Phase59 魔性の侍


キラたちがカオティクスルーイン内部・R.G.B.で、GUNDAMの封印の解除に取り掛かっていたころ――――――。

アプリリウス銀座で発生した謎のテレゾンビ大増殖事件は、とどまるところを知らなかった。

てれび戦士、ライガーシールズ、ドルフィンナイツ、さらには謎の一団・デンライナーポリスも加わり、事態はますます混迷を極めた。





「うおおおおぉぉぉぉぉ!」



「はああああぁぁぁぁぁぁ!」






先陣を切るスバルとギンガは、両足のローラーブーツでスピードをつけ、テレゾンビの群れに急速接近。

「リボルバアアァァァァ、キャノオオオォォォン!!!!」

スバルの右手のリボルバーナックルが、一列に並んだテレゾンビの群れを一気に四方八方に吹き飛ばす。

前方の一体にナックルを当てたときに発生した衝撃波が、後ろの十数体を巻き込んだのだ。

「ターゲット・ロック!」

上空へと飛ばされたテレゾンビ数体を、ティアナが捕らえる。

両手に持つ得物・クロスミラージュの銃口とレーザーサイトを、テレゾンビに向けた。

「クロスファイア・シュート!!!」

引き金が引かれ、銃口からオレンジ色のレーザー光線が四方八方に散らばり、ロックオンしたテレゾンビを次々に打ち落とす。

「リボルバーギムレット、発動!」

ギンガの掛け声により、左腕に装着されたプロトリボルバーナックルが高速回転を始めた。

スバルとギンガの持つ固有装備・リボルバーナックルは、技の発動時に手首より下の部分のスピナーが回転し、威力を増幅させるのだが、このときのギンガのリボルバーナックルは、スピナーパーツだけでなく、拳の部分も、まるでドリルのように回転していたのだ。

「ギムレットナックル・ブレイカアアアァァァァッ!!!!」

高速のドリル回転と共に繰り出された攻撃は、テレゾンビ3体分の体を貫通した。

体を貫かれたテレゾンビは、火花と電流を散らし、爆散した。

「はあああぁぁぁぁぁ!」

威勢のいい掛け声と共に、ドルフィンナイツの槍騎士・エリオが上空から急降下。

雷の槍・ストラーダのロケット噴射で加速をつけ、一気に30体ものテレゾンビ目掛けて特攻を仕掛ける。

素早さが売りのエリオの得意技の一つ“スピーア・アングリフ”である。

駆け抜けたエリオの一閃が、衝撃波と共にテレゾンビを破壊していく。

その後に続いて、ライガーシールズたちが特殊武器“アトミックパルスランチャー”を取り出して、片っ端からテレゾンビに攻撃。

その後ろから、ドルフィンナイツの武装バイクと装甲戦車が姿を見せ、後方からの援護射撃で彼らをサポートする。

その装甲戦車“ナンダーマックス”でナビゲーターを務めるヒロ委員長が身を乗り出し、双眼鏡で現状の周囲を確認する。

「どうや、ヒロ委員長。」

「ンガ…まだ全然数が減ってない。それどころか、増えてる気がする……。」

「え〜?!もうやってられないよ〜!」

「クロ教官、喚いとる暇があったらとっとと追撃打たんかい!」

ナンダーマックスの操縦席でダンチョ団長とクロ教官が、またまたいつもどおりの喧嘩を始めたそのとき―――。







「……ん?……ンガ?!」







ヒロ委員長の目に、“虹色の光”が飛び込んできた。

望遠レンズを拡大し、それを再確認してみると――――――。





「ンガ!!!団長!!!」

ヒロ委員長からの突然の叫び声。

ダンチョ団長はそれを聞きつけ、コックピットから出てきた。

「……!?どうした、ヒロ委員長!?」

「1時の方角に、“てれび戦士”、はっけ〜ん!!!」

「な、なんやて!!??」

「ほらほら!あそこ!」

ヒロ委員長から望遠鏡を受け取り、彼が指をさした場所を団長が確認する。

すると、確かにその先にてれび戦士たちが。

どうやらテレゾンビと戦っているようだが、様子からしてだいぶ押されてきているようだ。

「ほ、ほんまや!てれび戦士たちや!」























「え〜いっ!」

「はあっ!」

虹の閃光と轟く雷。

てれび戦士・ティアーズは、ドルフィンナイツ、ライガーシールズ、そしてデンライナーポリスよりも遅れて現場に合流していた。

しかし、彼らもまた次々と湧き出てくるテレゾンビの大群にきりきり舞い。

「もおぉっ!一体何百匹片付ければいいのよ!」

「それにしても、まさかテレゾンビが出てくるなんて!」

「なんでテレヴィアの怪物がこのシードピアにいるんだよ!?」

U.W.B.の3人は、シードピアの現状においてありえない状況に、不満を口にしつつ大混乱。

「お前たち、細かいことは後回しだ!」

「今はこの状況を落ち着かせることが先だからね!」

「そうだよそうだよ、早く何とかしなくちゃ〜!」

R.G.F.の3人が先陣を切り、活路を開こうとするのだが、一向に終わりが見えない。





『……?!みんな、二手に逃げろ!』





突然のレッドからの通信。

何事かと問いただそうかと思ったのだが、その意味は瞬時に理解した。





「きょっ、巨大ミサイル!!!!!??」







「にっ、逃げろ〜!!!!」








てれび戦士6人はすぐさま二手に分散。

その瞬間、ミサイルが着弾し、衝撃波でテレゾンビを吹き飛ばした。

さらに、その後に続くように槍を構えた少年が突っ込み、残りの敵を粉砕する。

「大丈夫ですか!?」

着地した少年は、平然とした表情でてれび戦士に語りかけてくる。

「だ、大丈夫は大丈夫だけどさ〜……。」

「必殺技を繰り出すなら一声かけてちょうだいよ!」

「…あ…、ご、ごめんなさい。」

すると、攻撃が放たれた場所から、見覚えのある顔が。

「あ!カナードさん、ニコルさん!」

ライガーシールズの面々も合流していたようだ。

「無事だったようだな、みんな。」

「はい。」

その彼らの後を追うように、後ろから続々と装甲戦車や特殊バイクが合流してきた。

「……あの、カナードさん、あちらの方々は……?」

「あぁ、こいつらは…。」

質問に答える前に、戦車の中から異質の男3人が現れた。

緑を基調とした騎士をイメージする服を着た男と、和服を彷彿とするオレンジ色の服を着た巨漢の男、そして“魔法使い”をイメージする赤と黒の衣装を纏った男。

「よぉ!お前ら、巷でウワサの“てれび戦士”やろ?」

挨拶と同時にいきなり見透かしているかのような言葉に、てれび戦士は内心驚いた。

「え?はい…そうですけど……。」

「はじめまして!ワシらは“ダイダルストライカーズ”の特殊部隊・ドルフィンナイツや。よろしくな☆」









――――ええぇぇぇぇっ!?ダイダルストライカーズ!?









“ヤフキエル襲撃事件”において邂逅した謎のチーム・ダイダルストライカーズ。

その一部隊に遭遇するとは、予想外だった。

「ワシが、ドルフィンナイツの責任者・ダンチョ団長や!」

「ヒロ委員長なのだ〜、ンガ〜!」

「そして、クロ教官です☆」

「「「ワァワァワァ〜☆」」」

―――ズコッ。

調子の狂うような彼ら3人の自己紹介に、6人のてれび戦士はずっこけ。

特に、クロ教官と名乗った男の、外見に似合わぬハスキーボイスに、少々驚いた。











「おらおらおらああぁぁぁ!どきやがれテレビ野郎!!!!」











別方向から怒りを含んだ大声。

振り向くと、正体不明の仮面の戦士が4人、テレゾンビを破壊しながらこちらに近づいてきていた。





















「そらそらそらああぁぁ!」

デンライナーポリスの赤鬼・“モモタロス”が憑依した赤い戦士は、片手に握る赤い刃の剣を乱暴に振り回し、沸いてくるテレゾンビたちを片っ端から切り刻んでいく。

「とっととくたばりやがれ、テレビ野郎!」

切っても切ってもどんどん出てくるテレゾンビに、モモタロスは次第にイライラが募ってきた。

「あ゛あ゛〜!もう、うっとおしいぃぃっ!」

そんな彼の様子を見ていた、青ガメ・“ウラタロス”が憑依した蒼い戦士は――――。

「あーあー、先輩ったら取り乱しちゃってさ。」

……と、内心で呆れつつも、目の前のテレゾンビたちの駆除を続ける。

「でも、確かにこの化け物の数は、相手にするにはちょっときついかもね。」

そんな愚痴をつぶやきつつ、ウラタロスはとっとと目の前の敵の排除に取り掛かる。

「お?お前ら!あそこにおるのはてれび戦士たちとちゃうか?」

「え?……あ、ホントだ!ライガーシールズとドルフィンナイツたちもいるよ!」

黄色の熊・“キンタロス”の声を聞き、視線をそらした、紫の竜・“リュウタロス”の目に、それらが飛び込んだ。

どうやらあらかたのテレゾンビを片付けることに成功したと見た。

「はぁ、はぁ、ようやく一区切りか……、よし、お前ら、このままあっちに合流を―――――。」





















「…そうはさせんぞ、電王。」





















―――――!!!???



















ズド―――――ン!!!!!!






















背後からの攻撃。






『うわあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』








不意打ちを受けたせいで、良太郎とミスト4人の変身&憑依状態が強制解除された。

その場に倒れる“8人”。

「いたたた……、くそぉ、良太郎、みんな、大丈夫か!?」

「…な、なんとか……。」

変身と憑依が解けたとはいえ、怪我は重くはないようだ…。

「何や何や、何事や!!??」

騒動を聞きつけたドルフィンナイツ、てれび戦士、ライガーシールズも良太郎たちの下へと合流していた。















「ほぉ……シードピアの精鋭たちか……。」















――――!?















背筋が凍った戦士たちは、声の聴こえた方角―――上空を見つめた。

そこには、魔性のオーラを纏った一人の侍が浮かんでいた。

「諸君、自己紹介させていただこう……我が名は葵叉丹(あおい・さたん)、この世界で伝説とされる闇の魔人・パトリックに仕える魔導騎士の一人だ…!」

「いいっ!!??パ、パトリックの魔導騎士やと!!??」

ドルフィンナイツの面々も、初めて目の当たりにする悪魔の存在に仰天。

だが、この後の彼が発する“ある言葉”に、てれび戦士は絶句することになる。

「…私が繰り出した“テレビの化け物”……“テレゾンビ”軍団は気に入ってくれたかな…?」

「あ、あれはあなたが!!??」

「フッ……。」

叉丹の目線にてれび戦士の姿が入ると、黒い笑みをさらに深くした。

「貴様らがてれび戦士か……、随分と新しい時代に迷い込んだものだな…。」

















――――え?







――――新しい時代!?













「ちょ、ちょっと待って!新しい時代って、どういうことよ!?」

「……フフフフ。」

愛実の質問に答えることなく、叉丹は両手を広げ、紫色の炎を手に纏った。

「それを知る術はお前たちにはない……。なぜなら―――――。」





















「今から貴様らはこの場から消えるからだああぁぁっ!!!!!」













ズド―――――――ン!!!!!!













『うわああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!』






















強力な鬼火が放たれ、その場にいた全員を吹き飛ばした。

その影響で全員が多少のダメージを受けた。

さらに彼は間髪入れず、追撃を放とうとして―――――――。





















『ギャオオオオオォォォォォォ!』





















――――――!?





















背後から聞こえた咆哮に、驚愕した。

振り返ると、真正面からオレンジ色のエネルギー弾が数発、叉丹に向かってきた。

しかも―――――。











“どれも内部に人を載せたまま”、一直線に。











「な゛っ!!!!????」















ありえない状況に、叉丹は対応しきれるはずがなく―――――。



















全て被弾した。





















当然、衝撃波と砂煙が大きく巻き起こったのは、言うまでもない。



















「どわわああぁぁ!何や何や!?」





















ドルフィンナイツ、ライガーシールズ、てれび戦士、そして良太郎たちが驚愕する中、煙が晴れたと同時に出てきたのは………。



















「……っ……、ラクス、大丈夫…?」

「はい、ありがとう、キラ。」

“伝説の力”を手に入れたキラとラクス。

しかも、ラクスはいわゆる“お姫様抱っこ”の状態でキラに抱えられていた。

「いたたたた…………。」

「頭打っちゃったよ……。」

その二人の傍には、着地に失敗したレイシー兄弟が。









4人の姿を確認したてれび戦士とライガーシールズは、安堵の笑みを浮かべた。

「ドクターレイシー!」

「チアキ!」

「キラ!」

「ラクスさん!」

彼らはすぐさま、4人のもとへと駆け寄った。

そんな彼らの遥か後ろの上空には、巨大な竜の城が浮かんでいた。



不意打ちを受けた叉丹は、程なくしていつものペースを取り戻し、後ろから現れた竜の城を見つめた。

「おのれぇ………もしや、キバか!!!」

























空を飛ぶ巨大な竜の城・キャッスルドランの屋上。

竜の頭が前方を覆うような先端部分。

「4人…合流、した……。」

望遠鏡で遠くを観察している、燕尾服(えんびふく)を着た大男。

彼の片言な言葉を聴き、セーラー服を身に着けた少年が身を乗り出した。

「どうやらうまくいったみたいだね。」

「こいつは、俺たちから叉丹への、宣戦布告、となる。」

タキシードを着崩したワイルドな青年もそこに加わり、地上の様子を見つめる……。

「みんな、準備はいい?」

「俺たちもニュートラルヴィアに乗り込むぜ!」

3人の主・キバとキバットも、彼らのところに合流する。

その姿を確認すると、3人は彼らの“本来の姿”を象った彫像を取り出す、と思うと、それらが武器へと早変わりした。











蒼い狼を模した魔獣剣・ガルルセイバー















半魚人の力を収めた魔海銃・バッシャーマグナム















巨大な手を象った紫色の魔鉄槌・ドッガハンマー















3つとも、それぞれの能力を最大限に発揮する、古の道具である。

「えへへっ♪」

「いつでも、いいよ……。」

少年と、燕尾服の男がキバについていく。

しかし、タキシードの男は、未だに街の様子を眺めていた。

その視線の先には、GUNDAMを身に着けたキラとラクスの二人が映った。

「俺たちの知らない間に、パトリックが目覚めていようとは、な……。となれば……。」

















“シードピア滅亡”へのカウントダウンが、始まったことに、なる……。」





















――――――SEEDを持つもの、果たして、どうでる……?



---to be continued---


☆あとがき
大変長らくお待たせいたしました、復活を果たしまして、更新再開のSEEDPIA CRISIS、待望の最新話でございます!
まだまだ少々、例の件を引きずってはおりますが、少しずつ元のペースに戻っていけばと思いますので、これからもよろしくお願いします。

ようやくテレゾンビ発生事件も終盤に差し掛かり、さらにキバのアームドモンスター3人衆も総登場でございます!
状況から見て取れるように、シードピアにおけるアームドモンスターたちは、原作とは少し違う傾向で進めていこうかと考えています。
『自分も武器になれるが、自分がその武器を召喚することも可能。』と言う特殊能力も付けてみました。
これで少しは、まともに戦うことが出来るかなと思いますが………。

さて、実は次回の構成、全然まとまっていないんですよね…。
原稿すら始まっていないと言うかなりヤバイ状況です。(汗)
次回辺りでそろそろアキッキーさんが提供してくれた追加アイデアも取り入れたいなと考えております。
ひょっとしたら10月辺りまで待たせてしまうかもしれませんが、どうにか頑張ってみたいと思います!
それでは、今後ともSEEDPIA CRISISをよろしくお願いします!

???「おい、おまえ。」
はい?……って、え゛!??
>なぜか見知らぬ“黒鬼”が登場。
???「“高町恭也”とか言う奴を知ってるか?この世界にいると聞いたのだが…?」
あ、はい、え〜っと……あっちですけど…。
???「そうか、ありがとな。」
>そう言って光となって飛び去った………。
……なんだ、今の黒い鬼は…。
それに聞いた感じ、恭也さんと声が似ている…と言うより全く同じような気がす、る…………って、まさか!!??










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