Phase60 集いし光


「…おや…、とうとうGUNDAMの目覚め、ですか……。」

時の狭間の某所に滞在している巨大列車型ターミナルステーション・キングライナー。

“時の列車”の中継地点とでも言うべき存在の“駅”の一角にある場所。

そこは、時空自警団・デンライナーポリスのオフィスでもあった。

その奥を陣取る課長席に座る中年紳士が、デンライナーポリスのリーダーであり、デンライナーのオーナーと呼ばれる存在。

食事時には、いつもこのようにチャーハンを食しており、その上、チャーハンに立てた旗を倒さずに食べる、いわゆる“棒倒し”スタイルで食べるのが主義と言う、少々変わり者の存在である。

「もうそろそろ、ゼロライナーの2人も、合流するころ、でしょうね……。」

自分の部下たちがピンチに立たされているにも関わらず、何事もないかのようにのほほんとチャーハンを食べ続けるオーナー。

「…とはいえ、やはり不安が残るのは必然でしょうね…。」

彼は傍らの白いイマジンに、指示を出した。

「…良太郎君たちの手助けを、してあげなさい。」

「御意、我が主のため、骨身を惜しまぬ覚悟で任務につく。」

白鳥のイマジンは、光の球体となり、飛び立った。







「さて、この戦い、見物(みもの)になりそうですねぇ……。」































「二人の着ている鎧が……。」

「GUNDAMの正体!?」

レイシー兄弟からの報告を耳にした甜歌と愛実は、予想外の返答に驚いてしまった。

「はい、私どもも、もっと大きな兵器のようなものを想像していたのですが……。」

シードピア最大の切り札と言われていたGUNDAM。

それは選ばれし者が身に着けることを許される、“聖なる鎧”と呼ばれるものだった。

予測とは大きく外れた状況に、てれび戦士はもちろん、ライガーシールズも少々驚いた…。



「あ、あれ…?」

しかし、ドルフィンナイツのメンバーであるスバルは、別の意味で驚愕していた。

なぜなら――――――。

「ティ、ティア、あの紫の鎧を着ている人……、もしかして、ラクス様じゃない!?」

「え…っ…?!」

チームメイトのティアナ、そして傍らにいたギンガ、エリオも、紫の鎧を纏ったピンク色の髪の少女を見た。

「ちょ……も、もしかして、本物!?」

「ま、間違いないですよ!」

“シードピアの歌姫”と謳われたラクス・クラインがGUNDAMの適合者。

予測を大きく覆す衝撃の展開に、全員が驚いた。





「……まさか、ついにGUNDAMが向こうの手にわたってしまうとはな……。」





ゆらりと、煙の向こうから叉丹が再び姿を見せた。

キャッスルドランの突然の奇襲攻撃でしくじったものの、まだまだ余裕の雰囲気は伺えた。

即座に構える戦士たち。

「だが、これで勝ったと思うな!まだテレゾンビが全て葬られたわけではない!身の程を教えてくれるわ!」















「それは―――――、」



「こっちの―――――、」



「セリフだ―――――!」









―――――ズガガガガガッ!









「ぐぉあっ!?」


















二度目の不意打ち。

叉丹は再びうつ伏せになって倒れた。

現れたのは、緑色の仮面の戦士と、弁慶を髣髴とする謎の黒装束、そして白い白鳥の怪人だった。

侑斗(ゆうと)! デネブ! ジーク! 来てくれたんだ!」

良太郎は、心強い援軍の到着に心からの笑顔を浮かべた。

「同志の危機とあらば、どこでも駆けつけようぞ。」

「ありがとう。」

良太郎は、まだ傷の残る体を起こした。

これなら、負ける気がしない!

彼の心のおくから、勝機という名の光明が見えた。

「侑斗、デネブ…、聖夜に予備の“ゼロノスベルト”を渡してあげて。ジーク、君は翼に憑いて。モモタロスたちは理来に憑くんだ。」

そう言って、良太郎は赤い携帯電話を理来に投げ渡した。

「…へっ、そう言うテメェはどうすんだ、良太郎?」

「…僕は、コレしかないよ。」

良太郎は身に着けたデンオウベルトに、もう一つの赤色の携帯電話を装着した。

すると、その携帯電話から金色に輝く光のレールが現れ、異次元への“穴”を作り出した。

そしてそこから一つの大きな光がレールに沿って、良太郎の元へと向かっていき、彼はそれをキャッチした。

その光の正体は、巨大な紅い剣だった。

グリップに当たる部分の反対側には、モモタロスたちの仮面を模したものが4つ、ターンテーブル上に取り付けられていた。

反撃の臨戦態勢が整った。

「よぉし、お前ら!今度こそクライマックスで行くぞ!」

『おうっ!』




侑斗と聖夜の2人が装備した2本のゼロノスベルトと、ジークが憑依した翼の腰に現れた特殊デンオウベルトから、優雅なミュージックホーンが流れ―――、

『モモ、ウラ、キン、リュウ、“全員集合!”』

「「「「「クライマックスだぜ!!」」」」」

理来の手に握られた赤い携帯電話――ケータロス――からも、これまでとは違う軽快なミュージックホーンが流れる。

そして、良太郎、翼の手にライダーパスが、聖夜、侑斗の手にカードが握られた瞬間、全員が声をそろえて叫んだ。













『変身ッ!!!!!』













“Liner form” “Climax form” “Wing form” “Altair form” “Vega form”














その瞬間、5人の戦士が姿を見せた。





全体的に“赤”のイメージが強まったリーダー格を思わせる中心的存在の戦士・ライナーフォーム。



4人の怪人の仮面が体の上半身に大きく装着された異色の戦士・クライマックスフォーム



金色のスーツと白いアーマー、そして文字通り白鳥の翼を髣髴とさせる蒼い仮面を身に着けた優雅な戦士・ウイングフォーム。



緑色の力の戦士・アルタイルフォームと、デネブと呼ばれた怪人と合体した戦士・ベガフォーム。



時の守り手たちの本領発揮の瞬間だった。









その姿を見たてれび戦士たちは、色んな意味での凄さに呆然とした。

「五人とも凄くカッコいい〜☆」

「アンタと合わせるつもりはないけれど、今回はあたしもそう思うわ……。」

幼馴染コンビはいつもの漫才かと思いきや、今回だけは同じ気持ちのようだ。

「ねぇ、この様子じゃひょっとして……。」

私たちの出る幕は、ほとんどなかったりしないか…?」

『うん、そう思う。』

てれび戦士、満場一致。





一方、ドルフィンナイツも同様の反応を見せていた。

特にこの2人――――――。

「うわぁ!うわぁ!凄い凄い凄い!ギン姉、あの5人凄くカッコいい!」

「確かに!何だか見惚れちゃうわねぇ☆☆」

前線担当のナカジマ姉妹は頼りになるのだが、天然な性格ゆえか、たまにこんなことになってしまう。

二人の目が星空みたいにキラキラと輝いているのがその証拠。

「あ〜あ、まぁた始まっちゃったわ…、2人してこの状況じゃ参っちゃうわよ…。」

スバルのツッコミ担当でもあるティアナは、日常茶飯事的な目の前の2人の現状に、内心呆れていた…。

















「電王、僕らも忘れないでよ。」

















また新たに聴こえた謎の声。

そこには、3人の手下を携えた一人の戦士がいた。

黄色い仮面の赤い戦士。

「キバ!久しぶり!」

かつて、過去の世界で起こった事件において、手を取り合った仮面の戦士。

こうして再会したのも、何かの縁かもしれない。

「どうやら、そっちもそろそろ本気みたいだし――――。」

「こっちもそれなりに準備させてもらうぜ!」

キバとキバットはそう言うなり、懐からもう1本のフエッスルを取り出した。

全体は赤色で、先端は金色。

フエッスルの中でも特に重要な意味合いを持つものだ。

そしてそれこそ、キバの体の中に眠る大いなる力をさらに覚醒させる、“禁断の鍵”ともなっていた。















「タツロットフエッスル、発動!」












「タッちゃ〜ん!」
















「ほぉ…久々にタツロットの、出番か……。」

「エンペラー…蘇る……。」

「タツロットの気分も最高潮みたいだね☆」

笛の音とキバットの声が合図となり、キャッスルドランから一匹のモンスターが放たれた。

全体を見れば小型の金の竜なのだが、体が大きく異なっていた。

言うなれば、スロットのような体だった。

「ぴゅんぴゅん、テンションフォルティッシモ〜ッ!」

久しぶりにキャッスルドランの外に出ることが出来たのか、彼のテンションは文字通りのフォルティッシモ状態だった。

「さぁ、久々にドラマティックに参りましょう!」

キバの左腕に“止まり木”が練成され、そこにタツロットが“装着”された。

「変身!」

タツロットの掛け声と共に、キバを拘束していた全ての鎖が解き放たれた。

腕や足、胸部の所々に黄金の鎧が取り付けられ、背中には真紅のマント、さらに仮面も真紅の色に染まった。

闇の一族の帝王の、覚醒である。























「……調子に乗りおって貴様ら…!」























叉丹の怒りは頂点に達していた。

てれび戦士やシードピアの戦士のみならず、電王の再臨。

さらにはかつての自分たちの同盟であった、キバたちファンガイアの裏切り。

度重なる計算外の事態に、叉丹は体裁をとる余裕すらなくなってきていた。

「こうなったら容赦はせん!ニュートラルヴィア全てを地獄に変えてくれるわ!!!!!」























―――――出でよ、神体!!!!!























巨大な魔法陣によって叉丹の体が吸い込まれ、入れ替わるようにして現れた謎の機体。

まるで歌舞伎の舞台にでも出てきそうな人形の頭部を思わせる巨大な物体、その顔面の左目部分からは骸骨の顔と巨大な翼のような腕を持った上半身の体がくっついていた。















“禍々しい”――――――。















その言葉しか浮かばない、異形の化け物の出現であった。

余談だが、その大きさはモビルスーツ並みか、それ以上のものだった……!





















――――――ヴィーッ!ヴィーッ!ヴィーッ!



『緊急事態発生!緊急事態発生!ニュートラルヴィア・アプリリウス銀座にて、大型機動兵器が出現!隊員は至急“ミッション・ブリーフィングルーム”集合せよ!繰り返す!アプリリウス銀座にて、大型機動兵器が出現!隊員は至急集合せよ!』



アストレイバー・アイランド“スピリード島”、スピリチュアル・キャリバーの活動拠点の“劇場”、シードピア・シアターハウス。

その内部にて、またしても緊急警報が鳴り響いた。

おそらく、ライガーシールズからの緊急要請だろう。

戦士たちは、すぐさま地下の作戦司令室に集合した。

「大神総司令、全員集合いたしました!」

部隊の隊長・大河新次郎が敬礼すると共に、集まった仲間たちも敬礼する。

「うむ、早速だが、たった今ライガーシールズから緊急連絡が届いた。」













「『魔導騎士・叉丹と名乗る男が、巨大魔装機兵を出現させ、攻撃を開始した』…と。」













――――――!!!!!!!!











全員の背筋が凍りついた。

魔導騎士・叉丹。

それはかつて、スピリチュアル・キャリバーだけでなく、シードピアの精鋭たちを恐怖のどん底にまで陥れた闇の魔人・パトリックに仕える存在。

多大な犠牲と大ダメージを受けつつも、やっとの思いで倒した相手だ。

その彼がニュートラルヴィアに現れたと言うことは……!

「一郎叔父……それでは……。」

「…あぁ、霊力すら有していない彼らでは、到底危険が付き纏う。大至急ニュートラルヴィアに出向くぞ!」

「了解!」

大神は即座に、傍らのコンソールを動かし、地下の機密ドックへと通信をつないだ。

「かすみくん、由里くん、椿ちゃん、そっちの準備は!?」

『ワイルドホエール、出撃準備完了です!』

『部隊員たちのMSも、全機搭載しました!』

『いつでも、出撃可能です!』

潜水式海上母艦・ワイルドホエール。

スピリチュアル・キャリバーの活動拠点が、久しぶりに姿を見せるときが来た。

「よし、新次郎!」

「はい!」
















特捜部隊スピリチュアル・キャリバー、出動せよ!









――――Roger!
























アストレイバーアイランドから、少し離れた小さな島。

そこは、とある2人のセレブが共有する島。

その2人は、たまにその島に出向き、休日を過ごすときがあるそうだ。

そんな島のプライベートビーチにて―――――――、“珍客”が……2人……。








「たぁっ!はっ!てやぁっ!」

汗を流し、剣の鍛錬に励む一人の青年。

一般の人から見ればいつもどおりな光景に見えるかもしれないのだが、実はもう4時間近くもこんな状態なのである。

しかも、強い日差しの中、水分補給すらまともに摂らずに……。

傍らで見守っていた“妹”も、悲しそうな瞳で見つめていた。





ふと、無茶が祟ったのか、青年の体が地に倒れた。

「っ!恭ちゃんっ!」

居たたまれず、彼女は兄の下へと駆け寄り、体を抱き起こした。

「もうやめよう、恭ちゃん、そんなに無理しなくても…。」

「手を、出すな…美由希…。」

息も絶え絶えな青年―――高町恭也は、自分を呪っているような雰囲気だった。

無理もないだろう……。

先日の“ヤフキエル事件”で、末の妹と再会できたかと思いきや、彼女が瀕死の重傷を負ってしまったのだから…。

人一倍、大切な人を守りたいと言う志が高い彼は、守れなかった悔しさをこうして自分の鍛錬にぶつけることがあるのである。

「俺は、なのはを守れなかった自分が悔しかった。これ以上、守るべき奴らが傷つくのは、もう見たくない!」

「そんなの、あたしだって同じだよ!でも、だからって…っ…!」















『ほぉ、めずらしい奴がいるもんだな。』















「「?!」」











――――ザアアアァァァァァ……











「きょ、恭ちゃん!?」

「な、なにっ!?」

謎の声が響いたかと思いきや、自分の体から砂が大量に流れ出した。

なぜ自分の体から砂が……!?

すると、その砂から不思議な奴が現れた。







「「!!!!」」











上から下半身、下から上半身、しかも体全体が砂と言う、異形の存在が現れた。

その顔つきは、“ツノの長い鬼”と言うべき姿であった。

「シードピアとは違う別世界の人間か……、まあ、いいだろう。」

驚愕する美由希と恭也を気にもせず、砂の体を持つ鬼の怪人は、話を切り出した。

「おい、そこの男。」

「……俺のことか…?」

“鬼”はうなずくと、突拍子もない発言を口にした。





















「お前の望みを言え。どんな望みでも一つだけ叶えてやろう…。お前が払う代償は、たった一つ………。」



---to be continued---


☆あとがき
予定外の事態…………。
このテレゾンビ編の戦闘パート、またしても次回へ引っ張る形となってしまいました。ゴメンナサイ!(土下座)
次回で終わらせれば、いいけどなぁ……。(←不安を引きずってる奴)

さて、気を取り直して……。
今回は電王レギュラーが多数登場+S.C.チーム久々の登場と言う豪華な内容となりました。
さらに今回はなんと“サクラ4”からラスボスの“神体”が大登場しました!
攻略本に載ってた画像を参考に部分的に引っ張り出した感があるかと思いますが、その点はご容赦ください。
そしてその一方、恭也のところに現れたのは“あの鬼イマジン”!その目的はいかに!?

さて、戦闘パートはあと2〜3話分ほどは続くことかと思いますが、どんな結末になるか、妄想しながらお待ちいただきたいと思います。それでは!



<おまけ?>
???「あ、こんにちわです〜。」
おぉ!お前か。何処行くんだ?
???「もうすぐわたしの出番がくるそうですので、色々小道具とか準備してたです。ところで、ハナさんはどこにいるですか?」
えっと、確か向こうだったか?デンライナーの食堂車でコーヒーでも飲んでると思うが。
???「わかりました!ありがとうございましたです〜」
“少々青みがかった銀色のロングヘア”の少女が通り過ぎる。
>ふと、足元に一枚のチケットが。
ありゃ?ライダーチケットだ……。
……ん!?
>そこに写っていたのは、一人のライダー。

>特徴1:デンオウベルトのターミナルバックルは“雪の結晶”の形。
>特徴2:デンガッシャーの本数は6本
>特徴3:全体的な姿のイメージは、仮面ライダーイクサ・セーブモード

……………まさか、…………冗談だろ……!!??










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