Phase218 FWパニック・CONCLUSION-Another side-
新たな創生、未知の可能性 〜Be The One〜
ウルトラマンティガ―――。
その昔、とある次元世界において怪獣の脅威から人類を守りぬいたとされている光の巨人であり、“超古代の勇者”とも呼ばれていた存在。
全ての能力のバランスがとれた基本形態の“マルチタイプ”、力と耐久力を重視した赤い体の“パワータイプ”、素早さとテクニックに長けた青紫色の“スカイタイプ”と、三つの能力を使い分けることが出来るのが特徴。
また、別世界のウルトラマンの危機にも度々現れたことがあり、その先々でもあらゆる形で世界の危機を間接的に救うなど、貢献度の高さは非常に高い模様だ。
ウルトラマンエックスが夢の中で見たと言う光の巨人の一人について、中田博士と藤森助手、そしてキサラ女王が知っている限りの話を掻い摘んで説明。
その存在に、一同も興味を惹かれていた。
「話を聞いた限りでは、ニコルさんの時のように見初められた戦士ということですね。」
ショウのパートナーと知れているサクヤの一言で、ニコルも心強い味方ができたことに表情がほころぶ。
一目見て、その力を確かめたいものだ…。
一方、伝説獣と外宇宙の戦隊というイメージの二つのチームだが………。
かたや“伝説獣の戦隊”――即ち電撃戦隊チェンジマン――。
大地の大いなる力、即ち“アース”を身に纏い、伝説獣の力を纏った5人の戦士たちの総称。
様々な星を手中に収め、その住人たちを奴隷として使徒するという侵略軍団・“大星団ゴズマ”を相手に死闘を繰り広げた。
かたや“外宇宙のチーム”――つまり超新星フラッシュマン――。
故郷の惑星からさらわれた5人の少年少女たちが、フラッシュ星系という外宇宙の世界で、20年の歳月を経てたくましく成長し、戦隊の力を得たチームである。
あらゆる宇宙を旅しては様々な原住生命体を生体改造するという“実験帝国メス”を相手に、様々な改造生命体と戦った。
「彼らの存在は、私たちの住んでいたイストファンタジアにおいても伝説として語り継がれているし、少し興味はあったのよね。」
紅魔艦の主・レミリアが説明してくれたその戦隊にも、一同は興味を示す。
一方で、話を聞いていたプレアとニコルは、実験帝国メスの行っていた改造実験という言葉に複雑な表情を見せた。
シードピアにおけるコーディネイターは、元々は遺伝子調整によって生み出された特殊な存在。
飛躍した言い方ではあるが、彼らもまた改造人間と呼ばれていてもおかしくない存在なのだ。
そして、そう呼ばれてもおかしくない存在がまた一つ、それが、B.C.F.における“エクステンデッド”。
彼らもまた、コーディネイターに対抗するために、ナチュラルが人為的な遺伝子操作を施して無理矢理に戦闘能力を向上させられた子供たち。
その非道なやり方は、実験帝国メスと同等と考えてもいいほど。
そう思えば思うほど、自分たちの心も痛くなるものだ…。
『それにしても…ウルトラマンや仮面ライダー意外にも、様々な戦いを経験した戦士たちがいたんだな。』
精神体になっていたファイター・ロアが、別世界の戦士たちに興味を示す。
……ふと、ミチルとフォルカが次の話題を口に出した。
「せやけど、さっきあんさんたちがいっていたチェンジマンとフラッシュマン以外にも、見たことのない戦隊がいたやん。」
「確かに。それに他の戦隊には5人以上のメンバーもいたはずだが…?」
そのことに首をかしげる一同だが、その瞬間、中田博士が思いもよらぬ仮説を口にした。
「これは私の推測になるが……、もしかしたら彼らは『新世代のスーパー戦隊』かも知れない。」
―――?!
歴史にその名前が刻まれてない存在……、それは即ち、この先の未来にその希望を残す存在だと言うこと…!
「もしかしたら、人々が思う正義の強い心が、新たなページを作り出したかもしれません。」
マルキオ導師の言葉どおりだとしたら……、自分たちにとっての心強い存在になるかも知れない…!!
「おい!お前たち!」
『!』
背後から厳つい声が聞こえ、振り向くと、空間モニターが映し出されていた。
そこにいたのは、サングラスをかけた日焼け肌の強面の男。
ブライトルーパーズ専任の訓練教官を務める、蝶野である。
「あれ?蝶野教官、どうなさいました?」
「ちょっと聞きたいんだが、大野課長を見なかったか?」
「………え?」
思わぬ質問に全員が首をかしげる。
「いや…、見ていないが……何かあったのか!?」
その言葉に答えたのは、蝶野教官と同じところから通信に参加している虎南分析官だった。
「それが、さっきまで立花団長と定期連絡を取っていたはずだったんだけど、いつの間にかいなくなっていたのよ。」
「やたがらす丸の艦内も探してみたんだが、一向に見当たらない。何者かによってどこかに連れ去られた可能性がある!」
艦内がどよめいた。
自分たちのリーダー格がいつの間にか事件に見舞われた!?
「ひょっとして、エックスが見たって言うあの夢と関係しているんじゃ…。」
ニコルのその不安、可能性がないとは言い切れない…。
「大丈夫、あの大野課長が簡単にやられるはずないわよ。」
そんな不安を振り払ったのが虎南分析官。
「今までだって、そういう予想外の流れを何度も乗り越えてきたんだから。あの人の正義感と勇気は、ここ一番で大きく出てくるんですもの。」
彼と戦いを共にしてきた経験から言えるのか、説得力がある。
(それに、私の運勢だって好調って載っているしね☆)
<さそり座のあなた>
今日の運勢、超ラッキー!!きっと奇跡は起こるでしょう。
ラッキーアイテムは「みかん」です。
……ちょいちょいちょい、その占いの本って信用できるの?
「いいじゃないの天の声さん!占いを信じる信じないは人の勝手でしょ?」
…いや、それはそうなんだけど……。
―ヴィーッ!ヴィーッ!ヴィーッ!
『?!』
艦内に警報が鳴り響いた!
それと同時に、エミィとマナから連絡が入った。
「大変よ!亜空軍と思えるロボットと怪獣達が、シードピア連合と交戦しているらしいの!」
「さっき調べてみたら、敵はとんでもない怪物や怪獣を使っているようだ。」
展開された空間モニターに映っていたのは、4体の狂暴な怪物や怪獣たちがロボットたちに攻撃を仕掛けている様子だ。
「事態は一刻を要すると言うことね。即座に戦えるメンバーで援護に行ってくれるかしら。」
「了解!」メンバーたちは一斉に動き出した。
「フラン、パチュリーに伝えておいて。もし戦うことになった時も考えて“アレ”の投入も考えたほうがいいわ。」
「分かったわ、お姉さま。」
一方のスカーレット姉妹も、何か切り札を忍ばせているのか、密かに行動を起こす。
『よし!ニコル、もう一度いけるか?』
「もちろんですよ、エックス。」
シードピアに生きる者として、自分が率先して戦わなければ。
ウルトラマンに見初められたニコルも、気合を入れなおす。
「あぁ、ニコルくん、少しいいかな?」
「はい?」
ふと、中田博士に呼び止められる。
「慎吾、開発していた“あのカード”を彼に渡してくれ。」
「オッケー、博士☆」
藤森助手が取り出したのは、4枚のカード。
そこにはそれぞれ、ゴモラ、エレキング、べムスター、ゼットンの画が描かれているのだが、いずれも機械化或いは電子化されたようなボディになっている。
「これは“サイバーカード“。ウルトラ怪獣のデータを電子化させて開発した特殊なカードだよ。」
「このカードをリードさせると、様々な怪獣達の力を宿した鎧“モンスアーマー”を装備することが出来る。苦戦したときにはぜひ使ってみてくれ。」
「はい、ありがとうございます!」
怪獣の力をウルトラマンの体に宿す。
そのキーワードを聞き、共感した存在が一人。
「ウルトラ怪獣の力を鎧に転化する“モンスアーマー”か……、俺の“ウルトランス”のようなものか…?」
ウルトラマンビクトリーの適合者・ショウだ。
彼はウルトラ怪獣の人形=スパークドールズを使うことで、怪獣の体の一部を自分の武器として行使する“ウルトランス”と言う能力を持っている。
どうやら少しばかり興味を持ったようだ。
「それじゃ、準備が出来たなら……、Let's!!緊急発進よ!!」
『 ガレット(Got it)!!』
大野課長不在と言う不安が残る中、A.A.A.リネージュと第5やたがらす丸は発進した…。
「…………はぁ……。」
所変わってこちらはW.W.Y.。
彼らの旗艦である次元航行船“ファイン・ウインド”も、シードピアでの決戦に備えて準備を整えつつあった。
その格納庫で一人ため息をつく少女がいた。
W.W.Y.の陸戦部隊“G.T.パンツァーズ”のリーダー・西住みほである。
「西住殿〜!」
そこに、すでにパイロットスーツに着替えたチームメンバーたちが合流した。
率先して駆けてきた秋山優花里を始め、すでに気合十分な様子だ。
しかし、みほの不安な顔つきに違和感を感じた。
「みぽりんどうしたの?いつも以上に怖そうな顔つきよ…。」
親友の武部沙織が親友の悩みを聞いてみる。
「…怖いんだ…。」
『怖い?』
「…いつもだったら、みんなで楽しく戦車道ばかりやっているじゃない。でも…今回は本気の実戦でみんなが、苦戦しちゃうかもないかもしれないじゃない?そう思うと、少し怖くって…。」
……恐怖心。
いつもやっている戦車道といった武道のような試合ではなく、今回は命がけの実戦に踏み入れるのだ…。
その恐怖が、温厚な少女の心をより不安にさせているのだ。
「西住さん…。」
するとメンバーの1人である五十鈴華が突然みほの手を取り自分の胸に手を当てる。
「華さん‥‥?」
「西住さん聞こえていますか。私の心臓、今でもまだドキドキとするぐらいです。」
華の手からまるで呼応するように心臓の音が聞こえる。
「いつだって人は緊張するときがある。だから緊張しないで。」
同じくメンバーの1人である冷泉麻子もまた、緊張しているみほを励ます。
「みほ…。」
そこに入ってきた2人の女性。
「お姉ちゃん…、愛里寿さん。」
自身の姉であり、トップクラスの実力を持つ西住流戦車道現後継者最有力候補・西住まほ。
かたや、その西住流のライバル流派である島田流戦車道の継承者でもある大学飛び級の秀才少女・島田愛里寿。
戦車道としてみほと共にぶつかりあい、時に背中を預けて戦ってきたライバルであり、また心強い友と呼べる存在だった。
「みほ、あなたはいつだってあなたらしくいなさい。いつだってあなたは冷静な判断力でピンチを乗り越えてきたじゃない。」
「あの時、西住さんがいてくれなかったら、私は冷静さを失いかけていた。だからあなたの判断力は必要よ。」
二人の激励の言葉…、それはリーダーの重圧を背負っていたみほにとって、何よりも心強い支えである。
「お姉ちゃん…愛里寿さん…、ありがとう。」
「おーい、ちょっといいか?」
そこに立花団長がやってきた。
「立花団長…どうしたのですか?」
「いや、ちょっと…竜心を見ていないか?」
『え?竜心…?』
もちろん、みほたちは検討つくはずがなく、首をかしげる。
「いや‥見ていないでありますが、団長殿、どうしたでありますか?」
「それが、さっき出撃前に竜心がちょっと用があって、向こうに行ったみたいだけど、もう30分ぐらい全く連絡がないのよ。」
いつのまにか竜心が行方不明!?
みほたちの心に不安が過ぎる。
一体どこに……。
「それだったら心配ないでおジャル。」
するとみほたちの目の前に3体のモンスターが現れた。
・擬人化した城のようなモンスター
・赤いライオンのようなモンスター
・全身筋肉質のようなモンスター
・尻尾に小槌を付けた白い蛇のようなモンスター
「しろのじょう、れっどれお、にくそん、それにうんじゃみいも。」
彼らは言葉の精霊「もじもん」の仲間たち。
「城」のもじもん“しろのじょう”と、「肉」のもじもん”にくそん”、「赤」のもじもん“れっどれお”、「運」のもじもん“うんじゃみい”である。
「いったいどうしたでありますか?」
「竜心のことなら心配ないぜ。」
「なにかしろのじょうが気配を感じ取って“お城ネットワーク”で見てみたんだ。みんな、これを見てみろ。」
“お城ネットワーク”とは、しろのじょう最大の特技で、水鏡を通してどんなもの見ることが出来る能力である。
彼が持ってきた手桶の水鏡に映った映像。
それは、5色の姿をした戦士たちが様々な怪人軍団と戦っているところだった。
「れっどれお、これは!?」
「これは私達の考えではあるが、どうやら新しいスーパー戦隊が覚醒したようだ。」
―――!!
スーパー戦隊の覚醒―――。
それは世界を守る新たな希望が生まれたと言うこと…!
願ってもなかったであろう展開に一同は仰天した。
「じゃあ、この事態に竜心は関係しているとか…?」
「おそらくな。赤のヒーローってのはネバーギブアップという絶対にあきらめない強い心が持っている。きっと大丈夫だろう。」
「うんうん、それに何かお主たちは強い運を持っておる。まるで黄色い魚が跳ね跳ぶような救世主の星の光を感じておる。」
れっどれおとうんじゃみいの言葉に安堵感を持っていた一同――――。
「…む!?待つで、おジャル!!何か新しい予言がお城ネットワークに反応したでおジャル!!」
「なんだって!?しろのじょう、見せてもらえるか!?」
「承知!」
そういって水鏡の映像を切り替える。
映し出されたのは、不気味な魔法陣の上に倒れていた複数の影。
そのうちの半数はいずれも人間の女の子のようだ。
“花飾りのようなセーラー服を着た少女”
“黒髪のサイドテールを基調とした青をベースの弓道着風の女性”
“茶色のショートを基調とした大人っぽい女性”
“茶色のロングヘヤーをベースをした抹茶色のセーラー服の少女”
“大和撫子を基調とした女性”
“銀髪ロングヘヤーと2人目の女性と似た弓道着姿の女性”
“黒髪のショートヘアーに左目に眼帯をつけ刀を差した少女”
“それに寄り添う姿をした4人組の少女達”
“金色のふわふわの髪に緑の瞳、体つきは細く、灰がかかった藍色の服を着た少年”
“青い服の上から黄金の鎧を着た金髪の女性”
そして、それぞれの傍にいる複数のモンスターたち。
その姿に、立花団長と小島主任は見覚えがあった。
「ちょっと!あれって、もじもんたちじゃないの!?」
“優しそうな猿のようなモンスター”
“かき氷のような見た目のモンスター”
“白色のヒーローのようなモンスター”
“まるでバラに包まれた天使のような姿のモンスター”
“右手のような姿のモンスター”
“金色の貴婦人のようなモンスター”
「“ふてくさーる”に“れいか”、“ほわないと”と“なまえんじぇる”それに“ぐれんち”と“まにーごーるど”…妙だな。」
「団長、妙って何ですか?」
「いや、あのもじもん達はみんな、以前“もじ魔獣”と言う化け物にされたことがあるんだが、それを俺たちが救出した善良なやつらばかりなんだ。」
「だとしたら、なんで…。それにあの女の人達は一体…?」
状況に首をかしげる麻子。
その時小島主任の脳裏に嫌な予感に気づく。
「ゆう君‥‥もしかして、以前のほわないとの時と同じように!?」
小島の脳裏に過ぎったかつての記憶。
それは、かつて行方不明になったほわないとを探すため、しろのじょうの力を借りて“お城ネットワーク”を使ったときだった。
その時に彼らは、ほわないとが闇のもじ守によってもじ魔獣に変貌させられた光景を目撃したのだ。
当初、彼らは違うもじもんがもじ魔獣にされているのではと予測していたため、完全に裏をかかれた形になったのである。
―――ピカアアァァッ!!!!
――うわっ!!??
ふと、魔法陣が突如として光り出す。
たまらず目を背ける面々。
ややあって光が消えた…………その時――!
――グァァァ〜〜!!!!!!!!
『!!!!????』
一同は驚愕した。
現れたのは、いかにも凶暴な見た目をした6体の怪物たち。
“ゾンビと死神が融合したような怪物”
“すべての物を凍らせる巨大な氷のドラゴン”
“全身筋肉質のダークヒーローとでも呼べる怪物”
“全身を黒いバラに包まれた悪魔のような怪物”
“まるで5本指の生えたヒドラのような手の姿の怪物”
“羽の部分がスピーカーになった巨大な蛾のような怪物”
“体中に金や宝石を張り付けた3つの面の阿修羅のような姿の怪物”
「立花団長、これは!?」
「間違いない…“もじ魔獣”だ!!!!」
「これが……。」
もじ魔獣…本来は善良なもじもん達が、「暗黒の歌」と「憎しみの心」で凶暴な怪物になる存在である。
その存在を目の当たりにした愛里寿は恐怖を覚えた様子を見せる。「早く止めに行かないと!!!」
「待って、まずいわよ。あのもじ魔獣たちの中に女の人達もいるでしょ!?助けないと本当にヤバイよ!」
華たちが焦る一方でもじ魔獣化された人達もいる状況に沙織はいつも以上に焦る。
「…助けよう。」
焦りを打ち払うかのようなみほの一言で、全員が静まり返る。
「西住殿!?」
「だって…困っている人たちがいたらほっておけないでしょ…だから!!」
彼女の目には迷いがない。
それを感じ取ったまほと愛里寿も、彼女の意思に賛同する。
「…そうね。私たちは今できることをする。立花団長、もじもんの保護と人命救助の許可を!!!」
「私たちにできることは人々を救うためです!」
その意思を受け取った立花団長は、出動の決意を固めた。
「‥‥そうだな。梨里杏、VRMSの様子は?」
「もちろん大丈夫よ。全ビークル出撃可能。岬艦長、到着まであとどれぐらいかかるの?」
その声を受けて空間モニターがオープン、もう一つのチームである“イノセント・フリーターズ”のキャプテン・岬明乃が答える。
『単純計算で行くと、あと30分ぐらいですね。』
まだ合流に時間がかかりそうだ。
「なるべく急いでちょうだい。そっちの援護が必要だから。」
『了解しました。』
「それとましろ副長。」
『はい。』
答えたのは、イノセント・フリーターズの副長・宗谷ましろ。
「“ブレイブ・ウィッチーズ”のラル隊長にも、緊急出撃ができるかどうか伝えておいてくれない?もしかしたら防御要員達のシールド発動や、負傷者治癒にも必要な時があるから。」
『了解しました!ただ…』
「ただ…?」
『そのブレイブ・ウィッチーズで唯一行方不明になった親友の二パの事をひかりが心配しているんですよ。あ〜っ、またニパの奴、不幸な事しか起こっていないばっかりに!』
ニパことニッカ・エドワーディン・カタヤイネン。
通称「『ついてない』カタヤイネン」の名の通り、良太郎や智春をはるかに超える超絶不幸体質の持ち主で、よく事故でストライカーユニットを壊してはお説教を喰らうことが多いが、固有魔法の自然治癒能力で平気で立ち直り、そのアシスト能力でピンチを救ったこともある。
同じ不幸体質持ちであるであるましろとはよく話が合う関係を持っていた。
※なお、W.W.Y.は全員気づいていないが、現在二パはミッドチルダへ他のウィッチと合流して現在、ストライクウィッチーズと合流して行動を共にしている…。
「大丈夫よ。きっとニパさんとは再会できるし、みんな達とは合流できる。信じましょう!」
「小島さん……、わかりました、私もニパを信じます!」
その通信の後、一同が整列した。
「いいかい。今から俺達のすることは人命救助が最優先だ!!行くぞ!!!」
『WIZ-WIZ-YOU-!!!』
一同は恒例の掛け声を言った後、それぞれ持ち場についていった。
しかし、かなりまずい状況だな…。
ひょっとしてこれが依然大野課長と言っていた“とんでもない闇“ってここれのことか…?
だがなんだ…妙にこれ以上ヤバイ嫌な予感がする‥‥!?
じいちゃん、みんな、無事でいてくれ!!
―――カタカタカタカタカタ………。
こちらは“プロヴィデント・フォートレス”内部の“地上本部中継所”。
そこではキャリアウーマンのソフィが、一心不乱にキーボードを叩いていた。
その内容は、ソフィ自身がずっと前から温め続けていた新たな特殊部隊の企画書。
ミッドチルダ消滅と言う危機的状況を打開するためには、彼らの存在も不可欠。
そう確信して、今まで頑張ってきたのである。
「失礼しま〜す。」
女性の声が聞こえた。
「着たわね。入りなさい。」
許可を得て入ってきたのは、4人の女性。
・赤いツインテールを持つほんわかした雰囲気の女性
・寝ぼけ顔ともとれそうな表情の少女
・メガネをかけた銀髪の少女
・見た目的に非常に活発な雰囲気が伺えるポニーテールの少女
後者の3人は見た目的に高校生くらいの年代と思われる。
「緊急の呼び出しだと伺ったんですけど……どうなさいました?」
「そうね、今から説明するわ。」
そういってソフィは最後の文章を気持ち速めで叩き込み、ついに完成した。
「よし、こっちはこれでいいわ。」
「ソフィ、おるかね?」
今度は老齢の男の声?
その声を聞き、ソフィの目が真剣になった。
「遊蔵さん、お待ちしてました。どうぞこちらへ!」
ソフィの許可を受け取って、扉が開かれる。
入ってきたのは、先ほど名を呼ばれた遊蔵と言う老人と、その後に続いて出てきた3人の若者だった。
「…?……ソフィさん、この人たちは…?」
「彼らはこのディスタンスフォースにおけるホープたち。シードピアで戦っている烈さんの意思を受け継ぐ、期待の新星よ。」
遊蔵は、彼ら若手3人の後見人の一人として名を連ねているのだとか。
「相変わらず忙しそうじゃの、ソフィ。」
「えぇ、プラズマ界が危機的な状況になってますから、休んでばかりはいられません。」
どうやら前々からの顔見知りなのか、ソフィと遊蔵、世間話を―――。
「ちょっと!遊蔵さん、大事な話をしなきゃいけないでしょ。」
「おぉ、そうじゃった。すまんな、ヴァン。」
ヴァンという名の青年が急かせる様にして会話を遮る。
「さて……マーヴェラス西川、もつらべえ、出てきてよいぞ。」
その声を受けて、さらに二つの影が現れた。
全身がオレンジ色の装甲で覆われた若々しい表情の男と、スカラベを彷彿とする姿の謎のモンスターだ。
「ヒッ!虫ィ!!」
…と、もつらべえの姿を見てちょっと引いた者がいたようで…。
「お嬢さん、大丈夫大丈夫。見た目は変わっているけど、悪いやつじゃないから……たぶん。」
「ちょっと、俺が迷惑もんみたいな発言はやめてくれや。」
…う〜ん、どこかしらメタな発言が含まれそうな…、まぁ、気にしないでおこう。
「まぁ、それよりもこれを見るべ。ディスタンス・フォースで調べていた極秘情報の資料だべ。」
…と、脱線しかけた話を修正し、もつらべえは持っていた資料を一同に配る。
そこには、誰もが予想していたなかった情報が記載されていた。
「…プラズマ界の闇の神託を全うする者、“ネオ・ロゴス”…!!」
「ちょ、ちょっと待ってください!私たちの敵は亜空軍のはずでは…!?」
資料を見て真っ先に異論を唱えたのは、メガネをかけた銀髪の少女――白金レイカだった。
しかし、その上司である赤髪の女性――岡田トモミがそれを否定する。
「私も最初はそう思っていました。しかし、ソフィさんと遊蔵さんたちの調べで、その亜空軍を凌駕するほどの影響力を持つ、とてつもない闇の存在が判明したのです。」
その言葉に続いて、ソフィが口を開く。
「そういうことよ。しかも、先ほど起こったミッドチルダ消滅事件も、このネオ・ロゴスが関与している可能性が浮上してきたのよ。」
さらに、Dr.カゲロウ一派による“闇のアーカイブ”強奪も、財団Xによる各種犯罪道具の密売も、この“ネオ・ロゴス”の後ろ盾がある影響だと言うのだ。
しかも、今から数日前にとある次元世界において、財団Xの幹部であった“ネオン・ウルスランド”が何者かによって殺害されているのが見つかったと言うのだ。
おそらくこれも“ネオ・ロゴス”の面々による、口封じのための謀殺であろう。
「もしかしたら、この“ネオ・ロゴス”という存在は、私たちやプラズマ界全てに危機をもたらす、かつてない災厄になるかも知れない…。」
「それってメチャクチャまずいじゃないですか!!」
ポニーテールの少女――牛丸ミクは慌てふためいた。
「亜空軍より強い存在がいたなんて…!」
寝ぼけ顔の少女――宮下アキも内心で焦っていた。
「だからこそあなたたちを呼んだのよ。」
「え!?」
その不安を遮るようにパシッと言い切ったソフィの言葉に、少女たち3人は目を丸くする。
そして、脳裏に過ぎった疑問に対する答えを提示するかのように、もつらべえが新たな資料を手渡す。
さらに、若者の一人――アランが、遊蔵とともにソフィの言葉を引き継ぐ形で語った。
今回の事態を把握した直後、ソフィは密かにトモミちゃんに連絡を取って準備を始めた。
新たな敵、“ネオ・ロゴス”に対抗するため、プラズマ界の英雄たちの力を一つに集めるために!
ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、プリキュア、宇宙刑事、あらゆる次元の数多の英雄たち―――。
そういった若い新世代の戦士たちが一同に会し、銀河の平和を守るために活躍する正義のチーム。
それが、ディスタンス・フォース特務公安機動部隊
“ギャラクシー・スクワッド(GALAXY-SQUAD)”じゃ!!!!
“ギャラクシー・スクワッド”――――。
プラズマ界を守る最大の切り札となるために考案された精鋭部隊。
そのスケールの大きさに、アキたちも言葉を失った。
こんなにも大事になっていたなんて…。
受け取った資料には、そのギャラクシー・スクワッドの概要の数々が記されていた。
「…というわけで、皆さんにはそのギャラクシー・スクワッドの創設メンバーとなっていただいて、シードピアで暗躍しているであろう“ネオ・ロゴス”たちを、皆さんで退治していただきたいのです。」
改めてトモミから部隊参加の要請が告げられたところで…。
「それはいいんですけど…、そのギャラクシー・スクワッドのリーダーって…誰か決まっているんですか…?」
ミクの疑問が飛び出し、その言葉にレイカも賛同する。
「それもそうですね…、それに、資料を見る限り、新しいギャバンとシャイダーの候補は決まっているみたいなんですけど、シャリバンの枠がありませんよね…?」
そう、受け取った資料には、そのギャラクシースクワッドに参加する予定の面々が書かれているのだが、その中でチームリーダーとシャリバンの枠だけが空っぽの状態になっているのだ。
「安心して、チームリーダーとシャリバンの候補はこちらのほうでリストアップしてあるわ。」
『!』
すでに目ぼしい人材が決まっているというのか!?
「ワシの思う次世代シャリバンの候補は、危機に立ち向かう勇気と、もじもん達を思いやる仲間の大切さ、そしてあらゆる状況になっても遊び心を忘れない純粋さも持っている。」
遊蔵はシャリバンに相応しい存在を見初めているらしい。
「リーダーの候補には、チームを纏める冷静な判断力といざというときの機転の良さ、それに諦めない心の持ち主を選んでいる。あいつなら、きっとやってくれるさ。」
ブレイズと名乗る青年は、チームリーダーの候補を推薦しているらしく、こっちのほうは問題なさそうだ。
―――♪〜〜〜
ふと、電話の着信音が響いた。
西川の懐からだ。
「おっと、ちょっと失礼。」
――ピッ
「ハァイ、マーヴェラス西川だ。…あぁ、小島主任?……え?……間違いないのかい!?…うん……OK、こっちももうすぐ終わるから、なるべく速めに戻る。」
どうやらただ事ではない様子だ…。
「西川、小島くんからか?」
「あぁ、どうやら何者かの手によって“もじ魔獣”が復活したらしい。」
―――!!!
“もじ魔獣”……、かつて立花団長たちによって浄化されたはずの存在が、再び蘇ったと言うのか!?
「しかも、今度はもじもんだけでなく、異世界の少年少女たちまでもが魔獣の触媒にされてしまったとのことだ!」
無関係の面々までもが魔獣の要素にされてしまったというのか!?
どうやら事態は急を要するようだ…!
「どうやら“ギャラクシー・スクワッド”の最初の仕事が決まったようね。」
意を決したソフィは、ヴァンとブレイズに視線を向ける。
「鳴神ヴァン、ブレイズ焔村、“ドルギラン”と“バビロス”の準備は!?」
「えぇ、準備は万端ですよ。」
「こっちも行けるぞ!」
かくして、“ギャラクシー・スクワッド”は初陣に向けて動き出した……!!!
<RIDER KICK!!>
「蛇心剣・新月斬波!!」
―――ドガアァァンッ!!!
こちらはメディアステーション内部。
いつの間にか現れていた亜空軍を目撃した謙二郎を助けた謎の3人によって、怪人たちが一掃されたところだった。
そして、謙二郎本人も負傷した傷を治療してもらい、ようやく動けるようになった。
また、偶発的に目撃したガジャも、援軍として投入したカースたちを下がらせ、元の石に戻した。
「フン、他愛のない連中だったな。」
手ごたえがないと感じたジャグラーはそのまま元の人間の姿に戻る。
その後に続くように、クローズも人間の少年の姿に。
キックホッパーも変身を解除して本来の姿――矢車想の姿となる。
「た、助かったよ、ありがと……。」
礼を言った謙二郎だったが、なぜか直ぐに俯いた。
「…フン、お前も俺のことを笑うのか?」
「いや、そうじゃないんだ…。」
「……?」
矢車の少しイラついた言葉を、謙二郎は否定する。
それによくみると、拳を硬く握り締めて震えている…。
やがて、彼はシードピアで体験した戦い、そして今このメディアステーションで起こっている戦いのことを掻い摘みつつ、自身の心のうちを語った。
「……なるほどなぁ、何年もテメーを騙していた奴らがいて…。」
「お前の仲間たちはその輩にいいように利用されていた、ということか……。」
その独白を聞き、クローズとジャグラーはどこかで納得したような表情になった。
「………お前は、俺と同じように地獄を見てきた少年だったと言うことか…。」
「えっ……?」
矢車は謙二郎の独白に対して共感を抱いていたのか、やがて自身の過去を独白し始めた。
数年前、俺は“ブルー・コスモス・ファミリー”の一員として、とある特殊部隊のリーダーとして戦っていた。
その時の俺は“パーフェクト・ハーモニー(完全調和)”の信念のもとに行動する完璧主義者だった。
だが、倒そうと思っても倒せなかった敵に執着していた俺は、次第に周りが見えなくなり、スタンドプレーに走るほどに暴走していって、やがてすべてを失った…。
そして闇に堕ちたオレは組織を追放され、生きる意味を追い求めて彷徨う流れ者となった。
自分のことを笑う連中を目の敵にし、ひたすらに戦いに明け暮れていた……。
「だが、そんな中でも、俺はあきらめなかった。“闇の中でも輝き続ける光を求めること”……それが望みだったからな。」
「……!」
闇の中でも輝き続ける光―――。
その言葉とともに過ぎったのは、コーディネイターとの共闘を選んだ自分の仲間たち。
思えば、自分と同様に騙された存在であるにも関わらず、それに絶望するどころか、希望と言う光をどこかしらに見出して自分から困難に立ち向かっていった。
それに引き換え、自分は目の前の現実を受け入れられず、ただネガティブに陥っていただけだった…。
このままじゃ、光を見出せないのも当然だ…!
前に進めないのも当たり前だ…!!
「……矢車さん…。」
「…?」
「俺も、見出せますか…?闇の中の光ってやつを…。」
その謙二郎の言葉に対して、矢車は…。
「…どうだろうなぁ…。だが、這い蹲ってでも立ち上がれるほどのあきらめない心があれば、いつかは、な…。」
ぶっきらぼうに答えただけだった。
しかし、それは謙二郎にかすかな希望を与えるに充分だった。
「……俺も、求めてみます。闇の中の光を!その先に、答えがあるならば、何度でも!!!」
謙二郎は立ち上がった。
ナチュラルと共闘するのは彼の本意ではない。
しかし、今は自分たちの世界を守るために立ち上がるしかない!
その先に、自分の探しているものがあるのなら……!
「フッ……小僧、貴様には感心した。私から一つ贈り物を授けようではないか。」
そのやり取りを静かに見届けていたガジャが動き、持っていたアタッシュケースを謙二郎に手渡した。
ケースの中には、ガジャが作り上げた発明品が入っていた。
「その特殊バックル、“ビルドドライバー”を装着し、傍らの“フルボトル”を装填するのだ。」
簡潔なやり方を聞いた謙二郎は、その言葉どおり、ビルドドライバーを取り出し、それを腰に当てて装着。
そして、傍らにあった赤と青のフルボトルを取り出した。
「“フルボトル”を装填するときには、前もって振っておくのだ。そうすれば力が活性化されるぞ。」
ガジャの言葉を聞いた謙二郎は肯き、二つのフルボトルを振る。
―――シャカシャカシャカシャカ……
数秒間振り続け、程よくなったところでボトルの蓋を回してロックし、ドライバーに差し込んだ。
――ガシャンッ! <“RABBIT”!>
――ガシャンッ! <“TANK”!>
<BEST MATCH!!>
ベルトからネイティブな発音の男性の声が響いた。
「さあ、後はそのレバーを回すだけだ。」
「分かった………じゃあ、実験を始めよう!」
意を決した謙二郎はドライバーのレバーを回す。
まるで工場の製造ラインを思わせる重厚な音が、それと連動して響く。
そして、ベルトに刺さったフルボトルの中の液体も、レバーの動きにあわせて上下に動く。
すると、そのベルトからエネルギーラインが外へと張り巡らされ、その力は赤と青の半身になって、それぞれ謙二郎の前後に具現化される。
その状態を見た謙二郎は、すぐにこの後のことを察した―――。
<ARE YOU READY!?>
「変身ッ!!!!」
その掛け声の直後、赤と青のボディが謙二郎に“ガシャン!”と覆いかぶさり、一人の仮面ライダーの姿となった…!!
<鋼のムーンサルト!
“RABBIT TANK”!!>
――YEAH!!
ここに、新たなる戦士―――“仮面ライダービルド”が誕生した…!!!
---to be continued---
☆あとがき
今までの裏パートの中で一番膨大な量に仕上がりました、今回のパート。
各所で何かしらのフラグがビンビンと立つ中、終盤でとうとう来ちゃいました、記憶に新しい平成ライダー、ビルド!
シードピアでは謙二郎に担ってもらうことになりましたが、勝利の方程式を見出すことが出来るのか、ぜひとも期待していただきたいと思います!
ちなみに、今回の分を作るに当たって、数箇所ほど已む無く削ってしまったシーンがあるのですが、それについては今後の展開でなんとか導入していきたいと思います。