Phase81 集結せよ、勇者たちよ!


「“プラズマランサー”、ファイアッ!!」

『「穿て、“ブラッディー・ダガー”!!」』




雷と真紅の刃が、ヤフキエルに降りかかり――――。



「縛れ、鋼の軛(はがねのくびき)!!」



相手の動きを阻止せんと、蒼き狼の捕縛魔法が作動し―――。



『Schwalbefliegen!』

「まとめて、つぶれろおおぉぉぉっ!!!!」

『Schlangebeisen angriff!!』

「おおおぉぉぉぉ!!!!!」




守護騎士たちの魔法攻撃がそれに続くように発動し―――。



「ミーティアミサイル、一斉射撃!!!」

GUNDAMを身に付けたキラたち3人の攻撃が繰り返されれば――――――。



『トリスタン、イゾルテ、撃てーっ!!』



E.F.の旗艦・ワルキューレも間髪いれずに主砲と副砲を放ち――――。



「怯むな!撃ち続けろ!!」



モビルスーツを失ったミネルバチームも、ドルフィンナイツの主力や電王らと共に、微力ながらも助太刀を入れる。



「オルカファイターズ全軍、お前らも負けるなぁ!!!」

『了解!!!』




そして、自分たちも忘れるなと言わんばかりに、アグニスの合図でオルカファイターズのMS全軍も、一斉攻撃を仕掛ける。







やがて砲撃が鳴り止み、全員がヤフキエルを見つめる。



これだけの攻撃を放ってそれをまともに受けたのだから、多少はダメージを受けているはず………。



















『……馬鹿メ……!』















――――!!!!!







「あかん!退避や!!!」







『ハッ!!!!』




















瞬間、ヤフキエルの腕が伸び、周囲に攻撃を仕掛けてきた。

ディスタンスフォースは、はやての機転で上空へと回避に成功、キラたちも瞬時にバーニアを吹かし、後方へ退避した。

『うあああぁぁぁぁっ!!!!』

だが、地上にいたミネルバチームとアグニスは攻撃をまともに受け、後方に吹き飛ばされ、後方に控えていたドルフィンナイツと電王たちも被害に巻き込まれた。

さらに――――。





―――ガシャアアァァン!!!



『うわああああぁぁぁぁ!!!!!』



ガガガガガガガガガ………!!!!






予想を遥かに超える長さに伸びた腕がワルキューレにも直撃。



ドルフィンナイツが待機している“ナイトスピアフィッシュ”の付近ギリギリまで吹き飛ばされた上、ワルキューレ自体も大ダメージ、船体の所々で火災が発生するなど、戦闘続行不可能な状況にまで追い込まれる事態となった。































「おわわわ!!!!ななな、なんじゃあ!!??」

緊急支給された“ナンダーマックスU”に乗り込んでいたダンチョ団長たちは、いきなり目の前に壁が迫ってくると言う事態に、ヒロ委員長、クロ教官共々、気が動転した。

『団長!大変です!E.F.のワルキューレが、ヤフキエルによって完全に撃沈されました!!』

『船の周囲で多数の火災発生!急がないとまずいです!』


通信を入れてきたトーヤとキャロの報告により、団長たちも大慌て!

「なっ、なんやと!!!!??」

まさか、今自分たちに迫ってきた壁って、ワルキューレの船体の外装!!??

「ンガ!!ンガ!!はやく火を消さないと!!」
「船が爆発しちゃうよ〜っ!!!!」


早いところ火災を食い止めなければまずい!

『ドルフィンナイツ、加勢するぞ!!』

「!?ロウ!?」

居ても立ってもいられなくなったのか、ロウがシーガルを使ってドルフィンナイツのところへと合流した。

そして、即座にセイコーのところへと通信を入れた。















『セイコー、“アブソリュート・トータス”を使わせてくれ!!』















キングロブスターのメインブリッジ。

ロウからの緊急報告を受けて、セイコーは“ある確認”を行った。

「トーヤ、“ウインド・マンタ”のほうはどうなってる?」

『え……、機体としては完成はしてますけど…まだ、僕が外部から遠隔操縦をするぐらいにしか……。』

「それで十分だ。“アブソリュート・トータス”の使用許可を承認する。君がウインド・マンタを操縦して、その装備をロウに取り付けてやってくれ!」

『ぁ、はい、解りました!』











「パワードダイダロス、消火活動続行!」

トーヤはすぐさま外に出て、パワードダイダロスを自動操縦にした後、懐から一つのアイテムを取り出した。

巷で話題の次世代ゲーム機を髣髴とさせる、二つ折りのそのアイテム。

それを開くと、液晶画面が二つ、コントローラ部分には、ジョイスティックが一つと、ボタンが4つ取り付けられていた。

「ウインド・マンタ、起動!」

電源を入れると、上の画面が、無人MA“ウインド・マンタ”のカメラ部分、下の液晶画面がレーダーとなった。































「あいたたた………。」

電王(ソードフォーム)が頭の痛みを覚えつつ、体を起こす。

『モモタロス、大丈夫?』

「あぁ、どうにかな。おい、ドルフィンナイツ、みんな、生きてんだろうな!?」

「……な、なんとか大丈夫です〜…。」

スバルの声が聞こえ、視線を動かすと、ゼロノスやリインと共に転がっていたドルフィンナイツの面々が。

どうやら全員意識はあるようだが、さすがにまだ眼が回っていたようだ………。





[[HYPER CLOCK OVER!!]]





ふと、傍らで電子音声が鳴り響いた。

振り向くと、またしてもあのカブトライダーとクワガタライダーがいた。

「うお!!?お前ら!?」

『いつのまに……!?』

視線を動かすと、気絶していたミネルバチームの面々が。

「間一髪だったな。」

「危うくミネルバチームを死なせるところだった……。」

どうやら二人はあのヤフキエルの攻撃が炸裂した瞬間に超高速移動に入って、ミネルバチームを助け出したようだ。

またしてもダブルライダーに借りを作ってしまった。



――――キイイイィィィン……!!



ふと、上空を一機のモビルアーマーが通り過ぎた。

小型の輸送機のようだが、少々変わったフォルムだった。

「…あれ…?あれって、確か…。」

“ウインドマンタ”…?しかも、“アブソリュート・トータス”まで?」

スバルとティアナが首を傾げそうになったそのとき―――。



『みんな、大変や!!』



「?!ダンチョ団長!!??」

“マルチャージャー”を介しての緊急通信が入り込んできた。

ドルフィンナイツ全員がマルチャージャーでの回線を入れた。

「さっきの攻撃でE.F.のワルキューレが完全に機能停止、艦の内外で火災が発生した!このままやと船内のクルー全員が危ない!!!」



――――――!!!!!



道理でアブソリュート・トータスが持ち出されたわけである。

どうやら大きな救助ミッションが出来てしまったようだ。





『ソウハ、サセンゾ!!』





『!!!!????』





だが、ヤフキエルが長い両腕をさらに伸ばし、スバルたちの所にまで達すると、大きく振りかぶった。

自分たちを押し潰すつもりだ!!!

















「おおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」









ガシィ――――――ン!!!!











『何!?』















突然、ヤフキエルの腕のスバルたちの間に割って入ってきた紅い影。

怒りのオーラを象徴するような真紅の翼大きく羽ばたかせる、一人の戦士。

「……もしや…!!」







「4人目の、GUNDAM!!??」








“運命に抗う翼・DESTINY”のガンダム・アーマーを纏った、シン・アスカだった……!!



「は、はやく……!」

『……!?』

「みんなを……こっから、逃がせろ……!!」



「…お、おう、わかった!…おい、おめぇら!今のうちだ!!」

電王たちが率先して、スバルたちを逃がす。

さらに、彼らは気絶しているミネルバチームの面々も抱えて、その場から逃がした。















「ぐぎぎぎぎぎ…………。」

格好を付けてドルフィンナイツとミネルバの仲間を庇ったものの、シンはそこから先のことを全然考えていなかった。

背中のスラスターを限界まで吹かしているために、ここから先は逃げようにも逃げられない……。

……となれば。

「ハンドビーム・インパルス!!!」

巨大な腕を必死に押さえている両手から、高圧縮ビームが放出され、ヤフキエルの手のひらを火傷させた。

『ヌオッ!!?』

不意を衝かれた攻撃に、ヤフキエルも僅かに怯んだ。

強烈な重力から逃れることの出来たシンは、急激に咳き込んだ。

「大丈夫か!?」

咄嗟にガタックが駆け寄る。

「はい、すいません……。」

「お前の根性、少し感心したぞ。」

「……へへっ…、そりゃ、どうも…。」

カブトの言葉に対して、シンは少々嫌味もこもっている返事をした。

『ク……小癪ナ……!』



















「ライダーシューティングッ!!!」



―――コッキン!!



[Rider Shooting!!!]













“ランサー、セット!!”


[Photon Lancer]

「貫け、ファイアッ!!!」
















「ゴッドフリート、照準―――。」

「バハムート、照準―――。」



「「撃てーっ!!!」」










[Accel Shooter]

「アクセルシューター、シュートッ!!!」
















[Stinger Snipe]

「スナイプ、ショット!!」
















―――――ズドドドドドド……!!!



「グオオォォォッ!!!???」






ヤフキエルの反撃の出鼻を挫く、容赦ない攻撃。

















「チェーンバインドッ!!!」



「ストラグルバインドッ!!!」










「ム、ググッ!!??」









二人の魔導師の捕縛魔法がヤフキエルを拘束すれば――――――。









「ライダースラッシュ!!!」

―――バシュッ!!

[Rider Slash!!!]






「ライダースティング!!!」

―――ガコンッ!!

[Rider Sting!!!]






――――ズバッ!!!

――――ズガッ!!!



「もひとつおまけよ!!!」

[One, Two, Three!!]

――――ガチャッ!

「ライダーキック!!!」

――――ジャキンッ!!!

[Rider Kick!!!]









――――――ズドオオォォン!!!




『グオ!?ウ、ウオオォォ…!!!』










その後に続いたザビー、サソード、ダークカブトの三連必殺攻撃。





雷雨の様な怒涛の攻撃をまともに受けたヤフキエルは、その反動を支えられず、後ろに倒れた。















「!?…な、なんだ!?」

「ダイダルストライカーズと、魔法使いの援軍か!!??」

「それに、どうやら今回の一件に触発されて、ライガーシールズとてれび戦士も応援に駆けつけてくれたぞ!」

すると、先ほどの三連攻撃を浴びせたライダーたちが、自分たちの下へと着地した。

ハチ、サソリ、黒いカブトムシ、それぞれが独特の個性を持っていた。

と、ハチの姿をしたライダーがシンを見つめた。

――――と思いきや。





「………シン…!!??」





「えっ……!!!???」






幼さが残る女の子の声で、自分の名を呼んだハチのライダー。

そして、その声を、シンは聞き違えるはずがなかった。





「…っ…!……ま……まさか…っ…!!!!」







ハチのライダー・ザビーは、彼のその言葉に答えるかのように、左腕の“ザビーゼクター”を取り外し、変身を解除した。

取り外されたザビーゼクターが宙を舞うと、“彼女”の全身を覆っていたライダースーツが分解され、ブレスの中に納められた。

その中から現れた一人の少女。



輝くようなフワフワとした金色のショートヘアとワインレッドの瞳に、あどけない無邪気な表情。



服装には多少の違いがあるかもしれないが、あの顔を見れば、見間違うはずがなかった。



何よりも、自分の名を呼んだのが何よりの証拠である。







脳裏に過ったのは、彼女が最後に見せた自分への笑顔。

もう、二度と戻ってこないと思っていた、待ち焦がれていたかもしれない瞬間だった……!

















「……ス、テ……ラ…ッ…!!!???」

















その名を口にしたとき、はっきりと聞こえたのか、彼女の瞳から涙が溢れた。











「…会いたかった…っ…。」











――――――………おにいちゃん…っ…!












二人を引き止めるものもなければ、引き裂くものも、遮るものさえも何もない。

彼女のその言葉を合図に、お互いに駆け出した。

知らぬ間に、シンも自らのGUNDAMアーマーの装着を解除していた。

失ったと思っていた絆、忘れ去ったと思っていた温もり、お互いの存在。

それを再び、この腕の中に収めたいが故に。















二人の間の距離が、ゼロに近づいた瞬間―――――。





















「おにいちゃ〜んっ!!!!!!」





















離れ離れになっていた二人の義兄妹は――――――。





















「ステラアアアァァァッ!!!!!!!」





















――――――本当の再会を果たした。





















自ら飛び込んできたステラを、シンは温かく受け止め、抱きしめた。

勢いあまったせいか、二人はそのままクルクルと回った後に、倒れこんだ。

シンがステラの下敷きになる形で。

でも、抱きしめあっているその腕は、決して離さなかった。

「会いたかった……っ…、おにいちゃん…っ…!」

「…ステラ…っ…、よかった……生きていて…!」


腕の中の温かさが、懐かしい……。





「……あんたか、ステラが言っていた、義理の兄貴ってのは。」





「…!?」

ふと、彼女の背後にいるサソリのライダーが、自分に話しかけていた。

傍らには、トンボを彷彿とする蒼いライダーの姿も。

すると、彼らはその変身を解除した。

スーツの下から現れたその顔に、シンは見覚えがあった。

「…あ、あんたたち…、まさか、B.C.F.!!??」

「また、会ったな…。」

肯定を示す言葉に、シンは思わず身構えようかと言う衝動に駆られかけたが、どうも、様子がおかしい……。

以前にあったときと比べると、大分温厚に見える……。

「あたしたちの方から、積もる話が色々あるけど、今は――――――。」

ふと、背を向けていたダークカブト=フレイはそう言うなり、ダメージを受けた直後のヤフキエルに視線を向けた。

「あいつを潰すのが先決よ!!」

その言葉と共に、ダークカブトクナイガンをガンモードとして構えて、ヤフキエルに射撃攻撃を仕掛けていった。





「さて、そろそろあいつに引導を渡してやるか。」







ハイパーカブトはそう言うなり、右手を空に掲げた。

すると、空間の穴から一本の剣が現れた。

横から見れば、大きなカブトムシの頭部を彷彿とさせるフォルム。

柄の部分から切っ先までの全体の長さは、カブトの腰の部分からゼクターホーンまでの長さより長い。

そのアイテムを、ガタックは見覚えがあった。

「パーフェクトゼクターか……!!」







「みんな、ごめんね、心配かけて。」

なのはがみんなの下へ合流するや否や、即座に今までのことに関して謝罪した。

だが、仲間たちはそんな彼女を気遣った。

「ううん、なのはが無事なら、それでいいの。」

「元通りになってくれて、ほんまに良かったわ…。」

さらに、その傍らには、なのはと共にMSで合流した、兄と姉の姿も。

率先して、先ほどユーノたちと共に戦線に加わったクロノが謝罪する。

「…なのはのお兄さんとお姉さんにも、今回は迷惑をかけてしまいました。アースラチームを代表して、お詫びする。」

『いいえ、もう過ぎてしまったことですし、そんなに気にしていませんよ。』

『俺たちも、なのはの兄妹として、出来る限りの協力をするつもりだ。』

「……!…感謝する。」

一通りの用件を済ませ、全員が巨大ヤフキエルに視線を向けた。

いよいよ、全勢力を上げての決戦だ……!!!

















「調子ニ乗リオッテ……!コイツラ……!!」

不意打ちの連続攻撃を喰らい、大ダメージを食らってしまったブレントとヤフキエル。

だが、所詮は人間どもの力。

そう言い聞かせ、再び立ち上がる。

「ダガ、コノ身ニシードクリスタルヲ宿シテイル限リ、オ前タチニ未来ハナイ!ソシテ、コノシードピアモナ……!!」































『そんなことはさせないわ!!!!』











――――!!!!????


















突如として聴こえた少女の声。

どこから聞こえたのか、ブレントはその視線を彷徨わせる。

だが、それらしき姿は、どこにも見当たらない……。























――――と思ったら。



















『悪いけど、このシードクリスタル、返してもらうわ!!』















脳裏に真紅のツインテールの少女の姿が浮かんだ次の瞬間――――。















ブレントの体内のシードクリスタルが消え去った……。



---to be continued---


☆あとがき
“必殺技大乱舞・パート2”となった今回、主力メンバーたちが一挙にゾロアシアに集まってまいりました!
……とは言うものの、どうやらあと9話くらいは続く見込みとなりそうですね……。
(ここまで長くなるとは思いも寄らなかった……。)
さて、次回以降ではワルキューレでのクルー救出劇も織り交ぜて行きたいと思います。
電王たちとドルフィンナイツ、果たして主要メンバー救出なるか!!??










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