アプリリウス銀座の一角にある喫茶店で、ジェミニとフワニータは今後の対策を練っていた。
今後、二人は“マユ・アスカ”の魂の行方を探ることになるだろう。
「マユちゃんって、確かシンって言うお兄ちゃんがいるんでしょ?」
「うん。でも、ロベリアからの話だと、そのマユちゃんは“血のバレンタイン”以前にブルーコスモス・ファミリーのテロ事件に巻き込まれて、死んでしまったらしいよ。」
「じゃあ、そう簡単に生き返るなんてこと、出来ないじゃない。」
「そのはずなんだけど……う〜ん…。」
不可思議な状況に二人は唸りながら頭を捻らせていた、そのときだった。
―――ドッカーン!!!
突如として爆発音と地響きがアプリリウス銀座に響き渡った。
二人は思わず椅子から立ち上がった。
「何だっ!?」
「爆発音!?この近くかしら?」
そして、即座に流れる緊急放送。
『アプリリウス銀座D-21地区に、ブルーコスモス・ファミリーが潜入!市民の皆さんは大至急避難してください!繰り返します…。』
この放送を聴き、二人の目つきが一気に急変した。
「ジェミニ、行こう!!」
「ラリーッ!!」
―――ピィーッ!
ジェミニの指笛と同時にラリーが二人の下へとかけてきた。
彼女はフワニータの手を引き、ラリーの背に颯爽と飛び乗った。
「ハイヤー、ラリーッ!!このまま現場に一直線だ!ゴーッ、ゴーッ、ゴーッ!!」
市民たちが避難するなか、二人はラリーと共に現場に直行した。
その一方、数分遅れて甜歌と愛実もまた、ちひろ、竜一とともに“ホバーボード”を操り、現場へと向かっていた。
しかも、休暇の最中の出動と言う最悪のタイミングだった。
「も〜、せっかくの休みだったのに〜!」
「甜歌、文句を言うんだったらブルーコスモス・ファミリーに言いなさいよ!でも…本当にあいつらって、どんな人たちでも容赦ないんだから!無神経と言うか無計画と言うか、昔のU.W.F.に比べたらとてもひどすぎるわ!」
時と場所を選ばず、コーディネイターを滅ぼすためなら手段を選ばない彼らのやり方に、愛実も怒り気味だった。
だが、彼女ら以上に怒っていたのは、二人の先輩のちひろと竜一だった。
特にちひろは、冷静さの裏に異常なまでの短気さも備えてある。
もはやその怒りは、彼らに殴りかかりたいほどであった。
「やつらには少々お仕置きが必要みたいだな……。」
竜一も、もはやそれに対して、ためらいはなかった。
「同感だな。みんな、こうなったら白兵戦でも手加減なしだ!頼むぞ!」
『了解!!』
その時、リーフで待機中のレッドとゴルゴから通信が入ってきた。
ちひろと甜歌はすぐさまRGリモコンを起動させ、通信に出た。
『みんな、たった今ライガーシールズたちも出動して、現場に到着している。しかし、今の時点では彼らは防戦の状態にある。今回は一筋縄ではいかなそうだぞ!』
「避難状況とかはどうですか?」
『ユリアからの報告だと、96%以上の住人たちの避難が完了しているそうだ。しかし、油断は出来へんで!万が一逃げ遅れた人間がいるとしたら、まずいからな!』
もしそうなれば、ブルーコスモス・ファミリーの人質になりかねない。
「卓也たちはどうだ?」
『今、望と幸生と共に別方向から現場に接近中だ。おそらく、ほぼ同じ時間に合流することになるだろう。』
「よし、私たちもこのまま現場に向かい、ライガーシールズと合流する。やつらの始末はこちらにまかせておけ。」
『頼んだぞ、みんな!』
「了解!何かあったらまた連絡してくれ。」
ちひろが通信を切ったと同時に、4人はホバーボードの出力を最大に高めた。
「よし、現場は近い!このまま一気に全速全身、突撃するぞ!愛実、お前が先陣を切り、ブルーコスモス・ファミリーを撃退しろ!ちひろと甜歌は俺と一緒に後方支援だ!」
『了解!』
現場付近にて響き渡る、鳴り止まぬ銃声。
すでに現場にはライガーシールズが到着しており、ブルーコスモス・ファミリーと交戦状態に入っていた。
「しつけぇんだよ、てめぇら!」
相手の予想外の猛攻に、キラたちは防戦一方だった。
「これじゃキリがないよ!」
物陰に隠れながら攻撃するのが、彼らにとっては精一杯だった。
うかつに動けばやつらの餌食になる。
と、そのとき何かの音がこちらに近づいているのが聞こえた。
即座に反応したのは、ステラだった。
「……?なにか…くる!?」
『!?』
ステラの言葉に反応して、スティング、アウル、フレイの3人は周囲を見渡した。
すると、確かに何かが近づいているような音が聞こえる。
しかもその音は、かなり速い速度で接近しているようだった。
この異変はライガーシールズも気付いていた。
「こ、この音は…!?」
何かの機械の音のようにも聞こえた。
「ちょっとフレイ、もしかしてライガーシールズの助っ人とかじゃないのか!?」
「なっ…?!まさか!!」
アウルの予想は、最悪の形で的中することになった。
『そこまでだ!ブルーコスモス・ファミリー!!』
どこからか聞こえてきた声に、彼らがびっくりする間もなく、四方八方から何かが出てきた。
「な、なにぃっ!?」
そしてその半数が自由落下ながらブラスター光線を乱射して、相手を威嚇した。
「「「プラズマ・シューティングスター!!」」」
雷のエネルギー弾が周囲に飛び散った。
すると今度は、虹の一閃が彼らの周りを駆け巡った。
「「「「ローリング・レインボースラッシュ!!」」」」
その一閃は瞬く間にブルーコスモス・ファミリーの半数のメンバーを倒した。
そしてすぐさま、7人の戦士たちがフレイたちの目の前に集結した。
フレイは彼らの顔見た途端、目を見開いた。
あの時とはメンバーが違うかもしれないが、中央にいる少年の顔を見て確信した。
「あ、あんたたちはまさか、あの時の…!?」
覚えていてくれていたことを確信したのか、竜一は笑みを浮かべた。
「一度ならず二度までも!!調子に乗るんじゃないわよ!!あんたたちのジャマはこれ以上させない!ここで一気に決着を付けてあげるわよ!!」
怒りの表情を露にしたフレイたちに対し、てれび戦士たちは恐怖心は全然なかった。
「あ・の・ね、はっきり言うけど、それはあたしたちの台詞ですよ〜だ☆」
「調子に乗っているのはそっちなんじゃないの?」
甜歌と愛実の余裕のこもった台詞に、スティングはカチンときた。
「なっ、何だとぉ!?」
だが、てれび戦士はあえて言葉を続けた。
「僕たちはね、お前らのやりかたに怒ってんだよ!」
「コーディネイターと言う種族の名前だけで嫌うなんて、間違っているんじゃない?セニョリータ☆」
幸生が怒れば、望のナルシスト振りも一味違う。
嫌味も含まれた言葉に、ステラも怒った。
「ステラ…からかわれた……!!」
とどめはリーダー格のこの3人。
「それ以前に、ナチュラルもコーディネイターもお互いは“人間”であることに変わりなし!」
「種族の壁を乗り越えて生まれた絆を、この国の人たちは大事にしているんだ!」
彼らにとっては奇麗事同然の台詞の数に、アウルも耳が痛くなった。
「うるさいうるさい!!お前たちのような奇麗事が、僕たちに通用するとでも思ってんのか!?」
だが、それもお構いなしに、竜一は武器を懐から取り出した。
「いやでも何度となく聞かせてやるさ。」
お前たちのような存在はな、人としての優しさや温もりをも忘れてしまっているクズ野郎なんだよ!
「そんなお前たちは、たとえ神様や仏様が許したとしても、俺たち、テレヴィア公安組織“ティアーズ”が許しはしないぞ!!」
そう言って竜一は、レインボーサーベルをスピアーモードに変形させ、器用にそれを片手で回した。
「さあ、かかってこいよ!天国でも地獄でも、好きな場所にご招待してやるぜ!!」
「やかましいわよっ!!!今の台詞、そっくりそのまま返してやるわ!!覚悟しなさい!!やれっ!!」
ブルーコスモス・ファミリーとティアーズの、実質的第3ラウンドの火蓋が今、切って落とされた……!
---to be continued---
あとがき:
さて、いよいよ第1部もようやく大詰めです☆だいたいレギュラーメンバーも固まってきたかと思います。
次回はとんでもない事態になります!特に、B.C.F.が。
彼らに、てれび戦士の怒りの鉄拳が炸裂します!!
ただその際、若干2004年度のドラマの展開が一部使われてますが(苦笑)。
あ、それからまたしてもS.C.のページに新キャラクター登場です☆
チェックしてみてください。