プラズマ界テレヴィアから程遠く離れた宇宙空間。
そこは、現実世界とは全く違う個性様々な惑星が展開されている……。
その宇宙空間を彷徨う、一隻の大型戦艦があった。
燃えるような赤いボディ、まるで大鷲をイメージするようなフォルム、そしてその戦艦の翼の部分とボディにワンポイントとして付けられている、“伝説のリモコン”を象ったエンブレムとそこに彫られた『T.I.A.S.』の文字……。
この船は、この後壮大な運命に導かれる…………。
「う〜む、それにしても、この戦艦の完成記念の進水式も兼ねた宇宙旅行とは、大胆な計画を出してきおったな……。」
船のメインブリッジに赴いていた有沙女王は、初めての宇宙旅行に期待に胸を膨らませていた。
「この船は、我々『ティアーズ』の設立を記念して開発された大型戦闘要塞ですからね!それなりの装備も、備えておりますですよ!ヒャ〜ッヒャッヒャッヒャッヒャ!」
自慢げに説明するドクターレイシーに、弟のチアキはあきれ口調でこう言った。
「ちょっと兄さん!ボクもこれを造るのに手伝ってあげたのも忘れないでよ!まあだけど、この『R.E.F.プロジェクト』の発案者は兄さんであることは、事実だけど……。」
「まぁまぁ弟よ、そういうでない。」
『R.E.F.プロジェクト』、それは、この大型戦闘要塞『レインボーイーグルフォートレス』の開発プロジェクトのこと。
かつて敵対関係にあったてれび戦士2大勢力、レインボー・ガーディアンズとアンダーワールド・ファミリー。
しかし、魔王と呼ばれる異形の存在との決戦を期に、彼らは共同で平和維持を目的とした汎用特殊部隊を設立した。
それが、『ティアーズ』と呼ばれる特殊部隊『テレヴィア・インターアクティブ・セイバーズ(Terevia InterActive Saviours)』である。
「それにしても、本当に凄く大きい!!」
甜歌はこの船の予想外の大きさに興奮していた。
「ドクターレイシーもよくこんなに大きな船を造れたものね!」
愛実もドクターレイシーの頭脳が生み出すアイデアの膨大さに、仰天するのみだった。
「甜歌!調子に乗ってまた変なところのボタンを押すなよ!いつぞやの宇宙旅行の時みたいになりたくないからね!!」
「は〜い。」
卓也の脳裏には、かつて惑星『ロック星』に訪れた時の記憶が今でも残っていた。
その時、彼らの仲間であるレインボー・ガーディアンズのメンバーは宇宙旅行を楽しんでいたが、甜歌が余計なところを押してしまった影響で、大変な目にあってしまったのだ。
「ふふ、相変わらずの無邪気さだな。」
「そりゃな、今までずっと平和続き、退屈な毎日だったもんな。」
ブリッジのキャプテンシートに座っているのは、彼らの総司令官・山元竜一。
隣に居るちひろと共に、数々の戦いを経験してきた戦闘のエキスパートなのだ。
ふとその時、オペレーターを務めるテレヴィアン・アンドロイドのユリアが動いた。
「司令、前方に“未確認世界”を発見いたしました。」
その言葉に、竜一の目が険しくなった。
「“未確認世界”?モニターに出してくれ。」
彼らの言葉のやりとりを聞きつけたのか、てれび戦士たちがブリッジに集結した。
その時、彼らの船が近づいている謎の世界の映像が表示された。
それを見た瞬間、レッド隊長は我が目を疑った。
「な、何やこれ!?テレヴィアにそっくりやないか!」
そう、映像に映し出された謎の世界は、テレヴィアに酷似していたのだ。
しかし、ここでゴルゴ伯爵が変わったことに気付いた。
「しかし、テレヴィアよりも広さが数倍あるし、空中になにやら巨大な建造物もあるぞ!」
「それに、“アンダーワールド”のような裏世界もなさそうじゃの。」
有沙女王もこの世界とテレヴィアの違いに気付いた。
その映像を見ていた杏奈は、ふと脳裏に引っかかった。
―――あの世界……、どこかでみたような……。
以前何かの巻物で見た気がする……。
「興味があるな……、あの世界に降りてみるか。」
竜一は呟くと、全員に告げた。
「総員、着陸態勢を取れ!リーフはこれより、前方新世界に着陸する!」
司令の指示に従い、てれび戦士たちはそれぞれの所定の位置についた。
「紫星、合図をしたら艦首上げ20、機関を停止させ引力を利用して大気圏突入だ!」
「アイアイサー!」
装舵手を務める紫星が、元気よく返事をした。
「……もしやあの世界…、“シードピア”か…?」
メンバーには聞こえないくらい小さな声で呟いた竜一の意味深な言葉。
彼らがこれから向かう世界のことを指しているのだろうか……。
---to be continued---
あとがき:
さて今回のこの小説、てれび戦士伝説の熱血リーダー山元竜一も準レギュラーとして出演しています!
いきなり彼が初登場です!それにしても、どうして彼はシードピアの名を知っているのでしょうか……?
そこも気になるところですね………。
さて、次回は再びライガーシールズの出撃だ!しかも、ブルーコスモス・ファミリーと初対戦だ!!
いきなりニュートラルヴィアがピンチです!!