Phase217 FWパニック・CONCLUSION-Another side-
暗躍!?動き出した悪意 〜華蕾夢ミル狂詩曲〜


「ふぅ……ここまで来れば大丈夫ですね。」

亜空軍旗艦・アドラメレクの戦闘を放棄し、巨大怪獣と言う置き土産を残していった亜空軍幹部たち。

彼らは亜空軍の新たな拠点の某所に移ってきていた。

「それにしても、派手にやってくれたわねぇ、あの連中!」

計画の誤算がいくつも生じた挙句、人質の一部が逃げられてしまうと言う失態をさらしたことに怒りを隠せないティラ。

「あの艦を失うのは相当な痛手になるが、我々の活動拠点はあそこだけではない。」

しかし、反撃の機会はまだまだあると、レリウスが言い、ティラを落ち着かせる。

「……確かにそうね。亜空軍の兵器もまだたくさんあることだしね。」







――ズドドドォォンッ!!!
―――シュバッ、ビシシッ!!!

「「!?」」








そんな二人は不意のマシンガン射撃で一瞬の隙をつかれ、一気に体を鞭で縛られた!?。







「おっと、息巻いているところ申し訳ありませんが――。」

「お前たちも用済みだ。」








振り向けば、ポカネとドミドルが怪しい笑みを浮かべて二人をにらみつけていた。

その二人の傍らには、メガネをかけた怪しそうな若者と、赤い装飾を施した一人の少女の姿がいつの間にか現れていた。







「ポカネ、ドミドル、どういうつもりだ!?」

「ブルーストーカーに辻廉太!あんたたちも見ていないでこれ解きなさいよ!!」

普段は冷静を装っているレリウスも、今度ばかりは自分の置かれている状況が理解できず、混乱と恐怖で仮面の奥の表情が引きつっていた。

ティラは名前を呼ばれた二人の男女に対して救援を求めるが―――。

「助ける…?生憎、そんなつもりはさらさらないわ。」

「君たちとは利害の一致で同盟を組んでいただけ。…ということは、いつでもこっちから切り捨てることも可能だった、ということなのだよ!」

帰ってきたのは予想外の言葉。

これには二人もさすがに憤慨した。

「貴様らぁ…!!!!」

「ふざけたこと言ってんじゃないわよ!!!」

切り捨てられたことに怒った二人はゼクトプリムを呼び寄せ、“裏切り者”の4人を拘束――――。



<HIGH-KAIJIN RIDE、“GANMA-SUPERIOL PERFECT”>



…と思ったら、それまで見たことのないカイジンライドカードをポカネが使ったことによって状況一転。

たった一体の怪人に、数十体相当のゼクトプリムが一掃されてしまったのだ…!!

「う、うそでしょ…!」

「そ、そんなバカな…!!」

まさかの展開に呆然とするティラとレリウス。

「やれやれ、無駄な抵抗は……しないほうがいいですよぉ!!!



――バリバリバリバリバリバリ!!!!!

「ぐあああぁぁぁっ!!!」
「ぎゃあああぁぁぁ!!!!」




ドミドルは鞭から電撃を浴びせて二人にダメージを与える。

…と、彼は拘束していた鞭を不意にほどき、そこから間髪入れず、どこからか現れた黒服の戦闘兵たちに捕まれた。

そして、ドミドルは懐から4本の黒いカプセルを取り出した…。

「あなたたちには最後の仕事をしてもらいます。我々、“亜空大大大大大サーカスの花形の猛獣役”をしてくれる最後の仕事をね!!」

「はぁ!!??」

「なっ!!??」

その衝撃発言から間もなく―――。



――グサッ!!!

「「ぐっ???!!!!」」




ドミドルの投げたカプセルは、それぞれ2本ずつ二人のみぞおちに突き刺さり、そのまま体内に吸い込まれた!

「がぁっ!はぁ、はぁ、はぁ……、(ドクンッ!!!!)うぐっ!!??」

それから間もなく、ティラの体に異変が起こった!

体が燃えるように熱く、皮膚も電流が迸るかのようにしびれ、呼吸すら困難になりそうだった。

それは、ほどなくして異変に感づいたレリウスも同じだった。

すると、ポカネが今使ったアイテムに関する恐ろしい事実を口にした!



今二人に突き刺したのは“怪獣カプセル”。

ウルトラマンたちが開発した特殊アイテム・“ウルトラカプセル”を解析・改変させて作った亜空軍の新兵器さ。

これ1個だけで怪獣1体分のエネルギーが込められているらしく、怪獣の召喚及び怪獣への変身に使うらしい。

ただ、それには“ライザー”と言う特殊アイテムを使うことが絶対条件らしいんだが、これが出来た際、こう考えたのさ。

“ライザーなしで変身に使ってみたらどうなるんだろうな”……ってな。




その言葉を聞き、ティラは苦しみながらポカネを睨み付けた。

「ふざけんじゃないわよッ!!……あんたたち…アタシたちを…その実験道具にしたっての…!?」

これにはレリウスも悔しさを表情ににじみ出すしかなかった。

「屈辱だ…ッ…、私が、お前たちの道具なんかにィ…ぐああぁぁっ……!!!!」

その間にも怪獣カプセルの凄まじい力が二人の体の中を駆け巡り、ついには二人の体に異変が起こった。

ほとばしる電流のせいなのか、はたまた幻覚なのか、ティラの体が人間でなくなってきていたのだ。

「う、うそ……!体が…アタシの体が…怪物に……!」

「ばかな…、こんな…こんなことが……!!!」

ふと、ドミドルがさらなる事実を口にした。



そうそう、コレの元となったウルトラカプセルは、たった一つで戦局を大きく覆すほどの驚異的な力を秘めた切り札として作られたものらしいです。

この怪獣カプセルも、元のソレには劣るものの、非常に驚異的な特殊エネルギーが込められているそうですよ。

それこそ、生身の体にそれをまるごと突き刺せば………




“人としての理性を崩壊させる”ほどの……ね。



「「っ!!!!!!!!!!」」








理性を崩壊させる――。

その言葉に二人は今度こそ恐怖した。

それは人としての自分が死に絶え、本能のままに狂乱する怪獣へと変貌するということを意味していた。

「そ、そんな…っ…!そんなの――(ドクンッ)っ!!があああぁぁぁぁ!!!!

「き、貴様らぁぁぁっ!!!(ドクンッ)う、うごおおおぉぉぉっ!!!!!

もはや反論の余裕すら、二人には残されていなかった。

怪獣カプセルの膨大なエネルギーが二人を駆け巡り、ついに二人の心まで支配しようとしていたのだ。

「ああぁぁ…っ…!!!あたマが…アたまが、割レちゃううゥぅぅゥゥゥ!!!!!

「ぐあ…ああぁぁァァぁぁ…!心が、コこロ、がぁぁ…くだけ、る…っ!ガアあァぁぁ……!!!!

言葉すらもやがてしどろもどろになってきたころを見て、ドミドルの鞭がうなりをあげた。



――バシイィンッ!!!

「ッ!!!!!」




その鞭の音が響いた瞬間、二人の眼から光が消えた……。







「さぁ、目覚めるのです!亜空大大大大大サーカスの最強猛獣よ!!!」



<フュージョンライズ!!>



<“エレキング”!“ジェネレドン”!>

「イヤアアアァァァァァァァ!!!!!」

<“パワードバルタン”!“シノビラー”!>
「グアアアアアァァァァァァ!!!!!」



<“ギガントエレキラー”!!“シノビバルタニアス”!!>








ティラとレリウスは雄叫びにも似た悲鳴を叫びながら、2体の怪獣に変貌した!

一方は、エレキングを極限まで肥大化させたような印象の巨大な怪獣。

もう一方は、バルタン星人の要素を体の所々に残した、忍者を彷彿とする怪獣である。

いずれも、かつてヒーローたちに倒されたことのある、屈指の怪獣の力を融合させた存在ゆえ、その力は未知数である。

「フフフ…なかなかにお似合いの姿ですよ、お二人さん。」

笑みを浮かべるドミドル。

そして、その表情を後ろの辻廉太にも向ける。

「さて、ここからはあなたにも働いてもらいますよ、この2体のリーダーとしてね。」

「えぇ、もちろんですよ…。そして何より……!」



――あの憎き西住流の戦車道を叩き潰すために!!



その野心を増幅させた辻は、握力計のような形の赤いアイテムを取り出した。

さらにその懐からは…………二本の怪獣カプセル?!



「ファイブキング!タイラント!」



彼はその怪獣カプセルを一つずつ起動させると、ベルトの左脇に装備していた黒いアイテムに装填、そして先ほどの赤いアイテムを起動させた。

実は、この赤いアイテムこそ、カプセルの力を起動させる特殊デバイス・“ライザー”だったのだ!



「これで…エンドマークだ!!!」



辻は起動したライザーを、カプセルの装填された黒いアイテムにかざし、それをスライドさせる。

すると、読み込まれた怪獣カプセルの力がライザーにインプットされた。

ライザーの中央に仕込まれたシリンダーパーツが、遺伝子の配列を彷彿とするようだ。



<フュージョンライズ!!>



ライザー本体から禍々しい認証音声が発せられ、辻はそれを胸元に構えてトリガーを引いた!



<“ファイブキング”!“タイラント”!>



カプセルから二体の怪獣のイメージが具現化され、その力がエネルギーとなって辻に流れ込んだ!







<ウルトラマンベリアル――“ダースカイザー”!!!>







その瞬間、辻の姿が巨大な合体怪獣となった!!

“タイラント”と“ファイブキング”―――。

いずれも複数の怪獣の要素を合体させた、いわば融合獣の元祖とも言うべき改造生命体。

辻が変身したのは、それらを融合させた最大級の合体融合獣。

“ダースカイザー”と名づけられたその存在は、12体分の怪獣の要素を合体させた超巨大モンスターだったのだ!

『フハハハ…!力がみなぎってくる…!これなら奴らを叩き潰せる…!!』

しかもその怪獣の中には、辻の意識がちゃんと残っている。

どうやらライザーを経由して変身すれば、適合者の意識はほぼ確実に残るようだ。

「よぅし、辻はこのままその2体と一緒にメディアステーションに向かえ。」

「先遣隊として向かっている、“闇のもじ守”たちの口封じをしてくるのです。」

『ハッ、この力の肩慣らしというわけか…。いいだろう!』

――パチンッ!!


ポカネとドミドルの指示を受けた辻はそれを了承。

ポカネが指を鳴らしたと共に起動した施設内の転送装置で、怪獣と化した二人と共にメディアステーションに飛ばされた。









「……なんだか、非常にまずい雰囲気ですね…。」

「なのです…。なぎさ、いつまでもここにいたら、まずいと思います…。」

そのやりとりを扉越しに覗いていた二人の少女。

どうやら偶発的に巻き込まれた一同のようだが…?

「ひとまず、ここから逃げませんか?そろそろこちらに気づいていてもおかしくないですし?」

「賛成なのです、凛鈴さん。そうと決まれば、音を立てずに……。」

二人はそそくさとここから脱出しようと―――。





――ビュワワァンッ!

「「えっ!?」」
「「ふぇ!?」」






目の前に亜空間のゲートが開いて……二人の女の子が出てきた!?









「さぁて、俺たちは次の段階に進むとするか。」

「ですね。……というわけで、ブルーストーカー。」

「はい。」

名を呼ばれたブルーストーカーは、二人に対して礼儀正しく跪く。

「あなたの目標だった“ダイモンの謀殺”、いよいよ計画開始と行きますよ。」

その言葉を聞いたブルーストーカーの表情が、嬉々としたものに変わる。

「では、いよいよ……!」

自身の野望がついに実行される…!

心を躍らせるブルーストーカー。







「「「「きゃああぁぁ〜っ!!!!!!」」」」
―――ドンガラガッシャ〜ンッ!!!!

「「「!!??」」」








そんな空気を一気になし崩しにしたのは、壊れた扉と共になだれ込んできた4人の少女だった!

「いたたた……!ちょっと!あんたたち邪魔じゃないの!」

「いやいやいや、それはこっちの台詞です!」

「そうですよ!あなたたちがいきなり向こう側から出てきたんじゃないですか!」

どうやら出会い頭にぶつかった拍子になだれ込んでしまったようだ。

「えっと……あのぉ…、グヴェン?」

「何よフィリア!?」

ふと、フィリアと呼ばれた黒髪の女性が何かに気づいて気まずい表情を浮かべる。







「今の状況……ものすごく、ヤバくない…?」







「「「…………………え?」」」







………フィリアに言われて一同は視線を向けると、ようやく今の自分たちの状況を理解して顔を引きつらせた。

それもそのはず、あまりにも突発的なシチュエーション、ポカネたちは唖然としていたのだ…!!

それと同時に、相手方の一同は脳裏で嫌な予感を察した。

「お前たち、まさか……?!」

「私たちの話を…。」

「聞いていませんでした…?!」

その言葉を聞き、ドキッとしたのは、凛鈴となぎさの二人だった。

「えっと…。」

「そのぉ…。」

そして偶発的に巻き込んで間接的にこの状況を作ってしまったフィリアとグヴェンも…。

「もしかして…今あたしたち…、すごくまずいところに来ちゃった感じ…。」

「もしかしなくても、そうだよね、確実に…。」









…………とりあえず、一言。









『大変失礼しましたあぁ〜っ!!!!!!』

―――ギュウウゥゥンッ!!!!










一同、一目散に逃げていった……………。









その状況を見届けたポカネたちは一瞬だけ眼を合わせて…。











「「「…………って!」」」

――待たんかコラァアァ〜ッ!!!!!!!!!












…………大量の戦闘兵を召喚して一斉に追跡を開始した。



---to be continued---


☆あとがき

………あれぇ〜?
シリアスムードで終わらせるはずが、最後はギャグに染まってしまったみたいです。
…でもまぁ、結果オーライですかね?

さて、今回のパートでお披露目となったオリジナル融合獣、組み合わせに関しては完全にアキッキーさんのオリジナルですが、名前の部分で僕のほうで修正を加えさせていただき、今回の形として落ち着きました。

それにしても、巻き込まれたあの女子4人組、無事に脱出できるんでしょうか……?








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