Phase4 動く世界


“過激派組織『ブルーコスモス・ファミリー』がニュートラルヴィアを襲撃した。”

そのニュースはシードピア全土で話題となっていた。

ニュートラルヴィアの市街地は次第に修復されていく傾向にありつつも、市民たちの間は重苦しい雰囲気に包まれていた。

ライガーシールズの面々は、アプリリウス銀座の復旧作業に負われていた水面下で、あの事件を期に、『ブルーコスモス・ファミリー』を重要危険集団として、ニュートラルヴィア全土に指名手配勧告が出された。

そのニュースは、ゾロアシア・ワールドにも報じられた。

『先日未明、“ニュートラルヴィア・アプリリウス銀座”において、過激派集団ブルーコスモス・ファミリーによる襲撃事件が発生しました。この事件によって、アプリリウス銀座の市街地の………。』

エターナル・フェイスの活動拠点『ジェネシス・フォートレス』の中にあるリラクゼーションルーム。

その大型モニターに、事件のニュースが流れていた。

シン、ルナマリア、メイリンの3人はそのニュースに釘付けになっていた。

そこにアスランがやってきた。

「あっ、おはようございます、隊長!」

「「おはようございます!」」

真っ先にルナマリアが挨拶をし、シンとメイリンは即座に敬礼した。

「ああ、おはよう。」

軽く挨拶をし、アスランもモニターに目をやった。

そこに写ったニュートラルヴィアの惨状に、彼は目を見開いた。

「…!これは…!」

「何か、昨日ニュートラルヴィアで事件があったらしいですよ。」

モニターには、ボロボロにされてしまった“アプリリウス銀座”の惨状が映っていた……。

「隊長、“ブルーコスモス・ファミリー”って……、あの…?」

不意にシンが、意味ありげな口調でアスランに聞いた。

「…ああ。シンたちもアカデミーで何度か聞いたことあると思うけど、ブルーコスモス・ファミリーは俺たちコーディネイターを滅ぼすことを目的として動いている過激派集団だ。これまで幾度なく俺たちエターナル・フェイスに宣戦を布告されたんだ。」

いわば彼らは、エターナル・フェイスの因縁の宿敵ともいうべき存在だ。

「だが、油断をするな。奴らは独自のモビルスーツも持っているし、いつどこで現われるか分からないぞ!」

「いつでも来いってんだ!!」

シンは怒りのこもったその言葉と同時に、握っていた缶ジュースを握りつぶした。

「ブルーコスモス・ファミリー……、いつかそいつらを踏み潰してやる!!!」

――――俺の家族の仇としてな!!!

シンが持つその怒りに、アスランは不安を覚えた。

彼のその感情がいつかよからぬ方向に行ってしまいそうな、そんな予感が………。

しかしその裏で、レイが不適な笑みを浮かべていることを、全員知る由もなかった……。



それから1週間後、いつもと変わらぬ日々が続いているかに見えた、ある日のこと。

ニュートラルヴィアのアプリリウス銀座郊外の“リュミエール岬”に、一隻の大型戦艦が着陸した。

ライガーシールズに気付かれることなく……。

リーフ・メインブリッジにてれび戦士の面々が集結した。

竜一の座っているキャプテンシートが彼らのいるところまで上がっていった。

「早速だが諸君、本艦は新世界に着陸した…。しかし、この世界は何が起こっているか分からない。油断するな!」

「ところで竜一、これから一体どうすんねん?」

レッド隊長がその疑問を口にした直後、竜一が指示を出した。

「それなんだが、レッド隊長。R.G.F.たちにはこの島の市街地に出向いてもらいたい。この世界の様々なことを知るには、まず偵察が一番だろう。それからU.W.B.は周辺の島々の調査を頼む。」

司令からの指示を受け取ったレッド隊長は、杏奈と共にメンバーを選出することにした。

「よし、杏奈先生。誰と行きますか?」

「そうね……、まずは甜歌、卓也、ちひろでしょ…。あとは“ランダム!!スロー”のメンバーかしら?」

ゴルゴ男爵もU.W.B.の調査隊メンバーを選んだ。

「こちらはそうだな…、望、幸生、愛実くん……。それからドクターレイシー、お前も手伝ってくれ!」

「承知いたしました、ゴルゴ伯爵。」


「では、このメンバーで決まりだな。わらわたちは他のメンバーと共にこの船の守りにつく。皆の者、気をつけていくのじゃ。」

『了解!』

『アイアイサー!』

有沙女王の言葉を受け取った直後、ドクターチアキがなにやらブレスレットのようなものをたくさん出してきた。

「皆さん、お出かけになるまえに、こちらを一人一つずつ腕につけてくれますか?」

見た目は普通のリストバンドのようだが、ちょっと様子が違う。

「何?このリストバンド。」

よく見ると、そのブレスレットにはティアーズ特有のエンブレムがつけられていた。

「甜歌ちゃん、これはね、こういうときのために造っておいた僕の発明品さ!発明bP623、その名も“シールドブレスレット”!じゃんじゃじゃ〜ん!!」

『シールドブレスレット?』

チアキによると、この発明品は有事の際にはどんな攻撃をも受け流すと言う特性を持つ『小型テレハルコンシールド』に変形するらしい。

しかし、重さはそんなに重くはなく、腕にはそれほどの負担はかからない。

そしてそれぞれには特殊武器、『RGリモコン』、『UWFブラスター』、『レインボーサーベル』も持っている。

それぞれ万全の体制を整え、いよいよ新世界に赴くことになった、その時。

「レッド隊長、俺もR.G.F.と行動を共にするぞ!」

「えっ!?司令がそんなことしてええんか?」

「俺もこの世界に興味があってな……。俺も一緒に行かせてくれ。」

レッド隊長は司令の希望とはいえ、これは受け入れがたいものだった。

しかし「ここは司令を尊重しましょう。」と杏奈が言った。

「大丈夫だ。表向きは卓也たちのオブザーバーとして俺を扱ってくれればいいからな。」

「…しかたないな。気をつけてくださいよ。」

七世は有沙女王たちと共に、代行指揮官としてリーフの守りにつくことになった。

「がんばってね〜☆」


彼らにとっては未知の世界、シードピア……。

しかし、この日を境に未曾有の大激闘の世界に巻き込まれることになろうとは、てれび戦士たちは知る由もなかった……。



---to be continued---


あとがき:
さて、ようやくてれび戦士がシードピアに到着しました!
次回はR.G.F.がニュートラルヴィアの市街地で、大騒動に巻き込まれる!
果たしてどうなる!?








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