THE IDOLM@STER SP 特別編
決戦!アイドルアルティメイト・ファイナル
〜765プロ VS 961プロ 最後の聖戦〜

TAKE 3 最終決着!アイドルたちの行く末



「それでは、アイドルアルティメイト・ファイナル、総合優勝者の発表でございます!」

「杉浦太陽審査委員長、よろしくお願いします!」




名前を呼ばれ、立ち上がる太陽。

彼の傍らには、マイクスタンドが設置されていた。

既に電源も入っている。

「あー、あー。」

念のためにチェックを入れて、音声に乱れがないかを確認する。





……問題なし!





「それでは……最終結果を……発表します!!!」





そして、意を決して太陽は、手渡された封を切り、優勝者とその結果が記された、二つ折りの紙を開く……!





















「2009年、アイドルアルティメイト・ファイナル、総合優勝は―――。」





















証明の明かりが極限まで落とされ、ステージの光が慌しく駆け巡ると同時に、ドラムロールが流れる。





















「合計数876票を獲得した――――。」





















瞬間、ドラムロールが鳴り止んだ――――!!!















































「―――765プロダクション所属
天海春香さんに決定いたしました!!!!!!」
























スポットライトが春香に集中し、名を呼ばれた春香は驚きに顔を上げ、同時に客席全員から大拍手の大歓声と共にステージの両サイドから巨大クラッカーが鳴り響き、紙吹雪が舞った。

「おめでとうございます!!!!」

状況の理解が追いつくと、春香は感激のあまり自分の顔を両手で覆って、その場で泣き崩れてしまった。

そんな彼女の周りを、765プロの仲間たちが取り囲む。

もちろん、その輪の中には千早と雪歩の姿も。

二人とも、仲間が優勝したことに大感激したせいで、春香と同じ涙目だ。

「良かったわね、春香っ!」

「おめでとうございます…っ…春香さん…!」

二人に支えられ、なんとか立ち上がる春香。

そして、振り向いた視線の先には、自分と同じように涙をこぼすプロデューサーの姿が。

「プロデューサー…さん…っ…!」

「…っ…おめでとう、春香っ!!」

「う、う……っ…、うわあああぁぁぁぁん!!!!」

緊張感が解けたのか、春香は空の胸にすがりつき、泣きじゃくった。

でも、これぐらいはいいだろう、こんな嬉し涙、滅多に経験しないのだから…!

そんな彼らの傍らに、審査員たちと、マッキーが寄り添う。

「中川プロデューサー、やりましたね!」

「はい、この娘達は、私たち765プロの誇りです!春香、本当におめでとう!」

「…っ…はい、っ、これも、全部、プロデューサーさんと…765プロのみんなのおかげです…っ…。ホントに、ありがとうございます…!」

「本当におめでとうございます!会場の皆さん、もう一度、天海春香に、盛大な拍手を!」

その一方で、照英とミストの3人は惜しくも敗れた961プロの3人の傍に寄った。

「いや〜、惜しかったですね。今の気持ちはいかがでしょうか?やっぱり悔しいですか?」

さすがに最後の最後で負けてしまったと言うショックは大きいだろうと思うが―――。

「ううん、結果は負けちゃったけど、でもミキ、全然気にして無いよ。」

「はい、最後の大舞台で、彼女らと全力の勝負が出来た…。わたくしも、この戦いに悔いはありません。」

「それに、どうせまた次もあるんだろ?そのときは、春香を追い越せるくらいにレベルを上げて見せるさ!」













「……『この次は』、か…。そんな言葉は聴きたくなかったねぇ、3人とも!」













『!!??』













ここにきて、沈黙を保ち続けていた黒井社長が口を開いた。

しかも、この結果が満足できなかったのか、今まで以上に激怒の感情を露にしていた。

司会者たちも審査員たちも、今まで以上に雰囲気がよろしくない状況に、少々引き気味になりつつあった。

「しかも765プロと馴れ合いとは……!つくづく君たちには失望したよ!」

「で、でも黒井社長!」

「言い訳は無用だ!!!」

「っ!!!」


耐えかねたのか、黒井社長の怒りのボルテージが大爆発した。

「それに、私は君たちに言ったはずだ…、『IUの決勝戦、君たち3人の中で誰か一人でも優勝できなければ、3人まとめてクビだ』と!勝てないアイドルはいらないんだよ!!!」

―――!!!!

予想外極まりない黒井社長の爆弾発言に、会場にいる全員がどよめいた。

そして、その事実をついに知ってしまった765プロに至っても、驚かざるを得ない。

「折角お前たちに金をかけてやったというのに、無駄にしやがって!
とっとと荷物をまとめて、どことなりと消えることだな!!!」


「うぅ……っ…!」

次々に叩きつけられた冷酷非常な言葉に、3人はショックのあまり言葉を返すことが出来ない。

耐え切れなくなった響の目じりに、涙が溢れた。

「ちょ、ええ!?どういうことですか!?美希ちゃんたちがクビって……!!!」

春香もこの状況には困惑せざるを得ない。

すると、全てを知っていた空は、衝撃的な言葉を口にした。

「あれが961プロダクションの“裏の顔”とも言うべき活動方針よ!黒井社長にとって、アイドルは自分の金儲けの道具の存在。特に、“トップアイドル”と言う称号は、彼にとっての“金のなる木”同然のものだったのよ!」



――――えええぇぇぇぇぇぇ!!!!!????



案の定、会場全員から驚きの声が上がった。



「ちょっと!いくらなんでもそれはあんまりじゃないの!」

「美希たち、あんなに一生懸命がんばってたのに、こんなのって…!」

「黒井社長も、さっきまで3人をちやほやしていたのに、ここまで冷たくなる必要は無いじゃないですか!」

「こんな単純なことでクビだなんて、ひどすぎます!」




伊織、真、千早、雪歩が非難の声を上げたのを合図に、会場全体から黒井社長に対するブーイングが巻き起こった。



「うるさああぁぁぁいっ!!!!」



マイク音声を通じて、黒井社長の怒声が響き、同時にハウリングが巻き起こった。

その結果、再び会場が静まり返った。

「…なんなんだ…?急に会場全員が彼女たちを庇て言うのか!?虫唾が走るんだよ!

それに対して、空が前に出てきた。

「それはこっちの台詞ですよ。黒井社長、今のこのステージは、勝者と、その勝者を称える者たちが集う場所。消えるべきは、あなたのほうです!」

「くっ、生意気な…!高木に似て不愉快な女め!だが、『Project Fairy』は、まだまだこれからだ!これで勝ったと思うなよ!」























「残念ですが……、あなたにもう次はありません!!!」























「な!!!???」























別の場所から凛とした青年の声!?

すると、765プロの仲間たちの背後から、黒井にとって非常に予想外な人物が現れた。

ビシッとしたスーツを身に纏い、紫色のネクタイを締め、左の襟には961プロのロゴのピンバッヂ。

前方にいるのは中世的な顔立ちと、紫色の瞳を持つ青年。

背後には、黒髪と赤い瞳の青年が控えている。

まさに、予想外の人物の登場だった。

「ごきげんよう、黒井社長。」

「き、貴様ら!!??なぜ、ここに!!??」

どうやら961プロの社員のようだが……。

ふと、現れた青年の二人は、高木社長と空に視線を向けた。

「765プロの方ですね?」

「え?あぁ、そうだが…、君たちは?」

二人は空たちに近づき、名刺を差し出しつつ自己紹介をした。

「わたくし、株式会社961プロダクションの副社長、キラ・ヤマトと申します。」

「同じく、株式会社961プロダクション・専務取締役、シン・アスカでございます。」

副社長と専務が直々に!?

「「こ、これはどうも、ご丁寧に。」」

なぜ彼らがこんなところに……?

簡単に挨拶を済ませ、キラとシンは黒井社長に眼を向けた。

「まさか、貴様ら今までの様子を…!」

「はい。一部始終、このアイドルアルティメイトのほぼ全てを見させていただきました。それに、今までのあなたの活動方針に関しましても、密かにこちらで進めていたものがあります!」

「何!?」

ここでシンが代わって話を進めた。

















『最近961プロの社長のやり方が横暴すぎる。』

『そのせいで事務所から逃げ出してきたかつてのアイドル候補生が多数いる。』


そんな噂がたち始めてから間もない頃、俺とキラさんとで、かつての961プロ所属タレントの自宅を次々に訪問していったんです。

事の真相を確かめるために…!

そしたら驚くべきことに、その娘から、“黒井社長のやり方についていけない”と言う厳しい意見を頂戴したんです。

『満足に行く休憩を取ることの出来ない過密スケジュール、黒井社長からの“プレッシャー”と言う名の厳しい言葉、こんな芸能界に入るくらいなら、別の仕事をしたほうがまだマシだった。』

そんな悲しい言葉すらも頂いたんです。

おまけにその女の子、これ以上ないくらいに嘆いていたんです…。

他の家を訪問しても、同じような意見が、何度となく寄せられてきて………。

訪問した家、全てから黒井社長に対する痛烈な批判の声を頂いたんです。

しかし、その声を黒井社長に進言しても、いずれは全て聞き流してしまうも同然。

…とはいえ、俺もキラさんも、今までの社長のやり方にはいい加減にうんざりしてきたがゆえに、このまま引き下がるわけにも行きませんでした。

















「そこで、社長には極秘で、961プロの社員及び所属タレント全員を対象に、黒井社長に対する“不信任署名”を募ったところ、全体の98%の署名が集まったんです!」

「なっ、何だと!!??」

「そして、これは俺たちでさえも予想外でしたが、その署名の中には、こちらのお方の名前もあったのです。」

そう言ってシンが視線を向けた先、765プロたちの後ろ。

そこに現れたのは車椅子に座る一人の老人。

その傍には、車椅子を押すピンク色の髪の少女が。

彼の姿を見た途端、黒井の顔から血の気が引いた。





「か、か、会長!!!???」





―――え!!??会長!!!???





黒井が会長と呼んだ老体の傍にいる一人の少女、その顔に、スバルとティアナは見覚えがあった。

「あれ!?あの人、961プロのトップアイドルのラクスさんじゃない!!??」

「ほ、ホントだわ!と言うことは、あの人は、もしかして…!?」

「そう、こちらのご老体は、ラクス・クラインの父上であり、我が961プロダクションの取締役会長、シーゲル・クラインさまです!」

副社長と専務が出てきたと思ったら、今度は会長とその令嬢!?

今日は一体どういう日なんだ!!!???

「ま、まさか、あなたがたまで…!?」

さすがに怖気づいた黒井は少しずつ後ずさりするが……。

「お前の今までの行いは、ラクスを通じてキラくんとシンくんから全て聞いたぞ、この恥さらしめ!わたしの顔に泥を塗ってくれたようだな。」

「め、め、滅相もありません!わたしはただ、一日も早くこの961プロをさらに成長させようと―――。」













「たわけもの!!!!!!!!!!」



「ヒイイイィィィィィッ!!!!!!」














とても歳をとっているとは思えないほどの威圧感と怒声に、黒井もすくみ上がる。

「全く……アイドルプロダクションの社長の風上にも置けぬ奴め!お前の今までの行いは、女の子たちの心身を極限まで傷つけ、彼女たちの本心すらも全て鵜呑みにし、トップアイドルと言う欲望に目が眩んだ狐も同然だ!……お前に全てを任せたのが間違いだったようだ…。」

圧倒的な存在感に、さすがの765プロも審査員たちも手出しが出来ない状況である……。

と、ここでラクスが前に出てきた。

「黒井社長、わたくしのようなトップアイドルを育てたいと言うお気持ちは理解できます。しかし、そのためだけに女の子たちに無理難題を押し付け、虐げさせたところで、一体それらに何の意味があるのでしょうか?」

会長の娘と言う存在感もあるのか、彼女の言葉もその場にいた全員の心に染み渡る。

「わたくしは、アイドルと言う存在をお金儲けの道具としか考えないあなたの信条を、理解することが出来ません!あなたのやり方は、いずれは芸能界の未来を全て破壊しつくすでしょう。その行いを、わたくしどもは許すことは出来ません!」

「あ、ぁぁ、ぅ、ぅぐ…っ…!」

黒井にとって、ここまで絶望したことはほとんどないかもしれない。

しかし、既に、今の彼では到底収拾できるはずのない事態に発展していたのだ。



それは、前に出てきたシン・アスカの、次の一言が決定的になった。



「今回の不信任署名、並びに、先日開かれた役員会の緊急会議における、役員全員の満場一致により―――。」







――――黒井崇男現社長に対し、




――――社長職の解任及び961プロダクションからの永久追放命令を言い渡します!!!!




―――バッ!




「これが、会長からのあなたに対する、最終辞令です!!!」








シンが広げた紙は、黒井社長に対する最終辞令、つまり、解雇処分だった。

「か、解雇…?お、俺が…!?」

目の前が真っ暗になった黒井は―――。

「う、う、う……………!」

ついに壊れた。











うわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!



















―――――バタッ















































それから数分後……。

様々な出来事の余韻が複雑に絡み合い、落ち着かないムードとなっていたステージでは、新たに961プロの社長となったキラと、副社長に昇進したシンは、改めて765プロの仲間たちと見合った。

ちなみに、黒井はそのままステージのスタッフに引きずられて、今頃は自宅へ送り返されている頃だろう。

また、クライン親子も、ここから先のことを二人に一任し、その場を後にしていた。

「皆さん、この度は、黒井社長の数々の失言とご無礼、大変申し訳ありませんでした。特に、765プロの皆さんに対しては、このIUの予選と本選を通じて、何度となく暴言を吐いたことに関しては、弁解の余地もありません。」

「961プロを代表して、心からお詫び申し上げます。」

深々と頭を下げるキラとシンに対し、高木社長はどこも気にしていなかった。

「いやいや、君たちが謝る必要はない。私は、彼を止めてくれた君たちに感謝しているよ。本当に、ありがとう。」

「いえ、そんな……。」

お礼を言われる筋合いには自分たちにはないと思うのだが……、ここは黙って受け取っておくことにしよう。

「ところで、君たちはこれから、どうするつもりかね?」

「……961プロは、今までの黒井社長の横暴なやり方が定着してしまったせいで、イメージがどんどん悪くなってきています。まずは、そこから改善して行きたいと思っております。」

他のプロダクションとの交流はもちろんのこと、トレーニングメニューやスケジュール調整の改善、そして、プロデューサーの新規採用など、新しい961プロダクションとして、再出発の準備を進めていこうと思います!」

今までのイメージからの脱却、それが彼らの新しい目標。

そして、いつの日か真の一流プロダクションとなるために、少しずつ成長していこう!

「そうか。私も、同じ社長と言う立場であり、人生の先輩として、君たちに色々とアドバイスしていこう。」

「それに、プロデューサー制度を導入するなら、彼らを育てるための研修も設けなくちゃね!もし何だったら、わたしが特別講師として来てあげてもいいわ!」

「あはは、ありがとうございます!」

新生961プロにとって、心強い仲間がついてくれたようだ。

ふと、ここでキラが遠慮がちに声をかけてきた。

「…それで、物は相談なんですけど…。」

「…うん?」

「その、“他のプロダクションとの交流の第1弾”として、765プロの皆さんに折り入って、頼みがあるんです…。」

『…?』

するとキラは、シンに視線を向けてアイコンタクトを交わした。

シンはそれを受け取ると、ステージの隅で小さくなっている美希たち3人を呼び出した。

彼女たち3人を連れて、シンは再びキラの傍に寄る。

呼び出された3人は、何が起こるか予想できていなかった……。

「高木社長、断られるのを承知の上で聞きます。彼女たち3人を、765プロのアイドル候補生として、迎えてはもらえないでしょうか?

『えっ!!??』

美希たちにとっては予想外だった。

自分たちにはもう行くあてがほとんどないのに…!?

「…理由を、聞こうかな。」

高木社長の静かな言葉を聴き、キラは慎重に言葉を選んで言葉を紡いだ。













彼女たち3人をこのまま引退させるのも惜しい人だっていますし、彼女たちの実力も本物です。

…でも、彼女たちはずっと3人で活動していたとはいえ、一人一人の孤独をわかってくれる存在がいなかったと言うのが、大きなミスでした。

そんな彼女たちに何度も接してくれて、心を開く機会を与えてくれたのが、765プロのアイドルたちと、彼女たちを支えてくれたプロデューサーさん。

心の奥に縛り付けられていた、孤独と言う楔を理解し、それを解き放ってくれたのも、彼女たち。

きっと、彼女たちの存在は、今後の3人にとって必要になると思うんです。

だから、3人を765プロのアイドルとして再出発させてあげたいんです!













「お願いします!星井美希、我那覇響、四条貴音の3人を、765プロに入れさせてあげてください!

「自分からも、お願い申し上げます!」

二人は再び深々と頭を下げた。

「「「………!」」」

予期していなかったとはいえ、彼ら二人がこんなにまで3人のことを……!

美希たちは目を見開かざるを得ない…。







ふと、誰かが拍手を始めた…。



しばらくして、また別の場所で拍手が始まった。



その音は次第に強くなり、やがて会場全体を包み込む大拍手となった。



「……君たちとしては、どうかね?」

高木社長は、背後にいる765プロの仲間たちに声をかけた。





「新しい仲間が加わるのであれば、わたしは歓迎いたします。」





「うん!ボクも賛成!美希が帰ってきてくれるなら、尚更だよ!」





「うっう〜、わたしも大賛成です〜!」





「「わ〜い!ミキミキとまた一緒だ〜☆イェ〜イ!!」」





「765プロに来るからには、あたしがみっちり特訓してあげるからね!」





「全く仕方ないわね…。あ、べ、別に、嬉しいわけじゃないんだからね!」





様々な反応が返ってくるも、全員が3人の765プロ入りに大賛成のようだ。

「久々にプロデューサーとしての血が騒ぎ出してきたわ…!3人が来てくれるなら、まとめて面倒見てやるわ!」

空も、新たな腕の見せ所と、躍起になっていた。





そして、何よりも美希たち3人を快く歓迎したのは、春香たちだった。





「お帰りなさい、美希。また一緒に頑張りましょう!」

「…っ…うん!」



「四条さん、あの……うまく言えませんけれど…、これから、よろしくお願いします!」

「雪歩殿…。わたくしは、あなたとの出会いに心から感謝します…!」



「響ちゃん!」

春香が笑顔で差し出したその手。

響は一瞬、それを握るべきか迷ったが、自分たちを快く出迎えてくれると言ってくれているのだ。

こんなに優しい存在、出会ったことがなかった。

響の瞳に再び、乾いていない涙のしずくが光った。

「…っ……ありがとな、春香っ…!」

その手を握り締め、新たな切符を掴んだ。





「ヤマトくん、アスカくん、君たちの願い、喜んで受け入れよう!」





「「……!!ありがとうございます!!」」





会場から大拍手の大歓声が再び沸きあがった。











ここで司会者たちのトークが再び挟み込まれた。

「いや〜、最後の最後でとんでもない事態が起こってしまって、一時はどうなるかと思いましたが、丸く収まってくれて本当に良かったですね。」

「はい、それでは杉浦審査委員長、最後に講評をお願いします。」

杉浦太陽がマイクを受け取り、言葉をつむぐ。









数ヶ月と言う長きに渡って繰り広げられてきた、トップアイドルを目指す究極の祭典・アイドルアルティメイト。

そこには、いつでも数々のドラマが生まれるものだと言われてきたのですが、今回の決勝ステージの出来事ほど、感動する場面は見たこともありませんでした。

今年度の決勝は、まさにアイドルアルティメイト史上に永遠に残る、輝かしい歴史となることでしょう!

天海春香さん、優勝おめでとうございます!

そして、新たな道を切り開いた『Project Fairy』の皆さん、765プロ共々、これから先の輝かしい活動に期待します!

皆さん、最後まで本当に頑張りました!

ありがとうございました!









好評と共に頂いた激励の言葉。

これからの765プロみんなにとって、大きな一歩となってくれることだろう。









「あ〜、ちょっと待った!」









――――?









終了直前、突然、中川空プロデューサーが制止をかけた。

「どうしたんですか、プロデューサーさん?」

「せっかく、美希がうちの事務所に戻ってきてくれたことだし、全員でアレ、歌わない?

―――アレ?

すると、765プロの全員と美希の脳裏に、思い当たる節が過った。

「え?それって、もしかして……!」

「アレ、ですか!?」

「そ、テープも既にスタッフさんに渡しておいてあるわ☆」

「ちょ、プロデューサー!まさか、あたしたちにまでこの衣装着せたのって……そう言う理由!?」

「ピンポーン!伊織、大当たり☆」

どこまで先読みしているんだ……。

中川プロデューサー、恐るべし!

しかし、ただ単に出てきただけじゃ物足りない!

765プロのみんなが内心でそう思っていたのは、間違いではない。

やがて、美希を含む全員が笑顔でうなずきあい、春香の合図で気合を入れた。

「皆さん、最後の一曲、ビシッと決めちゃいましょう!!!!」

―――おお〜っ!!!!

「よ〜し、スタンバイ!」











こうして、かつては弱小と言われた765プロから、トップアイドルが誕生すると言う最高のフィナーレを迎え、彼女たちの戦いは終わった。

しかし、765プロの挑戦は、これからもまだまだ続く………。























「さぁ〜、色々なことがありましたけれども、いよいよこれが正真正銘最後の曲と言うことになります!」

「中川プロデューサー、これはどんな曲なんですか?」

「これは一言で言えば“自分への激励ソング”臆することなく、自分だけのキャンパスを描けば、色とりどりの新しい世界が見える。そんな思いが込められている、元気いっぱいの曲です!」

「なるほど、楽しみですね…。さぁ、どうやらスタンバイが整ったようでございます!中川さん、曲紹介をお願いします!」









「“自分だけの虹色のキャンパスを見つけ出せ”!765プロオールスターズ、『Colorful Days』!!チェキラッ!」









<エンディング:Colorful Days>










声の出演 (THE IDOLM@STER SP)
天海春香 中村繪里子 如月千早       今井麻美 萩原雪歩 落合祐里香 高槻やよい 仁後真耶子 秋月律子 若林直美 三浦あずさ たかはし智秋 水瀬伊織 釘宮理恵 菊地 真 平田宏美 双海亜美・真美 下田麻美 星井美希 長谷川明子 我那覇響 沼倉愛美 四条貴音 原 由実 高木順一朗 徳丸 完 黒井崇男 子安武人
*特別出演 (天才てれびくんMAX)<本人役>
司会者 照英 西山茉希 M-ist(ミスト) 武田聖夜 島田 翼 田中理来 審査委員長 杉浦太陽 審査員 千葉一磨 細田羅夢 ウェンツ瑛士 いとうせいこう 中田あすみ
(魔法少女リリカルなのはStrikerS)
高町なのは 田村ゆかり フェイト・T・ハラオウン 水樹奈々 スバル・ナカジマ 斉藤千和 ティアナ・ランスター 中原麻衣
(機動戦士ガンダムSEEDシリーズ)
キラ・ヤマト 保志総一郎 シン・アスカ 鈴村健一 ラクス・クライン 田中理恵 シーゲル・クライン 秋元羊介 中川 空 広橋 涼 徳井ダイスケ DaisukeP VTRナレーション 立木文彦
『THE IDOLM@SER』シリーズ原作 バンダイナムコゲームス エンディングテーマ 「Colorful Days」 Vocal:765プロオールスターズ 作詞:中村恵 作曲:佐々木宏人(NBGI) 劇中挿入歌(本編登場順) 「目が逢う瞬間(とき)」 作詞:貝田由里子 作曲:Jesahm 「relations」 作詞:mft 作曲:中川浩二 「フタリの記憶」 作詞:mft(小野田裕之) 作曲:中川浩二 「Kosmos, Cosmos」 作詞:遠藤フビト 作曲:内田哲也 「迷走Mind」 作詞:mft(小野田裕之) 作曲:中川浩二 「I Want」 作詞・作曲:LindaAI-CUE(NBGI) オリジナルキャラクター提供 スペシャルサンクス DaisukeP 本編原作・構成・選曲・製作 タツノコースケ




--End--




☆あとがき
「THE IDOLM@STER SP」特別編と相成った、CWC暑中見舞いフリー小説、いかがでしたでしょうか?
ちなみに、最後の擬似スタッフロールは僕の趣味だったりします(笑)

今回の原稿、久々に今までの原稿の最長記録、更新してしまいました。(苦笑)
今までの短編の最高記録は、A4用紙17枚弱だったのですが、今回はなんとA4用紙19枚相当!!!
もう短編じゃないだろ!!!って突っ込みを入れられるほどの枚数となってしまいました。(笑)

さて、このフリー小説、前・中・後編の三部構成となっておりますが、これをお持ち帰り頂く場合は、本編の文章のみをコピペしてお持ち帰りくださるようにお願いします。
また、お持ち帰りいただく際、掲示板もしくはメールにてご一報をお願いします。
後日、そちらのサイトに遊びに行かせて頂きたいと思います。☆








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