Phase8 盲目の伝道師


不気味な雰囲気が漂う謎の島『クリスティア島』に流れ着いたU.W.B.の面々。

彼らは、この島の住人と思しき青年・九条昴に導かれ、一軒の小屋につれてこられた。

そこで彼らを迎えたのは、目を閉じたままイスに座る、一人の男だった。

昴が、彼を簡単に紹介した。

「こちらは、マルキオ様。この伝道所に住んでいるシードピアの伝道師だ。ただ、マルキオ様は目が見えないために、外に出る時は必ず誰か着いていかなければならないけどね……。」

昴の言葉の中に、なにやら聞きなれない言葉が出てきた。

「…シードピア?それって…、この世界の名前のこと?」

「そうだよ、愛実。ここは、シードピアの遺跡島『クリスティア島』と呼ばれる島なんだ。」

すると、一人の女性がお客様用の紅茶を持ってきた。

「お客様とは、珍しいですね。」

「あ、どうも……。」

まるで大和撫子のような風格を持つ女性に、望は見とれてしまった。

―――綺麗だなぁ………☆

ここで愛実が、口を開いた。

「ところで、この島に来る時、一際目立つ大きな遺跡があったのですが、あれは一体なんですか?」

その質問に、盲目の伝道師がゆっくりと答えた。

「あの大きな遺跡は、“カオティクスルーイン”と呼ばれる古代遺跡です。」

―――カオティクスルーイン?

なにやら意味深なその名前に、ゴルゴたちの頭の中は『?』状態だった。

すると、先ほどの女性―――花火が口を開いた。

「実はあの遺跡には、まだ誰も入ったことがないのです。それに、どうやって入ることが出来るのかでさえも、今の科学力では解明されていないのです。」

つまり、あの遺跡には何があるのか自体、未だに明かされていないと言うわけだ。

「しかし、一つだけ手がかりが残されているのです。」

マルキオの言葉に、ドクターレイシーは思わず身を乗り出した。

「それは一体!?」

「うむ…。花火、あの写真を……。」

すると、花火は奥から一枚の写真を持ってきた。

そこに写しだされたのは、古代テレヴィア象形文字に酷似する古代文字が書かれていた石盤だった。

「これは、カオティクスルーインの入り口付近に描かれていた象形文字です。そこには、こう書かれているそうです。」

マルキオ導師は、その象形文字に書かれた文字を訳した。


『この世界が、破滅の道を歩みだすとき、“自由”の翼をもち、自らの“正義”を貫き、過酷な“運命”に屈せず、己が“信念”を貫き通す、“太陽の光”を受け継ぎし者―――すなわち“SEEDを持つもの”がこの扉を開き、その中に眠る剣を手にし、“虹の勇者”と共にこのシードピアを救うだろう……。』


その文字の隣には、その言葉の意味を表しているのだろうか、大きな人型機械が悪に立ち向かう光景が描かれていた……。

「マルキオさま…、この“SEEDを持つもの”って、何ですかな?」

ドクターレイシーは、この文章の鍵とも言うべき質問を、マルキオにぶつけた。

「何か特別な存在であることは確かだと思います。このシードピアは、コーディネイターとナチュラルと言う二つの人類が居るのですが、
多分それに関わらず、特定の人間にしか持たないと思います……。」

差し出された菓子類をガツガツと食べていた幸生も、思わずその写真に見入ってしまった。

「何だか、とても穏やかな雰囲気じゃないみたいだね……。」


『でも待って…。“虹の勇者”って確か、テレヴィアで語り継がれている初代R.G.のことよね……。だけど、彼らはすでに地球から去っているはずだし………。どういうことかしら……?』

そう、愛実の予測どおり、虹の勇者はすでにテレヴィアでは伝説として残っている“地球人”。

ここに書かれている虹の勇者とは、別の意味を示しているのだろうか………。


謎めいた雰囲気を秘めたカオティクスルーイン……。

シードピアに存在する旧人類・ナチュラルと新人類・コーディネイターの争い………。

そして、この世界の命運を握るやも知れぬ、“SEEDを持つもの”の存在……。

てれび戦士たちは改めて、この世界の情勢の悪化を実感していた……。



---to be continued---


あとがき:
久しぶりの更新なのに今回は短いです……ごめんなさい!

さて、このカオティクスルーインには物語の終盤にその封印を解くことになります。
そしてその中には、メインキャラのうちの5人が手にすることになる“あるモノ”が眠っているのですが、
果たしてそれはなんでしょうか?皆さんで予想してみてください☆

さて、次回は舞台を再び“アストレイバー・アイランド”に移します!








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