Phase3 狂気の襲来


ニュートラルヴィアの市街地の外れにある軍事施設。

ここは、「ライガーシールズ」と呼ばれる特殊組織の活動拠点『ガーディアン・ライガー・ビルディング』、通称『G.L.B.』と呼ばれている大型基地。

そのG.L.B.の司令室にライガーシールズの面々が集まった。

隊長を務めるキラ・ヤマト、司令官であるマリュー・ラミアスを筆頭とする彼らは“アークエンジェル”と呼ばれる特殊チーム。

ライガーシールズのエリート部隊としてその名を知らぬほどのスーパーチームとして、ニュートラルヴィア中にその名をとどろかせている。

「キラ君、ニュートラルヴィアで変わったことは?」

「現時点では、どこにも異常はありません。」

ここ数日、これと言ったトラブルも起こることもなく、平穏な日々が続いていた。

「このまま続ければいいけどな…、この平穏な時間が……。」

ふと、メンバーのムードメーカーである切り込み隊長、カガリ・ユラ・アスハが呟いた。

彼女の淡く些細な願いは、シードピアの住人たちの誰もが願うことだが………。

「……国ごとに、その平和を手に入れる術は全然違う…。皮肉なものだ……。」

カナードがそんな言葉を呟いたそのとき、突如司令室に警報が響き渡った。

それと同時に、『ミッション・オペレートルーム』のミリアリア・ハウから緊急通信が入ってきた。

「キラ、緊急事態よ!」

「ミリアリア!どうしたの!?」

「“アプリリウス銀座”B-36地区に、未確認人物たちが潜入、街を破壊しているわ!」

別のモニターにその映像が映し出されていた。

被害は予想以上に広がっていた。

「ミリアリア、“アトミックパルスランチャー”と“ライガーカーゴ”の準備は?!」

「いつでもいいわ!」

その言葉を受け取ったマリューは、メンバーに指示を出した。

「よし、ライガーシールズ出動!!」

『了解!!』


アプリリウス銀座では、一人の仮面の男を筆頭に、謎の武装集団が市街地を破壊しまくっていた。

「死ね、コーディネイター!!」

「蒼き清浄なる世界のために!!」

いかにも尋常ではない少年たちの行動は、ニュートラルヴィアの警察でも手に負えないほどの規模になっていた。

その時、一台の車がその彼らの目の前に突如現われた。

破壊活動に参加していた、女の子の一人が仲間たちに声をかけた。

「全員、一時集合!!」

その号令で謎のグループのメンバーたちが揃った直後、車の中からライガーシールズの面々が姿を現した。

彼らのその手には、特殊武器アトミックパルスランチャーが握られていた。

仮面の男は彼らの姿を見て、笑みを浮かべた。

「おっとっと、これはこれは。特捜部隊ライガーシールズのお出ましだな!」

「…君たち、ニュートラルヴィアの人間じゃないね…。それにここまで派手なやりかたをするような集団はみたことないよ!!」

キラの挑戦的な言葉に、赤髪の女の子は堂々と言い放った。

「“するような”って何よ!余計なお世話じゃない!!」

余計女の子を怒らせてしまったのか、キラは気が引けてしまった。

「そうよ、あたしたちはこの島の人間じゃないわ…。『ブルーコスモス・ファミリー』!……と、名乗っておこうかしら?」

カナードはその組織の名に聞き覚えがあった。

「『ブルーコスモス・ファミリー』……あの過激派集団がこのニュートラルヴィアに来るとはな!だが、そうと分かれば見過ごすわけにはいかんな!!」

「おとなしく、投降願いましょうか!?」

ニコルが武器を向けたが、彼らは決して動揺しなかった。

「投降する?バカじゃないの!?」

「そんなので投降するほど、オレたちは臆病じゃありませんよーだ!!」

お調子者のような余裕の口調に、カガリはついにキレた。

「こうなったら……、腕ずくでも…!!!!」

彼女が相手の懐に飛び込もうとしたとき、キラが前にでた。

「本当に投降しないと、君たちがひどい目に遭うよ。」

ブルーコスモス・ファミリーは「そんなバカな。」というような顔になったが、すぐになにやら飛行機か何かが近づいているような音が聞こえた。

その音を聞いた直後キラは笑みを浮かべ、「もう遅いよ。」と言った。

すると、ライガーシールズの真上から戦闘機が現われ、ブルーコスモス・ファミリー目掛けてバルカン砲を乱射した。

ライガーシールズの特殊戦闘機“マイティーシュナイダー”だ。

上空からの突然の奇襲に、ブルーコスモス・ファミリーは大慌て。

何とかかわすことが出来たものの、油断をしてしまった彼らは、ひとまず退散することにした。

「ネオ、ここはひとまず退散を!」

「ちっ、仕方ない!ライガーシールズ、また会おう!!」

捨て台詞をはいて、ブルーコスモス・ファミリーは去っていった。

その直後、マイティーシュナイダーがキラたちの隣に着陸した。

コクピットから出てきたのは、キラの親友のトール・ケーニヒだった。

「キラ、大丈夫か!?」

「うん、大丈夫。」

「けれども、あの人たちが残した傷跡は、ひどいですね……。」

ラクスの言うとおり、彼らがつけた傷跡は、思ったよりも深かった………。

「…それにしても、まさかあのブルーコスモス・ファミリーがここを襲ってくるとは……。」

キラはライガーシールズ“アークエンジェルチーム”の隊長に就任してから約2年が経つ。

しかし、こんな複雑な体験は、今まで一度もなかった……。

中立国・ニュートラルヴィアに突然現われた過激派組織“ブルーコスモス・ファミリー”。

外見はナチュラルの集団だが、どう見ても彼らの強さは尋常ではなかった。

何か特殊な訓練を施されているような、そんな予感が漂った。

ふとニコルが思い出したような口調でいった。

「そう言えばあの組織、数日前までは“ゾロアシア・ワールド”を襲っていたはずですよ?でも、なぜここに……。」

彼らが“コーディネイター抹殺”を目論んで動いていることだけは確かだった。

しかし、彼らの真意だけは、未だ謎のままであった……。



---to be continued---


あとがき:
さて、B.C.F.とライガーシールズが初対面でしたが、何だか一方的な展開になってしまいました。
次回は、前半は再びゾロアシア・ワールドにスポットを向けます。
そして後半はてれび戦士が再登場です!!








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