「ティアナ!このバカ!無茶やった上に、味方まで撃ってどうすんだ!!」
「……!!」
予想だにもしない、痛恨のミスショットを犯してしまった、今回の“ホテル・アグスタ”での戦闘。
確実に敵を全て撃てるはずだと思ってた、自分にすら自信を持っていた、“クロスファイヤー・シュート”。
でも、ひたすら弾を撃っていたあたしは、自分の弾丸の一つの軌道が、仲間であるスバルに向けていたなんて……。
気が付かなかった……。
スバルが必死に、弾を防御してくれたヴィータ副隊長に言い訳をしていたけど、それも逆効果だったようだ……。
「もういい…あとはアタシがやる…!」
―――二人まとめて、すっこんでろっ!!!
ホテルの裏手に回ったあたしは、自己嫌悪に陥っていた。
今回の失敗は、全部あたしのせいだ…。
やっぱり、あたしは凡人だ………。
そう考えていたあたしは、一人になりたかった。
スバルが何度もあたしに声をかけていたけれど、正直、今は居心地が悪かった……。
「ティア、全然悪くないよ。あたしが、もっとちゃんと―――。」
「行けっつってんでしょ!!!」
「っ!!………ごめんね、ティア……後でね。」
遠ざかっていくスバルの足音を聞いた後、あたしは一人で泣いた…。
涙が、止まらなかった…。
自分が自信を持っていた技が失敗して、こんなに悔やんだのは、多分初めてだ……。
そう考えると…………。
――――あたしは……っ…あたしは………!
戦闘終了後、あたしたちフォワードメンバーは、なのはさんたちの元へと集まった。
「えっと、報告は以上かな……。」
全員が集まった後も、あたしは未だにミスショットのことを引きずっていた。
「…で、ティアナは………。」
なのはさんの視線を感じる。
あぁ…叱責をされるのは確実だろうと思ってた。
「………ちょっと、わたしとお散歩しようか…。」
「…ぁ、……はい。」
きっとここだと、言いたくない事があるのだろうか、なのはさんはあたしと一緒に席を外した。
「…失敗しちゃったみたいだね…。」
ヴィータ副隊長から、事の次第を聞いたのだろう、二人きりになった後のなのはさんの第一声が、その一言だった。
「…すみません…。一発、反れちゃって…。」
今のあたしは、心底落ち込んでいた。
でも、なのはさんは、それを気にしてはいなかったみたいだった。
「わたしは現場にいなかったし、ヴィータ副隊長に叱られて、もう充分反省はしているみたいだから、改めて叱ったりはしないけど……。」
「……。」
「ティアナは時々、少し一生懸命すぎるんだよね…。それでちょっと、ヤンチャしちゃうんだ…。」
微笑を見せて口にしたその言葉、あたしにとってはちょっと複雑だった。
そんなあたしの肩に、なのはさんの手が添えられ、あたしはなのはさんの顔を見た。
その表情は、真剣だった。
「でもね、ティアナは一人で戦ってる訳じゃないんだよ。集団戦での、わたしとティアナのポジションは、前後左右、全部が味方なんだから。」
その言葉に、あたしは少し気付いた。
そうだ、今のあたしは一人きりじゃない。
スバルも、エリオも、キャロもいる。
みんながあたしを支えてくれるときだってあるんだ。
だったらあたしは、そんなみんなを導けるように、もっともっと強くならなきゃ。
「その意味と、今回のミスの理由、ちゃんと考えて、同じ事を二度と繰り返さないって……約束できる…?」
なのはさんの言葉を受け止め、理解したあたしは、表情を引き締め、なのはさんに負けない真剣な眼差しで、あたしは「はい。」と答えた。
それを受け止めて数刻後、なのはさんは表情を再び綻ばせた。
「だったら、わたしからはそれだけ……。約束したからね。」
「………はい。」
あの後、ようやくスバルと向き合えた。
あの子は、あたしのミスを気にしてはいないみたいだった。
その心遣いに、あたしは少し、どこか安心感を持てた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
隊舎に戻り解散になった後、あたしは一人静かに自主練習をしようと準備していた。
ふと、あたしは設けられた自分のデスクの引き出しにある、一枚の写真と、傍らにある、幼い頃に自分のおもちゃにしていた小さな銃に目を向けた。
そこに写っているのは、幼い頃のあたしと……今は亡き、あたしの大好きな兄…ティーダ・ランスター……。
当時、時空管理局・首都航空隊の一等空尉であり、執務官志望の魔導師でもあった兄さんは、早くして両親を亡くし、育ててくれたあたしにとって、愛する存在でもあり、尊敬する人物でもあった。
しかし、逃走中の違法魔導師を追跡する最中で、犯人を追い詰めるも、命を落としてしまった……。
その際に、心無い一部の彼の上司たちが口にしたコメント。
『犯人を追い詰めながらも取り逃がしてしまうとは……首都航空隊の魔導師として、あるまじき失態だ。たとえ死んででも、あの犯人を取り押さえるべきだ!』
その上、役立たずだと、侮辱されてしまった……。
兄さんが死んでしまったと聞かされたその時は、私はまだ10歳。
自分の非力さに、どれだけ嘆いたことか………。
だからあたしは、証明するんだ。
あたしの兄さんが教えてくれた魔法は、決して役立たずなんかじゃないって…!
どんな場所でも、どんな任務でも、必ずこなせるはずだって…!
そしてあたしは、兄さんが夢見てた“執務官になる”と言う夢を、代わりにかなえてあげるんだ…!
それが、あたしが兄さんに出来る、せめてもの恩返しだから………!
気付けば日も落ち、既に夜。
それでもあたしは練習を続けた。
たとえどんなに疲れても………。
―――パンパンッ!
不意に聞こえた、手を叩く音。
視線を逸らすと――――――。
「もう4時間も続けてるぜ。いい加減倒れるぞ。」
いつの間にか、ヴァイス陸曹があたしのところに来ていた。
「……見てたんですか?」
「…ヘリの整備中に、スコープでチラチラとな。」
精密射撃の練習は無理矢理詰め込んで、変なクセをつけるのも良くないと言うが、あたしにとってはどうでもよかった。
それでも詰め込まなきゃ意味がない。
あたしは凡人だから……。
そう思いつつ、あたしは練習を続けた。
「…俺からすりゃ、お前は充分に優秀なんだがなぁ……うらやましいくれぇだ。」
どれだけ練習を続けていただろうか、あたしは12時前になったところで切り上げて部屋に戻り、シャワーもそこそこに、ベッドに入った。
明日は4時起きで自主練をやろう。
そう言い聞かせて、あたしは眠りに付いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
夢の中での世界。
そこで、一人の少女が訓練に励んでいた。
純白のボディに紅いラインが入った、二丁拳銃型デバイスを手に、射撃訓練に励む少女。
今度こそ、精密射撃を成功させて見せる。
その一心だった。
どのくらいやっただろうか、少女は疲労のままその場に座り込んだ。
息も絶え絶えの彼女の目の前に、一枚の白いタオルが差し出された。
「…?」
視線を上に向けると、見知らぬ少年が立っていた。
自分とさほど年齢は変わらないであろう、真紅の両目と黒髪の少年。
服装は、どこかの組織の制服なのか、彼の目と同じような紅い制服だった。
「お疲れさん。」
「…あ、ありがと…。」
タオルを少女が受け取るやいなや、少年は彼女の傍らに座り込んだ。
「あんたって、結構頑張りやなんだな。」
「まぁね。もっと強くなりたいし…。」
「…大好きな“兄さん”の分まで…?」
―――ギクッ!
唐突に口にされ、しかも自分の心すら見透かされたかのような少年の台詞に、ティアナは心臓が飛び出るくらい驚いた。
それと同時に、彼女は少年を見つめた。
よくみると、少年は若干しかめっ面を作っていた。
「……あんた、誰…?」
「俺は、シン・アスカ。あんたと同じ、“肉親を失った者”さ。」
立ち上がり際、「あんたの過去のことは、粗方聞いているぜ。」と口にした。
見ず知らずの存在が、どうして自分の過去のことを知っていると言っているのか、ティアナには判らなかった。
だが、それに関わらず、シンはさらに言葉を続けた。
「正直言って、現状のあんたの行動や心境、“呆れた”としか言いようがないぜ。」
「っ…!何ですって!?」
喧嘩を売られたような口調のシンに、ティアナは怒りに震えた。
シンはそんな彼女の現状を知ってか知らずか、さらに、挑発するかのような言葉をぶつけた。
「家族を失った悲しみは、俺にも経験があるから判らなくもない。だが、それを力に変えて、戦いに挑もうって言う、いわゆる“弔い合戦”は、無意味に近いんじゃねぇか…?」
シンの言葉を聞き、ティアナはついにキレて立ち上がった。
「っ…!ふざけないでよ!じゃあ、あんたは大切な人の思いすらも踏みにじろうって言うの!?」
「…あんたの場合は昔の俺と同じで、自分の過去と言う存在にとらわれ続けているままなんだよ。そんなことにすら、気付いていねぇってのか、あんたは。」
冷静に言葉を紡いでいるシンの言葉は、今のティアナにとっては逆上させるものでしかなかった。
「あたしはただ!もう、誰も死なせたくないだけなのよ!!だから、そのためにあたしは……強くなりたいだけなのよ!!!」
自らの信念をも曲げない、“強迫観念”にも似たその言葉に、シンは憂いを感じた。
彼女の強い意志は、今のシンでは止められそうにないようだ。
全てを察したシンは、どこからか4つのボタンがあるバックル付きのベルトと、少し厚手の黒いパスポートを取り出した。
「あんたがそこまで言うんだったら、俺と戦って、あんたの言うその強さを証明して見せろ。」
「望むところよ!!」
ティアナはクロスミラージュを起動させ、構える。
すでに服装はバリアジャケットだ。
シンはベルトを装着し、4つのボタンのうちの紫のボタンを押した。
軽快な音楽が流れるとシンは右手に持つパスを振り上げポーズをとり、高らかに発した。
「変身!」
パスがバックルを翳し、バックルが機械音声を発した。
『Barria-Jacket Gun-form.』
バックルの中に圧縮封印された、黒に銀色の装飾が施されたジャケットスーツがシンの体に纏われ、その上に、前面にはV字に開いた紫色の装甲が、背面には金色と黒のアーマーが装着された。
さらに、バリアジャケット装着と同時にベルトに取り付けられた、4つのパーツのようなアイテム。
シンはそれを、手際がいいように連結させると、ティアナのクロスミラージュよりやや大きめのガンが完成された。
「もし、あまりにも戦い方がひどいようならば、手加減なしで倒していいよね?……答えは聞かないけど。」
「こっちのほうこそ、問答無用よ!!!」
それを合図に、夢の世界での銃撃戦が幕を上げた。
同じ頃、別の夢の世界。
空が青く澄み渡り、緑の草原を心地いい風が駆け巡る、優しい夢の世界。
そこには、機動六課のフォワードたちの未来を誰よりも夢見る、白き戦技教導官がいた。
草原に座り、涼しい風に当たり、ゆっくりと夢の中の時を過ごしていると、不意に横から声が。
「いい天気だね。」
発せられた声の方向に振り向くと、そこにいた少女は、今の時代、しかも、自分たちが今住んでいるミッドチルダにとっては“変わり者”と言ったほうがいいのかも知れない格好をしていた。
ブラウンカラーに赤のアクセントがついた帽子に、カウボーイスタイルの洋服、そして背中には日本刀。
おそらく、自分とほぼ同年代であろう、隣に座っている少女の格好は、明らかに自分たちの故郷・地球を彷彿とさせていた。
「…あなたは……?」
「ジェミニ・サンライズ。君と同じ世界の出身だよ。もっとも、今から90年以上昔の人間だけどね…。」
90年前の地球の住人。
言わば、自分のご先祖様。
そんな人物が自分の目の前に現れるなんて…!
「君の今までの戦いと活躍は、大体聞かせてもらっているよ。」
「あ、ありがとうございます。」
なかなかほめられる機会の少ないなのはにとって、ジェミニの言葉はとても嬉しかった。
その証拠に、褒められて頬を少しピンク色に染めていた。
「ところで…。」
ふと、急に真剣な口調になったジェミニに、なのはは表情を戻した。
「君の教え子の、“ティアナ・ランスター”って女の子…、ちょっと、危なっかしい気がするんだけど……、何かあったの?」
自分の戦友でもあり信頼できる仲間でもある、ヴィータと同じような言葉を発したジェミニに、なのはは少々表情を暗くした。
彼女は、ティアナのこれまでの出来事と過去を話した。
一字一句、言葉を選んで口にした、ティアナの過去。
その言葉を受け取り、しばし考えていたジェミニは、ゆっくりと口を開いた。
「なのはちゃん。」
名を呼ばれたなのはは、目線を向けた。
「あくまでボクの推測だけど、多分ティアナは今回の失敗をものすごく悔やんでいて、君たちの知らないところで自主練習をやっているかも知れないんだ。」
ジェミニは、普段の教導を受けている裏で自主練を行い、さらなる力をつけようとしていると言う。
「でも、それは今のフォワードたちだったら、ありがちなことじゃない?自分から訓練をして努力するって言うのは…。」
「…うん。確かに、自主練をするって言うことはボクも悪くはないことだと思うし、力をつけたいという一心も否定は出来ないよ。」
そこまで言うとジェミニは、「だけどね。」と区切って、不意に立ち上がった。
「自分の体の負担を鑑みない“過剰な自主練習”を、あのティアナって言う女の子がやっているとしたら……。」
真剣な眼差しと、警告を告げる様な低い声。
『強くなりたいって思うのは、若い連中だったら誰でも思うことだし、無茶をしてしまうことも判らなくもないけど……ティアナの場合は時々、度を超えている。』
ヴィータの言葉を思い出し、今回のジェミニの言葉を受け止めたなのはの脳裏に、いやな予感が過り、一つの結論が出てきた。
“ティアナは無茶をしている。”
まさか、ジェミニはそう言いたいのか?
力をつけようとして無茶を続けているとでも言うのだろうか…!?
真意を確かめようとしたが、ジェミニは察したのか、“何も言わないで”というジェスチャーを見せた。
「君の推測、間違っていないかどうかは、現実世界で、その眼で確かめて。」
そう言うとジェミニは踵を返し、立ち去ろうとしていた。
すると、不意に歩みを止め、もう一つの忠告を発した。
「もし、君の教え子たちが無茶なことをやろうとしていたら――――――。」
一区切りおき、息を吐き出した後、はっきりと言い放った。
「全力全開、手加減なしで……撃ち落として!」
お仕置きと言う意味も込めて、ね。
そう付け加え、ジェミニはその場から立ち去った。
取り残されたなのはは、言い知れぬ不安を抱えた。
どうか、自分の予測が間違いであってほしい。
そう願う以外、方法はなかった……。
戦闘開始から10分は経っただろうか、ティアナとシンの銃撃戦は激しさを増していた。
足元には、使いきったティアナのデバイスのカートリッジバレルがそこらじゅうに転がっていた。
「成る程な、案外あんた、頑丈に出来てるな。」
10分間動きまくっているにも関わらず、シンの体力は衰えを知らなかった。
自らの身のこなしと、ダンスを交えたテクニックでティアナの銃撃を幾度なく交わしつつ、ガンで即座に応戦、反撃。
その繰り返しを続けてきたお陰か、自らの被害を比較的最小限に抑えている。
対するティアナも、日頃の訓練を活かし、その場を動かず敵からの弾を迎撃する行動を繰り返していた。
「…とはいえ、そろそろお互いに体力も限界に近づいているみたいだし、そろそろフィナーレ行くぞ!」
「ならば、あたしの必殺技、受けてみなさい!」
ティアナはカートリッジを一気に4発連続でロードし、オレンジ色のミッド式魔法陣を展開、周辺にオレンジ色のスフィアを無数に出現させた。
膨大な魔力が全身を駆け巡る。
ソレを証拠に、ティアナの両腕とクロスミラージュからはオレンジ色の電流が迸る。
「うわ、これその場しのぎは難しいかも……!」
さすがのシンも、少々怖気づいた。
ティアナは勝利を確信し、クロスミラージュを構えた。
「行くわよ……クロスファイア――――。」
シュ――――――――ト!!!!
クロスミラージュが振り下ろされたのを合図に、オレンジのスフィアが一斉に放たれ、シン目掛けて突っ込んできた。
「であああああぁぁぁぁ!!!」
間髪いれずにティアナは、追い討ちをかけるかのようにさらに魔力弾を乱射した。
10数秒が経過しただろうか、ティアナは乱射をやめた。
もはや反撃する暇もないはず……。
「こいつは、驚いたな。」
―――ギクッ!
背後から聞こえた少年の声。
まさか――――――!!!
振り向くと、そこには関心の眼を向けるシンの姿があった。
「ここまで魔力を解放して俺を追い詰めるとは思わなかったぜ。」
ティアナの眼は驚愕そのものだった。
あんな乱射攻撃をほとんど無傷で避けきったって言うの!?
「だが、どうやらあんたの魔力は今の攻撃で全部尽きたみてぇだし……この勝負、俺の勝ちだ!」
シンは自信満々に言い放ち、取り出したパスをバックルに翳した。
『Full-Charge.』
フルチャージが完了し、パスをどこかに放り投げると、バックルから紫色のエネルギーがシンの持つガンに注ぎ込まれ、さらにアーマーの両肩部分からも電流を帯びた魔力エネルギーが充填されていった。
背筋が凍るような感覚に襲われたティアナは、後ずさりをしたが、もはや遅かった。
「…最後、撃つよ。いい?」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」
「答えは聞いてないっ!!」
――――――カチッ!
トリガーが引かれ、3つの発射口から電撃の魔力エネルギーが放出された。
魔力もほとんど残されていないティアナに成す術もなく、悲鳴を上げる暇もなかった。
巻き起こる爆発と衝撃波。
周囲に砂煙が巻き起こった。
しかし、シンの攻撃はターゲットであるはずのティアナから反れていた。
その証拠に、ティアナの真横には巨大なクレーター型の穴が出来ていた。
魔力も体力も限界に来ていたティアナは、疲労困憊の状態になっていた。
「あ、あんた……わざと外したね…!?どうしてよ…!?」
息を切らしつつも、怒りの眼を向け、言葉を紡ぐティアナ。
「こんなところであんたを殺しちゃ、あんたの兄貴には申し訳ねぇもんな。」
「…情けをかけられる筋合いなんて…今のあたしには一欠けらもないわ!」
弱くなることを拒んでいるような強気の口調。
“強迫観念”は、しばらくは消えそうにないようだ。
そんな不安を残しつつ、シンはベルトを取り外し、バリアジャケットを解除した。
「ま、あんたがどう思っているかわからねぇし、今の俺にはあんたにどうこう言う筋合いはないけどよ…。」
踵を返しながら、一区切りおき、さらにシンは言葉を続けた。
「一つだけ忠告しておくぜ。」
その忠告は、ティアナにとっては意味深なものだった。
“力”は、ただ“力”。
それを理解しねぇ限り、あんたは同じ過ちを繰り返す。
その“力”だけでも変えるべきものに気付けねぇし、かといって“思い”が強くても何も変えることはできない。
それに、“力”と言う存在はあるいは“諸刃の剣”。
力を手にした瞬間、いずれは誰かを泣かせ、誰かの怒りを買ってしまうことになる。
「……今の言葉の意味を理解できずに、さらに無茶な行動を起こしたら……。」
―――“誰かさん”からお仕置きの一発を食らうだろうと、覚悟したほうがいいぜ……!
意味深な言葉を残し、シンはその場から立ち去った。
振り返ることもなく、静かに……。
ティアナは、彼のその後姿を、見守るしか出来なかった…………。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――――ピピピピピピピ………。
「ティア、起きて、4時だよ。」
目覚ましの音と、あたしを起こすスバルの声。
寝ぼけ眼で、どうにか目覚ましを止めた。
「あ……ごめん……起きた…?」
「練習、行けそう…?」
「……行く。」
「そう。じゃあ、はい、トレーニング服。」
「ありがと…。」
あたしはスバルから服を受け取り、着替えようとした。
――――って、ちょっと待って!
スバルもトレーニング服に着替えてる!?
「なんで、あんたまで!?」
「一人より二人のほうが色々と出来るでしょ?あたしも付き合う。」
あたしと一緒に早朝の自主練習をやるって!?
ただでさえ、スバルの戦闘スタイルはあたしのそれよりハードなものなのに……。
あたしはそれを考慮して、スバルにもう少し寝るように説得したけど、聞く耳を持っていなかった。
「あたしとティアは、コンビなんだから。一緒にガンバルの☆」
まるで、自分と一心同体みたいな言葉と、イタズラっぽくウインクする笑顔。
どうやら、何が何でもあたしと付き合うみたいだ。
「……か、勝手にすれば?」
「へへへっ☆」
その日から、あたしとスバル、スターズフォワードだけの秘密の特訓が始まった。
早朝と深夜、二つの秘密特訓が加わり、ハードなスケジュールとなったけど、二人でなら何でも出来る。
そんな確信が生まれていた。
あたしが考えているのは、短期間での現状戦力増強。
うまくいけば、スバルとのコンビネーションも広がるし、エリオとキャロのフォローも出来る。
あたしたちはそれを目指した。
まずは、技数を確実に増やす。
幻術魔法では切り札にならないし、行き詰ることもありえなくない。
兄さんが教えてくれた、あたしのメイン戦術のシャープシュートだけじゃダメなんだ。
行動の選択肢を、もっと増やさなくちゃ……!
あたしはその一心を持って、スバルとの秘密の特訓を何日も繰り返し、ついに、新しいコンビネーション戦法・“クロスシフトC”が完成した。
模擬戦前夜、あたしはクロスミラージュの汚れを取っていた。
この数日間、早朝と深夜の秘密特訓を続けてきたせいで、少し汚れていた。
「ごめんね、クロスミラージュ。あなたを随分酷使しちゃって…。」
『No problem.』
「……明日の模擬戦が終わったら、シャーリーさんにフルメンテしてもらおうか。」
『Thank you.』
明日の模擬戦、なのはさんに勝てる確率はいいとこ6割くらい。
それに、あたしたちの戦いは下手をすれば、なのはさんに逆らうことになってしまうかもしれない。
でも、スバルは気にしなかった。
「きっと分かってくれるって。なのはさん…やさしいもん…。」
…そうだ。あたしたちのコンビネーションプレイをうまく使って結果を残せば、きっと理解してくれるはずだ。
あたしたちは、明日の模擬戦の成功を確信しつつ、ベッドに入った。
しかし、その甘すぎる考えのツケが、思わぬ形で返ってくることに、あたしもスバルも、知るはずもなかった……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
朝日が、最も高いところにまで昇りきろうかという時間、機動6課のフォワードたちの模擬戦が始まった。
その様子が展開されている訓練スペースの上空を、一人の少年が静かに見守っていた。
真紅の瞳と黒髪を持ち、紅の制服を身に纏うその少年は、この世に生きている人間ではなかった。
それ故に、他の人間たちに気付かれることは一切ない。
例外を除けば……。
「シンくん、ここにいたんだ。」
声と共に隣に来たのは、カウボーイスタイルの少女。
「…ジェミニか。」
「スターズフォワード、模擬戦に入ったみたいだね。」
「…あぁ。」
目の前には、スターズのリーダーである高町なのはを中心に、スバルのウイングロードが縦横無尽に展開されている。
そのウイングロードを、スバルが駆け巡り、地上にはティアナが構えている。
「シンくん…あの“ティアナ・ランスター”って女の子、どう思う。」
「……どうもこうもねぇよ。」
同情的な悲哀が込められているようなシンの口調は、とても重かった。
「この数日間、あのスターズの連中の秘密の特訓、見てきたけれど、コンビネーションはもとより、あいつらは単純に“敵を倒す”ことだけを前提に考えているようにしか見えなかった……。」
シンには、今のスターズ、特にティアナの心境に関しては、手に取るように分かっていた。
自分もかつては、単に“敵を倒す”ことだけを考えて行動していた。
そのときの自分はまさに、地球の言葉で言う“阿修羅”。
戦いを好み、ただ単に破壊すること、あるいは敵を倒すことを喜びとする、荒ぶる存在。
そうとっても不思議じゃないほど、自分は荒れ狂っていたのだ。
今のティアナは言わば、昔の自分を見ているような存在。
そう思えてならなかった。
「……とんでもない無茶をやっている…、そういうわけだね。」
「あぁ。」
二人は真下で展開されている模擬戦を静かに見つめた。
「恐れていた最悪の事態が、起こりそうな気がしてきた……。」
「…さて…なのは、どうでる…?」
『特訓成果、“クロスシフトC”!行くわよスバル!』
『おうっ!!』
念話で合図を交わし、最新クロスシフトを展開するスバルとティアナ。
カートリッジをロードし、スバルはウイングロードを駆け、なのはに特攻を仕掛ける。
リボルバーナックルのパワーを引き出し、なのはに攻撃。
なのははラウンドシールドを展開し防御。
両者の火花が飛び散る中、なのはは視線を少しずらした。
その先には、ビルの上から狙撃しようとするティアナ。
先ほどからずっと自分を狙っているその姿。
どう反撃しようかと模索していた、そのときだった。
――――――フッ!
ビルの上に居たはずのティアナが消えた。
「あ、あっちのティアさんは幻影?!」
「本物は!?」
別のビルの上で見学していたライトニングとヴィータも驚きを隠せなかった。
エリオとキャロがティアナの姿を探していた、そのとき。
「あそこ!」
後から合流したフェイトが指差した先は――――――。
「う、後ろのウイングロード!?」
そう、本物のティアナはなのはの後ろに伸びている、別方向のウイングロードの上だった。
全速力で駆け抜けながら、クロスミラージュのカートリッジを二発ロードし、魔力刃を生成。
―――――バリアを切り裂いて、フィールドを突き抜ける!一撃必殺!!!
そり立つウイングロードから飛び降りて、なのはに特攻を仕掛けた。
「でええええぇぇぇぇぇ!!!」
『“過剰な自主練習”を、あのティアナがやっているとしたら……。』
“ティアナが無茶をしている。”
夢の世界の中でなのはが出会ったカウガール・ジェミニの忠告は、最悪の形で的中してしまった。
ちゃんと訓練メニューも組んで、みんなのことをちゃんと見ていたはずだったのに……。
自分の監督不行き届きによる教導不足だ。
ティアナは、自分の言った言葉の意味を理解しているわけではなかった。
自責による怒りと、教え子たちの無茶な行動による悲哀。
なのはの心の奥底から、それら、負の感情が同時に湧き上がってきた。
『もし、君の教え子たちが無茶なことをやろうとしていたら――――――。』
なのはは、決断を下した。
―――――――――レイジングハート…モード・リリース…。
―――――――――All right.
ドォ―――――――ン!!!
衝撃波と砂煙が周辺に広がった。
「も、モードリリースだって!?」
予想を覆すなのはの行動に、ジェミニは驚き、声を上げた。
シンも眼を見開かざるを得なかった。
だが、一つ判ったことがある。
「………スバルとティアナ、なのはの怒りを買っちまったみたいだな……………。」
――――こうなったらもう、少しの間は止められねぇな…。
「…おかしいなぁ……二人とも…どうしちゃったの…?」
驚愕するスバルと、自分たちの現状に数刻遅れで気付いたティアナは、極限まで眼を見開いた。
レイジングハートをリリースしたなのはは、スバルのリボルバーナックルとティアナのクロスミラージュの魔力刃を、素手で受け止めていた。
発する声は、怒りと悲しみが入り混じった、空虚感漂うものになっていた。
「…頑張ってるのは判るけど…模擬戦は…ケンカじゃないんだよ…?」
さすがのスバルも、なのはの発する、現状とは違う声色に、瞳が揺れた。
「…練習のときだけ言うこと聞いてるフリで、本番でこんな危険なことするなら……。」
―――練習の意味、ないじゃない……。
よく見ると、レイジングハートをリリースして、無事ですむ訳がなく、魔力刃を受け止めた右手から、流血し始めた。
ティアナも完全に、自分のやったことに気付き、体が震えだした。
「……ちゃんとさ、練習どおりやろう…?」
なのはの眼は、生気すらも感じさせないと思わせるような、非常に複雑な顔をしていた。
恐怖感を覚えたスバルは、言葉すら出てこない………。
その眼の色と表情、その声色のまま、なのはは視線をティアナに向けた。
「ねぇ…?わたしの言ってること……わたしの訓練……そんなに間違ってる……?」
『“力”は、ただ“力”。それを手にした瞬間、いずれは誰かを泣かせ、誰かの怒りを買ってしまうことになる。』
ティアナの脳裏に、かつて夢の中でであった少年・シンの言葉がフラッシュバックした。
まさか……シンが言っていたのはこういうことだとでも言うのだろうか……!!?
『今の言葉の意味を理解できずに、さらに無茶な行動を起こしたら―――――。』
信じたくない……!
絶対信じない……!!
『Blade erase.』
強く眼を閉じ、強く願ったティアナは、魔力刃を解除し、さらに高いウイングロードに着地。
そのまま立て続けにカートリッジを2発ロードした。
「あたしは!もう誰も、傷つけたくないから!!失くしたくないからっ!!」
感情が昂り、終始混乱状態、泣き顔のまま砲撃体制に入った。
「だから………!!!」
―――強くなりたいんですっ!!!!
「ティア………!」
士官学校時代からのパートナーであるスバルも、ここまで感情の昂ったティアナを見たことがなかったのか、眼を見開かざるを得なかった。
本当に彼女が、連れ添ってきた自分のパートナーなのかと思うほど………。
―――――――――全力全開、手加減なしで……撃ち落として!
「……少し、頭冷やそうか…。」
ジェミニの忠告を親身に受け止めたなのはは、右手の人差し指を突き出し、ミッド式魔法陣展開、射撃体勢に入った。
「……!!!」
魔法陣の展開を察知したスバルは、背筋が凍るような嫌な予感に狩られた。
なのはの腕にリング状の魔法陣、周囲にピンク色の魔力スフィアが形成され、準備が完了した。
――――――まさか、なのはさん!!??
「クロスファイア……。」
「うああああぁぁぁぁぁ!!ファントム・ブレイ―――。」
「シュート。」
ティアナのものよりも威力がさらに大きいであろう、クロスファイア・シュートが放たれた。
「!!!」
―――“誰かさん”からお仕置きの一発を食らうだろうと、覚悟したほうがいいぜ……!
ズド――――――ン!!!
「ティアッ!!」
――――ビシッ!
「………ッ!バインド!?」
いつの間にか、スバルの体はなのはのフープバインドで拘束されていた。
さらになのはは、立て続けにクロスファイアのバリエーションシュートを放とうとしていた。
「じっとして。よく見てなさい……。」
ターゲットのティアは心神喪失状態になり、眼も虚ろになっていた。
その状態でさらにもう一発撃ったら………!!
「なのはさんっ!!!」
スバルの叫びも虚しく、スフィアが渦を巻き魔法攻撃力が一点に集中され、集束射撃が放たれた。
無論、ティアナにはそれを避ける気力すら、残されていなかった………。
―――ティアァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!
悲痛なスバルの涙の叫びが、訓練場一帯に響き渡った。
ライトニング・フォワードも、フェイトも、痛々しい気持ちで、その様子を終始見届けていた。
ただ、ヴィータはこの様子をただ一人冷静に受け止めていた。
撃墜され落下するティアナを、なのはは備蓄魔力を使って落下の衝撃を和らいだ。
唯一動くマッハキャリバーを動かし、ティアナの元へとよったスバル。
だが、彼女は立て続けのニ連続射撃をまともに受けてしまった影響か、パートナーの声にすら気付かないほど気絶していた。
スバルは、目の前の現実を信じられなかった……。
「模擬戦はここまで…。今日は二人とも、“撃墜”されて終了……。」
静かに告げられた終了宣言。
それは、スターズのやり方の全面否定にも繋がっていた。
自分たちのやり方の何が間違っていたのか…。
それ以前に、どうしてこんなことになってしまったのか……!?
なのはを睨み付けたスバルの怒りの表情を、なのははどう受け止めたのだろうか……。
「……だからあの時忠告したってのに…。」
ため息混じりに、シンは現状を見据えながら愚痴った。
「どうやらこの荒れ模様、もうしばらく続きそうだ……。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
意識を覚醒させたあたしの目にまず入ったのは、見慣れない天井。
重い体を起こし、周囲を見渡すやいなや、ドアが開いた。
入ってきたのは――――。
「あら、ティアナ、起きた?」
「…シャマル先生…えっと……?」
「ここは医務室ね。昼間の模擬戦で撃墜されちゃったの、覚えてる?」
――――そうだ。
あのときあたしは、なのはさんに「頭冷やそうか」と言われるやいなや、強烈な一撃をまともに受けてしまったんだ。
「……はい。」
なのはさんの訓練用魔法弾は、受けても体にはダメージはないそうだけど……。
不意に視線を反らすと、時計の針はとんでもない時刻を指していた。
「く、9時過ぎ!?……え、夜!?」
「凄く熟睡してたわよ、死んでるんじゃないかって思うくらい。」
そんなに私は気絶していたの………!?
「最近、よく眠っていなかったでしょ?溜まってた疲れが、一気にきたのよ。」
同じ頃、訓練場付近でデータの調整をしているなのは。
しかし、やっぱり気になるのはスバルとティアナのこと。
自分の分隊なのに、どうしてこんな重大なことに気付けなかったのだろうか……。
『……思いつめてるみたいだね。』
「…!」
ふり向くと、そこにはあのカウガールの少女が。
「ジェミニ、さん……。」
悲しみとも取れる表情で、なのはの傍まで歩み寄った。
『空の上から、模擬戦、見てたよ。』
「……。」
『苦渋の決断…だったようだね…。』
「…うん…。」
なのはは視線を落とし、言葉を続けた。
「スバルとティアナに、辛い思いを、させちゃったなって…。」
わたしはただ、あの子達に元気で居てほしかっただけだったのに………。
時空管理局のエース・オブ・エースであり、若手の戦技教導官と言えど、彼女もまだ19歳。
教える立場として、至らぬ所だって沢山ある。
ましてや、管理局の遺失物管理部は、随時出動できるようにしなければならないのだから。
『なのはちゃん。』
触れられるはずのない、ジェミニの手が、なのはの肩に添えられた。
『あのティアナって女の子は、自分のことを“凡人”だって思い込んでしまっているから、殻に閉じこもっているかもしれないんだ。』
自分だけが特別、才能がない存在、自分ひとりが不幸な存在なんだ。
ネガティブな考えを持っている人は、多からず少なからず、そう思い込んでしまっていることもある。
『だけど、だからこそ、そう言うことを抱え込んでいる人間は、自分から心を開いて判ってあげるべきなんじゃないかと、ボクは思うな。』
だって、そうでしょ?
―――辛いことを抱え込んで、誰かにそれを明かさない人間なんて、自分で傷跡を増やしているだけみたいなものだからね。
ジェミニの言葉に、なのはもハッとした。
自分もかつては、辛いことを抱え込んでそれを表に出さなかったこともあった。
でも、フェイトやはやてと言う幼馴染に出会えたからこそ、その気持ちを吐き出す事だって出来たのだから…。
それに、今日の模擬戦のことで言いたい事だって、一つある。
強くて弱い、不器用な自分だけど、言葉にすれば伝わるかもしれない。
「…わたし…ティアナと話してみる…。それで、解ってくれるかどうかはわからないけれど……。」
ちゃんと向き合って話したい。
決心を固めたなのはの言葉を受け取ったジェミニは、微笑を浮かべた。
『大丈夫。ちゃんと思いを伝えれば、あの子も解ってくれるさ。頑張ってね☆』
ウインクを見せた後、ジェミニはその場からゆっくりと消えた。
不思議なエールをもらったなのはの心は、とても温かくなった。
医務室を後にし自室に戻った後、数分とたたずにALARTが発せられ、あたしたちはヘリポートに集合した。
今回の任務は、東部海上に現れたガジェットの殲滅。
空戦になるため、出動はなのはさん、フェイトさん、ヴィータ副隊長の3人。
陸上担当のあたしたちフォワード部隊は、シグナム副隊長と共に出動待機となった。
ところが、予想もしない判断が、なのはさんの口から発せられた。
「…あぁ…ティアナは……今回は待機から外れとこうか…。」
エリオとキャロ、スバルはもちろん、あたしですら思ってもいなかった判断。
しかし、ヴィータ副隊長はそれに便乗していた。
「そのほうがいい。」
「今夜は体調も魔力も、優れてないし……。」
――――言うこと聞かないやつは……使えないって事ですか……?
「……自分で言ってて解らない?当たり前のことだよ。」
その言葉に、あたしはさらに怒りの感情をぶつけた。
「現場での指示や命令は聞いてますし、教導だってちゃんとやってます!」
今までだって、ずっと同じようにそうやってきたのに………!
「でも、それ以外の場所での努力まで、教えられた通りじゃないとダメなんですか…!?」
あたしは、なのはさんたちみたいに優秀でもなければ、スバルやエリオみたいな才能も、キャロのようなレアスキルもない、射撃と幻術しか出来ないただの凡人……!
「だったら、少しくらい無茶をしたって、死ぬ気でやらなきゃ、強くなんてなれないじゃないですか―――!?」
言い切るか言い切らないかと言うところで、横から胸倉を掴まれた。
その視線の先には、シグナム副隊長の拳が――――――!!!
―――――バキッ!!!
思い切り頬を殴られたあたしの体は、後方に跳ばされた。
こんなに痛いのは、初めてだった……。
「駄々を捏ねるだけのバカは、なまじ付き合ってやるから付け上がる。」
あたしの反論は、いかにも子供じみているとでも言うのだろうか…?
「ティアナ!思いつめているみたいだけど、戻ってきたらゆっくり話そう!」
「なのは、付き合うなってのに!」
なのはさんはそのままヴィータ副隊長に腕を引っ張られ、ヘリに乗っていった。
ヘリが飛び立った後も、シグナム副隊長の機嫌は悪かった。
「目障りだ。いつまでも甘ったれてないで、さっさと部屋にもどれ。」
「あの、シグナム副隊長、その辺で……。」
「スバルさん、とりあえずロビーに……。」
エリオとキャロがフォローに回ろうとしていたが、不意にスバルが立ち上がり、シグナム副隊長に反論し始めた。
「……命令違反は絶対ダメだし、さっきのティアの物言いとか、それを止められなかったあたしは…確かに悪いと思います。」
「…!」
「だけど…っ…、自分なりに強くなろうとすることとか、きつい状況でも何とか頑張ろうとするのとかって、そんなにいけないことなんでしょうか!?」
――――自分なりの努力とか……そう言うことも、やってはいけないのでしょうか!?
まるで、あたしの代弁をしてくれるようなスバルの言葉に、あたしは何もいえなかった。
でも、確かにスバルの言うとおりだ。
今まであたしだって、そんなことを繰り返してきたのだから、それを認めてもいいんじゃないかと思ってた。
「……自主練習はいいことだし、強くなろうと努力も、いいことだよ…。」
あたしたちの背後から聞こえてきた、現状でこの場に居るはずのない人物の声。
なぜ、あの人が…?
振り返るとそこに、その人は居た。
とても悲しそうな微笑みで。
「シャーリーさん……。」
「…持ち場はどうした…?」
「メインオペレートは、リイン曹長がやってくれてますから。…なんかこう、みんな不器用で、見てられなくて……。」
現状のあたしたちを見かねて、管制室を抜け出したと言うのだろうか……。
それ以前に、あたしたちが不器用って……?
「みんな、ちょっとロビーに集まって。あたしが説明してあげる。」
―――なのはさんのことと、教導の意味を………。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
シャーリーの提案により、ロビーに集まったフォワードたち。
その場には、シグナムとシャマルも合流していた。
コンソールを動かし、ある一つのデータを取り出すと、シャーリーは語り始めた。
……昔ね、一人の女の子が居たの。
その子は魔法の存在なんて知らなかったし、戦いなんてするような子じゃなかった…。
友達と一緒に学校に通って、家族と一緒に過ごして……。
そんな一生を送るはずだった……。
だけど、事件は起こったの。
魔法学校に通っていたわけでもなければ、特別なスキルを持っていたわけでもない。
偶然の出会いで魔法を手にして、たまたま魔力が普通より大きかっただけの、たった9歳の女の子が……魔法に出会ってからわずか数ヶ月で、命がけの実戦を繰り返したの…。
過去の映像の中で、幼い頃のなのはとフェイトが対立している様子が映し出され、ライトニングフォワードは驚きを隠せなかった。
「これ…!」
「フェイトさん……!?」
シグナムとシャマルは、当時はこの世界に居なかったが故、詳細は聞いては居なかったのだが、大方の部分は耳にしていた。
「フェイトちゃんは当時、家族関係が複雑でね、ある“ロストロギア”を巡って、敵同士だったんだって…。」
「この事件は、中心人物となったテスタロッサの母の名を取って、“P・T(プレシア・テスタロッサ)事件”、あるいは“ジュエルシード事件”とも呼ばれている。」
映像は、なのはとフェイトの真剣勝負の中で、なのはが編み出した最強の必殺砲撃魔法“スターライト・ブレイカー”が発射される瞬間が映されていた。
「集束砲!?こんな大きな……!!」
「9歳の、女の子が……!?」
「ただでさえ、大威力砲撃は体にひどい負担がかかるのに……!」
キャロが思わず口にした、“体にかかるひどい負担”。
その言葉どおり、映像はそれに繋がるであろう驚愕の映像が次々と映し出されていった。
今度は、その半年後に発生した、はやてやシグナムたち・ヴォルケンリッターが深く関わった、“闇の書事件”の記録。
そのとき、ヴォルケンリッターたちとのファーストコンタクトで、なのはは撃墜未遂と敗北を喫した。
「それに打ち勝つために選んだのは……当時はまだ安全性が危うかった、“カートリッジシステム”。」
なのはの究極の切り札――――体への負担を無視して、限界値を引き出すフルドライブ・エクセリオンモードの使用の瞬間が映された。
そして、“闇の書の管制人格”に対して行った、エクセリオンバスター・ゼロ距離砲撃。
フォワードたちの知らないところで起こった驚愕の事実に、彼らは声を上げるしかなかった。
「誰かを守るため、誰かを救うため、自分の思いを貫くための無茶を、なのはは続けてきた。」
――――だが、それを繰り返して、体の負担がかからないはずがなかった。
シグナムの言葉を引き継ぐように、シャマルは8年前の事件を語りだした。
事故が起こったのは、入局2年目の冬…。
異世界での調査任務の帰り。
ヴィータちゃんや他の仲間たちと一緒に向かった場所に、不意に現れた未確認体。
いつものなのはちゃんだったら、何の問題もなく仲間を守ってくれるはずだった。
だけど、続けてきた無茶が疲労となってまとめてきて、なのはちゃんの動きを、少しだけ鈍らせちゃったの……。
「その結果が、これ。」
映されたのは、今のフォワードたちにとっては痛々しいことこの上ないものだった。
全身に包帯が巻かれ、呼吸器によって繋がれた、苦しそうななのはの姿……。
「なのはちゃん、みんなに迷惑かけてごめんなさいって、私たちの前では笑ってくれたけれど…。」
一拍置いて紡がれた言葉。
それは、彼女の魔導師生命の一大危機に大きく関わる、医師からの当時の宣告だった。
「“もう二度と飛ぶことはおろか、歩くことすら出来ないかもしれない”って言われて、どんな思いだったか……!」
シャマルの悲痛な言葉を耳にし、フォワードのみんなは言葉すら出てこなかった。
「…無茶をして、命を賭けてでも譲れぬ戦いの場は、確かにある。」
――――だが、お前がミスショットをしたあの場面は、仲間の安全や、自分の命を賭けてでも、撃たねばならない状況だったか?
シグナムの言葉に、ティアナはハッとした。
さらにシグナムは言葉を続けた。
「模擬戦でのあのコンビネーションは、一体、何のための……誰のための技だ……!?」
今までの戦いや模擬戦での行動は、ただ単に“自分の強さ”を証明しようと、出来るだけ速い時間で“敵を倒そう”としていただけ。
自分の今までの行為は、自分や仲間のことすらも鑑みない、“相手を撃つことのみ”考えていたやり方だと言うことに、ティアナは今更気付いた。
結局自分は、今まで何を考えてやってきたのだろうか………。
そう思うと、ティアナはもはや反論する言葉すらもなかった……。
なのはさんはね…、みんなにさ、同じ思いをさせたくないんだよ……。
だから、みんなが無茶をしないでいいように、みんなが元気で帰ってこられるようにって……。
ホントに丁寧に、一生懸命考えて、教えてくれてるんだよ……!
悲痛な雰囲気を醸し出すかのようなシャーリーの言葉は、俯き、視線を落としていたフォワードたちに、重く響いた。
彼女ら4人は、シャーリーたちが席を外した後も、火が消えたように静まり返っていた。
特に、ティアナは仲間たちに声をかけられても反応しないくらい、気を落としていた………。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
任務が終わり解散になった後、ティアナは訓練場へと続く道の近くの海辺に腰掛けていた。
シャーリーから聞かされたなのはの過去の記録は、彼女のみならず、フォワードのみんなの心に響いた。
“自分と同じ轍を踏ませたくない。”
今までのなのはの教導の裏に、そんな思いがあったなんて、知らなかったのだから……。
『…ようやく、分かってくれたみたいだな…。』
声が聞こえ、俯いていた視線を上げると、そこにあのときの少年が現れた。
「……シン…。」
腕を組んだまま宙に浮き、微笑みの顔を向けるその表情。
温かな紅い瞳からは、以前に一度だけであった時とは、大きく違う印象を持った。
ふと、ティアナは再び視線を落とした。
「あたしは…昔のなのはさんと同じ過ちをやっていたのね……。」
シャーリーさんがあのとき、あの映像を見せてくれなかったら……。
今頃、あたしは………。
『……俺だって、昔はあんたと似たようなことをしてきたんだ…。』
「…!?」
意表をつく言葉に、ティアナは目線を今一度シンにむけた。
戦争で家族を失った直後の俺なんて、心の奥底にまで大きな穴が開いたかと思うくらい、泣き濡れていた。
“いくら綺麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす”。
いつしかそう思うようになっていた。
最悪の場合、その悲しみを怒りに変えて、敵への復讐心を燃やして戦場に出るときさえあった。
自分の心を、頑丈な鉄の楔で縛り付けてしまっていたんだ。
目の前の現実に眼を向けることが出来ず、過去から逃げ続けて………。
でも、それは間違いだった。
“過去から逃げ続けることは、未来の道しるべすら踏み潰す”。
戦友たちが俺の心の楔を、その言葉で解き放ってくれたんだ。
今でも俺はその言葉を忘れない。
それに、俺の戦友が言ってたんだ…。
“いくら吹き飛ばされても、僕らはまた、花を植えるよ…。”ってな。
一つ一つの言葉がティアナの心に染み渡り、彼女の心の中から“温もりの欠片”が生まれた。
『それから、こいつは受け売りなんだが…。』
―――自分の弱みと言うものは、持ってはいけないってもんでもないんだぜ。
「…!」
心底意外なシンの言葉。
その意味を問おうとしたが――――。
シンは“何も言うな”と言う素振りを見せた。
『今の言葉の答えは、あんたたちのリーダーが持っているさ。』
――――もう、自分に迷うんじゃねぇぞ。
そういい残し、シンはその場から消えた……。
それから、何分くらい経っただろうか、不意に自分に近寄る足音が聞こえた。
ふり向くと、任務から戻ったなのはが立っていた。
ティアナの視線を確認するやいなや、彼女は微笑を浮かべた。
ようやく作られた、二人きりの時間。
その様子を密かに、フォワードたちとシャーリーが静かに見守る。
「……シャーリーさんやシグナム副隊長に、色々と聞きました…。」
「“なのはさんの失敗の記録”?」
言い間違えそうになった言葉を先に言われて、ティアナはつい慌てた。
「じゃなくて!…その……。」
「『無茶すると危ないんだよ』…って話だよね…。」
あぁ、やっぱりなのはは解っていた。
再び視線を落とし、小さな声で「………すみませんでした…。」と詫びるティアナ。
どうやら、やっと反省してくれたみたいだ。
そう感じたなのはは、微笑んだ。
幾分か間をおくと、なのはは言葉を紡ぎ始めた。
「じゃあ、解ってくれたところで、少し叱っとこうかな……。」
あのね、ティアナは自分のことを『凡人で射撃と幻術しか出来ない』って言うけど……それ、間違ってるからね…。
ティアナも他のみんなも、今はまだ原石の状態。
デコボコだらけだし…ホントの価値も判りづらいけど……。
だけど、磨いていくうちに、どんどん輝く部分が見えてくる。
エリオは“スピード”…、キャロは“優しい支援魔法”…、スバルは“クロスレンジの爆発力”。
3人を指揮するティアナは、“射撃”と“幻術”で仲間を護って、知恵と勇気でどんな状況でも切り抜ける。
そんなチームが理想系で、ゆっくりだけど、その形に近づいていっている。
それが、なのはの目指すチームの形。
一人一人の戦術とスキルを理解したがゆえでの、チームバランスだった。
「模擬戦でさ、自分で受けてみて気付かなかった…?ティアナの射撃魔法って、ちゃんと使えばあんなに避けにくくて、当たると痛いんだよ。」
「あ……!」
考えてみれば、自分が今まで使ってきた“クロスファイア・シュート”は全てワンパターンなものばかり。
模擬戦での、なのはが見せた“クロスファイア・シュート”は、そのバリエーション。
うまく使えば、自分の長所を最大限に発揮できるものだったのだ。
……と言うことは、なのははそれを教えたかったのだろうか…!?
それを察知してか、なのははこう続けた。
「『一番魅力的なところを蔑ろにして、慌ててほかの事をやろうとするから、だから危なっかしくなっちゃうんだよ』…って…教えたかったんだけど……。」
「……。」
「まぁ…でも、ティアナが考えたこと、間違ってはいないんだよね…。」
徐になのはは、クロスミラージュを手に取った。
教え子の成長を見込んだと感じたのか、彼女はクロスミラージュの最初のレベルアップを指示した。
「システムリミッター、“テストモード”リリース。」
「Yes.」
最初のリミッターが解除されたクロスミラージュは、大きな進化を遂げる。
「命令してみて、“モードツー”って。」
なのはからクロスミラージュを受け取ったティアナは、困惑しつつも相棒を眼前に構え、命令をする。
「……モード、ツー…。」
「Set up,Daggar mode.」
「あぁ……!」
デバイスの機体が夕焼け色に染まったと思ったら、バレルとトリガーグリップがほぼ一直線になった。
そして銃口部からオレンジ色の魔力刃が伸び、さらにグリップの底部からも、主の手を護るかのように魔力刃が曲線状に展開され、クロスミラージュの第2の姿・ダガーモードが完成された。
「これ……!」
レベルアップし、変貌を遂げた相棒の姿に、ティアナは驚きを隠せなかった。
だが、それ以上に驚いたのはなのはの次の言葉だった。
「ティアナは執務官志望だもんね。ここを出て、執務官を目指すようになったら、どうしても個人戦が多くなるし……。」
―――将来を考えて、用意はしてたんだ…。
クロスミラージュを受け取り、デバイスを待機状態に戻すときに口にしたなのはの言葉。
なのはは自分の将来を考えてくれていた。
執務官になると言う夢を思ってくれていたから、これを用意してくれたの………?
『あんたは大切な人の思いすらも踏みにじろうって言うの!?』
あのとき自分がシンに対して言った言葉が、今頃になってなんて愚かだと思ってくる。
大切な人の思いを踏みにじったのは、他ならぬ自分自身じゃないか………!!
それは、スバル、エリオ、キャロ、そして何より、なのはさんや大好きな兄に対する裏切りでもあった。
胸の奥から、こみ上げてくる、言葉に出来ないくらい悲しい感情。
ティアナの瞳から、涙が零れ落ちた。
嗚咽を漏らし、自らの両手で顔を覆い、ティアナは泣き出した。
教え子の涙を見た白き魔導教官は、優しくその肩を抱き寄せ、静かに言葉を紡いだ。
「…“クロス”も“ロング”も、もう少ししたら教えようと思ってた…。だけど、出動は今すぐにもあるかもしれないでしょ…?」
だから、もう使いこなせている武器を、もっともっと確実なものにしてあげたかった……。
「だけど、わたしの教導、地味だから…あんまり成果が出てないように感じて、苦しかったんだよね……。」
――――ごめんね…。
優しい上司からの、謝罪の言葉。
潤んだ眼のまま、ティアナは自分の肩を抱いてくれている人物を見つめた。
視界がぼやけていて、少し判らなかったが、きっと悲しそうに微笑んでくれているのかもしれなかった。
だけど、なのはさんが謝らなきゃいけないわけがない。
むしろ、謝るのは自分のほうだ……!
――――自分の弱みと言うものは、捨てちゃいけないってもんでもないんだぜ。
シンが去り際に口にした言葉…。
弱くてもいいならば、声を上げて泣いてもいいということだろうか……?
だったら、今だけは泣くことを許してほしい。
その気持ちで一杯だった。
「……っ…うあああぁぁぁ…っ…、ごめんなさい…っ…ごめんなさい、ごめんなさい…っ…ごめんなさい…っ…、あああああぁぁぁぁ……!」
ティアナはなのはの胸の中で、ひたすら謝りながら体を震わせ、声をあげて泣き続けた……。
その涙の中で、なのはの腕が自分を抱き寄せてくれるのを感じた。
そして、自分をあやすように、優しく髪を撫でてくれた。
抱きしめられた腕の中が、優しく撫でてくれる手のひらが、とても温かかった。
傷だらけの自分の心に、深く染み渡るくらいに……。
こんなにも優しい温かさを、自分が無意識に捨てようとしていたと思うと……、自分が今までどれだけ冷たいものだったか……!
もう、涙が止まらなかった……。
エリオ…キャロ…、不快な思いをさせて…ごめんね…っ…。
スバル…あんたを巻き込ませて…ごめんね…っ…。
そして……なのはさん…ティーダ兄さん……、優しい思いを踏みにじって……気持ちを裏切ってしまって…っ………本当に……っ……本当に、ごめんなさい…!!
「やっと、丸く収まったみたいだね。」
「あぁ。なのはがうまくやってくれたみたいだしな。」
スバルたちが二人の様子を涙ながら見守っていた頃、別の場所から彼らを見守る、シンとジェミニ。
「これで、一段落……かな?」
「そうだな。とりあえずしばらくは、大丈夫だろう。」
これで自分たちの役目も一区切り。
そう感じた二人は踵を返し、帰路についた。
ジェミニが先に姿を消し、自分も後に続こうとして、ふと、シンは歩みを止め、なのはたちのところに振り向いた。
これから先、あんたたちの戦いの中で、“戦士として”ではなく“人間として”の、さらなる大きな壁にぶち当たるはずだ。
それはおそらく、あんたたち“機動6課”としての仲間の絆が試される、大きな試練となるだろう。
だが、いかなる事実が待っているとはいえ、“自分は自分”だと言うことを忘れるな。
もし、隊長、部下の関係、あるいは敵味方の関係に関わらず、自分に迷いそうな連中が居たら、お互いに支えあって、心の傷を癒してやんな。
それによってさらに絆が深まることもある。
それが、人としての“本当の優しさ”、“本当の強さ”だぜ。
「これからの未来を、頼んだぜ。“フォワード・ストライカーズ”。」
シンは、この先の未来を願い、姿を消した。
彼女たちに聞こえるかどうかすら分からない、小さくてささやかなメッセージを残して………。
--End--
☆あとがき
A4原稿合計17枚弱をそのまま掲載……な、な、長かった〜………。
っと言ったわけで短編コラボレーション第7弾でございます!!
今回はリリなのStSのDVD第3巻(第7話〜第9話)の再構成と言うコンセプトの元、リリカルなのはStrikerSのなのはとティアナ、ガンダムSEED DESTINYのシン、サクラ大戦Xのジェミニと言うトリプルコラボレーション小説として執筆しました。
ちなみに、“声優ネタ”として今回は“仮面ライダー電王”のデンオウベルトも“デバイス”の一つとして登場させてみました☆
ですから実質“4大コラボ小説”と言う形ですね。(苦笑)
ちなみに、リリなのStSの公式設定等はこちらのサイトを参考にしてみました☆
おそらく、ファンの間でも話題になったであろう、StS前期におけるなのはとティアナの関係。
その答えは、リリなのファンの皆さんにとっても様々な答えが出ていることかと思います。
だったら僕も、小説と言う形で答えの一つを出してみようと思い、今回の小説を執筆しました。
少々グダグダなところもあるかと思いますが、楽しんでいただければ幸いです。
尚、こちらの小説、今後の“相互リンク希望者”もしくは“リンクを貼られている方”への粗品として贈呈しようと思っています。
もし、相互希望の方もしくは当サイトのリンクを貼られている方で、こちらの小説のお持ち帰りを希望する方は、BBSもしくはメールでご一報下さい☆
また、小説の感想もそちらで受け付けていますので、そちらもお聞かせ頂ければと思います☆
それでは☆