ライガーシールズ本部・G.L.B.前。
前回、異色のデザイナー・アキエの登場で、衣装合わせもある意味盛り上がり、この日もどうにか全ての日程が終了した。
「ごめんね。アキエっていう急な客の騒ぎに巻き込まれて・・・。」
「いや、面白いのを見せてくれて今日は楽しかったよ。」
その本部のエントランス前では、空がタクミと会話を交わしていた。
「社長、空さん、うちの嫁が美味しい料理作って待ってるんで食べて帰りませんか?今日は冷静パスタだから社長の味にも会いますよ。」
傍らに控える副社長が声をかけ、食事の誘いをするが…。
「そうか・・・、お邪魔したいんだが、まだ仕事が残っていて・・・。」
どうやら今回はタイミングが悪かったらしい。
「私、話したい事が有るし・・・、私は寄らせてもらうわよ。」
「そうですか・・・。では社長、お先に失礼します。」
「おう、お疲れ!!」
そう言ってタクミと別れ、空は早速、タクミの部下である副社長・春野タイヨウ(CV:杉浦太陽)の自宅に立ち寄ることになった。
「ただいま〜!!」
「お帰りなさい!!」
家に帰るや否や、笑顔で出迎えたのは彼の愛妻だった。
(あ〜、相変わらずうちの2大エースと同じ熱々のカップルだこと・・・。)
まるで新婚ほやほやとでも言うべき雰囲気に、空も苦笑いするしかなかった。
「コホンッ、二人ともいちゃつく時間は置いといて・・・、私お腹空いてるんだけど・・・。」
わざとらしく咳払いし、2人きりの時間に横槍を入れた空に、2人も思わず…。
「「ごめんなさい・・・。」」
「良いわよ。まぁ、うちの2大エースも、んなもんだし・・・。」
「クシュン、誰かが私の噂でもしたのかしら・・・?」
本部で書類整理をしていたラクス、その勘はズバリ的中である。
「プハ〜ッ!!ごちそうさま、また腕上げたでしょ!!」
「お粗末さまでした。」
少し賑やかになった春野家の食卓。
タイヨウの妻の手料理は格別である。
空自身も、過去に何度かご馳走になったことがあるのだが、最近その料理の腕も上達しつつあるようだ。
「じゃあ、先にお風呂に入るね。」
その後、食器の片づけが全て終わり、タイヨウがリビングを離れたのを見計らい、空が彼女に視線を向けて本題を切り出した。
「さて、今日来たのは他でもないの。実は・・・あなたを芸能界に復帰しようかなって考えてるの。」
「私が芸能界に・・・?」
そう、実は彼女・春野ノゾミはかつてシードピアで名うてのアイドルだったのだが、ある事情により一度芸能界から身を引いているのである。
「無理ですよ・・・。ラクスっていう伝説のアイドルなんかに、一度引退した私が・・・。」
彼女にとって、シードピアの伝説の歌姫・ラクスの存在は大きな重圧だった。
彼女が引退した要因も、それが少し絡んでいる……。
しかし……。
「実はこれ・・・、タイヨウの提案なの。」
「・・・!?・・・ダーリンの・・・?」
思いも寄らない人物の名に、ノゾミも目を見開く。
話は数時間前にさかのぼる・・・。
「空さん・・・、このコンサートに家のノゾミを復帰させる事は出来るんでしょうか・・・。」
「えっ!?ノゾミを!?」
タイヨウも、今回のシードピア超巨大コンサートプロジェクトの話は聞いている。
彼の所属する会社も全面協力をもらっており、タイヨウもサポートをしてもらうことになってる。
そんなときに、彼から切り出されたノゾミの復帰案。
空としては多少微妙なところもあった。
「う〜ん・・・、一応ノゾミは昔は別会社のアイドルだけど・・・、私が修行に入る要因にもなったのよねぇ・・・。」
・・・というのも実は、かつてシードピアの某所で開催されたアイドルトーナメントの本大会の決勝ステージ、その際にノゾミとラクスが数多のアイドルたちと一緒に出場していたのだが、想像を超えるハイレベルな争いの末、ノゾミはラクスに負けてしまったのである・・・。
その数日後、空はノゾミの所属していた事務所のビルの前で、担当者と社長が彼女を半ば強制的にクビにしたのを偶然目撃し、一気に堪忍袋の緒が切れた空は、そのまま怒りの衝動と共に、2人に対して弓引きナックルパートで鉄拳制裁すると言う不祥事をやってのけてしまったのである・・・。
当然、そのときの目撃写真はシードピア中の週刊誌やニュースなどで大々的に取り上げられ、大騒ぎになったのは言うまでもない・・・・・・。
「その後、私は責任をとって3年の修行に突入した訳・・・。」
おそらく、彼女にとってこれほど苦い記憶はないだろう・・・。
それほどにまで、空はあのときのことの責任を感じているのかもしれない・・・。
「やっぱり、無理ですか・・・。」
“状況的にちょっときつい”。
そんな展開がタイヨウの脳裏で過るが―――。
「んな訳無〜い!!」
何かいいアイディアがあるのか、空がタイヨウの言葉を真っ向から否定した。
「今度から、ライガーシールズとタクミの会社で新しいCDレーベル作ってそこにノゾミを移籍させれば・・・。」
「なるほど・・・。」
前途に光明が見えてきた・・・・・・!
「って話になって盛り上がってね・・・。」
思いも寄らなかった展開に、ノゾミの表情は喜びと不安が入り混じった複雑な顔になった。
「私、出来るかどうか・・・。」
半ば強制的とはいえ、一度は芸能界を見引いた存在。
今の自分を受け入れてくれる人がいるかどうか、それが彼女にとっての不安でもあった。
そんな彼女の肩に、空の手が触れる。
「大丈夫!!私達にお任せなさい!!タイヨウとタクミも協力してくれるし・・・、きっとうまくいくわよ・・・!」
自信に満ち溢れ、安心感を感じ取れる空の笑顔に、ノゾミの顔も綻ぶ。
やる前から自信をなくしちゃダメだ・・・!
「空さん・・・、ありがとう。私・・・・・・やってみるわ!」
「じゃあ、決まり!!」
こうして、芸能界から身を引いたアイドルの、期間限定復活が確定となった・・・!
--to be continued--
次回予告!!
次回はボク達が主役!!なのに・・・、何でボクってついてないの!?
次回『切磋琢磨!頑張れ広報課!!』
コンサートを作るのは貴方です・・・。
あとがきという名のフリートーク(by ダイスケ[以下:D]&中川空[以下:空先生])
D:「ハイっ、ライガーシールズ広報課社員のダイスケです。」
空:「中川空です。今回はスペシャルゲストにこの方を呼んでいます!!」
D:「元人気アイドルのノンノこと、春野ノゾミさんです!!」
ノゾミ:「よろしくお願いします!!」
D:「さて、まずは芸能界復帰おめでとうございます。」
ノゾミ:「コンサートの期間だけだけど…、もし好評なら終戦後に復帰しようかな…?」
空:「それ、良いわね!!」
D:「さて、次回はボク達広報課の活躍を描いてます。更に、これでは珍しいバトルシーンも…。
それでは!!」
編集者・コースケの独り言
半田健人さんに続いて、前回は名前だけ出てきていた、春野タイヨウこと杉浦太陽さんが本日初登場でございます!!
<プロフィール>
春野タイヨウ(CV:杉浦太陽)
好きな食べ物:妻の手料理(特に熱々の味噌汁)
特技:女装(空でも分からない)
備考
タクミの頼れる部下であり、彼の経営する会社の副社長。
常に定時に帰る程の愛妻家として会社内でも有名。
ちなみに、その妻はかつてシードピアで名の知れた元人気アイドル(現在は引退)
前回の後書きで僕が言った言葉、覚えてますか?
実はアノ言葉は、そう言うことだったりします。
どうやら様子から考えて、タイヨウの妻のノゾミさんって、“あの”ノゾミさん以外、ありえなさそうですね…!
DaisukePさん、出来たらでかまいませんので、今回初登場した春野ノゾミのプロフィールをお送りいただけないでしょうか?
(情報が少なく、確信がもてないので…。)