ゾロアシアワールドで陰密行動を行っているてれび戦士4人。
“ラクス・クライン”の慰安ライブの情報をキャッチし、一般人に化けてまたまた潜入を試みた。
今回のステージは何と、エターナル・フェイスの活動拠点“ジェネシス・フォートレス”の目と鼻の先にあると言う軍事港『ジブラルタル・ハーバー』。
こんな場所でライブをやるとなると、観客はほとんどがゾロアシアの軍人ばかり。
一般客は多少遠く離れた場所からフェンス越しに眺めるしかない。
「場所がどこだろうと、お構いなしなのねぇ…。」
「それにしてもこの人数、こないだはじめてみた時より多くなってない?」
甜歌の推測どおり、彼らの後ろには今か今かと首を長くして待っている観客たちが。
あるものはフェンスを越えようとして、またあるものは肩車までしてステージを見つけようとしている。
「これだけおると移動も相当大変ではないか!」
「まぁまぁまぁ…。あ!始まるよ!」
いつもどおり、アップテンポの曲がかかり、ラクス・クラインがMS特設ステージに乗って登場してきた。
「みなさぁ〜ん、こんにちわ〜!」
歌姫の声を聞いた途端、一気に観客のテンションはヒートアップ、この日一番の大歓声になった。
このままハイテンションでライブが終わればいい。
てれび戦士だけでなく、会場周辺の人間がそう考えていた、次の瞬間。
―――ドッカーン!!!
突如鳴り響いた爆発音。
そして、それと同時に上空を飛び交う戦闘機とロボットの群れ。
「このパターン…。」
「「「ま、まさか!!??」」」
瞬間、観客の中から銃撃音が飛び交った。
「死ね、コーディネイター!シードピアの化け物!」
「蒼き清浄なる世界のために!」
―――BCF!?
時と場所を考えないBCFの猛攻には、てれび戦士たちもお手上げ状態だった。
4人はひとまずこの場所から退却することにした。
一方、エターナル・フェイスの活動拠点“ジェネシス・フォートレス”の作戦司令室。
そこに、アスラン、シンを初めとした“ミネルバチーム”が集合した。
整列したメンバーたちの目の前にモニターが現れ、総司令官ギルバート・デュランダルから指令が下された。
「諸君、たった今“ジブラルタル・ハーバー”にBCFが出現した。現在モビルスーツが4体確認されている。おそらく向こうも、独自の技術でMSを開発したと思われる。」
情報を聞いたメンバーたちは眼を見開いた。
これで実力はほぼ互角となる。
下手をすればこちらが押される可能性が高い。
「彼らのMSがどのような装備をしているかは推測できない。警戒してくれ。」
ここでタリア・グラディスから補足情報が告げられた。
「それと、現場ではラクス・クラインの慰安ライブが行われているはずなのよ。もし彼女に何かあれば、こちらとて動けないわ。くれぐれも周辺の住民たちには注意して。」
「了解!」
アスランは不安を覚えた。
彼女が被害にあえばどうなるか判らない。
なんとしても彼女は守らなければ!
「じゃ、アスランくん、出撃命令を!」
「はい。」
アスランはメンバーたちに眼を向け、高らかに告げた。
「エターナル・フェイス、ミネルバチーム、Sally forth!(出撃せよ!)」
『Yes sir!(了解!)』
全員が動き出し、各自それぞれのMSと戦闘機に搭乗した。
ネメシス、スザク、メテオクラッシャー……。
どれもエターナル・フェイスの代名詞ともいえる主力機体ばかりだ。
因縁の対決、まもなくその幕が上がる……。
飛び交う銃撃音と上空を徘徊する戦闘機郡。
周辺はもはや、言葉に出来ないほどの大惨事になっていた。
「ひどい…。」
「ホントに許せないわ!」
避難に成功したてれび戦士たちもまた怒りに震えているそのとき、会場の奥のほうから別の巨大ロボットと戦闘機の一群がBCFに向かって突撃してきた。
「あれ?!ねぇ、あれってひょっとして…!」
「うむ、どうやらあれがエターナル・フェイスのようじゃな。」
一群は現場に到着すると同時に、BCFに切りかかってきた。
MSの戦闘技術は両チームほぼ互角、いや、BCFがやや押していると言っても過言ではなかった。
ここは今回も加勢すべきか。
そう考えた矢先、突如周辺に声が響いた。
『そこまでだ、エターナル・フェイス!』
聞き覚えのある少年の声。
ギクッとしたてれび戦士は振り向いた。
すると、いつぞやの少年たちが“ラクス・クライン”相手に武器を向けている光景が飛び込んできた。
「ゲッ!ちょっと待てよ…。」
「あいつら性懲りもなく……!」
『彼女の命が惜しくば、投降してもらおうか?』
『さもなくば、この場でこの子を殺すよ。』
堪忍袋の緒が切れたてれび戦士は、互いに目をあわせ、リモコンを起動させた。
そして、ついにアイリスから託されたアイテムを使うときがやってきた。
『衣装チェンジ!“トランス・コスチューム”!!』
『卑怯だぞ!お前ら!』
MSから聞こえるパイロットの声。
完全にあせっていると見てる。
フレイとアウルはあえてさらに脅迫した。
「卑怯で結構よ!もともとあたしたちはそういう組織なの!」
「まあ、もしもお前たちがこの国全部を明け渡すってなら、話は別だけどねぇ〜☆」
『なっ、何ですって!!』
まるで開き直ったかのような余裕を含むこの台詞。
ますます相手は怒りを増す一方。
さらに、フレイは冷たい笑みを浮かべ、腰に常備している形態装備・ヴァジュラウェポンを取り出し、それをビームサーベルに切り替えて、その光の刃をラクスの首にぴたりと当てた。
ラクスの顔がますます引き攣る。
「この子の脅える顔、余計にそそるわね…、このまま切り裂くのも面白そう…☆」
「へへっ、いいじゃん!やっちゃえ、やっちゃえ!」
『貴様ら!!人の命を粗末にして!』
一人の青年の言葉に、フレイはカチンと来た。
「“人の命を粗末にする”?冗談じゃないわよ!」
さらにこれでもかと言わんばかりに、アウルが言い放った。
「じゃあ言わせてもらうけど、もともと僕たちナチュラルが住んでいたこの国をめちゃくちゃにしたのは誰だ?お前たちコーディネイターだろ!」
「そのときだってあんたたちはあたしたちナチュラルを片っ端から皆殺しにしたじゃないの!!これでもまだ正義のヒーローのふりをしているっていうの!!??」
これは否定できない事実。
メンバー全員の血の気が引いた。
「だからあたしたちは復讐するのよ……。これが、あたしたちBCFの信念なのよ!!」
フレイは怒りのままに“ヴァジュラ・サーベル”を振り上げた。
その矛先はラクスに向けられていた。
逃げようにも、両腕をアウルに掴まれて身動きが取れない。
「今度こそ、蒼き正常なる世界のためにぃっ!!!」
『やめろぉぉっ!!!!』
――――バチィィィィィィン!!!
振り下ろされる瞬間、ギュッと瞼を閉じたラクス。
だが、衝撃が来ない。
恐る恐る眼を開けると、自分をかばって攻撃を受け止めている少女が居た。
その姿は、以前に自分を助けてくれたあのときの少女と全く同じだった。
「あなたを助けるのは2度目、ですね。」
少女はラクスに目を向け、微笑んだ。
フレイとアウルはラクスをかばった少女の姿を見て、驚愕した。
「あ、あんたはまさかっ…!!」
それと同時に、別方向から仲間と思しき子供たちがそれぞれBCFに突撃してきた。
「お前たちは、テレヴィア公安組織・ティアーズ!!」
もう一つの、避けられぬ戦い。
それは、一つの運命とも受け取るべきなのかも知れない……。
---to be continued---
あとがき:
ようやく新展開、またしてもB.C.F.が参上しました。もはやてれび戦士は怒りの絶頂にあることでしょうね…。
さて、次回ですけれども、前半はてれび戦士&エターナル・フェイスVSブルーコスモス・ファミリーで参ります☆
そして、後半はまたまたニュートラルヴィアになりますけれども、いつものアプリリウス銀座ではありません。
この物語初登場のとある村にスポットが入ります。
さらに、次回は何と『STARGAZER』からNEWキャラクター緊急参戦!お見逃しなく☆