Phase6 対なる遺伝子


大騒動のあと、R.G.F.はライガーシールズに連れられ、G.L.B.にやってきた。

彼らの活動拠点でもあるG.L.B.の設備の高さに、彼らは唖然とするばかりだった。

突然の来訪者に、作戦指揮官のナタルは目を見開いた。

「ラミアス司令!どういうつもりですか!?見ず知らずの人間をこの基地に連れてくるなんて……!」

「ナタルさん、そう言わないで下さい。彼らはニコルとラクスを助けてくれたのですから。」

キラの言葉に、彼女は唖然とした。

本来ならば入れることは許されないのだが、今回は多めに見てあげることにした。

「……来訪者よ、我が仲間を助けてくれて感謝する。私は“アークエンジェルチーム”の作戦指揮官、ナタル・バジルールだ。以後、お見知りおきを。」

「あ…どうも。レインボー・ガーディアンズのオブザーバー、山元竜一です。よろしくお願いします。」

レッド隊長とR.G.F.にとっても、気まずいムードだった。

彼女とは関わりたくはないかも―――誰もがそう思った……。


そんな面持ちでR.G.F.は、ライガーシールズの司令室にたどり着いた。

そこには、彼らをサポートするメンバーたちが揃っていた。

彼らもまた、見知らぬ人物たちが基地にきたことによって動揺がはしっていた。

キラはとりあえず、皆を落ち着かせた。

「みんな、聞いて。この人たちは、ニコルとラクスを助けてくれた恩人たちなんだ。僕たちに危害を加えるような人たちじゃないから、安心して。」

その優しい言葉に、メンバーたちはひとまず胸をなでおろした。

その時、隻眼の男が現われた。

「いやはや、僕たちの仲間を救ってくれて感謝するよ。僕はアンドリュー・バルトフェルド。“アンディ”って呼んでくれ!」

表情から見ても性格から見ても、メンバーたちの兄貴分と考えてもいいような男性だった。

それと同時に、黒の長髪の男が彼の後ろから出てきた。

「俺はカナード・パルスだ。以前は傭兵をやっていたが、今では正式なライガーシールズのメンバーだ。宜しくな。」

「皆さん初めまして!我々はテレヴィアからやってきた、『レインボー・ガーディアンズ』!!……と申します。」

竜一につられて、R.G.F.は彼ら特有のポーズを取りながら、自己紹介をした。

「面白いねぇ、そのポーズ。さて、話を戻すとするか。」

アンディの言葉で、キラたちが彼らと向かい合うような位置に移動した。

「君たちは確か、このニュートラルヴィアに来るのは初めてだよね。じゃあ、これを見てくれ。」

そう言ってアンディがモニターに指を指すと、その画面には様々な島が浮かんでいる世界だった。

「これが、僕たちの住む世界、“プラズマ界・シードピア”。そして、今僕らが居る基地がここ!」

そう言ってモニターが拡大した先は、今彼らがいる大型の基地だった。

「この基地こそ、僕たちの活動拠点“ガーディアン・ライガー・ビルディング”。通称“G.L.B.”と呼ばれている。」

「そして、このG.L.B.で日夜ニュートラルヴィアの治安と秩序を守るために活動する特装機動部隊!それが僕たち、『ライガーシールズ』だ。」

R.G.F.の所轄領域とほとんど同じ国土を持つこの島を守るために活動するライガーシールズの奮闘振りに、感心を持った。

しかし、カナードがここで意味深な言葉を口にした。

「だが、この世界は今、“人種差別”に関する問題が起こっているんだ。」

“人種差別問題”―――、その言葉にてれび戦士は首を傾げた。

「このシードピアには、二つの人類が存在するんだ。自然のまま生まれた“ナチュラル”と呼ばれる人類と、遺伝子操作によって高い能力を生まれながらに持っている“コーディネイター”と呼ばれる人類だ。」

キラは極めて冗談ではないと言うような、若干暗い口調でてれび戦士に話した。

しかし、てれび戦士たちはコーディネイターと言う存在をうらやましく思った。

「いいなぁ……生まれた時から優秀な力を持っているんでしょ?あたしもそういう人間に生まれたかったなぁ…☆」

「だけどね、テンカちゃん。その“憧れ”を持っている人が居るがゆえに、悲しい出来事も起こってしまうんだよ。」

キラのその言葉に、甜歌の目つきが変わった。

この後発せられたカナードの言葉に、てれび戦士は事態の深刻さを痛感することになる。

気が付けばモニターには、ニュートラルヴィアとは違う別世界が映し出されていた。

その世界は、まさにシードピアの“城塞都市”だった。

「今から2年前、この“ゾロアシア・ワールド”で“血のバレンタイン”と呼ばれる事件が起こった。かつてはここもニュートラルヴィアと同じように、コーディネイターとナチュラルが共存していたんだが、この世界に住んでいたコーディネイターの反逆テロが起こったんだ。その影響でそこに住んでいたナチュラルたちは、空中に浮かぶコロニーに住みざるを得なくなってしまったのだ。」

それは、“もはやナチュラルの時代は終わったも同然だ!!”といっても過言ではない、シードピアの悲劇だった。

「その日からお互いの種族の緊張感が一気に武力衝突になってしまいました。それ以来2年間、私たちは繰り返しのように、無意味な戦いを続けてきたのです………。」

ラクスの言葉で、この世界に展開されている大戦争の、血塗られた歴史を肌身感じてしまったてれび戦士……。

ちひろは握りこぶしを作りながら、震えていた。

「これは我々には許しがたい現実だな……!平和を愛する善良な人々まで巻き込んで戦渦を引き出そうとは……!!そんな輩は、この私が許しはしないぞ!!」

ちひろの言葉を聞いた杏奈は、決意した。

「そうね……、ラミアス司令、ヤマト隊長。我々R.G.も協力するから、そんなふざけた連中、ぶっ潰してやりましょう!!」

「テレヴィア精鋭部隊のプライドと誇りを掛け、この世界は我ら、レインボー・ガーディアンズが必ず守ってみせる!!」

「何かあったら僕たちに言ってください。出来る限り協力いたしますよ!!」

杏奈、レッド隊長、卓也の言葉に賛同するR.G.たちの硬い決意を受け取ったライガーシールズは、全面的に協力することを約束してくれた。

「ありがとうございます、レインボー・ガーディアンズの皆さん!!私たちアークエンジェルも全面的に協力を約束します!!」

「心強い同志が居てくれて、僕たちも嬉しいよ!!」

彼らにとっては百軍を得たも同じの出来事に、キラとマリューは心からの喜びを実感していた。

「また後日、改めて窺いますよ。その際には、俺たちと同じ志を持った精鋭たちを連れてきますから!」

さらに竜一の予想だにしない言葉を受け取ったカナードは、満面の笑みを浮かべた。

R.G.たち以外にも、彼らの仲間がいると言うことに、ライガーシールズは感謝の気持ちで一杯だった。

「何から何までありがたい!感謝の気持ちで一杯だ、俺達は!」

今、まさにてれび戦士とライガーシールズの中立同盟軍が結成されようとしていた。



---to be continued---


あとがき:
ようやく更新できました!シードピアの物語もやっと第6話。
更新ペースが低迷し始めていますが、まだまだ頑張りたいと思います!!
さて、次回はゴルゴ伯爵たち、U.W.B.サイドをUPしたいと思います。
ニュートラルヴィア近海のとある島に上陸します!!








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