Prologue Phase 戦乱の世界


プラズマ界―――――――。

それは、空に浮いている太陽が、常に自分たちの住んでいる世界の周りを回り続けていると言う、”天動説”の世界……。

そこで展開された、テレヴィアとアンダーワールドの戦い……。

だが、その世界とは別のところに、もう一つの世界があることをご存知だろうか…?


太陽は普通に動いており、アンダーワールドのような裏世界は存在しないが、光と闇が入り混じる、いわば、”もう一つのプラズマ界”……。

人々はその世界を「シードピア」と呼んだ。



「……いつまで続くのかな…。こんな戦い…。」

シードピアのほぼ中心部に位置する島々であり、シードピアの中立地帯、「アストレイバー・アイランド」…。

その中心にある「スピリード島」と呼ばれる島の岬に、一人の少女が佇んでいた。

時々吹き抜けるそよ風が、彼女の髪を揺らす…。

少女―――フワニータは、この世界で2年以上に渡って繰り広げられている戦争に、嘆きの声を唱えていた。

彼女の真正面には、戦争の活性化を継げる閃光が、絶え間なく光り続けていた………。

今もどこかで、小規模なものや大規模な戦闘が続いているのだろうか……。

「どうして…、人はこんな戦いを続けるのかな……。」

月夜に照らされ目の前に広がる海原と、閃光を目に焼き付けながら、そんな言葉をささやいた時。

「……やっぱり、ココにいたんだね。」

不意に背後から聞こえた女性の声。

しかし、彼女にとっては聞きなれた声だった。

振り返ることなく、静かに言った。

「また来てたの…?ジェミニ………。」と。

ジェミニと呼ばれたカウガールは、そのまま静かにフワニータの傍まできた。

その後ろには、彼女の愛馬のラリーも控えていた。

「フワちゃん、どうしたの?」

「……また、誰かが泣いている…、そんな気がするの……。」

友達の言葉を聞いたジェミニは、ため息をついた…。

―――戦争がはじまってから…、ずっとこんな調子だ……。

そう、フワニータは開戦以後、この岬に訪れるたびに、意味深な言葉を呟くのだ。

「……と言う事は、また戦闘が始まっていると言うことだね…。」

そう言ってジェミニもまた、海原に浮かぶ閃光に目をやった。

その閃光は、散っていった者の魂の最後の灯火か…。

それとも、別の何かか……。

答えは、戦場で生き抜いた戦士たちにしか分からない。

しばらくその光景を見ていたとき、不意に「ジェミニ。」と、自分を呼ぶ声が聞こえた。

視線を落とすと、悲しい表情で自分を見つめる友達の姿が。

ジェミニは跪き、フワニータと視線を合わせた。

「…?どうしたの、フワちゃん……!?」

声をかけたそのとき、いきなりフワニータはジェミニに抱きついた。

唐突な友達の行動に、彼女はしばらく戸惑った。

「ジェミニも…、いつか戦うんでしょ?遠い国に行って…。」

「…えっ!?」

「それで…、もしもアタシを置いて…そのまま帰ってこなかったら……、アタシ……ッ…。」

フワニータは耐え切れず、泣き出した。

それと同時に、フワニータは腕の中の存在を抱く力を、さらに強く込めていった。

知らぬ間に、彼女はジェミニの服をギュッと握り締めていた。

まるで、二度と離れたくないと、切実な願いが込められているかのように……。

「…フワちゃん……。」

その切ない彼女の思いに、涙が出そうになったジェミニは、なんとか微笑を作り、それをフワニータに向けた。

「君を置いていくはずがないじゃない…。ボクたちは、どんな時でも一緒…。ね?」

友達の、優しいその言葉に安心したのか、フワニータはそのまま目を閉じ、自分の顔をジェミニの胸に押し付けた。

「ジェミニ……、絶対だよ…?アタシと一緒だって…。」

「…うん……。」

しばらくそのまま抱き合っていたそのとき、背後から別の声が。

「あっ、ジェミニさ〜ん!!」

その声に反応して、二人は声がした方向を向くと、着物を着た女性と真っ赤な洋服に身を包んだシスターがいた。

「さくらさんと…。」

「エリカ!」

そう呼ばれた二人は、駆け寄ってきた。

「また悲しいことでもあったんですか?だめですよ、泣いてばかりいちゃ!」

エリカは、飛び切りの笑顔をフワニータに向けた。

その笑顔に、フワニータは安心感を覚えた。

「行きましょう、ジェミニさん。今日も舞台が始まりますよ。」

さくらにそういわれたジェミニは、持っていた時計をだした。

すると、その時計は8時10分前を指していた。

「あ、ヤッバ〜イ!急がなくっちゃ!!」

そう叫ぶと、ジェミニは颯爽とラリーに飛び乗った。

そのラリーの背には、すでにフワニータの姿も。

「ハイヤー、ラリーッ!!」

掛け声と同時に手綱を引いたジェミニは、フワニータとラリーと共に、劇場へと向かっていった。

「うわ〜、相変わらず早いですね。エリカ、感心しちゃいますぅ〜。」

「さあ、あたしたちも戻りましょう。『シードピア・シアターハウス』へ。」

「はいっ!」

そしてその影は、一つの劇場に消えていった。

今夜もまた、この世界の人々の心を癒すため、彼女たちは踊り続ける……。



---to be continued---


あとがき:
シードピアストーリー、いよいよ始動です!!
今回は『スピリチュアル・キャリバー』サイド視点でプロローグを書いてみました!
しかも、S.C.のメインキャラクターが総出演!
これからてれび戦士たちやライガーシールズたちとどう関わっていくことになるのか?!
更新ペースが遅いかもしれませんが、お付き合いのほどをよろしくお願いします!!











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