「ダイスケさん、起きてください!」
「ん・・・、もう朝か・・・。」
シードピア・ニュートラルヴィアの某所に構える、L.S.広報課の中心的存在・徳井ダイスケの家。
その寝室に、可愛らしい女の子の声が響く。
それを目覚まし代わりに、彼の一日が始まる。
「おはようございます、ダイスケさん。今日もいい天気ですよ・・・。」
「そうみたいだな・・・、おはよう。ヴィヴィアン。」
彼女は、ダイスケ専用のパートナーガイノイド・ヴィヴィアン。
普段は彼の専属メイドのような存在として共に暮らしている。
「あの、ダイスケさん・・・。」
「ん、なんだヴィヴィアン?」
この後、早朝早々のヴィヴィアンのこの一言。
「恋って・・・、信じますか?」
それが全ての発端の始まりの狼煙ともなろうとは……。
“SEEDPIA CRISIS”緊急特別企画
『シードピアクライシス LIVE For You!!』
特別編2「気分上々?お見合い大作戦!!」
『ヴィヴィアンが、恋をした〜〜!!!???』
ライガーシールズ・広報課オフィスに響いた、広報課メンバー全員の驚愕の声。
「そうなんですよ・・・。」
ちなみに、その広報課の面々もヴィヴィアンの存在は周知済みである。
「あの、ヴィヴィアンが恋をね〜。」
…とは言うものの、彼女はガイノイド、つまり一般的に言うアンドロイドと同じ分類に当たるために、そんな彼女が他人に対して恋をすることなど、今まで一度たりとも考えはしなかったのだ。
広報課のメンバー全員が驚いた原因はそこにある。
「ダイスケ、何か、心当たりがある?」
「知りませんよ〜。」
―――PRRRRU〜。
空課長のデスクの電話が鳴る。
発信先は、てれび戦士のリーフだ。
「はい、もしもし・・・、あっ、ゴルゴ?どうしたの、なにか用事?」
『実は・・・、家のラビの様子が変なんだよ・・・。』
「様子が変?」
『一応、メンテしたんだけど、どこにも異常がなくて・・・。』
その後、1〜2分ほど向こうとの情報交換のやり取りが行なわれ、空はその内容とメモする。
「わかった、コッチでも同じようなのがあったから・・・。後で連絡するわ」
電話を切り、少し考え込む……。
「課長、先ほどの電話、ゴルゴ伯爵からですか?」
「えぇ。向こうのラビも様子がおかしいって。」
ゴルゴの話によると、向こうのサポートアンドロイドとして活動しているラビは、ここ最近ボーっとする傾向が多いそうだ。
しかも時折、何か考え込むたびにため息をついたり、頬を赤く染めている様子が見られているとか……。
「まさか、ヴィヴィアンが惚れた相手って・・・。」
「可能性は高いわ・・・。」
…ダイスケと空の推測がただしければ、そう言うことになりそうだ。
「そういえば、ダイスケのヴィヴィアンとてれび戦士のラビって、同じウサギ型のアンドロイドとガイノイドだよな。」
「あぁ。シードピア製とテレビィア製って違いを除けばだけど・・・。」
アキッキーとタツノコースケも、この展開に薄々納得したような表情。
「いけるわ・・・。」
「課長・・・?」
その展開に、空課長が深い笑みを浮かべる……。
彼女の今の雰囲気を感じ取った広報課のメンバーたちは、そろって身を硬くする。
「そうと決まれば・・・、」
「「「「「決まれば・・・?」」」」」
―――ま、まさか!?
「二人のお見合いをさせるわよ〜!!!!!」
『やっぱりそうなるか〜!!!』
久々にマグマのように煮えたぎった、空課長のプロデューサーの血。
案の定の展開に広報課メンバー全員がそろって突っ込みの声を上げたのだが…。
「ヴィヴィアンとラビのお見合い・・・。俺は、構いませんよ。」
―――あれ?
珍しく今回はダイスケも空に便乗してきた。
「お前、乗り気だな・・・。」
「俺は、人の恋に関しては、応援したくなるのよ。」
『なんじゃそりゃ〜!!』
…と言うわけで、急遽、L.S.広報課とてれび戦士たちとで二人のお見合いのセッティングをすることになった。
もちろん、即日でその話をてれび戦士たちにも連絡した結果、好奇心旺盛なてれび戦士たちも大いに興味を示し、この作戦の協力をすることに。
しかし、どこでこの話を聞いたのか、てれび戦士たち以上に好奇心が旺盛な、S.O.S.フォースのチーム・ラッキースターにもバレてしまい、彼女たちも裏方として協力することになってしまった・・・。
今回、空が二人の見合い会場に選んだのは、つい数日前にコンサートが終わったばかりの合宿地・ニューザックシティのリゾートホテルのラウンジ。
当日の天候も、シチュエーションも準備万端。
「今回も、良い娘を見つけたじゃない。」
「まあね、シンデレラのように美しくしてあげてよ!!」
「任せなさい!!」
もちろん、お見合いと聞いて黙っていられなくなったのか、アキッキーの兄であるファッションデザイナーのアキエも全面バックアップ。
ヴィヴィアンにピッタリの素敵なお見合い衣装をダイスケと一緒に選抜してあげた。
もちろん、このとき二人が嬉々としていた表情だったのは、言うまでもない。
さて、本番当日―――。
今回は、ライガーシールズを代表して、ダイスケ、空課長、ラクス、カガリが、てれび戦士からはゴルゴとレイシー兄弟、S.O.S.フォースからはこなたとみゆきにも参加してもらった。
そのホテルのラウンジにて、ラビと共にヴィヴィアンの到着を待つメンバーたち。
ちなみに、ダイスケも彼女のエスコートを担当するために、少しだけ席を外している。
「お待たせしました〜!!」
「遅〜い!!」
「ヒロインの準備には、時間がかかるんですよ。」
「そりゃそうだな・・・。」
さて、メンバーたちが集まったところで、いよいよ今回の主賓の登場だ!
「ヴィヴィアン、準備はいいか〜?」
「お・・・、お待たせしました・・・。」
少し気恥ずかしそうに現れたヴィヴィアン。
アキエがこの日のために用意してくれた素敵な着物を身に纏っていた。
「ヒュ〜、ヴィヴィアン、あんたの着物似合うじゃん・・・。」
空課長も機嫌よく口笛を鳴らして彼女を褒める。
ちなみに、今回のラビも正装姿だ。
「はじめまして・・・、私は、ダイスケさんのところで、家政婦をしているヴィヴィアンです。今日は、よろしくお願いします。」
「てれび戦士のアシスタントをしているラビっス。今日は、よろしくお願いしまス・・・。」
お互いに照れつつも自己紹介を済ませ、席に腰掛ける。
「それじゃあ、私たちはちょっと出かけるけど、二人で楽しんでね〜!!」
「「はい。」」
空たちは今後のムードを考えて、その場から一時的に席を外すことに。
後に聞いた話では、二人とも少しぎこちない感じが幾分か続いたそうだが、お互いの趣味の内容を中心に会話を弾ませて言ったそうだ。
さて、席を外したメンバーたちはホテルのショッピングモールにて時間つぶし……。
「二人のお見合い・・・、成功するかしら・・・。」
「大丈夫ですよ、必ず成功しますって!!」
「だといいけど・・・。」
アンドロイドとガイノイドの恋愛と言う前代未聞の展開。
ふとした拍子からこのお見合いを自分で企画したものの、やはり空課長の不安はつきないようだ。
「あっ、空さんに、ダイスケさん。」
「こんにちは。」
そんな空とダイスケの目線に、ディスタンス・フォースのなのはとフェイトの仲良しコンビの姿が映った。
「お、二人とも、こんにちわ!」
「お土産さがし?」
「えぇ・・・、まあ・・・、そんなもんです。」
―――ドゴォォォン!!
『うわっ!?』
突如、爆発音と共に建物全体が大きく揺れた。
空たちは今のでバランスを崩し、しりもちをついてしまった。
「いたた…、みんな、大丈夫!?」
「なんとか…。」
―――RURURURURURU……
空のコマンドギアに通信が入ってきた。
雷電からだ。
―――ピッ
「雷電、どうしたの!?」
『課長、大変です!ヴィヴィアンとラビのいるラウンジで謎の爆発が発生!周囲のお客さんは大混乱してます!』
「なんですって!!??」
タイミングが最悪すぎる…。
その通信に、ソラとナナマルも加わる。
『ボクたちは、ホテルの従業員と一緒にお客さんの避難誘導に回ります!課長はラウンジに向かってください!』
『既にチーフとサブチーフが現場に急行しています!ゴルゴ伯爵とレイシー兄弟も一緒です!』
「分かったわ、そっちも気をつけて!」
―――ピッ
とんでもないことになってしまった。
ヴィヴィアンたちが大怪我をしていなければいいが……!
「ダイスケ、急ぐわよ!!」
「はい!」
「なのは、私たちも!」
「うん!」
爆発の現場のホテルラウンジ。
そこでは既にゴルゴ伯爵が、自分の所有するポケモンでの消火活動に当たっていた。
「いけっ、オクタン!!倒壊しそうな瓦礫にオクタン砲だ!!よ〜く狙えよ!!」
「オクッ!!」
―――ベチョ!!
オクタンの必殺技で崩れる危険の高い瓦礫を次々に除去する。
「マリル、火が出ている所に水鉄砲!!避難ルートを作るわよ!」
「リルッ!!」
―――ブシュ〜!!
空課長たちがマリルと共に合流する。
「ヴィヴィアン〜!!」
「ダ・・・ダイスケさん・・・。」
「大丈夫か!?」
「私は、大丈夫ですが・・・、ラビさんが・・・。」
ヴィヴィアンの傍らには、目を開けたまま気絶してしまっているラビが。
ドクターレイシーがすぐに応急メンテナンスを始める。
「大丈夫です。さっきの爆発で外観フレームに多少の傷が出てしまいましたが、システムは異常ありません。緊急スリープモードに移行しただけです。」
「そうか・・・。」
どうやら大事には至らなかったようで、一安心だ。
「しかし・・・、この大騒ぎ、一体誰が・・・。」
「俺だよ!!」
その言葉と共に現れたのは、見覚えのある節足歩行メカと共に現れた白髪の少年。
亜空軍に属するあの男だった。
「おまえは…!」
『ポーキー!!』
スマッシュブラザーズの超能力少年・ネスと因縁を持つ存在、ポーキー。
なぜ彼がここに…!!??
「お前たち、この間は、うちの連中が世話になったな・・・。やっぱ俺がいないと頼りにならんな。」
―――ブチッ!
瞬間、このお見合い計画を台無しにされたと言う状況が非常に気に食わなかったダイスケの脳裏で、何かが切れた。
「おい・・・。」
「ダイスケ・・・?」
すると、ダイスケは懐から一枚のカードを取り出した。
それは本人ですら滅多に使わない、“禁断”とも言うべき恐怖のカードだった。
―――POSSESSION DRIVE、“『RYUU GA GOTOKU』 -KIRYUU KAZUMA(桐生一馬)-”
カードからオーラが放たれ、ダイスケの体が一瞬で変身。
その姿は、強烈な威圧感を放つヤクザのような雰囲気だった。
突然変貌した彼に、タツノコースケとアキッキーも、一瞬、竦みあがる。
「てめぇら・・・俺達が楽しみにしていた見合いをぶっ潰してくれるとは・・・、いい度胸してくれるじゃねえか!!」
「もうすぐ、誕生しそうなカップルを虐めるなんて許せない!!」
ポーキーの理不尽な行為が、ダイスケの逆鱗に触れた影響で、ダイスケはこれ以上ない怒りに満ちていた。
そして、言いだしっぺの空も、相棒の怒りに便乗する。
さらに、二人と一緒に駆けつけてくれたフェイトとなのはも…。
「二人の愛の礎となるこの瞬間を、あなたみたいな人に踏みにじられるなんて・・・!
今回は私も本当に・・・、堪忍袋の尾が切れました!!」
「普段は星空よりおおらかなあたしの心も、もう我慢の限界よ!!!」
年端もいかない少女とは到底思えないほどの怒りをあらわにした。
「愛だ〜?ふざけるな!!この世にあるのは破壊と混沌!俺たちが求めるのはそれだ――」
―――バキッ!!!!
「ぐふぇ!!」
言い切らないところでポーキーの顔面にダイスケの怒りの鉄拳が炸裂!
ポーキーの顔面がめり込むかのような一撃、思わずポーキーも後ろに飛ばされる。
「黙れクソガキ・・・!」
拳をパキパキと鳴らしながら、さらに威圧感の大きいガンを飛ばす。
そんな彼と空の両隣にそれぞれ、アキッキーとコースケも並ぶ。
「もう一度言う。テメ〜は俺・・・、いや、俺たちを怒らせた・・・。」
「落とし前は、キッチリ払ってもらうぞ!」
「この騒ぎの代償は、そんな程度じゃ済まされないよ!!!」
そして、ついにポーキーも怒りを露にした。
「なんだと・・・!?その言葉、そっくり返してやる!!!ゼクトプリム!ゲルニュート!出てきやがれ!!」
ポーキーの怒りの声に呼応して、亜空の闇からゼクトプリムとゲルニュートの戦闘兵軍団が大量に投入されてきた。
「上等だよ…!死にてぇ奴だけ、かかってこい!!!」
普段のダイスケでは考えられない勢いで、彼は敵軍の真っ只中に飛び込んでいった。
「それにしても…ダイスケにあんな一面があるとは……、珍しいこともあるな…。」
自身の仲間の意外な顔を見たコースケは、万が一のときに備えてこっそりと忍ばせていた“赤いブレスレット”を取り出し、それを左腕に装着した。
「アキッキー、悪いけど援護を頼むよ。」
「了解です、チーフ。」
一歩前に出たコースケは、装着したブレスレットアイテム“Vコマンダー”を口元に近づけ、変身コードを発した。
「タイムファイヤー!!」
Vコマンダーが音声を認識し、ブレス内部に蓄積されていたエネルギーがコースケを包み込み、黒のアクセントを持つ真紅のスーツを身に纏った一人の戦士が現れた。
「レイジングハート!」
[All right, my master.]
「バルディッシュ!」
[Yes, sir!]
なのはとフェイトも、それぞれの相棒を待機状態からデバイスモードに変形させ、ゼクトプリムに立ち向かう。
「ちょっと、何よコレ!?」
「!?」
背後から聞き覚えのある声。
振り向くと、そこにはコースケの妹・リョウカと、アキッキーの妹・マリアがいた。
さらにその後に続くようにして、てれび戦士のちひろ、デンライナーポリスのリインU(アウトフレーム・フルサイズVer)、E.F.のホーク姉妹、D.S.のアサギ、ジュリ、マユラの3人組、S.C.のアイリスも合流していた。
……というか、彼女たちまで何でこのホテルに!!??
「マリア、リョウカちゃん、丁度良かった!手伝ってくれ!」
「え!?う、うん!」
「わ、わかった!」
アキッキーの言葉を聴き、二人はわけも分からないまま手助けをすることに。
そして、その流れに乗るかのように、ちひろたちも今回の戦線に加わった。
―――ピカアァン!!
ふと、ここで空の持つカードデッキが光を発し、内部からカードが“これでもか!!”といわんばかりに多数飛び出してきた。
「うおっ!!??」
その数、なんと合計19枚。
これだけのカードが一気に出てくるなんて、想定外だ。
「よっと・・・。」
そのカードを両手でキャッチした途端、それらが一気に各々の色を取り戻した。
手にしたカードのうち、17枚は“POSSESSION DRIVE”のカード。
そして、残りの2枚は、それまで見たことのないカードだった。
「これは・・・!?」
そのカードを目にした空は、これ以上ない笑みを浮かべる。
「丁度良いわ!!あんた達!!」
「「はい・・・?」」
周囲に居た女性キャラ16人に声をかけた空は、先ほど現れた新しいカードを取り出した。
「こいつを使うよ!!」
周囲のメンバーたちの返事の有無を言わせないまま、空はそのカードをDバックラーに装填した。
[HYPER UNISON DRIVE、“ALL PRECURE(オールプリキュア)”]
その瞬間、Dバックラーから合計17個の変身アイテムが一挙に召喚され、それぞれの手元に渡った。
ちひろとリインUには、回転スライド式の携帯電話型アイテム“ハートフルコミューン”と、専用アイテムの“プリキュアハート”が握られた。
ラクスに与えられたアイテムは、“タッチコミューン”と呼ばれるコンパクトのようなもの。
マリアとリョウカの二人が手にしたのは、手のひらサイズのペンライト型アイテム“クリスタルコミューン”。
ホーク姉妹とカガリ、アイリス、みゆきに与えられたのは、バラを模したボタンが配置された折りたたみ式の携帯電話を模した、“キュアモ”と呼ばれるもの。
こなたには、パレット型の変身アイテム“ミルキィパレット”が与えられた。
アサギ、ジュリ、マユラ、そして空の手には、電子手帳型モバイルアイテム“リンクルン”と、専用のキーが。
そしてなのはとフェイトの二人には、手のひらより少し大きめの香水ビンに似た、“ココロパフューム”が握られた。
それらの固有アイテムが握られた瞬間、全員の脳裏にアイテムを使った戦い方の光景が過る。
その瞬間、全員が肯きあい、それぞれが叫んだ。
『デュアル・オーロラウェーブッ!!』
プリキュアハートをハートフルコミューンに差込、スライド部を一回転し、コミューンに手を翳す。
直後に互いの手を握り合ったちひろとリインUが変身コードを叫んだ瞬間、二人がオーロラに包まれ、一瞬で二人のコスチュームが大幅に変化した。
「光の使者、キュアブラック!」
「光の使者、キュアホワイト!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
黒いシンプルなコスチュームを身に着けたちひろと、白く輝くふわっとしたコスチュームに身を固めるリインUが、力強く名乗りを上げてポーズをとる。
「闇の力のしもべたちよ!」
「とっととお家に帰りなさいっ!!」
「ルミナス・シャイニングストリームッ!」
“タッチコミューン”に手を翳したラクスが、変身コードを叫んだ瞬間、彼女の周りを金色のヴェールが包み込んだ。
「“輝く命”、シャイニールミナス!
光の心と光の意志、全てをひとつにするために!」
その幕が消えたとき、一瞬にして、自身のイメージにピッタリのピンク色のコスチュームに身を包んだラクスが、眩い光と共に名乗りを上げる。
『デュアル・スピリチュアルパワーッ!!』
互いの手を握り合ったリョウカとマリアが、クリスタルコミューンを振りながら変身コードを叫ぶ。
その瞬間、マリアの体が金色の光に、リョウカの体が白銀の光に包まれた。
「花開け、大地に!」
「羽ばたけ、空に!」
二人がそれぞれの言葉を口にした瞬間、まるで花びらと羽が舞い散るかのようなエフェクトと共に二人の衣装が大幅に変わっていった。
「輝く金の花、キュアブルーム!」
「煌めく銀の翼、キュアイーグレット!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
赤紫色に似た色のコスチュームを身に着けたマリアと、純白に近い銀色のコスチュームに包まれたリョウカが、元気に名乗りを上げる。
「聖なる泉を汚す者よ!」
「アコギな真似は、おやめなさいっ!!」
『プリキュア・メタモルフォーゼ!!』
携帯電話型アイテム“キュアモ”に付けられている、バラの花を模した3つのボタン、それを右、左、中央の順番で押し込み、変身コードを叫ぶ。
その途端、一瞬にして5人の衣装が大きく変貌した。
「大いなる希望の力。キュアドリーム!」
「情熱の赤い炎。キュアルージュ!」
「弾けるレモンの香り。キュアレモネード!」
「安らぎの緑の大地。キュアミント!」
「知性の青き泉。キュアアクア!」
桃色、赤、黄色、緑、青、色は違えど、同じ形のコスチュームを身に纏ったルナマリア、カガリ、アイリス、みゆき、メイリンの5人が順番に力強く名乗る!
「希望の力と未来の光 華麗に羽ばたく5つの心」
―――――Yes! プリキュア5(ファイブ)!
最後に全員でポーズを決めた。
「スカイローズ・トランスレート!」
ミルキィパレットに取り付けられたタッチペンを使い、パレットのバラのマーク5つを左から順番に押し込み、変身コードを発することで、こなたが青い輝きに包まれ、変身した。
「青い薔薇は秘密のしるし!ミルキィローズ!」
胸元に青いバラを添えた紫色のコスチュームを身に着けたこなたも、5人に続いてキリッと名乗る。
『チェインジッ!プリキュア・ビートアァップッ!!』
携帯電子手帳型アイテム・リンクルンを開き、液晶画面の下にあるボール型ローラーを回転させることで、力が解放される。
アサギ、ジュリ、マユラ、空の4人はその状態で変身コードを叫んだ。
そして、4人はそれぞれの左胸に四葉のクローバーを象ったエンブレムマークが付けられ、それぞれのコスチュームが装備された。
「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」
「ブルーのハートは希望のしるし!つみたてフレッシュ、キュアベリー!」
「イエローハートは祈りのしるし!とれたてフレッシュ、キュアパイン!」
それぞれ、桃色、青、黄色の異なる色、似通ったようなコスチュームを身に纏ったアサギ、ジュリ、マユラの3人が、まずは両手でハートを作って名乗りを上げる。
「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ、キュアパッション!」
そして、3人とは大きく異なる赤いコスチュームを身に着けた空課長も、両手でハートを作り、名乗りを上げる。
「レッツ!」
「「「「プリキュア!」」」」
最後に4人で決めゼリフと決めポーズをとった。
「「プリキュア・オープンマイハート!!!」」
ワンピースのような光の服に身を包んだ二人は、変身コードの発声と共に、香水ビン型アイテム・ココロパフュームに、プリキュアの種と呼ばれる平べったい円形の宝石型アイテムを装填することで、二人の変身が開始される。
まるで香水を吹きかけるようにすることで、二人の光のワンピースが、それぞれのイメージカラーのコスチュームへと変身する。
「大地に咲く一輪の花!キュアブロッサム!!」
「海風に揺れる一輪の花!キュアマリン!!」
桃色と水色の、色の異なる同じ形のコスチュームを身に纏ったフェイトとなのは。
二人の姿は花をモチーフとしている影響か、名乗りの際は両手で花の形を作り出す。
「「ハートキャッチ・プリキュア!!!」」
最後に可愛らしくポーズをとった。
プリキュアなる新たな戦士に変身を遂げた17人のメンバーは、一瞬、困惑しつつも、迷ってはいられないとばかりに、ゼクトプリムとゲルニュートに攻撃を開始。
そのパワーは想像以上に高く、見る見るうちにその数が減っていく。
見たことのない戦士の登場に、思わずポーキーも一瞬驚いたが、この程度で怯んではいられない。
「小癪な!ロケット団、お前らもちゃんとやれよ!!」
『おう!!!』
どこからか、亜空軍の下っ端メンバーのロケット団も戦線に介入した。
「ハブネイク、ソーナンスやっておしまい!!」
「行くぞ。サボネア!!」
出てくるや否や、二人のご自慢のポケモンが繰り出された。
「サボ〜♪」
「だから戦う相手違うって!!」
サボネアがボケを見せたのはさておき、ロケット団のお相手は空とゴルゴだ。
「悪いけど、一気に決めさせてもらうわ!行くわよ、ゴルゴ!」
「おっしゃっ!」
既にマリルとオクタンは臨戦態勢を整えていた。
「マリル!」
「オクタン!」
「「ダブル・ハイドロポンプ!」」
「リィ〜ッ、ル――――!!!!!」
「オォォォッ、ク―――――!!!!!」
―――ブシュウウウゥゥゥゥ!!!!!
『ブゴッ!!!!』
ロケット団の出鼻を挫くダブルハイドロポンプで、二人とそのポケモンたちは一気にカベに叩きつけられた。
「今度はこっちの番だ!ダイスケ、同時に攻撃するよ!」
「了解、チーフ!」
タイムファイヤーとなったコースケは、一気に勝負をつけるべく、ホルスターに備わっている“DVディフェンダー”を取り出し、音声コードを入力した。
「DVチェンジ!“ディフェンダーソード・ファイナルモード”!!」
ソードに切り替わったDVディフェンダーの刃が青白く輝き、その切っ先がポーキーに向けられる。
そして、ダイスケも必殺の一撃の構えを取る。
「な、何っ!?」
ポーキーが怯んだその瞬間を二人は見逃さず、一気に勝負に出た。
「古牧流・王龍の極み!」
「DVリフレイザー!!」
「「ウォリャァァッ!!」」
―――ドゴゴッ!
「ギャフッ!」
二人の一撃がポーキーを捕らえ、これまたカベに強く叩きつけられた。
その瞬間、空課長が、プリキュアとなったメンバー全員に合図を送った。
「全員で一気にとどめよ!」
ホルダーから取り出したカードを、Dバックラーに装填した。
[FINAL ATTACK DRIVE、“ALL PRECURE”]
そのカードが読み取られた瞬間、全員の脳裏で必殺技の手順の光景が過り、知らぬ間にその通りのプロセスを踏んでいた。
「漲る勇気!」
「溢れる希望!」
「光輝く絆と共に!」
虹色の輝きに包まれたブラック(ちひろ)とホワイト(リインU)が、“ハーティエルバトン”を構えるルミナス(ラクス)と共に掛け声を挙げた瞬間。
『エキストリイイィム・ルミナリオォッ!!』
虹色のハートマークがブラックとホワイトの前に現れ、それを押し出すように手のひらを突き出した瞬間、ハートから眩い光線が放たれた。
[FORM DRIVE、“CURE BRIGHT”、“CURE WINDY”]
“天空に満ちる月”を司るキュアブライトに変身したマリアと、“大地に薫る風”を司るキュアウィンディに変身したリョウカが、互いの手を握り合い、周囲の“精霊の力”を集約する。
「精霊の光よ!命の輝きよ!」
「希望へ導け!二つの心!」
『プリキュア・スパイラル・スタアアァァァ・スプラアアァァッシュッ!!』
光の螺旋が星の形を描いたと同時に、集約された力が一気に解放され、二つの大きなエネルギーウェーブとなった。
「クリスタルフルーレ!希望の光!」
「ファイヤーフルーレ!情熱の光!」
「シャイニングフルーレ!はじける光!」
「プロテクトフルーレ!安らぎの光!」
「トルネードフルーレ!知性の光!」
それぞれのフェンシング型アイテム・キュアフルーレを召喚したプリキュア5(ホーク姉妹、カガリ、アイリス、みゆき)は、その光の刃を目の前で交差させる。
「五つの光に!」
「「「「勇気を乗せて!」」」」
『プリキュア・レインボー・ローズ・エクスプロージョンッ!!!!!』
光り輝く5色のバラの花が咲いたと同時に、5人はフルーレを突き出した。
その瞬間、5つのバラが一つに合わさり、巨大な虹色のバラとなって敵に向かって突っ込んでいったのだ。
「邪悪な力を包み込む 煌く薔薇を咲かせましょう!」
ミルキィパレットが変化した武器・ミルキィミラーを構えたミルキィローズ(こなた)の前に、群青色の巨大なバラの花が咲いた。
「ミルキィローズ・メタル・ブリザードッ!」
その瞬間、文字通りのバラの花吹雪が舞い散った。
「届け!愛のメロディ!」
「響け! 希望のリズム!」
「癒せ!祈りのハーモニー!」
ピーチ(アサギ)、ベリー(ジュリ)、パイン(マユラ)の3人の手のひらが、それぞれハート、スペード、ダイヤの形を形成し、それぞれのエネルギーが集められた。
「悪いの悪いの、とんでいけ!」
『プリキュア・トリプル・フレエエェェッシュッ!!!』
「歌え!幸せのラプソディ!パッションハープ」
パッション(空課長)専用の特殊アイテム・ハピネスハープが召喚され、彼女の手元に納まる。
「吹き荒れよ!幸せの嵐!
プリキュア・ハピネス・ハリケーンッ!!」
その瞬間、ハープが鮮やかな音色を奏でた。
『集まれ、花のパワー!』
「ブロッサムタクト!」
「マリンタクト!」
トリを飾るは、ブロッサム(フェイト)とマリン(なのは)。
指揮棒を模した独自のアイテム・フラワータクトを召喚し、柄の部分につけられたクリスタルドームを回転させた。
『集まれ二つの力よ!!
プリキュア・フローラルパワー・フォルテッシモッ!!』
ピンク色の軌跡とマリンブルー色の軌跡が、フォルテッシモの記号を描き、そのパワーと共に敵に向かって突進していった。
『ハ〜ト、キャッチッ!!』
―――ドッカアアアァァァン!!!!
『やな感じ〜!!!』
プリキュア・オールスターズの断続的な波状攻撃に耐え切れるはずもなく、ロケット団は残っていたゼクトプリムやゲルニュートらと共に一気に吹き飛ばされた。
「チィッ!見縊りすぎた…。ここは撤退するしかないな・・・。覚えてろ!」
ポーキー、またしてもいいところを見せずじまいのまま、撤退を余儀なくされた。
その後、ラビの応急メンテナンスや、損害を受けたホテルの修復などに追われたメンバーたちだったが、怪我人が一人もいなかったことが、不幸中の幸いだった。
こうして、亜空軍の邪魔があった影響で終始大混乱だったものの、ヴィヴィアンとラビのお見合いは終了した。
その後の二人だが・・・、どうやら相性は良かったらしく正式な恋人になったとさ・・・。
--THE END--
【あとがきという名のフリートーク】
空「今回もまたすごいカードの量ね・・・。
ってか・・・、あんた最初『ナスカ・ドーパント』に変身する気じゃなかったの?」
DaisukeP「そうしたいのは、やまやまだったんだけど、『ナスカ』は別の人に譲った。」
空「相変わらずお気楽ね・・・。そうそう、ヴィヴィアンってどんなのか、皆さんに説明してあげて。」
DaisukeP「了解!!」
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ヴィヴィアン(CV 豊口めぐみ)
出典先は『ファンタシースターポータブル』
徳井ダイスケ専用のシードピア製ウサギ型ガイノイド
本人いわく「家事をちゃんとしてくれるから、仕事がはかどる。」とのこと。
ラビとは、今回のエピソードで見事正式な恋人となった。
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DaisukeP「こんな感じ。」
空「なるほど・・・。」
二人「「それでは!!」」
今回のカードリスト
『桐生一馬』(出典先 『龍が如く』シリーズ)
ダイスケが限界を超える程怒った時だけ使用する恐怖のカード。その力は、伝説を超える・・・。
『プリキュアシリーズ』
DaisukePが最近お気に入りのアニメシリーズ。その主人公と必殺技のセットである。
編集者・コースケの独り言
DaisukePさん提供の特別編第2弾、いかがでしたでしょうか?
まさかのラビの擬人化設定+ウサギキャラ同士のお見合いと言うことでしたけど、違和感ありすぎだろと思う方も多いのではないでしょうか?
僕も最初この小説の原稿を頂いたとき、『これ、マジかよ!!?(笑)』と真っ先に思いました。
そして、おなじみの変身カードネタですが、これまたまさかの『龍が如く』シリーズからの採用とは……、思いもよりませんでした。
それに加えてプリキュアオールスターネタも大々的に投入と言うことで、今回も色んな意味でのお祭り騒ぎと相成りましたね(苦笑)