ニュートラルヴィアを所轄領域とする公安組織、ライガーシールズ本部・G.L.B.(ガーディアン・ライガー・ビルディング)。
この日、チームの“縁の下の力持ち”的存在・L.S.広報課のオフィスはゆれていた。
―――バン!!
広報課の課長・中川空のデスクが、大きな音を立てた。
「お、落ち着いて話し合いましょ、ねっ‥‥。」
今回に限って、珍しく押され気味の空に対し、明らかに不服そうな顔をしていたのは広報課のサブチーフであるアキッキーだった。
「聞きましたよ、課長。出るんですってね、今回のコンサートに。」
ドスの聞いた声で問い詰めるアキッキー。
「い、いや…出るといってもほとんどがコーラスだし・・・・・(汗)」
「“ほとんど”ってことはメインで歌う曲もあるんでしょ‥‥?」
「あっ・・・・・ハイ。」
あまりのプレッシャーにあっさりと白状してしまう空。
「まったく、一応僕達は裏方なんですから‥‥。」
「ダイスケが漏らさなかったらたぶん本番まで気づいてませんでしたよ‥‥。」
「まったくです。」
そのアキッキーの背後にいる、広報課チーフのタツノコースケとアキッキーの後輩であるソラと雷電も文句を言っている。
「ガチョ〜、ス、スビバゼ〜ン(課長、す、すいませ〜ん)。」
ちなみに発信源のダイスケはお仕置きなのか顔中に洗濯バサミをつけられていた。
「で…、どうしたいの?」
おそるおそる、空はアキッキーに聞く。
「単純なことです………ボク達も舞台に出させてください!!」
「えっ!?」
いきなりのアキッキーの発言に驚く空。
「そりゃね、空さんが出るんなら僕達が出てもおかしくないよね。」
「うんうん。これでも歌にはちょっとした自身があるし。」
「同じく。」
コースケたち3人も、アキッキーの提案に大賛成のようだ。
そんな4人に押され、今回ばかりは少々たじろぐ空。
悩んだ末、彼女は口を開いた。
「わかったわ・・・・・そこまで言うんなら、テストしてあげるわ。」
「「「「テスト?」」」」
そして夜、舞台は変わってメガロニアタウンにあるカラオケボックス。
「ここであなた達の歌唱力を見ます。」
空は、このカラオケボックスで実際にコースケたちがどれだけ歌えるのか、確かめようと考えていた。
「なるほど、それなら文句はなしですね。」
「じゃあまず僕から…。」
早速コースケが曲のナンバーを入力し、マイクを握った。
・タツノコースケの場合
<1曲目>
「生きていくんだ それでいいんだ ビルに飲み込まれ 街にはじかれて それでもその手を放さないで
僕がいるんだ 君もいるんだ みんなここにいる 愛はどこへもいかない♪」
<2曲目>
「孤独を振り払うように 都会の風の中
ただ行くしかないさ 信じた生き様を 嗚呼
理由なんて無いさ 震える魂よ 嗚呼♪」
(い、意外とうまいかも……。)
コースケの歌唱力は高いものだったらしく、空課長も少し予想外…。
「次はボクが‥‥」
次にマイクを握ったのはソラ。
・ソラの場合
<1曲目>
「夢よ踊れ この地球(ほし)のもとで 憎しみを映し出す鏡なんて壊すほど…
愛よ照らせ! この空の果ても 真実を惑わせる鏡なんて割ればいい!
愛を抱いて いま君のために 進化するタマシイが願っていた未来を呼ぶ・・・・・♪」
<2曲目>
「Ready to go,CountZERO,仮面ライダーAGITO! 君のままで変わればいい!
Here we go,CountZERO,仮面ライダーAGITO! いま、君がいないと Get on♪」
先ほどのコースケの場合と打って変わり、ソラは仮面ライダーシリーズの主題歌を選曲。
(仮面ライダーねぇ・・・・・・・)
「次、行きます。」
続いては雷電。
・雷電の場合
<1曲目>
「時を飛び越え いつも助けてくれるよ! 風にその名を呼んだなら〜
ジェット、ジェット、ジェットマン! 君の胸に Oh,
ジェット、ジェット、ジェットマン! Let’sGo飛びだせ!
ジェット、ジェット、ジェットマン! 君の胸に Oh,
ジェット、ジェット、ジェットマン! 鳥人戦隊ジェットマン!!♪」
<2曲目>
「生まれた世界は違っても 見た目や言葉は違っても 願いはつなぎあえる!
エンジン全開!ゴーオンジャー 正義のハイウェイまっしぐら! 君の胸にも響け!
BOON BOON!BANG BANG!ゴーオンジャー! 笑顔のゴールを目指すんだ!
炎神戦隊ゴーオンジャー!
エンジン全開!ゴーオンジャー DON DON!限界超えるんだ! 夢のパーツをあわせ!
BOON BOON!BANG BANG!ゴーオンジャー! 前しか見えない前進だ!
炎神戦隊ゴーオンジャー!GO−ON!♪」
ヒーロー番組系の選曲が続く。
(ソラ君のライダー2曲に対し雷電君は戦隊2曲ね…。)
「じゃあ、真打登場といきますか!!」
自信満々にマイクを握ったアキッキーが選んだ曲は、空課長にとって極めて予想外のものだった。
・アキッキーの場合
<1曲目>
「真実だけを追い求め 気付けばそこにキミが居た 特別な存在はいつか絆に変わる
記憶の隅に映り込む 切り離せない悲しみも 今ならば ここでなら 強さに変わり 明日へ続くよ♪」
<2曲目>
「いとおしい人のために 今 何ができるかな? かなわない夢はないよ まっすぐに、信じてる‥‥
無限へと 開け‥‥ふしぎ遊戯〜♪」
(び、美少女アニメ!?しかもなぜに共通して中国系!?そして、2曲目の選曲が古っ!?)
さすがに意外な選曲だったのか、空課長も呆然。
こうして、4人の一通りの歌唱力を確認した。
「ま、まぁ聞かせてもらったわ。」
……はずだったのだが。
「あっ、まだ1曲あるんですけど・・・・・」
「えっ!?まだあるの!?」
今度は何を歌うのか、と思いきや―――!
「ボク達が密かに練習していた、とっておきの奴です。」
なんと、4人全員での合唱も想定してか、とっておきのものを用意していたようだ!
※その曲、披露中
――尚、曲の内容は現時点では極秘――
その曲を聴き無言になる空。
「どうです?」
「す、すごい…いいわよ!!ぜひとも出て!!」
『やった〜〜〜!!』
こうして広報課メンバーたちの飛び入り参加が確定した。
「ただし!!」
『???』
…と思ったら、次の瞬間、空課長は予想外の衝撃発言を口にした。
「出てもらうからには、徹底的に行くわよ〜〜〜〜〜〜!!早速数日後の夏合宿でビシビシ鍛えてあげるわ!!」
『え〜〜〜〜!?』
……どうやら、空課長のプロデューサーとしての血がまたまた騒ぎ始めたようである。
--to be continued--
次回予告!!
明日は、豪華リゾート施設で合宿!!
果たして、どんなことが起きるのか!?
次回、『波乱万丈!?真夏の大合宿』
コンサートを作るのは貴方です…。
【あとがきという名のフリートークbyアキッキー(以下A)&中川空(以下空先生)】
A:「てな訳で、今回は不肖ながらこの僕アキッキーが原稿を担当する事になりました。」
空先生:「今回はご苦労様です。」
A:「今回の話はボク達広報課のメンバーがライブに出るために課長からのテストを受けるといった内容です。」
空先生:「しかし、みんな歌がうまいわね。」
A:「一応、ボクは高校時代の文化祭ののど自慢の常連でしたからね。」
空先生:「そんなこんなで次回は波乱の合宿!」
A:「一体どうなるんっすかね‥‥。」
編集者・コースケのその後(第7話終了直後のフリートーク)
【出演:タツノコースケ&キラ・ヤマト】
コースケ:そう言うわけで、キラ。これ、今度の合宿申請の書類。
キラ:あ…うん、マリューさんに渡しておくね。
コースケ:頼むよ。
キラ:それにしても、とんでもないことになっちゃったね…。
コースケ:うん。なんか、やぶへびになっちゃったって感じでさ……。
キラ:ところで、終盤で歌った曲って、どんなの?
コースケ:それは、まだ差し控えておくけど、とにかく、凄い歌だってことだけは、間違いないと思う。
今回の合宿で、そのパフォーマンスの練習を徹底的に行うって、空さんが言ってたからね…。
キラ:…ほ…本格的なんだね…(苦笑)
コースケ:おそらく…。
キラ:……日射病にならないようにね。
コースケ:……うん。
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…と言うわけで、アキッキーさん、原稿の執筆、お疲れ様でした!