“SEEDPIA CRISIS”特別編
歌姫を支える敏腕プロデューサー



「……あれ?」

てれび戦士の“早とちり歴史学者”杏奈が、ラクスの屋敷に訪れていた頃、彼女はラクスのテーブルに置かれている写真に眼が留まった。

「ラクスさん、これってあなたたちの…。」

「はい、私たちライガーシールズの写真です。私とキラがライガーシールズに初めて入ったときの、記念の写真なのです。」

ふと、杏奈は、その写真に写っている一人の女性の姿が眼に留まった。

“美人格闘家”とでも表現するべきだろうか。

その女性は非常に美しいプロポーションを誇っていた。

「ラクスさん、この人は?」

「…?」

杏奈がその人を指差し、その顔を見たラクスは、語りだした。

「あぁ、そのお方は、私たちが新人だった頃からご一緒に活動している、ライガーシールズのメンバーです。」

「へぇ…。」

「実は、ここだけの話……。」











――――私のマネージャーも兼任していらっしゃいますの。













「ええっ!!??」

部隊の一員であり、ラクスのマネージャー。

どうやら相当な腕を持っているようだ。

「実際に会ってみたいわね、この人。」

「残念ですけれども、3年前から席を外しておりまして……。」

「え?」

3年間も不在?

マネージャーなのに?

どういうことかとラクスに聞くと、彼女は一言こう言った。



「修行に言ってくる、とおっしゃっていました。」

























――――数ヵ月後。































久しぶりに訪れた、ニュートラルヴィア・アプリリウス銀座。

その町並みは、さすがに3年も来ていなかったせいか、少しずつ変わってきているようだった。

そして今、私――中川空の目の前には、久方ぶりに帰還するライガーシールズの活動拠点・G.L.B.の概観が聳え立っていた。

(あれから3年か・・・。ラクス達元気にやってるかな・・・。思えば、あれはどうなのよ・・・。)

ふと、私の脳裏に、数日前の通信越しのやり取りが思い出された。

























「ふ〜、もうちょっと頑張れば良い成果が出るのにな・・・。どうしたら良いんだろ・・・?」

3年ほど前から基地を離れ、修行に出ていた私、中川空。

どんな修行かは今は言えないけれど、とにかく、凄い格闘スタイルになろうとしているということだけは、断言できる。

私の戦闘スタイルは、通称・“空流マーシャルアーツ”。

簡単に表現するなら、いわゆる“格闘術のてんこ盛り”。

本来のマーシャルアーツに加えて、空手やテコンドー、プロレスやジークンドーなどなど……。

とにかく、あらゆる格闘術をごちゃ混ぜにして自分なりにアレンジして仕上げた、私だけの戦闘スタイルって言うところかな。

今回の修行の目的は、その戦闘スタイルをさらに発展させた、新しい戦い方を習得するためだったんだけど……、これと言った成果が中々出てこない。

その時、私が装備していた携帯アイテム・コマンドギアに通信が入った。

「もしもし・・・?」

(あっ、空さん・・・。お疲れ様です。)

「あっ、ミリアリア、お久しぶりね。どうかしたの?」

(実は・・・。)

久方ぶりに入ってきた通信は、私の予測を大きく裏切るものだった。

なんと、現状のライガーシールズの戦力では対応不可能な事態が迫っているらしいから、至急本部に帰還してほしいというものだった。

「う〜ん・・・帰りたいのは山々なんだけど・・・、まだ修行の成果が出ないのよ・・・。」

なんとしてもこれだけは完成させたい。

そうでなきゃ、長い間修行に出ていた意味がない。

しかし――――――。

(そうそう、ラクスが特別ボーナスを出すから早く帰って来るようにと・・・。もしも、帰れないなら別部隊に左遷すると・・・。)

「えっ・・・、別部隊に左遷させる・・・。」

うわっ、それだけは勘弁!

ボーナス支給と、別部隊への左遷と言う言葉に、どうしようもなくなった私はしぶしぶ承諾することにした。

「ハァッ・・・、参りました。すぐに帰りますからボーナス用意しとくようにラクスに伝えて頂戴。」

(了解です。)

ミリアリアの笑顔を最後に通信が切れた。

「ボーナスか・・・。」

ため息混じりに呟く、ラクスからの伝言。

結局私って、ラクスに対しては甘いのかな・・・・・・。

そう思いつつ、身支度を整え始めた。

『リル〜ッ!!』

お!この声は!

「マリル!!」

駆け寄ってきたのは、青くてとても丸っこくって可愛らしい、ねずみのような生き物。

私はこの子を、マリルって呼んでるの。

このマリルは、私がこの修行場で道に迷った時に助けてくれた、いわば命の恩人なの。

どうやら別世界の生き物らしいから・・・、ライガーシールズに調査してもらわないといけないわよね・・・。

「ねぇ、マリル?アンタさえ良ければも別の世界を見てみたい?」

『リルッ!!(うんっ!!)』

「そうか・・・、じゃあ行きましょ!!」







こうして、私はマリルと共にライガーシールズに合流することになったんだけど・・・。







まさか到着して早々に、あんなことになるなんざ思いもしなかった……。



--Following SEEDPIA CRISIS Chapter 4…--
--シードピアクライシス第4章につづく…--





☆あとがき兼フリートーク(タツノコースケ&ミリアリア)

 コースケ:DaisukePさんから頂きました、特別番外編、いかがでしたでしょうか?
      大幅に僕のほうで加筆修正を施しましたけど、楽しんでいただけましたでしょうか?
ミリアリア:話的に、空さんがわたしたちのところへと久しぶりに戻るところよね?
      でも、わたしたち今の時点では空さん、見かけてないんだけど……。
 コースケ:まぁ、本編に先駆けた登場と言う意味もあるんだけど、実はぶっちゃけた話、
      空さんが合流したタイミング、かなり微妙な時期だったんだよね…。
ミリアリア:…いつなの?
 コースケ:本編で言うと第73話〜第75話の間。
ミリアリア:わたしたちが基地を離れる直前じゃない!!!
 コースケ:そーなんだよねぇ…。
ミリアリア:あれ?でも待って……。
      確か、わたしたちはそれを最後に最終的にユグドルシオンに避難した……。
      でも、空さんはまもなく第4章で登場予定……ってことは、もしかして!!!
 コースケ:まぁ、そこから先はご想像にお任せします。

ミリアリア:ところで、空さんと一緒に出てきたマリルって子、ひょっとしてポケモンの、あれ?
 コースケ:そう、シードピアにおける空さんの相方として、これから行動を共にするみたい。
      ちなみに、原作を送ってくれたDaisukePさんによると、これがスペック。
ミリアリア:どれどれ…

○性別:メス(トレードマークは尻尾につけたリボン)
○レベル15相当
○性格:ポケモン版デネブと言われるほど、人懐っこく世話焼きでお節介。
○大好物はお魚(特に海の幸系)
○弱点はコーラやサイダーといった炭酸飲料
 (飲むと酔っぱらってキス魔or胸揉み魔になってしまう超特殊な体質の持ち主である。)
○得意技
・みずでっぽう ・バブル光線  ・なみのり   ・たきのぼり
・うずしお   ・まるくなる  ・転がる    ・ロックオン  等々・・・。
超必殺:ハイドロポンプ

ミリアリア:なるほど……ってちょっと待って!
     “ロックオン”って技、マリルは普通、覚えないって話じゃなかったっけ?
 コースケ:まぁ、僕もあんまり詳しいことは判らないから、何とも言えないんだけど…、
      それに関してDaisukePさんから一言。「それについてはノリでお願いします。」だって。
ミリアリア:ノリですか……。

 コースケ:…というわけで、本編に先駆けて登場していただいた空さんの番外エピソード、いかがでしたでしょうか?
ミリアリア:DaisukePさん、小説の投稿、ありがとうございました!







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