出す。 一刀とJが手に持った携帯電話を銃に変形させてグラスを引き出す。 すると、彼らの体が電子的な光に包まれ、5色のバトルスーツを纏った状態となる。 ―――チャキッ! <レディッ!> みゆき、あかね、やよい、なお、れいか、あゆみの6人は、それぞれ持つコンパクト型アイテムに、リボンを象ったアクセサリーを装填する。 <Meteor、Ready?> ―――カチッカチッ、カチッカチッ! そして、流星のベルトの起動レバーがかかり、如月弦太郎のベルトの変身スイッチが全て起動する。 それと同時に、烈も自身の腕を構え、ミハルが弦太郎たちと共に変身ポーズを構える。 さらに、佐助と鶴姫も手に持った印籠を目の前に構えた、次の瞬間―――。 ――――Three、Two、One! 「「「変身ッ!!!!!!」」」 「蒸着!!!」 「「スーパー変化、ドロンチェンジャー!!」」 『レッツ、モーフィン!!』 『プリキュア、スマイルチャージ!』 <ゴーッ!!> ―――ピカアァァッ!!! 異なる掛け声とともに13人の人物と1体のロボットが光に包まれ、それぞれ異なる姿の戦士へと変わる!! 「なっ、何だと!!??」 この意外な新参者には、ブラジラもさすがに怯んだ。 「宇宙、キタ―――――ッ!!!」 変身後の弦太郎の掛け声を皮切りに、ヒーローたちの名乗り口上が始まった! 「青春銀河まっしぐらの宇宙戦士!“仮面ライダーフォーゼ”!!」 「運命(さだめ)を決める青き彗星!“仮面ライダーメテオ”!」 「未来の波を掴む水面の勇者、“仮面ライダーアクア”!!」 「「「助っ人させてもらうぜ!!!!」」」 「眩く心の白銀の戦士!宇宙刑事、ギャバン!!!!」 「キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!」 「太陽サンサン 熱血パワー! キュアサニー!」 「ピカピカぴかりん じゃんけんポン♪ キュアピース!」 「勇気リンリン直球勝負!キュアマーチ!」 「しんしんと降り積もる清き心!キュアビューティ!」 「ゆめゆめ忘れぬ、優しき思い!キュアエコー!」 『6つの光が導く未来!』 ―――輝け!スマイルプリキュア!!!!!! 「ニンジャレッド、佐助!」 「ニンジャホワイト、鶴姫!」 「「人に隠れて悪を斬る!!」」 ―――“カクレンジャー”見参! 「レッドバスター!」 「ブルーバスター!」 「イエローバスター!」 「ビートバスター!」 「スタッグバスター!」 「特命戦隊!!」 ――――ゴーバスターズ!!!!! 「ゴーバスターズ・・・・・?」 「何だと!!??あんなスーパー戦隊、存在しなかったはず・・・・・・!!!」 変身し、名乗り口上を上げたヒーローたちのうち、後者5人の存在にビックリするアキッキーとブラジラ。 予想もしなかった超新星の推参であった…!!
---to be continued---