世界の平和を望むものたちの考えは、“コーディネイターとナチュラルの共存”。
ニュートラルヴィアの住人たちは大半がそう願っている。
しかし、この混迷の世界であるシードピアの人間たちの中には、それを決して許さぬものたちもいた。
特に、妬みや嫉妬を抱えていたナチュラルたちの中には、コーディネイターの存在自体を決して許さぬ存在があったのだ……。
“蒼き清浄なる世界のために”
その言葉をテーゼに活動を起こす、反コーディネイター主義の過激派組織。
人々はそれを、“ブルーコスモス・ファミリー”と呼んだ…………。
ここは、シードピアの遥か上空に位置する大型人工コロニー群。
そこは、住む場所を追われここでの生活を余儀なくされたナチュラルたちの居住区となっていた。
そしてそれを恨み、コーディネイターに復讐を誓うものたちもいた。
「………シードピアの大地を離れて、もう2年近く……。」
テレビのモニター越しに眺めるシードピアの世界……。
それは、このコロニー群に住むナチュラルに取っては“楽園世界”同然の場所でもあった。
フレイ・アルスターもまた、かつてはシードピアにあった城塞都市“ゾロアシア・ワールド”の一市民に過ぎなかった。
しかし、旧ゾロアシア軍の軍人だった父がコーディネイターに殺されたことをきっかけに、このコロニーでの一人暮らしを強いられることとなった。
今やゾロアシア・ワールドはコーディネイターの居住世界……。
「……コーディネイターなんて、全部居なくなってしまえばいいのに…、どうしてそれを許そうとする人間がいるのよ?!」
自分に言い聞かせる呪いの言葉のように、恨みの言葉を紡ぐフレイ…。
彼女の復讐の炎は、開戦以来ずっと燃え続けていたのだ。
「…今度こそ、アイツらを全部殺してみせる!!“蒼き清浄なる世界のために”!!!!」
「……相変わらずのキレっぷりだな…。」
背後から突然聞こえたあきれた口調の声。
振り返ると、そこには彼女の同僚関係に当たる少年、クロト・ブエルがいた。
「……クロト、何かよう?」
「…ロアノーク司令から伝達で、“フレスベルグ”に集合だってさ。」
その言葉を受け取ったフレイは立ち上がり、彼らの仲間の特有のジャケットを肩にかけ、力強く言い放った。
「……行くわよ!」
コロニー群の港に停泊している、大型機動空中戦艦・“フレスベルグ”。
この船は、反コーディネイター集団・“ブルーコスモス・ファミリー”の活動拠点となっていた。
その甲板に一人の少女が居た。
あどけない表情に、金糸の髪、そして吸い込まれそうなワインレッドの瞳。
少女―――ステラ・ルーシェもまた、ブルーコスモス・ファミリーの一員だった。
彼女は暇な時には、こうして甲板に赴き一人黄昏ているときがある。
ふと、おもむろに首にかけているペンダントに目を向けた。
すると、自分自身の過去の記憶が蘇った。
3〜4年程前、幼なじみであり自分の義兄として一緒に生活していった存在の記憶が……。
ステラが身に付けているペンダントは、かつて自分の誕生日に彼からもらった、形見とも言うべき大事なものだった。
一見はシンプルなロケットつきのペンダントだが、その中には義兄の写真が納められていた。
それを見た瞬間、ステラは一人寂しく呟いた。
「シン……、会いたいよ…。」
3〜4年前のとき以来、一度もあったことがない義兄。
今、彼はどこに居るのだろうか………。
その時、不意に肩に誰かの手が添えられた。
振り返ると、そこにはブルーコスモス・ファミリーの切り込み隊長、スティング・オークレーがいた。
「ネオが、呼んでるぜ。早くブリッジに来な。」
そう言ってスティングは船の中に戻っていった。
ステラは空を見上げ、愛する義兄の顔を思いながら、“フレスベルグ”の中へと入っていった。
そして彼らは、次なる作戦へと向かう。
コーディネイターを全て消し去り、ナチュラルの世界を取り戻すために……。
全ては、“蒼き清浄なる世界のために”…………。
---to be continued---
あとがき:
今回はブルーコスモス・ファミリーサイドでございます!
何だか書いていて気付いたのですが、この物語の設定、SEEDシリーズとは正反対のところもあるかも…(苦笑)
さて、ステラが呟いた一言、「もしや!と」思った人も居るのではないでしょうか?
実はステラはシンとは義兄弟の関係と言う滅茶苦茶な設定でございます!
この二人が再会するのは、到底先ですね……。
さて、次回は“エターナル・フェイス”サイドをUPいたします!
もちろん、メインキャラの“あの二人”も登場いたします!お楽しみに!!