Phase155 フュージョンワールド・パニック
〜Beginning Research:メディアステーション大変貌〜


カイ、スカリエッティ、死朗の“幽汽三人衆”を退け、ようやくメディアステーションへと戻ることの出来たアキッキーたち。

しかし、その到着直前に見た光景で、全員は我が目を疑った……!











「な・・・な・・・・」

――なんじゃこりゃ〜〜〜〜〜!!!!????












今まで普通の何の変哲もない人工衛星だったはずのメディアステーションの概観が、何かが強引に飛び出してきたかのような変わり果てた姿になっており、以前の数倍の大きさに肥大していたのだ!

それだけではなく、内部に入るとさらにビックリ!

メディアステーションの市街地が、まるでおもちゃ箱をひっくり返したかのように、様々な物が混ざり合った何とも言えない情景に変化していたのだ…!

「ゆ、夢じゃないですよね・・・・。」

そのみくるが呆然と漏らした問いかけにだれも答えることが出来なかった…。







「おーい!!」

『!!!』








するとそこへ呼び声が、振り向くと――――。







「チーフ!課長!みんな!!」







先ほど“765プロライブ会場”での大戦闘を終えた面々が戻ってきた。

ようやく合流出来たことにほっとする一同。

「アキッキー、ようやく戻ってきたのか!」

「チーフたちも無事でよかったよ!それよりも、これは一体……。」

「それがね……。」













―――事情解説中につき、以下中略―――













「また亜空軍が動いていたのか…!」

亜空軍がライブ会場で何やら怪しげな行動を行っていたという情報を知ったアキッキー、このメディアステーションの大騒ぎの元凶は明らかにあいつらの仕業だ…!

「ところでアキッキー。」

「はい?」





「“月面の神殿での大喧嘩”は片付いた?」

―――ドキッ!!!!

「「「「「はぁ!!???」」」」」






空課長含め、広報課一同初耳情報パート2である。

コースケの突発的なその一言に、“月面”組として行動した一同の一部は、心臓が飛び跳ねた。

特に、当事者のアキッキーとハルヒに関しては……。

「ち、チーフ、どうしてそのことを…!?」

その答えは、コースケがポケットから取り出したゼロワンが簡略的に説明した。

「あのとき、あの場所には偵察型ブーストフォン“シーカー”が忍び込んでいてな。それを通じて神殿内部での出来事を一部始終監視していたのだ。」

一部始終を見られていた―――。

思ってもいなかった最悪の展開に全員が凍りつく…。

「丁度そのとき、僕は非番だったからメディアステーション内部を適当に散歩していたんだ。その時にゼロワンに会って、その時の映像をゼロワンを通じて見ていたんだけど……。」

コースケはそう言って一旦区切って、僅かに冷ややかな視線をハルヒに向ける。

空気が悪いと思ったハルヒ、少しビクついて視線を逸らす…。

「あのとき“スーパー戦隊”の力に慢心していたハルヒもハルヒだけど、その彼女にまさか鉄拳制裁+拳銃発砲なんて思わなかったねぇ。」

「ちょ、チーフ、それは……!」







「ア・キ・ッ・キ・ー・!?」

「は、はいぃぃっ!!!!」








コースケの話を聞いて怒りのボルテージが上昇した空課長の、ずっしりとした声が響き、アキッキーの背筋が固まる。

よく聞けば、空課長が拳の骨をボキボキと鳴らして、今にも殴りかかってきそうな剣幕だ…!

「そっちで収拾を付けてくれたようだからまだ大目に見てあげるけど……、後で始末書を書いてもらうからね!!!」

「は、はい……。」

逆らったら空課長から鉄拳制裁されるのは眼に見えている。

迂闊なことは言えない……。





「………ん!!??」





その時、アキッキーはふと空課長の左腕に光るものが見えた。

それは、紛れも無くデカレンジャーの“ブレスロットル”だ…!!!

「そ、そ、そ、空課長!!!そ、そ、その腕のブレスは………!!!」

「…ん?……あぁ、これ?さっきのライブ会場での戦闘で、手に入れたのよね…、あんたのレンジャーカードのお陰で。」

「うそ……、まさか…!?」

思いも寄らなかった衝撃的事実を耳にしたアキッキー、ある確認事項をとることにした。









「ミク!!!!!!」









アキッキーに呼ばれ、やってくる初音ミク。

「単刀直入に聞く・・・・・・また増えたのか!?

「うん☆、5人。」







「・・・・5人?」







…まだ4人もいる!?

「あの〜、ひょっとして……。」

「……俺たちのことか?」

そう言って前に出たのは、“スピードルソウル”を“ゴーフォン”に装填した状態で見せたソラと、右腕に装備した“バルカンブレス”を見せるジュピターの3人だった。











「またボクの知らない間にいいぃぃ!!!!
しかもうち3人知らない人だし………。」









思いも寄らない事態が立て続けに起こったために、取り乱してしまったアキッキー、頭を抱えたまましゃがみこんでうずくまってしまった……。

「………;;;;」

今のアキッキーは精神的にかなり参っている。

それは火を見るより明らかだった。

とりあえず、コースケが間に入って事の次第を簡単に話すことにした……。





































「ようやく一息つけると思ったら……。」

「今度は何なの!!!???」

こちらはアキッキー達が去った後のスマッシュブラザーズの神殿。

彼らを送り出したマスターハンドたちが、“彼らに幸あらんことを”…と祈っていた最中に、再び神殿周辺で揺れが発生したのだ。

……とはいえ、それは思ったよりも短く、すぐに終わったため、被害は少なかった。

…と思いきや、なんと今度は神殿の隣に突然見慣れない建物が出現したのだ。

これも長門が感じ取った“次元干渉”の影響と言うものなのだろうか…。

この事態にはマスターハンドとクレイジーハンドも、アキッキー同様に頭を抱えるしかなかった。









―――ウイイイィィン、ガコンッ!

『!?』










すると突然、謎の建物のドアが開き、中から宇宙服を着た数人の人物が現れる。

「一体どうなっているんだ…!ここはどこなんだ!?」

「明らかに、ミッドチルダじゃないわよね……!」

リーダー格と思しき青年と仲間の少女が、周囲を見渡す。

その他の面々もそうだが、見慣れない景色に動揺しているようだ。

「……!?おい、何だ、あの連中?」

ふと、仲間の一人がマスターハンドたちに気付いたようだ。

「……人間…?」

“ゾディアーツ”…じゃないわよね…?」

“月面”であるにも関わらず、宇宙服を身に着けずに自由に動けること事態怪しい…。

そう思ったとき、メンバーの一人が意外な一言を口にする。

「…もしかして、空気がある?

『へっ!?』

そんなバカな…と思った瞬間。

「おい、お前ら!!俺を置いて行かないでくれ!」

「!?」

背後から中年の男性が現れた。

「ちょ、大杉先生!危ないですよ!」



―――ズルッ

「うわっ!!??」

―――ドシイィィン!




青年の制止がちょっと遅かったのか、中年の男はすべって転んでしまった。

「いたたた…。」

「まったく…。大丈夫ですか!?」

「いやぁ、すまんすまん。」

全員が男を抱えて立たせる。

…と、ここで一人がようやく重大なことに気付く。

「…!?おい、ここってもしかして、重力がある!!??」

「…あ!」

大気があれば重力もそれなりにある。

“空気があるかもしれない”と言うメンバーの一人の推測が確信的になってきた。

そこで、メンバーの一人が思いきってヘルメットを外して、深呼吸してみる…。

「スーッ、ハーッ。」

……息苦しさは感じられず、充分に呼吸ができる。

「息が出来る…!みんな、ヘルメットを外せ!」

安全が確認され、全員ヘルメットはとる。

ようやく確認できた宇宙服の一同の顔。

それは、全員が10代後半ほどの年齢―――高校生程度の年齢と思しき顔つきの面々だったのだ。

……ということは…、先ほどの中年男性は彼らの担任の高校教師か…?

「……あの…。」

「!?」

「あなたたちは、何者ですか?」

遠慮がちにたずねたマスターハンド。

「状況的に、明らかにシードピアの人間ではなさそうな……。」

「……シードピア!?」

そのマスターハンドの一言に、耳を疑った一人の青年―――歌星賢吾

この後、彼らの詳しい話を聞き、さらに驚愕することになった……。



































「…つまり、765プロのライブ会場での戦闘中、君たちジュピターが乱入したところにレンジャーカードが現れて、サンバルカンになったと?」

「ま、簡単にまとめりゃそういうことだな。」

あの後、コースケが中心となってライブ会場での事件の次第を話すと共に、ジュピターの3人を改めて紹介。

覚醒の経緯を説明した。

「でも…、まさかこんなことになるなんて…。」

半信半疑と言う面持ちのアキッキーは、まだ受け入れられない状況にあった。

「まぁ、結局あたしたちも成り行き上ってことになっちゃったけど、改めて思ったのよね。“アキッキーと同じ立場に立てるのは、なんかイイ”って☆」

「僕たちも、こうしてスーパー戦隊に選ばれた以上、希望と言う無限の力をチャージして、アキッキーさんの力になれるように頑張りますから!」

しかし、“慣れ初め”の頃から、共に戦ってきた二人の決意。

「僕たちだって、元から戦う覚悟だったしね。」

「俺たちは、俺たちの意志でこいつらを助けた。亜空軍なんて馬鹿げた奴らに、殺させるわけにはいかなかったからな。」

そして、かつて765プロに対して、意味のない敵愾心を向けていたジュピターの新たな覚悟は、アキッキーの胸に波紋を起こす。

「これからは、あんたが俺たちのボスだ。俺たちにも戦わせてくれ。この燃え上がる魂、あんたたちのために尽くすぜ!」

「みんな……!」

5人の決意は確かに届き、平常心を取り戻したアキッキーは、彼らを新たなスーパー戦隊の後継者として認めることにした。











「……あ〜、お前たち。」

『?』











ムウが遠慮がちに声をかける。

「あいつら、何の躊躇いもなくお菓子の木を貪っているけど、いいのか?」

『………へっ!?』

思わず全員、ムウが指をさした方角に視線を向けると、そこにはお菓子の甘い誘惑に負けたのか、カービィ、ヨッシー、こなたの三人が、確かに無我夢中でそれを貪っていた。

「ちょっと待てこなた!いきなりそれを食べていいんかい!!!」 思わずかがみが全力投球並みのツッコミを入れるが…。

「だって美味しそうだったんだもん☆☆」

…と、警戒心ゼロのこなたには全く通用せず、再びお菓子に手を伸ばす。

「ぽよぽよ〜☆☆」

「ヨッシィ☆☆」


その傍らで、スマッシュブラザーズ最強の大食いキャラ二人もどんどん食べまくる。

「Hey, You guys…(おい、お前ら…)

マリオも脱力寸前にまで呆然とする。

ふと、恐る恐るキョンがクリームを指ですくった後、つぶやく。

「おい、これ…本物のお菓子だぞ…!?」

――――……本物!?

キョンが呆然と口にしたその一言で、全員が驚く一方、かがみを初めとした面々も甘い誘惑に持ちかけられ始めた…。

「……思い出した!!」

『!?』

アキッキーが何かを思い出した。





「このお菓子の木、どこかで見たと思ったら…“デザート王国”のものじゃないか!!!!」

『デザート王国!!??』










―――説明しよう。

ミッドチルダの魔法国家の一つであり、うら若き光の乙女・プリキュアの守護世界でもある光の園・“ハートユナイティア”に存在するエリアの一つである“デザート王国”。

その名前が象徴するかのように、国の8割以上が手作りお菓子で埋め尽くされている

アキッキーたちが発見した“シュークリームの木”はもちろんのこと、“オレンジジュースの川”や“プリンの大広原”など、お菓子で出来た注目スポットが所狭し並んでおり、その全てが食べられるということもあって、多くの女の子たちや甘い物好きの人間たちにとって、非常にたまらない場所なのだ。













「……ってことは、その“ハートユナイティア”の建物や国が、メディアステーションと混ざっちゃったってことか!?」

「それだけじゃない…。ざっと見た限りでは、それ以外のミッドチルダの国々の物もメディアステーションに混在しているようだ!」

ムウとゴセイナイトがざっと見渡した際に口にした言葉で、“いきなりミッドチルダの物が出てきた”と言う信じがたい事実に対し首を傾げる一同。

もしもその言葉が事実だとしたら、“何の目的でメディアステーションとミッドチルダをごちゃ混ぜにしたのか?”と言う疑問が付き纏うからだ。

「あれ?ちょっと待って!」

ここでハルヒが待ったをかけた。

「ミッドチルダが混ざったんなら、そこの戦士たちがいるかもしれないって事でしょ!?アカレッドが以前言っていた“プリキュア”とか、“ストライクウイッチーズ”とか、“レスキューチーム”とか!だったらこの際、調査がてら、その人たちを探して、連合軍に引き入れればいいんじゃない!?」

その提案に、意外にもロベリアが賛同する。

「成る程な。幸い、あたしたちには“アカレッド=アキッキー”と言う、両方の世界に通じている大きな存在がある。それを証拠としてミッドチルダの連中と近づこうってわけだな!?」

そして、ほんわかな空気をかもし出すみゆきも。

「いいかも知れませんね。それなら相手側の警戒心も和らぎますし、心を開いてくれるかもしれませんわ。」

ゴルゴ伯爵もその提案に同意する。

「それに、この混乱に乗じて亜空軍が一気に攻めてくることも考えられるし、その援護も出来れば言うことなしだ!」

……その言葉に、最初は戸惑っていたアキッキーも、このまま動かないというのもまずいと判断し、その提案を呑むことにした。









その後、アキッキーの提案により、担当するエリアは、以下のように分けられた。









○屋台横丁エリア:ルナマリア

○プールバー:エド(リーダー)、昴、アルフ、フワニータ、ベルナデッド

○ヅカ喫茶桜藤組:ソラ(リーダー)、みなみ、ゆたか、ミーア

○長門の自宅付近:丈瑠(リーダー)、流之介、茉子、千明、ことは、源太、遥希、梨生奈、拓巳、こなた

○市街地エリア:ゴセイナイト

○研究施設エリア:タツノコースケ(リーダー)、聖夜、翼、理来、レニ、織姫、ハルヒ、キョン、みくる、長門、古泉、鶴屋さん

○医療施設エリア:冬馬(リーダー)、翔太、北斗

○メディアステーション格納庫:トーマ(リーダー)、つかさ、ロベリア、雷電、ナナマル





また、メディアステーションの外からの概観で見えたものの中にも、ミッドチルダの国々の施設が見受けられたことを思い出したアキッキーは、そのエリアにも調査チームを振り分けた。





○デカベース:空課長(リーダー)、アインハルト、ゴルゴ、テンテラス、アイシス

○ストライクウィッチーズ基地:ムウ(リーダー)、スウェン、幸生、かがみ、みゆき、ダイスケ、 リオ、コロナ、シャンテ、ななこ













尚、今回アキッキーとスマッシュブラザーズメンバーは遊軍として、メディアステーション内全域を回ることになった。











「それと、これをチームで一台ずつ。」

「ん?」

「ほぇ?」

調査開始にあたり、アキッキーは一同に電子手帳に似たアイテムを手渡した。

ゴセイナイトがそのアイテムの解説に入る。

「そのアイテムは、“アライアンスチェッカー”。R.S.が過去にリサーチした怪人や怪獣のデータを納めた電子端末だ。」

「そいつはありがたいんだけど…、ちなみにその化け物って、何体ぐらいいるの?」

「ざっと数えて、少なくとも1000体はいるわ。」

―――多っ!!!

サツキの答えたそのアバウトな数だけでも、充分凄すぎるという感覚は掴める……。

「あっ、あともう1つ。データ端末を持っている人はちょっと出して。」

『?』

そう言われ、一同は通信用などのデータ端末を取り出す。

「NEXT!」

「OK、バディ!データ転送!!!」

NEXTの赤外線通信で、あるデータが一同の端末に送られる。

送られたデータを開封してみる。

現れたのは、アキッキー兄妹が様々な人たちと一緒に映っている記念写真のデータだった。

それを見た瞬間、全員固まったり首を傾げたりしてしまった…。

思わずコースケ、アキッキーに突っ込みを入れる。

「あのさ、アキッキー。いま写真自慢をしている場合じゃないと思うけど…;」

「違いますよ!!みんなプリキュアやウィッチーズの顔を知らないでしょ!」

『・・・・あっ!』

…一同、アキッキーに言われるまで全然気がつかなかった。

「だから、ボクがシードピアへ来る直前にプリキュアやウィッチのみんなが写ったこの写真で顔を確認したり、相手が疑ってきたときにこれを見せればボクの顔見知りってわかるでしょうが!!!」

「た、確かに……。」

“アキッキーの知り合い”を探すというところまでは頭に入っていたものの、そのそれぞれの顔までは頭が回らなかった一同。

ハルヒもアキッキーの言葉に納得しつつ、詰めが甘かったことに顔を渋らせた…。













かくしてそれぞれ担当部署を決め行動を開始、スマッシュブラザーズも散り散りに調査を開始する。

サツキは事態の確認のために、一度S.O.R.へと戻っていった。













「…よし、ボクもそろそろ―――。」

―――ザザァァッ!!!

「!?」










1人遊軍となったアキッキーもさっそく動こうとしたその時、突如、目の前に漆黒のオーロラが出現しアキッキーを飲み込む。















そして、その場所には誰もいなくなった…。



















































「フフ、これで厄介者のアカレッドは隔離した。」

亜空軍母艦アドラメレクほくそ笑む影。

ルヴェラの“闇のアーカイブ”の同盟ダークアライアンスのリーダー的存在・魔天使のブラジラだ。

先ほどアキッキーを亜空間へ飛ばした張本人である。

「後は、この私の手で引導を渡してくれる!」

さっそく先ほどアキッキーを転送した亜空間へ向かおうとするブラジラだったが―――。

「待て、ブラジラ!」

「!?」

背後から呼び止める人物。

“バサラワールド”の孤高の海賊・セルバンテスだ。

「どうしたのだ、セルバンテスよ。」

「我も連れて行け。あのアカレッドとかいう奴が持っている剣の本来の持ち主と因縁があってな。この場で、その因縁に決着を付けたい!」

アカレッドの持つ武器である剣・ゴーカイサーベル。

驚くことに、セルバンテスはその武器に見覚えがあり、尚且つ同じものを持つ“ある戦士”を知っていると言うのだ。

思わぬところで接点があったことにブラジラも驚くが、これは亜空軍にとって非常に面白い展開になりそうだ…!

「なるほど…面白い!よかろう、ついて来るがいい!!」

















揃ってアカレッドに因縁をつけたブラジラとセルバンテス。



アキッキーに、最大のピンチが迫っていた……!!!!






















































………………………………突然だが………。





















時間はいきなり、“ミキシングローバル”発動から20時間前に遡る……。





















サイバーディストーションフィールドを航行する、一隻の大型船。

……いや、船と呼ぶには少々奇抜すぎるその形。

“鳥の形の移動要塞”に見えると言うくらいの、ユニークな船。

その船は、数多の世界の狭間であるこの4次元空間を漂っていた…。













「みんな、集まったな。」

その船の内部に配備された第1ブリーフィングルームに、この船の主要クルーたちが集まっていた。

黄色を基調とした凛々しい隊員服に身を包むクルーのチームと、青色の隊員服のチーム、そして、オレンジ色を基本とする独自の隊員服を着こなす女性チーム。

彼らが着席するブリーフィングデスクの一番奥には、グレーの服を着る40代ほどの男が構えている。

「突然なんだが、我々“W.M.G.”は現在の航路を外し、今から“シードピア”へと向かう。」

「シードピア…ですか?」

“黄色チーム”のクルーの一人が、聞きなれない世界の名前を耳にし、首を傾げる。

しかし、それと同じくして、違う反応を見せた“青服チーム”の女性クルーが、何かに気付いた。

「…今現在、亜空軍との激戦の真っ只中にある、第45管理外世界…。ディスタンスフォースの記録している次元世界の中では、本局からかなり遠く離れた世界よ。」

進路を変更して、渦中のシードピアへ向かう。

今まで行動を共にしてきたクルーたちにとって、思ってもいなかった状況である……。

「だけど総監さん、そもそもシードピアには、リンディ司令たち“アースラチーム”がいるはずなんじゃ…。」

「それに、スーパー戦隊の伝道師的存在の“レンジャーズストライク”もいることですし、僕たちが出る幕なんて…。」

“女性チーム”のリーダー格と、“青服チーム”の若年クルーが進言するが…。

「これは通常任務ではない。地上本部のレジアス・ゲイズ司令官直々の依頼だ。」

『…!?』

少しばかりクルーたちに緊張が走る。











先ほど、第666観測指定世界“ウルトラゾーン”内部・怪獣墓場で、レジストコード“ウルトラマンベリアル”と思しき生体反応が確認されたそうだ。

それと同時に、怪獣墓場に眠っていたはずの怪獣たちの魂が、隅から隅まで根こそぎ消失したと報告された。

ディスタンスフォースは先遣調査隊を送って真相の究明に乗り出したのだが、出動から僅か数分でシグナルロスト。

最後に送られてきた映像には、謎の巨大戦艦に乗り込む一人の男の姿が映っていたそうだ。












“総監”の言葉に続いて映ったのは、地上本部から送られてきた、“最後の映像”を収めた写真。

そこには、船に乗り込もうとしている、緑色の髪と黒い衣服の男の姿が。 その笑みの中に邪悪な気配を感じるのは、気のせいではない…!

「地上本部は、この男を亜空軍に属する幹部の一人と判断し、さらに、亜空軍の力による“ウルトラマンベリアル”復活の可能性を指授した。そこで、その真相の究明とシードピア連合軍の支援、並びにウルトラマンベリアルの殲滅の任務を依頼すべく、レジアス司令官は我々に白羽の矢を立てたと言うことだ。」

最も恐れていた緊急事態…。

ウルトラマンベリアルの存在は、自分たちにとっても忌まわしき、“暗黒のウルトラ戦士”

力に渇望した戦士の末路の象徴とも言うべき存在だ。

そのベリアルが復活したかもしれない……。

最悪の事態に言葉をなくす一同……。







「やってやろうじゃねぇか…!」 『!?』









ふと、“黄色チーム”のリーダーが、覚悟を決めた口調で言葉を言いながら立ち上がった。







「ベリアルが復活したってんなら、もう一度あいつをブッ倒すまでだ!!!」







その気合に満ちた一言に賛同する者たち。

「あぁ!かつて俺たちが一度倒した相手!勝てないはずがない!」

「あんたならそう言うと思ってたわ。」

「とことん付いて行くぜ、アミーゴ!」

「カシラ!久々に面白くなってきそうですね!」

「フッ、丁度、あたしも退屈していたとこだしな。」

それぞれの反応は違うものの、全員の決意は決まっていた。











――プラズマ界を守る……と…!











そして、“青服チーム”のボスが、総監に進言した。

「総監、向かいましょう、シードピアへ!」

さらに、“黄色チーム”のオールドルーキーと、若きエースも。

「プラズマ界を守るために!」

「そして、ベリアルと亜空軍の野望を食い止めるために!!!」

クルーたちの決意は、その目の輝きが物語っている。

総監は、笑顔で頷き、それに応えた。



















「“バーン・アップ・ガイズ”!サリー・ゴー!!」



『G.I.G.!!!!』




---to be continued---


☆あとがき
第155話、このエピソードが実質的“フュージョンワールド・ウォー”の開幕戦と相成りました。
最早プラズマ界の命運の全てがシードピアに結集しているといっても過言ではない状況になっております。
その一方で、シードピアに緊急出向の意志を固めた、『W.M.G.』なる新参戦勢力。
今後の“フュージョンワールド・パニック”で少しずつ登場するかもしれません…!

さて、いよいよ次回は本戦!第1ラウンドのキーワードは“救急戦士新生”
燃えるレスキュー魂を炸裂させる展開にご期待ください!!!










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