ニュートラルヴィアの中心街“アプリリウス銀座”。
ここは、この島の中でも有数の商店街。
R.G.F.と竜一はその中枢地に位置する、H-16地区の“ハイペリオンパーク”に来ていた。
甜歌はこの市街地の広さに驚いていた。
「テレヴィア銀座以上に広くて豊かな街ですね〜。」
「それに活気溢れてにぎやか、というところもいいわね。」
杏奈もしばし、住人たちのにぎやかさにのめりこんでいった。
―――こんなに 冷たい 帳の深くで あなたは 一人で 眠ってる……。
「あれ?ねえみんな、なにか、歌が聞こえない?」
卓也の言葉に、全員耳を研ぎ澄ました。
すると、なにやら女の人の歌声が聞こえた。
「あっちの方向だよ!」
公輝が指を指した先には、小さなステージのような場所があった。
竜一たちは、そのステージへと向かった。
人の波をかいくぐり、ステージに一番近い最前列へとたどり着いた。
そこには、長いピンクの髪と三日月のような髪飾りをつけた少女が、淡い緑の髪の少年のピアノに合わせて唄っていた。
ジョアンが歌声の綺麗さに酔いしれれば、ちひろはその中にある悲しさに気付いていた。
「すごくキレイ……!」
「しかし、何だか悲しそうだな……。」
その時、パーク内に爆発が響いた。
住人たちはもちろん、てれび戦士も騒然とした。
「な、な、な、何だ!?」
「落ち着けお前たち!」
竜一がすぐに勇気を落ち着かせる。
住人たちがすぐさま避難を開始したその時、甜歌がただならぬ気配を察知し、すぐに周囲に目を向けた。
そして物陰から銃を使い、さっきまで唄っていた少女に向けて発砲しようとしていた瞬間を確認すると、すぐに動いた。
「レインボーアタック!『早送り!!』」
「甜歌!?」
杏奈が彼女を呼び止める暇もなく、甜歌はRGリモコンを使い速度を上げ、すぐにステージへと向かった。
「あぶな〜〜〜い!!!」
甜歌は叫んだと同時にピンクの髪の女の子をかばうためにステージに飛び込んだ。
その衝撃で女の子は背中から地面にぶつかってしまい、ダメージを負ったが、かろうじて銃弾は避けることに成功し怪我はしなかった。
すぐさまそのステージに、R.G.F.の面々が上がってきた。
「大丈夫ですか!?」
「あ…はい。ありがとうございます!」
その時、ピアノを弾いていた少年が女の子の傍まで駆け寄った。
「ラクスさん、お怪我はありませんか?」
「私は大丈夫ですわ、二コルさま。」
その二人がお互いを気遣っていた時、すでに周囲は謎の武装集団に囲まれていた。
「お前たち、おとなしくしてもらおうか……?」
仮面をつけた男が、武器を構えながら投降を求めた。
ニコルとラクスにとっては絶体絶命だったが、てれび戦士にとっては余裕同然だった。
「竜一!」
「…どうする!?」
レッド隊長と卓也が絶妙のタイミングで言葉を紡ぎ、竜一の判断を求めた。
「よし!レッド、杏奈、お前たちは俺と一緒にこの二人を守るぞ!残りのメンバーは、こいつらの面倒を見てやりな!!」
『了解!!』
総司令の命令を受け取った卓也たちは、レインボーサーベルを手に、武装集団に飛び掛った。
レインボーサーベルが虹の弧を描く。
ある程度のメンバーが減った時、一台のトレーラーが現場に突っ込んできた。
そのトレーラーからなにやら特殊部隊の雰囲気をもつ一団が現われた。
「ちっ、ライガーシールズだ!」
仮面の男は舌打ちをしながら、そう言った。
「君たち、ありがとう!後は僕たちに任せて!」
リーダーと思われる、アメジストの瞳を持った少年が、てれび戦士に軽く礼をいい、武装集団に突っ込んだ。
彼らが撤退する間もなく、彼らがもつブラスターが武装集団を次々に一掃した。
「一度ならず二度までも……、君たちの目的が何なのかは知らないけど、これ以上は許さないよ!」
この街の平和を必ず守り通す。
その熱意が、彼の言葉に宿っていた。
すると、赤い長髪の女の子が怒り任せにこう言った。
「許さないのはあたしたちよ…!いつかあたしたちのやり方が正しいってことを証明してあげるわ!蒼き清浄なる世界のためにね!!覚悟なさい!!」
「全員撤退だ!!」
捨て台詞を残し、仮面の男が率いる武装集団は去っていった。
今までのやり取りに、てれび戦士はしばし呆然……。
「……行っちゃったね、あの人たち…。」
甜歌は立ち尽くしたまま、しばらく動くことが出来なかった。
「……あっ、そうだ!あの女の子!」
その言葉と同時にすぐさま甜歌は、レッド隊長たちの下へと戻った。
「…まずは、御礼を言わせてください。ラクスとニコルを助けてくださり、ありがとうございました!」
ライガーシールズは全員、感謝の意を述べた。
「御礼だったら、この甜歌に言ってください。彼女が気付いていなかったら、ラクスさんも殺されていたのかも知れませんから。」
杏奈の言葉に、アメジストの瞳を持った少年は、甜歌に目を向けた。
「“テンカ”って言うんだ、君の名前…。二人を助けてくれてありがとう!心から御礼を言うよ!」
そう言って彼は甜歌の手を握った。
その仕草に、甜歌は照れ笑いを浮かべた。
ふとここで、背後からいかにも男勝りの金髪の女性が、彼の背後から出てきた。
「ところで!…お前たちは何者だ?見たところ、この島の人間ではなさそうだな。」
彼女の言葉を受け取った竜一、レッド隊長は、自分たちの代表者としてこう名乗った。
「これは名乗り遅れて失礼した。我々は、“テレヴィア”と呼ばれる世界からやってきた、レインボー・ガーディアンズだ。俺はオブザーバーを務める、山元竜一と申す。」
「そして私は、レインボー・ガーディアンズのリーダーを務める、レッド隊長だ。宜しく!」
テレヴィア―――ライガーシールズにとっては聞きなれない国の名前であった。
「失礼だが、そういうあなた方は何者だ?」
ちひろがライガーシールズに対して、君たちが何者かを継げた。
先陣を切って、アメジストの瞳の少年が話し出した。
「僕たちは、超越公安組織『ライガーシールズ』!僕は、そのエリート部隊“アークエンジェルチーム”の隊長、キラ・ヤマトです。」
レッド隊長は、少年の今の役職に目を見開いた。
「君が隊長やて!?……ありえへんな!」
「でも、レッド隊長よりはしっかりしているし、頭もよさそう。」
「うわぁお!杏奈先生それはないでしょう!」
レッド隊長と杏奈が茶化しているその時、先ほどの野外コンサートでピアノを弾いていた少年と歌を歌っていた少女が前にでた。
「実は僕と彼女も、ライガーシールズのメンバーなんです。僕は副隊長の二コル・アマルフィ。そして…。」
「“アークエンジェルチーム”のメンバー、ラクス・クラインですわ。」
てれび戦士たちは目を見開いた。
まさか彼らも特殊部隊の一員だったとは思わなかったから。
「ついでに、私は“アークエンジェルチーム”切り込み隊長の、カガリ・ユラ・アスハだ。よろしくな!」
「そして、“アークエンジェルチーム”の司令官、マリュー・ラミアスです。」
お互いの代表メンバーのあらかたの自己紹介が終わった直後、竜一が質問した。
「ところで、ヤマト隊長。ちなみにここはなんと言うところなんですか?」
「シードピアの中立国“ニュートラルヴィア”と呼ばれる島です。あの……ご存知ないですか?」
シードピア―――聞きなれない世界の名前に、てれび戦士はしばし困惑気味……とそのとき。
「あっ!思い出した!!」
突然、杏奈が何かを思い出した。
「杏奈先生、どうしたんですか?」
「甜歌、どうやらあたしたちとんでもない世界に来ちゃったみたい!このシードピアは、あたしたちの住んでいるテレヴィアに酷似していることから、“もう一つのプラズマ界”と言う異名を持った伝説の世界なのよ!」
―――ええぇぇ〜〜〜〜〜!!??
R.G.F.は思わず絶叫に似た叫び声を上げてしまった。
しかし、この後彼らはシードピアの現状を知ることになる。
そしてそれは、この世界の想像を絶する大激闘への入り口になるのだった……。
---to be continued---
あとがき:
ようやく第5話です。
でも一瞬だけSEED対てれび戦士みたいな感じになってしまいました。
さて、ライガーシールズとR.G.F.が遭遇しました。
これからどういった関係を築くのでしょうか!?期待しましょう!!