Phase61 参入!竜騎招来!


「し、神体…ッ…!」

「ちょっと待てよ……!!」

「この大きさは……!」

戦士たちが絶句するのも、無理はないだろう……。

彼らの目の前に現れた大型兵器は、予想を遥かに超える大きさのものであったのだから……!

超大型魔装機・神体。

それがこの兵器の呼び名だ。

しかし、一見すれば目立った武装は見当たらないように見えるかもしれないのだが………。









『……フッ…行け、テレゾンビども!ニュートラルヴィアを破壊しろ!』







『……カ・ラ・ー・バ・ー・コ・ウ・セ・ン』







神体に乗り込んだ叉丹の指示によって動いたテレゾンビは、四方八方にカラーバー光線を乱射した。

『うわああぁぁぁっ!』

放たれた怪光線は、たちまち市街地の建物を破壊した。

さらに、神体の本体であろう骸骨の体が、翼の片方を空へ掲げた。

『…かつて、先代のS.C.によって倒された我が手下どもの力、お前たちにも味わわせてくれる!









魁(さきがけ)・空刃冥殺(くうじんめいさつ)!!!













地面から光の刃が無数に上空へと飛ばされた。

――――と、思いきや。

それがUターンして、てれび戦士たちに一斉投下された。



『うわあああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!』



ニュートラルヴィア全域が、火の海に包まれた。

叉丹の攻撃によって、現場に出ていた戦士たちも大ダメージを受けてしまった。

しかし、この程度でへこたれる彼らではなかった。







「んにゃろぉぉっ!!!」

電王・クライマックスフォームが、お返しとばかりに“デンガッシャー・ガンモード”で応戦。





「聖夜、行くぞ!」

「おっしゃ!」

Wゼロノスが、“ゼロガッシャー・ボウガンモード”で援護射撃。





「あたしたちもやるわよ!」

「「おう!」」

U.W.B.メンバーたちがブラスターを取り出し、援護する。





「ジーク!」

「うむ、行くぞ!」

ウイングフォームが“デンガッシャー・ブーメラン”と“デンガッシャー・ハンドアックス”で、ライナーフォームが“デンカメンソード”を手に神体の懐へと飛び込む。





「甜歌!援護するぞ!」

「彼らと一緒に、あいつを攻撃するんだ!」

「はい、お願いします!」

「「レインボーアタック!早送り!」」

卓也とちひろがR.G.リモコンで甜歌の速度を上げ、彼女はレインボーサーベルで突撃する。





「団長!ぼくたちも!」

「ンガ!あいつらを助ける!」

「よぉし!反撃開始や!打て打てぇ!!!!

くろひろ団の合図で、武装戦車と武装バイクの大火力砲撃も始まる。





「ラクス!」

「はい、参りましょう!」

キラの“FREEDOM”の大火力が再び火を噴き、ラクスの持つロッドが、エネルギー弾を放つ。





「俺たちも怯むな!」

「ここで食い止めましょう!」

ニコルとカナードの二人の声により、ライガーシールズ全軍が援護に転ずる。

彼らのアトミックパルスランチャーは微力ながらも、少しはダメージを与えるはずだ。





「ラモンはマグナムを使って後方から援護して、力(りき)さんはハンマーの衝撃波で、少しでも時間を稼いで!」

「まかせて!」

「わかった…。」

ラモンと呼ばれた少年の緑色の魔銃・バッシャーマグナムが、水の衝撃弾を放ち、力と呼ばれた燕尾服の男の持つ鉄槌・ドッガハンマーが、衝撃波と共に雷を放つ。

その間に、キバはタツロットのスロットを連続回転させた。

背中の“インペリアルスロット”が赤い翼のマークを揃えた。

その瞬間、キバの姿が大変貌した。

小型の竜とも言うべきその姿、腰の部分につけたキバットのベルトと頭部の三つの宝玉が、わずかにキバとしての印象を残している。

[次狼(じろう)さん、乗って!]

「…よし。」

次狼と呼ばれたタキシードの青年が、キバの背中に乗り、空へと飛び立った。

ラモンと力の丁度真上、神体の向こうの戦士たちの姿が見えるくらいまで上昇する。

[…ここだ、次狼さん!]

「まかせろ、“ハウリングショック”!」

次狼の持つ魔剣・ガルルセイバーから超音波が発せられた。

[バーニングブラスト!]

そこから間髪いれず、キバが炎の玉を連続で射出する。





怒涛のごとく攻撃を繰り返す戦士たち。

神体の体から次々と爆炎が発生し、やがて全身が見えないくらいになった。























『……フン、この程度で倒せると思ったか?』





















――――!!!!!





















轟(とどろき)・爆裂岩波(ばくれつがんぱ)!!!!!!





















妖力で砕けた大岩が上空へと上がり、そこから重力を加え一気に急転直下。



―――――うわあああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!



ほとんどのメンバーたちが大岩の衝撃波をまともに受け、さらにダメージが重ねられてしまった。

その上、ドルフィンナイツの武装マシン全てが損傷してしまう事態に。

しかし、キバとその配下のアームドモンスターズ、電王たちはどうにか窮地を凌いだようだ。

……とは言うものの、大きな不安が残るのは否めない。

「いたたた……くそぉ〜…、本物のバケモンや…。」

『フハハハハ………所詮、人間どもの力などその程度。お前たちごときがこの神体に立ち向かう術など……?』

叉丹の言葉がとまった。

「………?」

どうやら一点の場所を見据えているように見えるが、神体のカメラアイは見えないところに配置されているせいか、戦士たちは彼がどこを見ているか分からない……。













と、負傷したドルフィンナイツの前線メンバーたちの横を、一人の少女が通り過ぎた。











髪と同じ桜色のシャツと白いロングスカート、背中には白いマント、胸元にはピンクのリボン、頭には帽子。

両手・両足にはピンク色の宝玉が埋め込まれた、特殊なグローブ型アイテムとブーツが装着されていた。

そして、傍らには小さな白い竜。

決意を秘めたその蒼い瞳は、巨大な敵を見据えていた。















「キャ……キャロ!!??」













エリオは思わず、現れた少女の名を口にした。

彼の瞳は、驚愕に見開かれていた。

無論、同僚であるドルフィンナイツのメンバーたちも、驚きを隠せない。

彼女――キャロ・ル・ルシエは元々、ナイトスピアフィッシュのオペレートクルー。

つまり、本来ならば後方支援をしなければならない立場なのである。

そんな彼女が、戦火の真っ只中であるこの場に現れるなど、到底考えられない。

いや――――圧倒的に危険なのである。

だが、驚愕するメンバーたちを尻目に、キャロは傍らの竜に視線を送る。

「…フリード…今までゴメンね、不自由な思いをさせて……。」

悲しそうな視線を送った後、すぐに表情を引き締めた。

自らの両手を構え、“力”を開放する。

同時に、フリードと呼ばれた竜も光に包まれる。













――――蒼穹を奔る白き閃光。我が翼となり、天を翔けよ。

















『優しい人たち、自分に笑いかけてくれる存在を、自分の力で守りたい』

僅か10歳の少女の無垢な願いが、奇跡を呼び起こす。

古代シードピアの竜召喚部族・ルシエの末裔である彼女の能力が、今、開花する。

















――――来よ、我が竜フリードリヒ。竜魂召喚!

















ギャオオオォォォォ………!















真の姿を見せた白銀の竜・フリードリヒが、目覚めの咆哮を上げた。

「キャロのちび竜が……!」

「変身した……!」

ティアナとスバルは、以前までの可愛らしい姿からの変貌に、驚かざるを得なかった。





だが、彼女の秘められた能力は、これだけにとどまらなかった。











さらにキャロは、グローブを再び構え、目の前に大型の召喚魔法陣を作り出した。



















――――天地貫く業火の咆哮、遥けき大地の永遠(とわ)の護り手、我が元に来よ、黒き炎の大地の守護者!

















詠唱と共に魔法陣から姿を見せたのは、モビルスーツに負けず劣らずの大きさを誇る、巨大な召喚獣。

二本の足で大地を踏みしめ、巨大な尻尾と巨大な腕を持つその姿。

その第一印象は、一般的に“竜”と呼ぶには想像がつかないものであった。















――――竜騎招来、天地轟鳴!









――――来(こ)よ、ヴォルテエエエェェェル!









グオオオォォォォォォ……!!!!






















「「「でっ、でかっ!!!」」」



「「「なんじゃありゃああぁぁ!?」」」








てれび戦士すらも驚愕した、とてつもない大きさの竜。

“圧巻”の一言に尽きる。

これが、古代の竜召喚部族の底力なのだろうか……。





「エリオくん、ティアさん、フリードと一緒に上空からの援護を…!」

「あ、う、うん!」

「わかったわ!」

エリオが手綱を握り、その後ろにティアナが乗り、フリードは飛びたった。

「ヴォルテール、地上のテレゾンビを一気にやっつけるよ!“大地の咆哮”ギオ・エルガ!!!

キャロの指示により、4枚の翼を開き、上の二枚の翼にエネルギーが収束され、巨大な炎の玉を作り出した。







「――――ファイアアァァッ!!!」









エネルギー光線が四方八方に射出され、たちまちおよそ300体以上のテレゾンビを殲滅した。

さらに、その余波が周囲にも流れ、それが残りのテレゾンビにも影響を及ぼした。

これにより、実質、テレゾンビはほぼ全滅状態となった。

『なっ!?なんだと!?』

叉丹は驚愕し、唖然とした。

こうもあっさりと自分のテレゾンビがやられるとは思いもよらなかったのだから……。

[テ、テレゾンビ全滅!?]

「…さすがは、“ルシエ”の末裔、だな…。」

知られざる古代の部族の底力を目の当たりにしたキバは絶句、アームドモンスターたちは関心のまなざしを向けていた。

「残るは…叉丹だけ……。」

「年貢の納め時が来たようだね。」

キャロの予想外の大活躍によって、戦局は一挙に形勢逆転。

優位に立った。











『みんな、遅くなってすまない!』













全周波スピーカーで響いた声。

その方向を向けると、海の向こうから現れたモビルアーマー郡と海上母艦。

掲げられたエンブレムは鷲のマーク。

『スピリチュアル・キャリバー、ただ今到着いたしました!』

『ライガーシールズの皆さん、そして、ドルフィンナイツとてれび戦士の皆さん!』

『そして、彼らと一緒に戦ってくれた皆さん、ご協力感謝いたします。』

『後はボクたちに任せて!』

メンバーたちの中心である、大神、大河、さくら、エリカ、ジェミニの五人が現地のメンバーたちに声をかける。

ダンチョ団長、卓也、キラが通信を使って彼らに応答する。

「了解した!ワシらドルフィンナイツも引き続き協力するで!」

「てれび戦士も引き続き、皆さんに協力します。」

「僕たちライガーシールズも全面協力させていただきます!」

瞬間、彼らの乗るMAがモビルスーツへと変貌した。

スピリチュアル・キャリバーの主力を担う可変式モビルスーツ、ワイバーンである。





『ちっ、新世代のスピリチュアル・キャリバーか……。』

所詮は取るに足らぬ烏合の衆……。

叉丹は当初そう考えていたのだが、てれび戦士たちの意外な底力に、完全に侮ってしまった。





――――こうなれば……全力で戦わねばなるまいな……!!!

























「…ちっ、叉丹のバカめ…。奴らを見縊りおったな……。」

ゾロアシア・ワールドのパトリックの邸宅。

彼は自分の“配下”の戦いを見ていたものの、殺女に続いて叉丹までもが苦戦を強いられると言う予想外の事態に、苛立ちを覚えていた。

さらに、自らが狙っていた伝説の力・GUNDAMすら、すでに2つも向こうに奪われてしまったのだから、悔しさは隠し切れない…。

「おのれ……!」











「…父…上……!?」



















背後から聴こえた声。

自らの野望に心が集中していたのか、彼に自らを欺くことを忘れてしまっていた。

視線を向けると、そこにいたのは驚愕の目を向ける“息子”であった。



……いや、すでに“あいつ”がんでから、もう親子の関係など一欠けらもなかったのかもしれない………。















『私は、お前の父ではない……。』















「…な…何をおっしゃって……!!?」





















『お前の本当の父は、既に私に手をかけられて、んでいるのだよ……。』





















「………!!!!!」





















本性を見せた仮面の男が、自らの本名を口にした……。



















闇の中から、赤い瞳が浮かび上がった………!



















『我は、闇の魔人、名はパトリック・ハミルトン…。もうすぐ、君だからこそ、本当の名を名乗ったのだ………。』

























―――――貴様も…………

























地獄にちるがいい!!!!!!!!
















――――ズバッ!!!!!!






























その瞬間、アスラン・ザラの意識が、闇に葬られた……。











誰にも、知られることがなく…………。



---to be continued---


☆あとがき
………またまた掴みづらい展開でゴメンなさい!!!!
特に神体に関しては………、苦し紛れもほどがありますよね……。

さて、今回の戦闘パート、ヴォルテールで一気にテレゾンビ一掃したおかげで、キャロが大金星!
ちなみに、ヴォルテールの大きさや技などは“設定資料集”、“NanohaWiki”、“DVDシリーズ”を参考にしてみました。
しかし、設定資料集見た途端“身長約15メートル”って、かなりデカイだろって思いました…。
次回におけるワイバーンと神体とヴォルテール3ショット、想像しただけでもかなり凄いかも……。

さて、終盤の場面……、とうとうアスランが大変なことになってしまいましたよ!?
でも、死んでるかどうかが曖昧なことに、気付きましたか……?
フフフ……さぁて、どうなるんでしょうか。
(ちなみに、終盤の文章における“死”や“堕”が真っ赤になってるのは、Killer7と言うゲームのオマージュだったりする……。)










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