Phase156 フュージョンワールド・パニック
〜Research No.1:救急戦士、新生!!〜


始まりは、血のバレンタインによる大戦争に過ぎなかった、シードピアの戦乱。

しかし、その規模はいつの間にかシードピア以外の世界をも巻き込んでいた。

そして、ついには亜空軍の大作戦が成功し、メディアステーションとミッドチルダが融合してしまう。

その大混迷のメディアステーションを舞台に、新たな展開が繰り広げられようとしている………!!!!















「…この前の正反対の状況になっちゃってるじゃない…;」

……先日、源太達の屋台があったその場所。

ここの調査にやってきたルナマリア、今現在のその状況を見て呆然としてしまっていた…。

それもそのはず、つい先ほどみた“シュークリームの木”を始めとしたあらゆるお菓子が、目の前に拡がっていたからだ…。

これはどうみても、先ほどアキッキーの言っていた“デザート王国”のものに間違いなさそうだ…。





「ルナ〜!!!」 「!」





そこへシンとアスラン、それにイザーク、ディアッカ、ハイネ、シホがやってくる。

「シン!アスランさん!先輩!」

「無事だったのか、良かった。」

「それはそうと、この状況は一体…!?」

混乱している6人にルナマリアは先ほどアキッキーが言っていたことを話す。

「それが、さっきアカレッドが言ってたんだけど、どうも、ミッドチルダの国々とメディアステーションがごちゃ混ぜになっちゃったらしいのよ!」

「何だと!!??」

それに驚く6人。

「まさかこれも、亜空軍の仕業か!?」

「全く、別世界の連中も巻き込んで、いい迷惑だぜ!」

「と、とにかく、早いところ、この一帯を調査しましょう!」







――――きゃああああぁぁぁぁぁっ!!??

「!!!!」








調査開始の出鼻を挫いたのは、いきなり響いた女の子の悲鳴。

しかもこれは一人ではなく複数だ。



―――グオオォォンッ!

―――ドサドサドサドサッ!!!




すると、シンたちの前に亜空間の入り口が開き中から数人の少女が出てくる。

「うわわわ、何だ!?」

思わず一同、彼女たちの傍まで駆け寄るが、とりあえず女の子たちに怪我はないみたいだ。

「…な、なんだこの小娘どもは…?!」

その少女たちは、シンたちにとってはあまり見慣れない格好をしていた。

リアルワールドの言葉を借りれば、どことなく中国系の衣装を身にまとった雰囲気なのである。

(もっとも、シンたちはリアルワールドの住人ではないため、そう言ってもあまりピンとこないのが自然なのだが…。)

「う、うぅ…ん…。」

一同が困惑する中、メンバーが全員目を覚ます。

「お、気が付いたか!?」

「……?」

「な、なんや、ここ?!」

しかし、案の定か、彼女たちもなにがなんだかわかっていない様子。

続々とメンバーたちが気が付くも、やっぱり混乱している様子は変わりない。

とりあえず彼女達に話を聞こうと―――。







――――ドオオォォンッ!!!!

『!?』

「避けろぉっ!!!!」

―――ザザアアァァァッ!!!

―――ゴゴゴゴゴゴ!!!








突然奥のほうの木が吹っ飛んで行きさらにどんどんビルが倒壊していく。

「避けやがったか…!さすがはシードピア連合だなぁ!」

『!?』

そこに現れたのは、指揮官であろう筋骨隆々の男だった。

その手の甲には、自身のシンボルマークであろうか、チェスの“ルーク”の駒を象った紋章が彫られている。

その彼に従う形で、5体の異形の怪人が現れた。

「亜空軍か!?」

即座に敵であることに気付く一同。

「まさか…!?」

ルナマリアはアキッキーから受け取った“アライアンス・チェッカー”を取り出してデータをチェックした。







○ボーゾック一の大食い:MM(モーモー)モグー

○バラノイアの大食漢:バラハングリー

○何でも食べまくる迷惑妖怪:ガキツキ

○抑制不可能の大喰らいネコ:ネコヤミー

○地属性の暴食サイマ獣:ジュウキ







いずれの怪人もデータが載っていたのだが…、何と言うか、それを見た瞬間ルナマリアは若干呆れてしまった。

“お菓子のエリア”だけに…“暴飲暴食怪人”でまとめたってこと…?;」

何でも食べられる周囲の状況的にピッタリかもしれないが…、“適材適所”と言えるのだろうか…?

「おお、なんか美味そうな匂いがするぞ!!」

「あそこからだな!!」

「ならやることは一つだ!!」

「スベテ喰イ尽クシテヤル!!」

「破壊ノ限リ喰ウ!!」

少し呆然としてしまったルナマリアをよそに、まだまだ食い足りない怪人たちはとことん食べ尽くす気満々だ。

そこに、DESTINYとJUSTICEのビルドマイザーが飛来し、怪人たちに体当たりを仕掛ける。

「ったく、少しはダイエットしろっての!!」

「相当ストレスが溜まっているようだな!」

―――Activation.

「「ビルドアップ!!」」

―――Build UP.


シンとアスランがビルドマイザーを手に取り、GUNDAMを装備した。

イザークたち4人もミスリルレイザーを構え、臨戦態勢を整える。

―――スッ

「?!」


と、ルナマリアがイザークたちの前に出る。

「先輩方は、彼女たちの護衛を頼みます。」

「何!?」

その言葉の真意を問おうとした瞬間、ルナマリアは両腕を伸ばして構えのポーズを取ると―――。









「着装っ!!!」









その掛け声とともに、“ゴーゴーブレス”のチェンジモードを起動、赤い光のベールを纏って、“アンチハザードスーツ”を身に着けた。

「っ、何だと!?」

「る、ルナ!?」







――――ゴーレッド、出場!!!







「お前、いつの間にそんな力を…!?」

これにはその場にいたほかのメンバーたちは驚く。

「スーパー戦隊とGUNDAMか…。面白い!」

「!」

すると指揮官格の男が前に踏み出し、その顔がステンドグラスの紋様に変わったと思ったら―――。









「5分以内でお前らを片付けてやる!!!!」









その一言と共にライオンに酷似した姿に変身した。

かつてシードピアに存在していたというファンガイアが一人・ライオンファンガイアだ。

瞬間、ライオンファンガイアはルナマリア目掛けて急突進してきた。

「そうはさせるか!!!」

「おう!」


彼女の前に立ち、ライオンファンガイアに立ち向かおうとするシンとアスランだったが―――。





「邪魔だああぁぁ!!!」

―――バキキッ!!!

「「うわああぁぁぁっ!!!!」」






逆に弾き飛ばされてしまった。

今動いたらイザークたちが危ない!

動けないと悟ったルナマリアは、反射的にブイランサーを取り出して―――。

―――ガキイィィンッ!!!!

ライオンファンガイアの攻撃を受け止めた。

「ほぉ……いい判断だな…。」

「く…っ……!!」

しかし、さすがにパワーが違うのか、徐々に押されてきている。

「くそっ、てめぇらどきやがれ!!」

「ジャマをするな!!!」

シンとアスランは5体の暴食怪人に阻まれて中々動くことが出来ない!

「お前たちにはこいつらを追加してやる!」

<KAIZIN RIDE、“MIMIZU-ZAKENNER”、“KUZU-YUMMY”>

更にライオンファンガイアは“カイジンライド”カードを使ってミミズザケンナーと屑ヤミーを召喚してくる。

「なっ、何だと!?」

「ふざけんな、てめぇ!!!!!」

思わぬ敵の増援が来たために物量に苦戦を強いられるシンとアスラン。

イザークは“また見ているしかできないのか”と歯噛みする。











「そらよぉっ!!!!」

―――バキッ!!!

「きゃああぁぁっ!!!」

―――ズドオォォンッ!!!

『!!!!』












次の瞬間、ルナマリアはライオンファンガイアの一撃をまともに受け、イザークたちの真後ろの壁にまで飛ばされ、叩きつけられた。

その攻撃で変身も解除されてしまった。

「ルナマリア!!!」

「ぅ、ぁ…っ……。」

シホが真っ先に彼女に駆け寄り、その体を支える。

イザークたちも彼女のところまで合流する。

「ちっ、さすがにダメージが大きいか…!」

あれだけの豪腕で攻撃を喰らえば、大ダメージは免れない。

「しっかりして!」

「…っ、だいじょうぶ、です…!」

フラフラになりつつ立ち上がるルナマリア。

支えていたシホの手を解き、ライオンファンガイアをにらみつける。

「こんなところで、倒れるわけには、いかないわ…!!!だって…、私はあのとき…誓ったもの…!!!」







――“一人の調停者(コーディネイター)として、人間たちの絆と想いを、命を救いたい”って…!!!



『!!!』







『スーパー戦隊の力のあり方、ただその力を暴力に使うのではなく、生きとし生ける者の命を守るために使う、そうでなければ結局は、スーパー戦隊も亜空軍と一緒だ。』








その瞬間イザークたちの脳裏に過ったのは、先日射撃場で見かけたあの男の言葉だった。







こんなことで諦めないわよ…!

人の命は…、世界の命は……、私たちが守るべき無限の未来…!

過去のテレヴィアと未来のシードピアを…、大切な人を…、大好きな妹を守るために…、私は最後まで戦うって誓った…!!

だから…私は…諦めない…!!!



――――絶対に諦めたりしない!!!!!!



『!!!!!!』










『“力を持つ”と言うことは、“自分にとって大切な何か”を、或いは、“かけがえのない何か”を守ることを意味する。それは、スーパー戦隊のみならず、仮面ライダーやGUNDAMにも、当てはまることだ。』










その時、イザークたちはあの男の問いかけの答えに気付いた。

「ふん!ほざいてろ!!!!」

ライオンファンガイアの合図で再び屑ヤミーたちが攻撃を仕掛け―――。









――――バキュウゥンッ!!!

――――ドドドドォンッ!!!!










ルナマリアの背後から4つの一閃が放たれ、屑ヤミーが吹き飛ぶ。

『!?』

振り返ると、“カレイドスコープ”を構えたイザークたちがいた。



「ルナマリア…、まさかお前に教えられる形になるとはな。」

「あたしたちだって、スーパー戦隊の力に憧れないことは無かった。ルナマリアみたいな力が欲しいって思ってた。」

「だが、“強すぎる力は争いを呼び、それに溺れる者は自分を滅ぼす”。俺たちは今までそのことすらも忘れていた。」

「お前の覚悟と決意は、俺たちの曇っていた目を覚ますのに充分だ!もう俺たちは力に溺れることはしない!なぜなら、俺たちにもまた守るべき存在がいるからだ!!!



「先輩…!!!」



ディアッカ、シホ、ハイネ、イザークの4人のその決意は、ルナマリアの心に響いた。



「ごちゃごちゃうるせぇ!!!!」



ライオンファンガイアの叫び声とともに再び襲い掛かってきた―――!









―――ピカアアァァッ!!!

『!!!???』

「「「「たあああぁぁぁぁぁっっ!!!!」」」」










その瞬間、どこからともなくレンジャーカードが現れ、放たれた光から4人の男女が大型の槍を手に飛び出してきた。





「なっ!!!???」

――――ズババババッ!!!

「ぬごっ!?」






その一閃が怪人たちを吹き飛ばし、さらにシンとアスランを包囲していた怪人たちをもそこから引き離した。

「何だ何だ!!??」

「援軍か!?」

―――!

その姿―――と言うより、彼らの着ていたジャケットに、ルナマリアは見覚えがあった。

それは、以前ルナマリアが出会った、ゴーゴーファイブのリーダー・マトイと同じジャケットだったのだ。

「みんな、大丈夫か!?」

「あ、あぁ。助かったぜ。」

「あの…、あなたたちは一体―――。」

「待って!!!!」

ルナマリアがシホの質問の言葉を制止した。





「皆さんのそのオレンジ色のジャケット…、まさか、“救急戦隊ゴーゴーファイブ”では…!!!!!」

…!

「何ッ!!??」






ルナマリアの一言に4人は一瞬目を見開くが、彼らは彼女の左腕に装備された“ゴーゴーブレス”に気付き、何かを確信した。

「そうか…、マトイ兄さんの魂を受け継いだのは君だったのか…!」

「え……、“マトイ兄さん”…!?」

思いも寄らない言葉に、少し困惑したルナマリア。

「あ、そっか…知らないのも無理ないか。」

「私たち“ゴーゴーファイブ”は、5人兄妹でもあるの。」

「お前の受け継いだゴーレッドは、元々俺たちの兄ちゃんの力なんだ!」


「…!!!!…そうだったんですか!!??」

“ゴーゴーファイブ”は、ルヴェラの歴史上では稀に見る“史上2番目の兄弟戦隊”。

それゆえに、チームワークは他の戦隊の群を抜いているのだ。

「そして、俺たちも見つけることが出来た!俺たちのレスキュー魂を受け継ぐ4人の戦士を!」

「そ、それって、まさか?!」

その言葉から、イザークたちもまた自分たちがスーパー戦隊に認められたことを感じとるのに、然程時間はかからなかった。

「お前たちの決意は確かに見届けた。たどり着く場所を見据える、真っ直ぐな眼差しを。」

「戦乱の刹那を際どくかわすその風は、きっと勝利へと続くはずだ!」

「あなたたちのその強い魂なら、遥かな未来を手にすることが出来るはずよ!」

「今こそ俺たちのレスキュー魂を、受け取ってくれ!」


4人から放たれた、青、緑、黄、ピンクの4つの光の玉。

それは、イザーク、ディアッカ、ハイネ、シホの左腕に留まり、ゴーゴーブレスへと変わった。

「あとは頼んだぞ。」

巽兄妹は、その一言と共に光となった。

「くっ、これはまずい!」

一番嫌な流れに出くわしたと感じた怪人たちは、臨戦態勢を整える。







「若者たち、答えが見つかったようだね。」

「「「「!!!」」」」

『!?』








そこに現れたのは、以前、メディアステーションの射撃場で出会った、ギターを持つ謎の男だった。

彼はイザークたちの前に出ると、怪人たちに対して、“かかってきなさい”と言わんばかりのジェスチャーを見せた。

「小癪な!」

ライオンファンガイアの合図で攻撃を仕掛ける屑ヤミーたちだったが、謎の男はそれに怯むどころか、もろともしない圧倒的な攻撃力で次々と屑ヤミーを撃破していったのだ。

「ぬ…!貴様、何者だ!?」

「フッフッフッフッフ………。」

するとその男は含み笑いの後、着ていたウエスタンルックの服を脱ぎ棄て、“本来の格好”である純白のタキシードと帽子、カラフルなネクタイを身に付け手にステッキを持った姿へと変わる。



「“ジャッカー電撃隊”・行動隊長、そして“チームR.S.リーダー”、番場壮吉。……よろしく。」



「「ジャッカー?」」

「「「電撃隊?」」」



その名乗りを聞いたルナマリアたち、案の定、首を傾げるが…。



「貴様・・・ビックワン!!」

「邪魔なスーパー戦隊め!!」


怒りの表情を見せる怪人たちの言葉を聞き、ルナマリアの脳裏に思い当たる節が。







――― 『チームR.S.リーダー』



――「ところで、J、隊長は?」

――「ああ、隊長なら来て早々、調査を開始すると言って、メディアステーションの中を見て回っている。」

――「さすがは隊長ですね。」








番場が名乗った際の所属チームと、前回の“回想録”でアキッキーとJの会話。

思い至った結論は一つしかなかった。

「もしかして・・・アキッキーさんの言っていた“隊長”って…!?」

「いかにも。」

そしてイザークたちもアキッキーの知り合いならスーパー戦隊のことを知っていて当然だと納得した。

「こうなったら、やられる前にやれだ!!!」

『グオオオオォォォォ!!!!』


雄たけびと共に再び襲い掛かる怪人たち。





「ビッーグワン!!」





一方の番場も胸のバラの匂いをかぎジャンプすると同時にその姿を白に虹色のラインが入ったスーツへと姿を変えた。

『!!!!』





「“白い鳥人”・ビッグワン!」





名乗りと共に手に持つ愛用武器・ビッグバトンを構え、攻撃を開始。

“一度倒された敵”など、私の敵ではない!!!」

その言葉どおり、怪人たちを圧倒し、さらにシンとアスランを取り囲む怪人たちすらも払いのけるという荒業も披露、疲れを見せないところはさすがは大先輩である。





「ビッグワン・フィニッシュ!!!」





そして、ライオンファンガイアに一閃を炸裂させ、背後の怪人たちを巻き添えにさせて吹き飛ばし、区切りが付いたところでルナマリアたち5人に声をかける。

「さあ、今度は君たちの番だ。」

『!』

「今こそ君たちが新たなる救急戦士として、その力を見せる時だ!」

「番場さん…!」

覚悟を決めたルナマリアが、両隣のイザークたちに声をかける。

「先輩、行きましょう!」

すると、意外な一言がイザークの口から飛び出した。

「ふん、そんな堅苦しい言葉は捨てろ!」

「えっ!?」

そして、意外にもこの言葉にディアッカたちも賛同する。

「確かに、俺たちは“先輩・後輩”である以前に、“仲間”なんだしな。」

「俺たちはお前の心を信じる!」

「だから、私たちのことも信じて。」

「みんな…!」

ここに、新たな絆が紡がれた。

ルナマリアは、心が熱くなってきたのを感じながら、改めて4人に声をかける。











「みんな、行くわよっ!!!!!」

「「「「おうっ!!!!!」」」」












そしてルナマリアたち5人は横一列に並び手を交差させ、叫ぶ!!











「「「「「着装!!!!!」」」」」











ゴーゴーブレスの“チェンジモード”へアクセスした5人は光に包まれ、手にしたマント状の光を羽織る。

すると足からそれぞれ白をポイントに置いた赤、青、緑、黄色、ピンクのスーツが5人を包み最後に5人の口にマスクがついた後スーツと同じ色のメットが被され、最後にバイザーが下りる。











「ゴーレッド!!」

「ゴーブルー!!」

「ゴーグリーン!!」

「ゴーイエロー!!」

「ゴーピンク!!」





「人の命は世界の未来!!」

「燃えるレスキュー魂!!」

「救急戦隊!!」

「ゴー!!」

「ゴー!!」

『ファイブ!!』



「出場!!」












新たなるレスキュー戦士たちがここに降臨した!!

「ぐぎぎ…!!こうなったら、ルール無視だ!!一斉にかかれぇ!!!」

ライオンファンガイアの合図で戦闘員と巨大怪物たちが一斉に戦士たちに襲い掛かる!!







―――ギュオオォォッ!!!

―――ジャラララッ!!!

―――ドガバキッ!!!

「「ぶごっ!?」」

『!!!』








ゴーゴーファイブの背後から巨大鉄球と巨大ヨーヨーが飛び出し、またしても攻撃開始の出鼻を挫かれた怪人たち。

ルナマリアたちは思わず後ろを振り返った。

そこには、亜空間から飛来した少女たちが、いつの間にかそれぞれ武器をとり、臨戦態勢を整えていたのだ!

「我が名は荀ケ(じゅんいく)、字は文若(ぶんじゃく)!此度のあなたがたの戦いに、我らも微力ながら助太刀します!」

荀ケと名乗ったネコ耳フードの少女が、一団を代表して言葉を発する。

彼女たちも戦えるという事実に戸惑いを隠せない一同だったが、迷っている暇はない…!

「ならば、君たちの力を存分に見せてくれたまえ!」

『はっ!』

ビッグワンの一言で気合を見せた少女たちは、目の前のミミズザケンナーと対峙。

「総員、攻撃開始!!!」

荀ケの言葉を合図に、戦闘が再開された。







「典韋(てんい)さん、許緒(きょちょ)さん!」

「「はっ!」」






頭に人形を乗せた少女の合図で、ツインテールの少女の鉄球とショートの少女の巨大ヨーヨーがミミズザケンナーにヒットし、さらにそれぞれの紐と鎖がミミズザケンナーの体をぐるぐると縛りつけ、身動きを封じる。





「楽進(らくしん)!李典(りてん)!于禁(うきん)!今よ!」

「おう!」

「はいな!」

「任せてなの!」




そこに、理知的なメガネの少女の指示の元、体中に傷がついた少女の気弾と、ツインテールの巨乳少女のドリル槍、メガネをかけた少女の双剣が連続で炸裂!



「ザケンナアァァァァァ………!!!」

ミミズザケンナーは両断され、断末魔と共に小さな物体になって消滅した。

これが終わると少女たちはミイラの様な怪人たちに攻撃目標を変え各個撃破に向かう。











一方、命を守る救命戦士となったE.F.とビックワンはライオンファンガイア率いる暴食怪人軍団に挑む!!



「まとめて喰ってやる!!!!」

―――ガキイィンッ!!!




手にしたナイフとフォークを振り回し襲い掛かるガキツキに対し、スティックモードのファイブレイザーでそれを受け止めるイザーク、ディアッカ、ハイネの3人。

「ぐっ…なんてパワーだ……!!」

「下手したら、本当にこっちが喰われてしまうぜ…っ…!」

「さて、どうした物かねぇ・・・・。」

ガキツキのパワーに押され、徐々に後退していく男性陣。

その最中、シホはバイザー内に映ったゴーゴーファイブの各装備を順次確認していた。

「どうすればいいの!?」

「ルナマリア!“ライフバード”を呼ぶのよ!」

「えっ!?」

ルナマリアのバイザーに鳥型メカの映像が映る。

「よし!来て、“ライフバード”!!!

ゴーゴーブレスを通じてルナマリアのコールを受け、“S.O.R.”から鳥に似たメカが飛来、到着と同時に5つのパーツ分離しルナマリアに嘴部分のドリル、シホにボディ部分が握られる。

即座に2人はそれをファイブレイザーのトリガー部・“レイザーグリップ”にセットする。

「援護お願いします!」

「任せて。」

女性陣2人は一気にガキツキに迫る。

「バカめ!!」

その二人に対して怪光線を放つガキツキだが、2人はそれを難なくかわす。

「ビルドディスチャージャー!」

シホが放った冷凍ガスがガキツキにヒットする。

「グアッ!?め、目が!?」

冷凍ガスで視界を封じられたガキツキがふらつく。

そこへルナマリアが迫り―――!

「ビークドリラー!!」

手に持ったドリル“ビークドリラー”で突貫、ガキツキは大ダメージを負った。







「おっと、女の子2人にばっかりいいところは見せられないな。」

「当たり前だ!行くぞ、ディアッカ!!」

「おうよ!!」

それを見ていた男性陣、“今度は自分たちの番だ!”と言わんばかりにMMモグーに攻め寄る。

「ファイブレイザー、ゴーブラスター!ダブルシュート!!」

まずディアッカが専用銃のファイブレイザーとゴーブラスターの2丁を駆使し、連続でダメージを与えていく。

「ぐっ、こいつ!!」

今の攻撃に怒ってナイフを振り回すMMモグーだが、それを難なく避けMMモグーに掴みかかるハイネ、そして近くの建物の壁を駆け上がる。



「くらえ!“牛乳竜巻落とし”!!!

―――ドガッ!

「ぎゃふっ!!??」




必殺技の掛け声と同時に高速回転しながら落下し、MMモグーを背中からたたきつける。

「この野郎!!」

そこに、口から光線を放つジュウキが割り込んできた。

しかし薙刀状の武器“Vランサー”を構えたイザークが、ジュウキの攻撃をかわして、一気に迫る!

ジュウキとイザークの間に屑ヤミーたちが無数に現れるも、Vランザーの斬撃が次々と屑ヤミーを蹴散らし―――。



「Vランサー!Vスラッシュ!!」

―――シャキイィィンッ!!!

「ぐああああぁぁぁぁぁ!!!」




最後にジュウキをVの字に斬る。











思いもかけなかった形勢逆転により、ライオンファンガイアたちが一気に追い詰められた。

「「「むぐ、うぐぐ……」」」

ゴーゴーファイブの反撃を受けたジュウキ、ガキツキ、MMモグーがフラフラになり―――。



「ハンドビーム・インパルス!!!」

「サーベルレッグ・スマッシュ!!!」

―――ドゴゴゴッ!!!

「「うぎゃああぁぁ!!!」」




さらにGUNDAMを纏ったシンとアスランの一撃で、ネコヤミーとバラハングリーも吹き飛ばされてきた。

「ルナマリア!先輩!」

「お前たちでとどめだ!!!」

「オッケー!!!」



『セットアップ!!!』



5人は、手元に降りてきたライフバードのツールの組み換えを開始した。

ルナマリアのレイザーグリップに、翼型のパーツが取り付けられ、その上に“ビルドディスチャージャー”とつま先部のパーツを組み、尻尾に相当するパーツを先端に連結、その先にビークドリラーをセット。

出来上がったのは、巨大なライフルを思わせる大型銃だった!

「ライフバード・ブレイカーモード!!」

それをルナマリアが持ち、横を4人が補佐する。



「「ターゲット―――!」」

「「ロックオン!!」」




4人の確認の合図と同時に、先端のドリルが高速回転を開始、そして、気合を込めるかのごとく足を踏ん張ったルナマリアが叫ぶ!!







「カラミティブレイカー!!!」

―――ギュアアアアァァァァァッ!!!!

『グ、グオオオオオォォォォォォ!!!!』










ドリルから放たれた必殺の一撃が怪人たちを貫き、怪人たちは絶叫しながら爆死。

ネコヤミーは無数のメダルとなって散った。

「くぅっ、覚えてろ!!!」

ライオンファンガイアはこの状況を報告すべく一旦逃走した。





こうして、新たな救急戦士の初陣は、白星を飾った。











Newly-formed GOGOV、First-mission Complete.



---to be continued---


☆あとがき
1ヶ月間お待たせしました!!!!!

……というわけで、フュージョンワールドパニック編第1ラウンド・ゴーゴーファイブ編、1話分で一気に終了まで持っていきました。
新たな救急戦士となったイザークたちの初陣、いかがでしたでしょうか?
その一方で今回は戦士覚醒のパターンも僕のほうで変更を施しました。
今まではレンジャーカードの力で異空間に飛ばされるというパターンが主だったのですが、今回のフュージョンワールドパニック編ではそれを完全変更いたしました。
次回以降もこの流れで乗り切って行きたいと思います!

さて、次回のキーワードは“恐竜戦士復活!”
雄叫びを上げる六つの牙にご期待いただきましょう!!!!!










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