――――――““Activation””









封印されし、その力――――――。











「幾千年の永き時を越え、受け継がれしその魂――――。」











願わくば、その使い手が――――――。











「想いを力に変え、今こそ目覚めよ、守護者の力よ……!」











双方の人類を平和へと導く――――――。











―――――ガンダム・アーマー、ビルドアップ!!!!











未来への担い手とならんことを――――――。











““Stand by ready,Build up.””











あなたがたは、SEEDを持つものゆえに……………。













Phase58 G.U.N.D.A.M.



携帯電話――ビルドマイザーが、適合承認式ブレスレット――Gドライバーに装填されたことで、ガンダムアーマーの装着プロセスが実行される。

ブレスレットから放たれたアーマーコントロールのエネルギー波・Gストリームが駆け巡り、適合者のアームドフレームを作り出す。

その後、一体化したガンダムギア(ビルドマイザー、Gドライバーの総称)から、量子レベルまで分解されたガンダムアーマーが前身に纏われていくことになっている。





キラの首から下の全身に、灰色のスキンスーツが纏われ、その上に、数々の装甲が着装されていく。

両の二の腕全体には大型の手甲、両足から二の足全体にかけてはブースターつきの脚部装甲、腰部にもレールガン装備、ビームサーベルつきの鎧パーツ、さらには純白のショルダーパーツ、胸から腹部全体を覆う黒を基調とした装甲、その上背中には象徴的な印象の、黒と青の大型の翼まで取り付けられた。

そして、キラの頭部を保護するヘルメット型の防護パーツが取り付けられ、最後には固有装備の、連結式ビームライフルが彼の両手に握られた。





ラクスの全身もまた、薄紫色のスキンスーツに覆われ、装甲の着装作業が開始されていた。

体全体には、首から膝の上までの長さを持つ、白と薄紫を基調とした防御力の高いワンピース型ミスリルスーツ、その上には薄紫を中心に、黄色のアクセントをつけたガードアーマー、腰部には小型ビームガンを携えた鎧パーツ、さらに手から二の腕にかけては手甲が装備され、膝から下の脚部全体にも装甲が取り付けられ、頭部には女性らしさをさらにアピールするかのように、額全体を覆うティアラが装着された。

そして、最後には固有装備である杖型のアイテム、ジャベリンロッドが出現し、それがラクスの右手に握られた。





余談だが、この着装が行われる時間は、5秒にも満たないと言うわずかなペースだ。











「…すげぇ……!」

「…着装成功だ……!!」


感慨深く見つめるキバットとキバ。

彼らの言葉を聴き、我を取り戻したキラとラクスは、今の自分の姿を確認した。

ロボットのアームを髣髴とする腕の手甲と黒い手。

頑丈そうに見える反面、装着者の負担がほとんどかからない上半身のアーマーを初めとした数箇所の外装。

今のこの姿、簡単に言うならば、“自分がモビルスーツに変身したかのような姿”と言う以外に、想像がつかなかった。

「…これが…!」

「…ガンダム・アーマー…!」

未知の力を纏った二人は、一瞬唖然としたが――――。









『……冗談じゃないわよ…!!!』









“憎しみのオーラ全開+目の前の現実が信じられない”状況の殺女の怒りの言葉によって、ハッとした。

『あんたたちみたいな奴に、GUNDAMが扱えるはずがないわよ!』

そう言って機関銃を構え――――。















『とっととそれを寄越しなさい!!!』















乱射した。















「「!!!」」



反射的に反応した二人は攻撃をかわし、すぐさま反撃に移る。

キラは両手のライフルを縦列連結し、ターゲットをセットした。

「ロングレンジライフルショット!」

連結しているがゆえ、威力も当然2倍。

ビームの一閃が神威の左腕を破壊した。

『なにぃっ?!』

さらに、間髪いれず、ラクスがジャベリンロッドを構えると――――。

「インパルス・フェザーショット!」

ロッドに収められたクリスタルから攻撃が放たれ、神威の周囲で爆風の煙幕を張る。

その衝撃で、背部のエンジンを損傷し、視界を遮られた神威。

殺女が必死にカメラアイを動かすも、全然見当たらない。

『くそ……っ、どこだ!?』







――――カッキン









どこかで手榴弾のピンが抜かれたかのような音が。









「クラッカーボム。」









ラクスの手から放たれた手榴弾が爆発し、衝撃波で神威が壁に叩きつけられる。

『ぐはっ!』

意識が飛びそうになるが、必死に耐える。

『く……小癪な……?!』

彼女の目に飛び込んだのは、静かに佇むキラの姿。

しかも、神威からかなりの距離を保っている。

すると、左腕のビルドマイザーを開き、テンキーでコードを入力した。

















8・1・0・0+“ENTER”

















“Final crash. Exceed Crystal Charge.”

















電子音声と共に、ガンダムギアから放たれた光がストリームラインをとおり、キラの背中の翼に行き届く。

エネルギーが届き、青白い光が放たれた瞬間、翼が開き、蒼い部分が一斉に翼から放たれた。

同時に、キラの両手にはビームライフル、腰部のレールガンすらも起動していた。



『こ、これはっ……!!!まさか!!!???』



背筋が凍る殺女。

しかし、気づくのが遅かった。

















「ハイマット・フルバースト!!!!!」

















翼の砲口・ドラグーンファンネルが火を噴き、それと同時に放たれた、二つのレールガン、二丁のビームライフルからの一斉射撃。

その砲撃は、他人から見れば、“圧巻”の一言しか浮かばなかったかもしれない。

無論、その大砲撃に対して殺女は、成す術もあるはずがなく――――。













『キャアアアアアァァァァァァ!!!!!!』





ズド――――――――ン!!!!!!














彼女の乗った神威は、あえなく爆散した。



















「…す、すごすぎる……!!」

「さすがは大火力の“FREEDOMアーマー”だよ……。」

キバとキバットは、改めてGUNDAMの底力を思い知った。

かつて何度かその威力を目の当たりにしたがゆえに、改めてみると背筋が凍りそうになっていた。

ガンダムアーマーの一つ“FREEDOM”は火力重視・後方支援特化のアーマー。

フルバースト時の破壊力は、想像を絶する。

「キラ、大丈夫ですか?」

しかし、やはりフルバーストは体に大きな負担を残す。

装備を元に戻した直後にキラは、疲れからか地面に膝をついてしまった。

「はぁ……うん…なんとかね…。」

大きく息を吐き出し、落ち着かせるキラ。













「―――!!?二人とも、待って!」

















「「!?」」







突如、待ったをかけたキバ。

即座に二人の前に出る。

「…どうやら、まだ、終わってなかったらしいな……。」

キバットも異変に気づいた。

その視線の先には、体がボロボロになった殺女の姿が。

辛うじて生き延びていたようだ。

息も絶え絶えに脱出したようだが、もはや彼女には一片の妖力も残っていなかった。

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。」

必死に刀を構え、捨て身の攻撃の体制に入った。

「…まだ、あきらめ、ないわよ……。」














―――――あきらめる、ものかああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!















キバに向かって特攻を仕掛ける。

せめて奴らに一矢を報いて、今度こそGUNDAMをこの手に!!!!

その欲望に身を任せた彼女の攻撃は――――。















――――――ガシッ!

















キバが軽々と受け止めた。









「なっ!?」







彼は彼女の刀の刃を、左手だけで受け止めたのだ。

キバは、もはや彼女に余力がないことを悟っていた。

しかし、依然として投降する意思がない。

……となれば、然るべき手段は一つしかない。

キバは刀を引き寄せ、鍔を手で押し、刀を折った。

押し倒された殺女はそのまま地面を転がり、数メートル先まで転がった。

「……う…、ぐ…っ……!」

立ち上がるのに精一杯の殺女。

キバは、静かに数歩歩み寄り、ベルトの右側に納められた笛の中から、赤いマークの笛を取り出した。









「ウエイクアップフエッスル――――。」











発動!!!













キバが投げた笛を、飛んでいるキバットが口でキャッチし、叫んだ。













――――ウエイク・アップ!!!!















笛の音が鳴り響き、キバの闇の力が覚醒する。

振り上げた右足の周りをキバットが飛び回り、封印していた拘束具を解き放つ。

右足に赤い翼が現れ、その中央には3つの緑色の宝玉が埋め込まれていた。







「……ダークネス・ムーンブレイク!」







その瞬間、右足を振り上げた状態でキバが飛び上がり、逆さまのまま上がりきったと思いきや、再び体制を変えて急降下。





「うぐっ!!??」



殺女の胸にとび蹴りが炸裂し、そのまま彼女は三度壁に押し込まれた。

その余剰エネルギーが彼女の体を突き破り、キバの紋様を作り出す。





「がはっ!!!!」



殺女の体はもはや耐え切れるはずがなく、吐血した。

キバはその右足を収め、再び鎖と拘束具によって封印された。

立つ力すら失った殺女は意識を失い、壁にもたれかかったまま地面に座り込んだ。

そのまま踵を返し、キバはキラたちに目線を向けた。

いつの間にか、レイシー兄弟とセトナが合流していた。

「彼女のことはセトナに任せて、君たちは急いでニュートラルヴィアへ!」

「でも、外に出るには時間が……。」

「大丈夫!ついてきて。」

キバに導かれるままに、4人は遺跡内部の中心部、円形のプレートの上にきた。

「セトナ、殺女のことは、頼んだよ。」

「はい。」

セトナはキラたち4人に視線を向けた。

「キラさん、ラクスさん、またお会いしましょう。レイシー兄弟も」

「……はい。」

「うん。」

「近いうち、我々の仲間たちも連れてきますね。」

「またねー☆」

別れを告げた後、彼らの乗った円形プレートはエレベーターとなり、上昇を開始した。







たどりついたのは、遺跡の中枢部。

180度のパノラマが見渡せる、絶景のロケーションだった。

「おい、渡。あれを見ろ。」

キバットの視線の先にあったのは、黒煙がわずかに立ち上るニュートラルヴィアだった。

「どうやら、テレゾンビが暴れているのはアプリリウス銀座のようだな…。」

キバットはキラとラクスに視線を向けた。

「GUNDAMに備えられてある飛行能力を駆使すれば楽なんだが、二人はまだGUNDAMそのものを手に入れたばかり。飛行が使えたとしても、慣れるのに時間がかかるのは必至だろうな。」

「…となれば、手段は一つ。」

そういうと彼は再び、ベルトのフエッスルホルダーの中から、茶色のマークのフエッスルを取り出した。







「ドランフエッスル――――。」






召喚!










キバットが、再び投げてきたフエッスルを銜えた。











「来い、“キャッスルドラン”!」











――――キャッスルドラン???











周囲を見渡すも、どこかしらの気配がない―――――と思いきや。





「…??!!に、に、兄さん、後ろ…!!」



「え?後ろ?」





チアキが指差した方向を振り向くと―――――。











遺跡の壁から巨大な竜の顔が飛び出していた。









「「うわわああぁぁっ!!!??」」













レイシー兄弟は腰を抜かした。



叫び声を聞いたキラとラクスも、背後からいきなり現れた竜の顔に、驚きを隠せない。

すると、遺跡の壁が次々にめくられ、“キャッスルドラン”がその姿を現した。

その名のとおり、体は巨大な城、頭、長い首、翼、大きな4つの足が、わずかに竜としての印象を残している。

「こ、これが…!?」

「そう!俺たちの活動拠点・キャッスルドランだ。」

キャッスルドランはご挨拶と言わんばかりに、大きな咆哮で答えた。

「お前ら、せっかくだし、こいつを使って“飛ばしてもらいな”。」











――――――え?飛ばしてもらう????











キバットの意味深な発言に、目を丸くする一同。







………何やら、いやな予感が過った……。



---to be continued---


☆あとがき
ガンダム大活躍な第58話でございました☆
ちなみに、キラとラクスが手に入れたガンダムアーマーと武装、元ネタはこんな感じです。

FREEDOM → そのまま『ガンダムSEED DESTINY』の“ストライクフリーダム”です。
CREED → 『バーチャロンシリーズ』の“エンジェラン”をモチーフにしました。

それにしても、最後はキバが決めた上、キャッスルドランまで登場ですよ。
まぁ、ここまでくればどうやってニュートラルヴィアに帰るか、大体予想はつきますよね。
さて、次回はテレゾンビ事件の終盤戦でございます!
どんな結末になるか、お楽しみくださいませ☆










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